2016年05月13日

「文庫の20年」に、「救い」はあるのか

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ブログ「出版・読書メモランダム」にて、小田光雄氏が文庫状況についてコメントしていた。


興味深い論考なので内容はそちらを読んでいただくとして、そのデータを拝借して、ここで計算・検討しておこう。出版不況については、このブログでも何度も取り上げているし。たとえば売上分析とか。

ざっと見て、文庫の状況は、出版一般と同様、悲惨というかシュリンクが激しい。

1995年と2015年を、有効数字2桁で比較してみよう。

    刊行点数 販売部数 販売金額
1995年 4700点  2.7億冊  1400億円
2015年 8500点  1.8億冊  1100億円
増減比  +80%   -33%   -21%

一点あたり部数 一点あたり販売金額
5.7万部     3000万円
2.7万部     1300万円
-53%      -57%


刊行点数が倍近く増加しているのに、部数も売上金額も減少している。要は――

売れない
 ↓
編集部の予算達成のため、刊行点数増やす
 ↓
書店の棚取り合戦が激しくなり、既刊がすぐ返本されるようになる
 ↓
一点あたりの売上が下がる
 ↓
予算達成が厳しくなり、さらに点数増やす


――といったフィードバックが回っているわけだ。


小田氏は、文庫というコンセプトが「既刊本中心」から「新刊重視・雑誌化」へと変貌した現状について論考を上げていた。

なので私は、一点あたりの部数と売上について書いてみよう。


見てのとおり、どちらも半減と言っていい状況だ。

1万部しか売れなかろうが100万部売れようが、出版社の編集・販売労力的には大差ない(金額差ほどでかくない)。なので一冊あたりの売上が落ちると、利益に大きく響く。

経営陣は編集者ひとりあたりの年間刊行点数を増やし、一点あたりのコスト配賦を下げようとするはずだ。あるいは編集作業を外注化してコストを下げたり。

編集者から見ると、仕事に追いまくられて青息吐息になる。目が行き届かず、グロスで見れば質も落ちるだろう。外注編集者が入れば、一般的には「より効率重視」の編集作業になっていく可能性が高い。


著者から見ても悲惨だ。95年であれば文庫化されれば1点あたり300万円の収入が期待できた。これは販売金額なので、印刷印税が一般的な著者の場合、もっと多い。返本が40%近いのだから、4割増しだろう。

まああくまで平均だ。実際は一部ベストセラーが大きく平均を押し上げている。なので一般的な著者の感覚としてはもっと少ないはずだが。

いずれにしろ現在は、それが130万円ベースの推定となる。さらに編集者は担当著者を大量に抱え流れ作業に従事していて、目配りも疎かになる。「売れる著者」が優先されるため、いくら企画を投げても梨の礫とかね。


かつての文庫は、既刊本のセカンドステージがほとんど。場合によっては「雑誌掲載」>「単行本化」>「文庫化」と回るわけで、著者にとっても「償却済みのコンテンツがボーナスを持ってきた」感覚だろう。

ところが今は文庫書き下ろしも増えている。その場合、稼ぐ機会は(版元も著者も)一度しかない。年2〜3冊も文庫を書き下ろしているのに売れず、「ワープア小説家」などという事態も生じているはずだ。そのレベルでは、数年内に注文も途切れそうだし。


この全体状況をなんとかするのは、相当に難しい。すでに「暇潰し」「読み飛ばし」需要は、ほとんどスマホに吸い取られている。

私個人を振り返ってみても、小説を読むモチベーションは現状少なく、読書の時間があるなら実用書に振り分けたいのが実情だし。とはいえ実用文庫は底の浅い奴が多いので、読むなら単行本かな。


……うーん。厳しい中にも突破口の兆しでも見つけて書きたかったんだが、とりあえず思いつかない。今回はグダグダ論考にて恐縮です。継続して考えてみます。とりあえず編集者や著者の方々は、頑張って仕事をこなしましょう、お互いに。


editors_brain at 08:34|PermalinkComments(0) 出版界でメシ食いたい方に | マスコミクリップ

2016年04月18日

熊本地震、ニセ募金の見分け方・対処法

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熊本地震、各種ボランティア活動が活発化しているが、絶対にまたぞろ偽募金野郎が出てくるのは間違いない。

実際、共産党が集めた募金を政治活動に流用しているのも判明して炎上している。

共産党は「3用途に均等配分」としている。要するに募金額の1/3しか熊本に送らず、残りは政治工作に使うわけだ。「火事場泥棒」「募金詐欺」としか言いようがない。


以下に、ニセ募金に関連する本ブログ過去記事リンクを置いておく。ご一読の上、カルト宗教はじめ詐欺師に資金を提供しないように注意してください。

東日本大震災、街角募金に応じる手を見て悲しくなった。
大震災募金活動に、年端もいかない子どもを巻き込む親たち。
「モヒカン」「統一協会」「原宿」という三題噺でもどうかな。
原宿 ――今日もカルト宗教「ニセ募金」とおぼしき方々が平常運転中


募金したいなら、赤十字や熊本県の募金窓口等、安心なところを探して「必ず自分で振り込む」こと。それすら面倒なら、コンビニの募金箱でもいい。大手企業なら、まず安心だ。

現地自治体等は緊急対応で多忙を極めているので、「振込先」「援助物資の送付先」などは、電話での問い合わせは避けよう。援助物資は現地での分別配送に貴重な人手や物流を取られる上に、「毛布が足りない」報道を見て送ったら「もう余ってた」とか遅れがち。可能な限り現金援助にしよう。それなら現地ニーズに応じて多用途に使える。

日本赤十字「平成28年熊本地震災害義援金」窓口
熊本県「平成28年熊本地震義援金の募集について」


絶対に、街角募金には協力しないことだ。

もちろんそこには善人もいるはずだが、悪人と見分ける方法はない。警察の許可を得ていると主張する奴は、余計怪しい。その許可は単なる「道路使用許可証」だ。

人の善意を信じられない悲しい時代だが、それしか対処法はない。



editors_brain at 18:32|PermalinkComments(0)ヘンな世界 

2016年04月06日

ライザップが「漫画ゴラク」版元を買収

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派手CMの大量投入で一時話題になったフィットネスクラブ「ライザップ」を展開する健康コーポレーションが、日本文芸社を買収した。

日本文芸社は、ざっくり言えば「漫画ゴラク」などコミック系に強い版元だ。関連してコミックや実用書などを中心に書籍を販売。これまではアサツーDK傘下だった。


買収の狙いは当然、健康事業の周辺固めだろう。自社の持つフィットネスノウハウ、ダイエットノウハウ、レシピ指導などのコンテンツ化を図るはず。自社グループ内でコンテンツ化すれば、付加価値の社外流出を防げるし。


日本文芸社は従業員60名程度で、年間売上が約40億円。小規模な分、小回りは利くはずで、その意味では早期の展開が期待できそうだ。


ちなみに健康コーポレーションは約700名で、250億円弱(いずれも連結)。今回の買収額は約20億円と、連結営業利益2年分ほどを投下する。ここ数年、盛んに企業買収している。

しかし単体80名ほどの健康コーポレーションが矢継ぎ早に買収に邁進するのは、リスクが高いのではないかと感じる。社内できちんと関連会社を把握・コントロールできるのか、やや疑問だ。

ライザップ大ヒットで手にした資金を「税金に取られるくらいなら」で多角化に進んでいるのだろうが、大丈夫だろうか。


その意味で、日本文芸社をはじめ傘下企業側は、「寄らば大樹の陰」意識でなく、ベンチャー精神を発揮してアメーバのようにそれぞれが事業拡大を図ることが重要だろう。

日本文芸社の中村社長は続投とのことだが、今後の手綱さばきに注目が集まるはずだ。


editors_brain at 08:34|PermalinkComments(1)マスコミクリップ 
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