ニュース編、財務諸表編と続いて、最後は判例編です。

判例も知識力と思考力を鍛えることができる素材だと思います。判例を理解するには法律の知識と思考力が必要になります。


判例の理解

法律を勉強する上で、判例の学習は欠かせないものです。条文を読んでいても分かりにくかったりしますが、判例では裁判所が事案だけではなく、条文をどのように適用したのかが分かります。詳細を理解するためには法律の知識が必要になるため、知識力を身につけることになります。


判例の思考

法律の文章を作成するときは、瑕疵がないように詳細まで突き詰めて精巧にします。法律の文言に慣れていないと、回りくどいと感じたり難解だと思ったりしますが、論理はしっかりしています。その中でも判例の学習は有益で、この学習を通じて法的思考力も養われます。もちろん、判例が必ずしも正しいわけではありません。判例に対する批判も多くあります。判例の論理、それに対する批判の論理など、これらを学ぶことで少しずつ思考力が身についていきます。


思考力

どの学問でも学習する上で、必要最低限の暗記や知識は求められます。しかし、どの段階においても、物事に取り組む際には思考することが大切です。思考しなければ理解度は浅くなります。また、思考力は将来のことを考える力です。未知の問題に遭遇した場合には、この思考力が問われることになります。

以前、日本の大学院とアメリカの大学院、どちらも難関で有名な大学院で学問を修めた法学者がいましたが、その人は集団的自衛権の問題に対して、「憲法学者は思想的に偏っている人が多い」とだけ答えていました。

確かにその人が主張するように、憲法学者は思想的に偏っている人が多いのかもしれません。しかし、論点は憲法の条文や判例の解釈と集団的自衛権の法案の内容の問題であり、憲法学者の思想信条ではありません。法律についての意見を言うべきなのにもかかわらず、その法学者は憲法学者の思想のことしか言及しませんでした。たとえ憲法が専門ではなくても、法学者であれば自身の思考力を駆使して、合憲でも違憲でも自分の考えを述べるべきでした。思考の放棄です。

大切なことは、自分の考えを持つことです。しかし、自分なりでいいので深く考えなければいけません。高学歴で知識があるように思える人でも、短絡的な思考をしたり思考することを放棄していたりする人は、上記の学者を含めて少なくはありません。

ある問題について考えるためには、そのための学習をしたりして大変な部分があったりしますが、その過程を楽しめるようになると知識を身につけて思考することが面白くなってきます。試験などの勉強では答えがありますが、実社会では正解がないものが多くあります。その時に思考力を駆使すると、道が見える時があると思います。知識を身につけるだけではなく、それを駆使して思考していくことが今の時代には求められます。


最後に

ニュースや財務諸表に限らず、判例の学習を通じても知識力と思考力を鍛えることができます。判例の学習の重要性は、偉大な民法学者である我妻榮先生の『民法案内1 私法の道しるべ』という著書の中で言及されておられます。

判例の学習は、知識力や思考力を鍛えるだけではなく、もちろん各種法律の試験においても有益です。法律も会計と同様、難しいと思い敬遠しがちですが、一歩ずつ学習を進めていけば少しずつ理解できるようになってきます。

これまでに紹介したもの意外にも知識力と思考力を鍛える方法はあると思いますので、みなさんも独自の方法で学習してみて下さい。