2010年02月01日

1世帯あたり月の雑誌購入額「376円」の「衝撃」、業界に走る!

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dole日経に出てたんだけど、2009年7-9月に1世帯が雑誌に支出した金額が1129円だそうだ(総務省調査)。

――つまり1か月あたり376円。

これを読んで私は、ちびまる子並にタテセンが入ったよ(笑)。


早い話、月1冊買うか買わないかくらいという話だろ、このレベルだと。しかも恐ろしいのが、これが「ひとりあたり」でなく「1世帯あたり」ということ。1世帯平均3人とすれば、ひとりに直せば「3か月に1冊」って話じゃん。

2009年の雑誌販売部数は前年比-6.9%と急落したけど、それが良くわかる話。ちなみに販売金額は-3.9%。つまり1冊あたりの単価が上がってるわけで、おそらくだが宝島などの付録効果だろう。それでもカバーできてないのが悲惨だが。。。


以前から言われていた要因のひとつが「携帯に食われた(時間消費も支出も)」って説。携帯に月1万円も払う人が多いんだから、そりゃ他に金回らなくなるわ不況だし。

それに加え私が特に最近思うのは、iPhoneだ。電車など、これをいじってる人が特に多い。都市部ではずいぶん効いてると思うな。


まあ情報誌がネットに負けていくのはわかるけど、これで私の好みの雑誌が減っちゃうといやだなあ。。。

ちなみに私が好きなのは、まず、コンセプト明確で、力のある編集者が透けて見える媒体。昔で言えばブルータスとかヘンタイ時代の宝島とか、今なら小悪魔agehaとか。あと、特に趣味の分野で、ビジュアルに凝ったデザインに力のある媒体。

編集者の皆さん、なんとか踏ん張りましょうお互いに。

editors_brain at 08:17│Comments(7) マスコミクリップ | 出版界でメシ食いたい方に

この記事へのコメント

1. Posted by hidezumi   2010年02月02日 18:19
5 はじめまして。元ウェブプロデューサです。特に不況に苦しんでいるファッション X 雑誌に向けて、雑誌を100円くらいで売り、ネットに引っぱりこむという提案を作ろうとしています。(実際にアメリカのGQは定期購読前提だと思いますが、1部1ドルという価格になっています)


特にファッション雑誌はファッションに疎い人たちには分かりにくい仕組みになってしまっています。(政治や経済に疎い人たちが日経を読んでびっくりするのと同じです)だから、購読者を増やすには情報量を限って、疎い人たちを取り込むのがいいのでは、と単純に考えたわけです。高いまま買ってもらえなくなるよりも、単価を減らして定期的に接触してもらった方が「トク」だと思うのです。

しかし、情報収集のためにいろいろ巡回していて、ただでさえ不況で苦しんでいる業界にこうした提案を持ち込むのは「けんかを売っている」みたいに見えるのではないかと思うようになりました。俺たちのシゴト100円かよ、みたいな感じですね。

もしよろしかったらメール経由でも結構ですので、ご意見をお聞かせください。
2. Posted by tokyo editor   2010年02月02日 19:01
hidezumiさんこんにちは。

そうですね。そういう事業を探るのもよろしいのではないでしょうか。


ただ、その前に雑誌のコスト構造をお考えになったほうがいいような気がします。

ご存じの通り、一般的に言って、書店で税抜き500円の雑誌では、流通の取り分を引くと、出版社に入るのがまあ300円です。

これが5万部の媒体なら(もちろんいいほうです)、売り上げは1500万円ですね。広告売り上げは現在では500万円というところでしょう。

一般的には、そのうち、直接費で3割、間接費の配賦・人件費で3割、利益3割が「理想」と言われます。

つまりコストは1200万円。1部あたり240円です。

「俺たちの仕事100円かよ」という感情以前に、やればやるほど赤字ですね。

直接費だけでも120円ですから、いわば「紙代も出ない」ことになります。

以上の試算は書いたように「理想的な媒体」ですから、実際は推して知るべし、です。


また、「雑誌を売ってネットに引っ張り込む」というビジネスモデルの詳細をお書きになっていないので、そちらはコメントが無理ですが、一般論で言えば意味があるとは思えません。

蛇足ですが、100円の雑誌を書店に置くのにも郵送するのにもコストが掛かります。袋詰めして郵送するだけで100円掛かる気がするのです。
3. Posted by 111   2010年02月02日 20:21
「紙代」を頂く業界のものです。失礼な話、「出版社の給料が高すぎんだ」的な話しを聞いたことがあるのですが、あれですね、取次ですね。ガンは。まぁ在庫リスク云々聞きますが。
eBook等で在庫リスクがなくなる未来、取次には退場願いましょう。
ていうか、「紙代」を頂く業界も、既に相当ヤバイ状態になってます(笑)
4. Posted by tokyo editor   2010年02月02日 20:37
111さん、こんばんわ。紙もねえ重要なんですよ出版物にとって。私はそこもこだわった本や雑誌が好きでして、自分でも凝ってます。単に斤量と単価という話じゃないんで。手触り感の気持ち良さは、出版物ならではの快感なので。

ちなみに出版社の給料ですが、ならせば相当低い(笑)。高いのは一部だけです。その印象じゃないでしょうかね。

取次については、私は優れたシステムだと思ってます。これだけ多種の出版物(雑誌だけじゃないし)をサバくには、取次がないと無理。あの機能を考えれば、十分安いですよ取次コストは。ただ独占的なので、たとえば新規に出版社を立ち上げようとするなら、もの凄い壁になる。そこは善し悪しです。

とはいえ、ネット時代には「また別の形はあり得る」というのは同感です。大日本印刷の動きを見ておくといいですよ。


いずれにしろ、重要なのは「悪漢探し」じゃなくて、「みんなでどうやって出版文化を護るか」という知恵の出し合いかと。
5. Posted by 111   2010年02月03日 13:19
通りすがりのつもりでしたが、ちゃんとお返事頂きまして恐縮です。不躾なコメント、反省しました。
「紙はなくならない」ですが、これ以上増えることもない、というのも共通認識ですよね。
紙媒体が減ってくのは印刷屋として死活問題。印刷屋では電子書籍化(データ作成・変換作業)にも流れていくだろうけど、競合も多い。
印刷屋が、電子書籍が得意な編集プロダクションと化して、著者に直接アプローチしていく、ということも模索されています。これに対し、「印刷屋の正面得意先である出版社さんのお抱えの著者を横取りするなんで背信行為はまかり通らない」という声もあります。

出版社の立場の方としてずばりお聞きしたいのですが、出入りの印刷屋が、作者にコンタクトを取って別の営業を仕掛けたら、やっぱり背信行為→印刷の仕事の面でペナルティを課す、というのは自然な成り行きですか?

編集、という作業がスキルを要し、必要とされていること(読者からも、著者からも)は存じてます。が、編集という領域が多様化し、競合も増えていくとすると、印刷屋として「顧客」の捉え方を見直すことも考えないといけないと思いまして。
6. Posted by tokyo editor   2010年02月03日 14:26
111さんこんにちは。

>出入りの印刷屋が、作者にコンタクトを取って別の営業を仕掛けたら、やっぱり背信行為→印刷の仕事の面でペナルティを課す、というのは自然な成り行きですか?

これはないでしょう。少なくとも私ならしないし、よっぽど頭のおかしい編集者以外しないでしょう。

まず、ご指摘の事例でペナルティを課せば公正取引法違反でしょう法律的に。「優越的地位の濫用」って項。

それに法律を持ち出すまでもなく、著者は両方で使えばいいだけの話です。だって出版界内だって別会社が同じ著者に仕事頼んでるわけで。別に問題はないと考えます。

ただ、編集者としては、事前に一言相談があると助かります。理由はふたつ。

まず、電子書籍と紙の書籍(なり雑誌なり)でタイアップできる可能性を探れる。

次に、これが最重要なのですが、個人として社内的なバトルに負けないためです。自分が使っている(特に人気の)著者の動向を知らないのは、失点になるので。

そういう「相手を思いやれる」能力のある方がご担当なら、なおのこと大歓迎です。

7. Posted by 111   2010年02月03日 14:58
貴重なご意見、ありがとうございました。とても参考になります。

あれですね。自分、雑誌と書籍をごっちゃにしてますね。。
書籍は電子化アリだと思いますけど、雑誌は微妙ですね。。
情報だけを見るなら、鮮度面だったらネットに行くし。でも、紙ならではの、仰るとおりデザインや質感の良さ、それこそ編集の良さもあるし。後者は電子化困難な領域で。
紙の雑誌は、もっとプレミア感溢れる方向で生き残っていくのかなぁなんて勝手に思っています。イコール、やっぱり紙媒体は減るのは止められない。。

難しいこと考えないで、「うわ、この本かっけー!」つって手に取ることだけを考えて仕事できるようにしたいです。

自分も、カッコイイ雑誌とかが好きで、ああいうのを生み出せる人間に憧れて、出版社に入れなかったから印刷屋になったようなもんで(笑

仕事サボってコメントしているような人間の戯言にお付き合い有難うございました。
あ、ちなみにこのブログにはtwitterのbooknews(http://twitter.com/booknews)から流れてきました

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プロフィール

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出版社の編集者。雑誌、単行本、Webサイトとすべて経験。基本マインドは雑誌屋。デザインに凝った趣味雑誌が好み。

趣味は多彩。のめり込むタイプで、対象増加の一方。

キャラクター的にはツッコミ(自称)。他人に言わせると「ボケ」。
Twitter: @editors_brain

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