2023年01月31日

スシローテロ「性善説」の違和感

このエントリーをはてなブックマークに追加
ハマ寿司、くら寿司、スシローと、回転寿司チェーンに対する汚損テロが続いている。

スシロー案件とか、動画見ていてもどう見ても小学校高学年くらいまでの子供じみたコソコソ動き。レーンを流れる寿司に唾を塗り付けるとか、やってることは幼稚園年小組からせいぜい小学校低学年くらいのくだらなさ。あれが高校生17歳という現実に超絶驚かれた。

いや俺が高校の頃って、みんな普通に大人であって映画や音楽、文学やコミック、ゲーム、落語や演劇とかの話をしてたけどな。男も女も。ピンポンダッシュレベルのいたずらとか、する奴居なかったわ。

まあ犯人はしっかり罰されろと思うわけだが、報道を見ていて違和感がある。


それは「性善説」だ。

概ね「性善説の終わり」的に扇情的なタイトルで使われたりとかな。


ん? 性善説ってそういう意味じゃないよね。


性善説ってのは性悪説の対概念。「人間は本来善性を持った存在であって、悪に染まるのは生育環境や洗脳(教育)の問題である」って考え方のこと。

幼児が溺れていたら誰でも助けようとする。それは性善説に則っているからだ。とかいう文脈でよく正しさが敷衍される。


つまり「人間は全員いい人である」という話ではない。


なのに報道では「顧客には基本的に悪意はない」という意味で使われている。

明らかに誤用だ。


これが編集者としてどえらく気になるわけよ。

いや報道原稿書いた奴はただの馬鹿なんだろうけどさ。普通はそれチェックする日本語のプロがいるだろ。校閲とか。どうなってんのよと。


editors_brain at 21:19|PermalinkComments(0) マスコミクリップ | ヘンな世界

2022年12月22日

「ヘイト管理」時代の憂鬱

このエントリーをはてなブックマークに追加
先日のウエストランドエントリーが読まれたので、補足など。

「ヘイト管理」というのはエンターテインメント作品では実は重要な要素だ。

私がそれを意識するようになったのは、Web小説が興隆し始めてから。編集者という職業柄、Web小説の世界は、それこそケータイ小説時代から興味を持って観察していた。

そのWeb小説界隈の議論を追っていたときに見かけたのが「読者のヘイト管理」という概念だ。Web小説は数万作もある素人無料小説からどうやって読者に選んでもらうか・継続して読んでもらうかという課題に、作者の方々は向き合ってきた。

なんせ読者は1円も払ってないので読書に対し投資をしておらず、少しでも気に入らなければすぐその作品から離れて別作品に移ってしまう。一度離れられたら、戻ってくることはない。

といって、読者の素朴な欲望に応えるだけの展開を繰り返していては飽きられるしそもそも作品としての出来が悪くなる。

そこで、「気に入られない展開を読ませるテクニック」として言及されていたのが、ヘイト管理という概念だ。

つまり読者に嫌われる登場人物をうまく設定することで、「気に食わない展開」というヘイト概念を、「気に食わない人物」というヘイト概念にムーブさせる。その上でそのヘイトを集めた人物(多くの場合悪役)を主人公が退場させる(殺す・叩き出す等)ことで、読者のヘイトも退場させ、すっきりした状態に戻した上でまた先を読ませる。

これは多くのエンターテイメント作品ではるか昔から(無意識にでも)用いられてきたテクニックだ。

それが明確に「ヘイト管理」という概念にまとめられたのは近年だ。言葉自体は元はゲーム用語で、敵の攻撃ターゲットが誰に向いているのかをうまく操ることで戦闘に勝つためのテクニックだ。


エンターテイメント作品のヘイト管理例を挙げるなら、ホラー映画「13日の金曜日」がある。あれに登場する犠牲者が頭空っぽのカップルが多いのは、ジェイソン君がそいつらをぶち殺したときに、観客に同情心や罪悪感を持たせないためだという。

いやつまりホラー映画ではハラハラドキドキを楽しむわけだが、引いて考えれば殺人を観て楽しんでいるわけだ。その観客の罪悪感を拭い去るテクニックのひとつが、「こいつらは殺されて当然」と思わせるヘイト管理なわけよ。


現在のエンターテイメントでそれが重視されるようになったのは、明らかに「タイパ重視ですぐ消費者に逃げられる」時代のコンテンツ生き残り戦略だろう。もちろん、「SNSですぐ拡散し、そのコンテンツに直接触れていない/きちんと向き合ってない層からもやいのやいの言われる」事態への対処テクニックでもある。


M1グランプリでのウエストランドの漫才も、このテクニックをうまく使った例だ。前回書いたように、あれは「人を傷つける漫才の復権」ではなく、「ヘイト管理の勝利」だと考えている。


息苦しい時代になったものだが、それでも突破口を見つけていく創作物のエネルギーには、つくづく感心する。



editors_brain at 00:09|PermalinkComments(0) 雑記 

2022年12月19日

ウエストランド漫才は「人を傷つける漫才の復権」ではなく「ヘイト管理の勝利」

このエントリーをはてなブックマークに追加
昨日のM1グランプリの影響で「人を傷つけるお笑いの復権」みたいに大騒ぎしてる方がいるけど、ちょっと違う気がする。


ウエストランドの漫才は「傷つけるから笑える」んじゃなくて「うまいことヘイト管理してるから笑える」んだよな。


いやつまり、演者が上に立って上から目線で「○○はクソ」みたいに見下して攻撃する漫才じゃない。

そうじゃなくて、「○○はクソ」って言ってるほうが「こいつちょっとおかしい」という立ち位置だからいいわけよ。

ガチに見下されたら腹も立つけど、変な奴に言われても腹立たんわな。だから当事者も第三者も、腹の底から遠慮なしに笑える。


ウーマンラッシュアワー村本のように自分を正義に置いて他者をボロカスに言うパターンの真逆。なかなかうまい戦略だと思うわ。





editors_brain at 21:31|PermalinkComments(0) 雑記 
プロフィール

tokyo_editor

出版社の編集者。雑誌、単行本、Webサイトとすべて経験。基本マインドは雑誌屋。デザインに凝った趣味雑誌が好み。

趣味は多彩。のめり込むタイプで、対象増加の一方。

キャラクター的にはツッコミ(自称)。他人に言わせると「ボケ」。
Twitter: @editors_brain

楽天市場