島本 理生

2006年07月20日

島本 理生の「リトル・バイ・リトル」読了

リトル・バイ・リトル


島本 理生 著 「リトル・バイ・リトル」 ★★

ふみは高校を卒業してから,アルバイトをして過ごす日々。家族は,母,小学二年生の異父妹の女三人。習字の先生の柳さん,母に紹介されたボーイフレンドの周,二番目の父――。「家族」を軸にした人々のふれあいのなかで,わずかずつ輪郭を帯びてゆく青春を描いた,第二十五回野間文芸新人賞受賞作。


ダメなものはダメなんですな。
小説の良し悪しを別にして,本書が賞を取る理由が分からない。まぁ確かに深読みするタイプじゃないし,女性のもつ感受性もよく理解はできませんよ。しかしこれほどとは…。自分でもびっくりです。

今回も普通の家族じゃないですね。円満な家族じゃダメなの?自分の生い立ちと関係してるのかしら?とか考えるのと同時に,こういった特殊な環境設定にしないと書けないのかしら?と,意地悪な見方までしてしまいます。若い女性作家ですから応援したいのですけどね,なんか好きな女の子をわざと苛める小学生みたいになっちゃってます。やだやだ。

原田宗典氏の解説で以下のような記述があります。
その証拠に,前半部分の所々に見うけられた,名詞よりも前へ出ようとする形容詞や,やや一人よがりなたとえなどが,だんだんと影をひそめ,後半部分にはほとんど目につかなくなっている。

このことについては激しく同意です。確かに『シルエット』よりも本書の方が抑えられてましたし,後半のほうは大して気になりませんでした。実は『シルエット』の感想で,私も以下のように書いていたんですよね。

綿矢りさには読者を奮わせるフレーズが所々みられた。島本理生には,それがない。頑張ってカッコいいフレーズを捻りだしたかったのだろうが,それが目に見えてしまうし,不自然さを感じさせる。
形容詞(修飾語)がイタイ (努力は認めるが,それを匂わせちゃダメ)


あぁ何だ。私って少しは読めてるんじゃないの。私の偏見的な否定だけじゃなくてよかったわって少し安心しちゃいました。苛めてるんじゃないのよ〜。

とまぁ,ホントなら次はないです。ないんですけど,どうしても『ナラタージュ』が気になってしかたない。なんなだろコレは?島本理生よりカワイイ綿矢りさは見限ったのに。あっごめんなさいm(__)m



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2006年02月18日

島本 理生の「シルエット」読了

シルエット


島本 理生 著 「シルエット」 ★★

女性の体に嫌悪感を覚える元恋人の冠くん。冠くんと別れ,半ばやけでつき合った遊び人の藤井。今の恋人,大学生のせっちゃん…人を強く求めることのよろこびと苦しさを,女子高生の内面から鮮やかに描く群像新人賞受賞作の表題作と15歳のデビュー作他1篇を収録する,せつなくていとおしい,等身大の恋愛小説。


評判が良い『ナラタージュ』が気になって気になって…。

いま懐が温かい(今年すでに80万勝ち!)とはいえ,博打には出れない(セコッ)
というのも…

1.恋愛小説が苦手である (性格のせいかドン引きすること多し)
2.女性作家である (しかも若いし…)
3.初読みである (当たりの確率は半々ってとこか)
4.男性諸氏の評価が比較的悪い (よくお邪魔しているところで)

と,結構な障害がありまして。とりわけ4が気になる。そして,いつものように耐性を得るために,うっす〜い本作をBOOK OFFで見っけてきたのだが――。

う〜ん,ぜんぜん理解できない。理解できないから結局つまらない。いつぞやの綿矢りさと同じだな。この二人が似ている点は…

1.小説が下手 (まぁデビュー作だし若いから仕方ないか)
2.形容詞(修飾語)がイタイ (努力は認めるが,それを匂わせちゃダメ)
3.なぜページがすかすかなの? (舞城王太郎よりかはいいけど)

この二人に優劣をつけるとしたら,綿矢りさに軍配があがる。2の問題があるものの,綿矢りさには読者を奮わせるフレーズが所々みられた。島本理生には,それがない。頑張ってカッコいいフレーズを捻りだしたかったのだろうが,それが目に見えてしまうし,不自然さを感じさせる。それに伴って,若い女性の内省部分に共感できないので,より一層退屈度を増長させてしまう。もうこれは,青春時代を過ぎた男が読むものじゃないんだろう。そう思わなくっちゃ,やってなれないというものである。

ここまで読んでいただいて分かるように,『ナラタージュ』を読むのは当分先になるでしょう。かなり安く手に入れられるか,友人に借りでもしない限りね。『リトル・バイ・リトル』が文庫化されているので,これを古本で買うのが先になるかも。まず本屋で買うって選択はあり得ないだろうね。綿矢りさは2冊目(デビュー作を後に読んだ)方が印象良かったから,島本理生もそうなることを期待してみます。

最後に,島本ファンの方ゴメンさない。でも,これが正直な感想なのです。

ecr33ssr at 23:32|PermalinkComments(2)TrackBack(0)clip!
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