シーズン100勝を達成したことは今は昔。投手王国として名を馳せたフィリーズですが、今シーズンの先発防御率はリーグ14位の4.41、救援陣も防御率4.19で14位と、投手陣全体に問題がありました。
一時はポストシーズン進出にかすかな望みはあったものの、マニエル監督解任直前に連敗街道まっしぐら。サンドバーグ代行が監督就任後も状況は変わらず、結果的にリーグ13位と下位に沈んでしまいました。
投手陣の不安定はもちろん投手自体の問題でもあるのですが、ルイーズの長期出場停止や、代役捕手のクラッツまでも故障で欠場と苦しい台所事情を露呈することに。ただそんな再建突入な雰囲気のフィリーズにも、今季は明るい材料もたくさん見つかりました。
以下、今季下位に沈んだフィリーズのバッドニュースと、そんな中でも明るいニュースを届けていこうと思います。まずはバッドニュースから。
・ハラデイの劇的不振と長期離脱
ここ数年メジャーで最も支配的な投手の名を欲しいままにしてきたハラデイにも衰えが見えてきました。独特のフォームで相手打者を幻惑し、多彩な変化球と抜群のコントロールを誇っていましたが、今季は球自体にキレがなくなり、失投を簡単に投げてしまうことで大量失点を次々に犯してしまいました。4月14日のマーリンズ戦に1失点完投で、自信の通算200勝を祝った形になりましたが、5月5日同じくマーリンズ戦で別人のように2回1/3を9失点と大炎上。翌日には故障者リスト入りしてしまい、5月8日には右肩の手術を発表しました。今季中の復帰は難しいかに思われましたが、術後8月25日のダイヤモンドバックス戦で先発復帰。見事復帰戦を勝利で飾りましたが、復帰後の6先発は本来の投球にはほど遠い内容でした。アマロGMは今オフにFAとなるハラデイとの再契約に前向きとのことですが、もはやそこに毎年サイ・ヤング賞候補だったハラデイの姿はありません。もともと豪速球で相手をねじ伏せるタイプではなく、本調子ではなくとも相手打線を翻弄する投球術を心得ているとも言えますが、あくまで再建でなく来季も勝利優先を目指す以上はハラデイとの再契約はギャンブルとしか思えません。果たしてアマロ氏の英断はいかに。
・ライアン・ハワードの完全不良債権化と長期離脱
ハラデイ同様にシーズン途中で故障し、ハワードは残りのシーズンを全休しました。7月8日に以前より不安を抱えていた左膝の半月板を損傷し、球団は6〜8週間の離脱を発表。結局のところ、前述の通りシーズン終了まで復帰できませんでした。しかし、ケガで離脱するまでの前半戦では打率.286、本塁打11とかつての輝きを失っているのは見るも明らかで、シーズン中盤からのダリン・ラフらの台頭で一層影は薄くなるばかり。唯一2017年までの大型契約がチームの足かせとなっていて、今季までは1年2000万ドルだった年俸が、来季は2500万ドルに跳ね上がります。もはや今のハワードにこれだけの給料を払うのは遠慮したいところ。ただ引き取り手があるわけでもなく、来季以降も使い続けなければならないという負のスパイラルが目に浮かびます。長期大型契約の恐ろしさをメジャー全体に知らしめているのは、他でもないハワードでしょう。
・勝てないコール・ハメルズ
春先は、6登板目のメッツ戦まで勝ち星なし。特に最初の2戦、ブレーブス戦では5回5失点、ロイヤルズ戦では5回2/3を8失点とボロボロで、5月も引き続き不安定なピッチングで6連敗と完全に勝ち運に見放されていました。ただ大量失点も多い2013年シーズンでしたが、33先発中24試合でクオリティスタートを達成と先発の役割はしっかりと果たしていたと言えるでしょう。オールスター明けからは徐々に調子を取り戻し、エースたるピッチングを披露していました。しかし、打線の援護が少なく、好投しても勝てないという負け運は前半戦とほとんど状況は変わりません。8月12日のブレーブス戦では今季唯一の完投勝利を収めるなど、面目は保ちましたが、昨オフに6年1億4400万ドルの大型契約を締結したチームの期待に応えられたとは言えませんね。8勝14敗と6つもの借金を背負ったハメルズ。ただ220イニングをクリアし、防御率も期待以下に変わりありませんが3.60と壊滅的なわけではありません。来季は打線の援護にも期待しつつ、もっと勝ち星を積み重ねてもらいたいところです。
・絶好調ベン・リビアが自打球でシーズン終了
ツインズから移ってきて、リードオフマンとしての役割に期待がかかった新進気鋭の若手リビア。足でかき回す選手が少ないフィリーズにあって、リビアの足はまことに貴重でした。開幕から一時は打撃面でつまづきを見せましたが、6・7月は絶好調。7月は月間打率.388を記録し、不動のリードオフマンとして地位を固めつつありました(四球を選べないのはトップバッターとしては致命的ですが…)。そして調子が上向いてきたオールスター前の7月13日に、自打球を足首に当て骨折。自慢の足に思わぬ形で不幸が降り掛かりましたが、シーズン終了前の教育リーグにはハワードとともに出場するなど回復は順調のようです。来季も自慢の足でフィリーズ打線を引っ張り、次はシーズンを通して活躍してもらいましょう。
ほかにも司令塔カルロス・ルイーズの前半戦不在や固定できない外野陣、不安定なブルペン、マニエル監督解任とバッドニュースは枚挙にいとまがありません。ひとまず主なバッドニュースは上記のようなものでしょうか。次はホットニュースをお届けします。
・チェイス・アトリーが大きなケガなくシーズンを終え、チームと延長契約
2011年は103試合、2012年は83試合と、かつてのメジャーNo.1二塁手はケガに悩まされ続けてきました。今季は131試合に出場し、夏には2年2700万ドルの延長契約(〜2018年まで)。故障癖があり、今年35歳になる高齢のアトリーとの延長契約はギャンブルにも思えますが、これは球団がアトリーをチームの顔と認めているからこそ。ヤンキースでいうジーターのような役割を、チームはアトリーに望んでいるのでしょう。そのフィリーズ=アトリーのような感覚ですが、開幕したての4月は1ヶ月で19打点を稼ぐなど、勝負強さは健在。古傷の膝の状態は良好で、難なく二塁守備をこなす姿がチームが延長契約を結んだ要因の1つではないかと思います。またシーズン終盤の9月は長打こそ二塁打4本と本塁打2本だけですが、打率は.349とよく打ちました。かつての水準とまではいかなくとも、3割20本塁打80打点ぐらいは期待したいところですね。
・先発陣が不安定な中カイル・ケンドリックが好投を続ける
昨シーズン先発の一角として成長を見せ、ローテーションを確立したケンドリック。今季は勝ち星と防御率こそ終盤の失速もあり、昨季を下回りましたが、投球回数は20回以上増やしました。昨季は先発と中継ぎを両立しており、今季は登板した30試合すべてで先発として登場。実績のない若手と本来の投球ができていないベテラン陣が揃う中で、先発としてはリーに次ぐ貢献度だったと言えるのではないでしょうか。オールスター明けからのガス欠が本当に悔やまれるほど近年で一番調子がよかった印象だったため、来季は1シーズン通して好成績を維持してほしいもの。ちなみに好調だった前半戦の4月と6月にはそれぞれ完投を1回ずつして、4月は自身2度目の完封勝ちを収めました。
・クリフ・リーが例年通りもしくはそれ以上の活躍
いくら好投しても勝ち星に恵まれなかった昨季とは打って変わり、今季はそれを取り返す活躍を見せました。イニング数222回2/3はリーグ3位、奪三振数は222個でリーグ2位と、投球内容自体はサイ・ヤング賞を獲得したインディアンス時代を上回る勢い。昨季は1つもなかった完投も、2度記録するなどして、自身4度目となるオールスターにも選出されました。特に5月と9月は絶好調で、5月は4勝1敗で防御率1.80、9月は3勝2敗ながら防御率1.85と好投。9月は5先発で、54三振も奪ったことから最後まで圧巻のパフォーマンスを維持したのは先発陣が不安定なフィリーズにあって頼もしいかぎりです。間違いなく今季のチームMVPで、高額年俸にも見合った活躍だったと言えるでしょう。
・ドモニク・ブラウンが前半戦ホームラン王まっしぐらの大活躍
チーム期待の有望株がついに開花。前半戦の絶好調のおかげで、オールスターにも初選出されました。早いカウントから積極的に振るようにしたおかげで、特に5月はホームラン12本と荒稼ぎしホームランダービーをトップで快走。この間長打率は脅威の.688を記録していました。5月最終週と6月1週目に2週連続の週間最優秀選手、ホームランを連発した5月は月間最優秀選手に輝くなど、スターダムをのし上がっているかに思えたほど。4月こそ打率が2割台前半に落ち込み、今季もダメかと落胆したものですが、5月の好調もあり、打率を一時.293まで押し上げました。そのためオールスター以降の失速が悔やまれます。8月こそ月間打率.292と悪くありませんでしたが、一時トップを走ったホームランはオールスター明けわずか4本。しかも9月はゼロと好不調が全後半で両極端に分かれたシーズンでした。来季は1年を通して活躍し、ホームラン王を獲得してもらいましょう。
・ダリン・ラフとコディ・アッシュの若手コンビが躍動
両者は来季以降のフィリーズの希望と言っても過言ではないでしょう。
ラフは7月にコールアップされると、本職はレフトながら一塁もこなし、故障離脱のハワードの穴を埋めました。7月6日に起用され始めてから、いきなり7試合連続安打。7月13日のホワイトソックス戦では3安打1打点1本塁打と活躍しました。打率は徐々に下がっていきましたが、8月は1ヶ月で9本のホームランを放つなど、将来の大砲候補として期待を抱かせてくれました。実質3ヶ月で14本塁打は立派なものです。
一方のアッシュも来季以降に期待を抱かせてくれる活躍でした。7月30日からメジャー昇格を果たし、2試合目からスタメン起用がメインに。終盤こそ苦しみましたが、8月8日のカブス戦では3安打。その後もパンチ力ある打撃をたびたび披露してくれました。最後の10試合はわずか2安打で打率.080と落ち込みましたが、安定感ある軽快な三塁守備は来季もレギュラーとしての活躍が期待できます。
・メジャーデビューしたセザー・ヘルナンデスが来季以降に光
登録枠が40人に増加するいわゆるセプテンバー・コールアップで、9月1日にメジャー昇格(5月に一時昇格済み)。本職はセカンドですが、チーム事情により俊足を買われてセンターの守備につきました。慣れないセンター守備も無難にこなし、課題の打撃も及第点。まだまだ荒削りでムダな球に手を出しがちですが、絶妙なバッティングセンスを見せてくれました。9月28日のブレーブス戦ではすべてシングルヒットながら4安打の大活躍。実質デビュー月とも言ってよい今回のコールアップでしたが、9月は打率.301を記録しました。俊足を生かし、もっと盗塁ができるようになれば文句ありません。とりあえずベンチには置いておきたい選手で、アトリーの後継者として今後も成長し続けてもらいましょう。
マニエル監督解任というバッドニュースがありながら、新監督に就任したライン・サンドバーグは選手たちからの信頼も厚い好漢。2010年にカブスからフィリーズに加入し、AAAのリーハイバレー・アイアンピッグスの監督を務めました。現在メジャーに昇格してきている若手たちは、サンドバーグ監督が育て上げた選手たちです。もともと選手とのコミュニケーションを大事にするタイプで、アトリーも「ライノはポジティブな人間だ。彼は試合中も選手たちとの会話を欠かさない」とコメントしているように、ベテラン陣からも一目置かれています。マニエル解任以前は22試合で19試合を落とす始末でしたが、サンドバーグが監督を引き継いで以降34試合で18勝16敗とやや持ち直しました。それを評価されてか、正式に3年契約で来季以降も監督を務め上げます。勝てるチームの土台をしっかりと築いてもらいましょう。
ただチームには課題が山積みです。ハラデイ、ルイーズらは今オフ揃ってFA。実績十分なベテランなだけに、獲得を目指すチームは少なくないでしょう。ルイーズはフィラデルフィアに残りたい旨のコメントを残しているようですが、5〜6年契約を望んでおり、1月には35歳となる大ベテランとそのような長期契約は現実的ではありません。流出は濃厚でしょう。ハラデイとはアマロGMが契約に前向きと前述しましたが、本調子でなくとも実績が殿堂入りレベルの選手なだけに、多少いい条件での契約を持ってくるチームは少なからずありそう。彼らの代わりを育てるなり、獲得するなりしなければ、来季も勝ちを目指すとは恥ずかしくて言っていられません。
とりあえずキャッチャーは新人のキャメロン・ルップに経験を積ませながら、クラッツとやりくりしていくことになるでしょうね。
先発陣はリー、ハメルズ、ケンドリックに次ぐ4番手以降が不在。イーサン・マーティン、ジョナサン・ペティボーン、タイラー・クロイドらはまだ信頼感に欠けます。実績もない選手に過度の期待は禁物ですが、8月30日にはキューバから亡命したミゲル・アルフレッド・ゴンザレスと3年1200万ドルで契約。契約額はそれほど高額でないため、外れても大ブーイングはそれほどないでしょう。しかし、期待値は高め。来季6月あたりに早々とメジャー昇格し、先発ローテーションに組み込まれても不思議ではありません。
問題の先発陣の防御率は前述の通りリーグ14位の4.41と崩壊的。投手王国だった2、3年前が遠い昔のようです。とは言え、苦しい台所事情は先発陣だけではなく、勝ちゲームを逆転で何度も落とした責任は同じく防御率4.19でリーグ14位と低迷する救援陣にあります。
とにかく来季も勝ちを目指すと明言している以上、今オフの動きがカギとなります。
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一時はポストシーズン進出にかすかな望みはあったものの、マニエル監督解任直前に連敗街道まっしぐら。サンドバーグ代行が監督就任後も状況は変わらず、結果的にリーグ13位と下位に沈んでしまいました。
投手陣の不安定はもちろん投手自体の問題でもあるのですが、ルイーズの長期出場停止や、代役捕手のクラッツまでも故障で欠場と苦しい台所事情を露呈することに。ただそんな再建突入な雰囲気のフィリーズにも、今季は明るい材料もたくさん見つかりました。
以下、今季下位に沈んだフィリーズのバッドニュースと、そんな中でも明るいニュースを届けていこうと思います。まずはバッドニュースから。
・ハラデイの劇的不振と長期離脱
ここ数年メジャーで最も支配的な投手の名を欲しいままにしてきたハラデイにも衰えが見えてきました。独特のフォームで相手打者を幻惑し、多彩な変化球と抜群のコントロールを誇っていましたが、今季は球自体にキレがなくなり、失投を簡単に投げてしまうことで大量失点を次々に犯してしまいました。4月14日のマーリンズ戦に1失点完投で、自信の通算200勝を祝った形になりましたが、5月5日同じくマーリンズ戦で別人のように2回1/3を9失点と大炎上。翌日には故障者リスト入りしてしまい、5月8日には右肩の手術を発表しました。今季中の復帰は難しいかに思われましたが、術後8月25日のダイヤモンドバックス戦で先発復帰。見事復帰戦を勝利で飾りましたが、復帰後の6先発は本来の投球にはほど遠い内容でした。アマロGMは今オフにFAとなるハラデイとの再契約に前向きとのことですが、もはやそこに毎年サイ・ヤング賞候補だったハラデイの姿はありません。もともと豪速球で相手をねじ伏せるタイプではなく、本調子ではなくとも相手打線を翻弄する投球術を心得ているとも言えますが、あくまで再建でなく来季も勝利優先を目指す以上はハラデイとの再契約はギャンブルとしか思えません。果たしてアマロ氏の英断はいかに。
・ライアン・ハワードの完全不良債権化と長期離脱
ハラデイ同様にシーズン途中で故障し、ハワードは残りのシーズンを全休しました。7月8日に以前より不安を抱えていた左膝の半月板を損傷し、球団は6〜8週間の離脱を発表。結局のところ、前述の通りシーズン終了まで復帰できませんでした。しかし、ケガで離脱するまでの前半戦では打率.286、本塁打11とかつての輝きを失っているのは見るも明らかで、シーズン中盤からのダリン・ラフらの台頭で一層影は薄くなるばかり。唯一2017年までの大型契約がチームの足かせとなっていて、今季までは1年2000万ドルだった年俸が、来季は2500万ドルに跳ね上がります。もはや今のハワードにこれだけの給料を払うのは遠慮したいところ。ただ引き取り手があるわけでもなく、来季以降も使い続けなければならないという負のスパイラルが目に浮かびます。長期大型契約の恐ろしさをメジャー全体に知らしめているのは、他でもないハワードでしょう。
・勝てないコール・ハメルズ
春先は、6登板目のメッツ戦まで勝ち星なし。特に最初の2戦、ブレーブス戦では5回5失点、ロイヤルズ戦では5回2/3を8失点とボロボロで、5月も引き続き不安定なピッチングで6連敗と完全に勝ち運に見放されていました。ただ大量失点も多い2013年シーズンでしたが、33先発中24試合でクオリティスタートを達成と先発の役割はしっかりと果たしていたと言えるでしょう。オールスター明けからは徐々に調子を取り戻し、エースたるピッチングを披露していました。しかし、打線の援護が少なく、好投しても勝てないという負け運は前半戦とほとんど状況は変わりません。8月12日のブレーブス戦では今季唯一の完投勝利を収めるなど、面目は保ちましたが、昨オフに6年1億4400万ドルの大型契約を締結したチームの期待に応えられたとは言えませんね。8勝14敗と6つもの借金を背負ったハメルズ。ただ220イニングをクリアし、防御率も期待以下に変わりありませんが3.60と壊滅的なわけではありません。来季は打線の援護にも期待しつつ、もっと勝ち星を積み重ねてもらいたいところです。
・絶好調ベン・リビアが自打球でシーズン終了
ツインズから移ってきて、リードオフマンとしての役割に期待がかかった新進気鋭の若手リビア。足でかき回す選手が少ないフィリーズにあって、リビアの足はまことに貴重でした。開幕から一時は打撃面でつまづきを見せましたが、6・7月は絶好調。7月は月間打率.388を記録し、不動のリードオフマンとして地位を固めつつありました(四球を選べないのはトップバッターとしては致命的ですが…)。そして調子が上向いてきたオールスター前の7月13日に、自打球を足首に当て骨折。自慢の足に思わぬ形で不幸が降り掛かりましたが、シーズン終了前の教育リーグにはハワードとともに出場するなど回復は順調のようです。来季も自慢の足でフィリーズ打線を引っ張り、次はシーズンを通して活躍してもらいましょう。
ほかにも司令塔カルロス・ルイーズの前半戦不在や固定できない外野陣、不安定なブルペン、マニエル監督解任とバッドニュースは枚挙にいとまがありません。ひとまず主なバッドニュースは上記のようなものでしょうか。次はホットニュースをお届けします。
・チェイス・アトリーが大きなケガなくシーズンを終え、チームと延長契約
2011年は103試合、2012年は83試合と、かつてのメジャーNo.1二塁手はケガに悩まされ続けてきました。今季は131試合に出場し、夏には2年2700万ドルの延長契約(〜2018年まで)。故障癖があり、今年35歳になる高齢のアトリーとの延長契約はギャンブルにも思えますが、これは球団がアトリーをチームの顔と認めているからこそ。ヤンキースでいうジーターのような役割を、チームはアトリーに望んでいるのでしょう。そのフィリーズ=アトリーのような感覚ですが、開幕したての4月は1ヶ月で19打点を稼ぐなど、勝負強さは健在。古傷の膝の状態は良好で、難なく二塁守備をこなす姿がチームが延長契約を結んだ要因の1つではないかと思います。またシーズン終盤の9月は長打こそ二塁打4本と本塁打2本だけですが、打率は.349とよく打ちました。かつての水準とまではいかなくとも、3割20本塁打80打点ぐらいは期待したいところですね。
・先発陣が不安定な中カイル・ケンドリックが好投を続ける
昨シーズン先発の一角として成長を見せ、ローテーションを確立したケンドリック。今季は勝ち星と防御率こそ終盤の失速もあり、昨季を下回りましたが、投球回数は20回以上増やしました。昨季は先発と中継ぎを両立しており、今季は登板した30試合すべてで先発として登場。実績のない若手と本来の投球ができていないベテラン陣が揃う中で、先発としてはリーに次ぐ貢献度だったと言えるのではないでしょうか。オールスター明けからのガス欠が本当に悔やまれるほど近年で一番調子がよかった印象だったため、来季は1シーズン通して好成績を維持してほしいもの。ちなみに好調だった前半戦の4月と6月にはそれぞれ完投を1回ずつして、4月は自身2度目の完封勝ちを収めました。
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いくら好投しても勝ち星に恵まれなかった昨季とは打って変わり、今季はそれを取り返す活躍を見せました。イニング数222回2/3はリーグ3位、奪三振数は222個でリーグ2位と、投球内容自体はサイ・ヤング賞を獲得したインディアンス時代を上回る勢い。昨季は1つもなかった完投も、2度記録するなどして、自身4度目となるオールスターにも選出されました。特に5月と9月は絶好調で、5月は4勝1敗で防御率1.80、9月は3勝2敗ながら防御率1.85と好投。9月は5先発で、54三振も奪ったことから最後まで圧巻のパフォーマンスを維持したのは先発陣が不安定なフィリーズにあって頼もしいかぎりです。間違いなく今季のチームMVPで、高額年俸にも見合った活躍だったと言えるでしょう。
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両者は来季以降のフィリーズの希望と言っても過言ではないでしょう。
ラフは7月にコールアップされると、本職はレフトながら一塁もこなし、故障離脱のハワードの穴を埋めました。7月6日に起用され始めてから、いきなり7試合連続安打。7月13日のホワイトソックス戦では3安打1打点1本塁打と活躍しました。打率は徐々に下がっていきましたが、8月は1ヶ月で9本のホームランを放つなど、将来の大砲候補として期待を抱かせてくれました。実質3ヶ月で14本塁打は立派なものです。
一方のアッシュも来季以降に期待を抱かせてくれる活躍でした。7月30日からメジャー昇格を果たし、2試合目からスタメン起用がメインに。終盤こそ苦しみましたが、8月8日のカブス戦では3安打。その後もパンチ力ある打撃をたびたび披露してくれました。最後の10試合はわずか2安打で打率.080と落ち込みましたが、安定感ある軽快な三塁守備は来季もレギュラーとしての活躍が期待できます。
・メジャーデビューしたセザー・ヘルナンデスが来季以降に光
登録枠が40人に増加するいわゆるセプテンバー・コールアップで、9月1日にメジャー昇格(5月に一時昇格済み)。本職はセカンドですが、チーム事情により俊足を買われてセンターの守備につきました。慣れないセンター守備も無難にこなし、課題の打撃も及第点。まだまだ荒削りでムダな球に手を出しがちですが、絶妙なバッティングセンスを見せてくれました。9月28日のブレーブス戦ではすべてシングルヒットながら4安打の大活躍。実質デビュー月とも言ってよい今回のコールアップでしたが、9月は打率.301を記録しました。俊足を生かし、もっと盗塁ができるようになれば文句ありません。とりあえずベンチには置いておきたい選手で、アトリーの後継者として今後も成長し続けてもらいましょう。
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ただチームには課題が山積みです。ハラデイ、ルイーズらは今オフ揃ってFA。実績十分なベテランなだけに、獲得を目指すチームは少なくないでしょう。ルイーズはフィラデルフィアに残りたい旨のコメントを残しているようですが、5〜6年契約を望んでおり、1月には35歳となる大ベテランとそのような長期契約は現実的ではありません。流出は濃厚でしょう。ハラデイとはアマロGMが契約に前向きと前述しましたが、本調子でなくとも実績が殿堂入りレベルの選手なだけに、多少いい条件での契約を持ってくるチームは少なからずありそう。彼らの代わりを育てるなり、獲得するなりしなければ、来季も勝ちを目指すとは恥ずかしくて言っていられません。
とりあえずキャッチャーは新人のキャメロン・ルップに経験を積ませながら、クラッツとやりくりしていくことになるでしょうね。
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問題の先発陣の防御率は前述の通りリーグ14位の4.41と崩壊的。投手王国だった2、3年前が遠い昔のようです。とは言え、苦しい台所事情は先発陣だけではなく、勝ちゲームを逆転で何度も落とした責任は同じく防御率4.19でリーグ14位と低迷する救援陣にあります。
とにかく来季も勝ちを目指すと明言している以上、今オフの動きがカギとなります。
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ロイ・ハラデイ ノーヒットノーラン記念フォトプラーク Roy Halladay No Hitter Gold Coin Photo Mint
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