2011年02月02日

奇妙な、とても奇妙な。 ――おじさまと午後の曳航。いかにして私はリアル「ロアルド・ダール」世界にひとり取り残されたか。

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shoreさて、昨日のエントリーの続編を書こうかどうしようか迷っているうちにリクエストがふたりの方から来たので、応えなくてはならない。迷った理由については、コメントで記述します。

昨日のエントリーで、よくある午後の日常が急に奇妙な世界へと相転換した経緯を書いた。その続き。

70代とおぼしきおじさまのポルノ写真閲覧で度肝を抜かれた私だったが、彼の閲覧終了を契機に、私もまたお茶&パソコン作業に戻っていた。

でまあ、しばらくあれこれした後、ふと彼を見た。

彼は今度は持参したスポーツ新聞をおりおりして小さく表示させた記事を読んでいた。「母と娘のオナニー競演」という奴だ。

……。

また少し驚いたのだが、同時に私は、なんとなく「ああそうかあ」と底が割れた気もした。非日常の光景と思っていたが、もしや単なるエロオヤジかも。70代にしてはちょっと強烈だが。

そういえば最初にアジアカップ記事をスルーして女子スケート記事を読んでいたのも、「サッカー知らないから」でなく、「そもそもスポーツには興味なし。レオタード&エロ記事が見たかったから買った」線なのかもしれない。

繰っていた写真にしても、キャビネ判などでなく、サイズも形もまちまち。だから自分で撮影したのではなく、おそらくネットなどで拾った画像集なのかも。


――なんだよ。エロガッパかよ。

意味不明の現象がいちばん怖い。こうしてレッテルが貼れてしまえば、安心できる。

などと思っていたまさにそのとき、おじさまの席に若い女性が来て「ごめんごめん待った?」とかやりだしたので、私の頭はまた混乱した。


「若い」と書いたがそれはおじさまとの落差の話で、おそらく30歳前後。行ってても35までのどこかだ。おじさまはそそくさとエロ記事を畳むと彼女に金を渡し、彼女の分の注文を払いに行かせた。

またしても私は想像という名の魔窟に囚われることになる。年齢的に、家族とするなら末娘かいちばん上の孫か微妙なくらい。華奢なタイプで、白いグロス素材のダウンジャケットがかわいい。


私はもう当然だが仕事などそっちのけになって、全精力を籠めてふたりの関係の読解に努め出す。

ちょいちょい聞こえる内容を追う限り、話し方からいって、家族ではなさそう。少なくとも「おじいさんを家族として尊敬している」という口の利き方ではない。

まさかの愛人? きっともう男としては機能してないのにか。――エロ小説+ネット画像という、バーチャル中心のエロオヤジじゃないのか、おじさま……。

正体見えたどころの話じゃない。「デヴィッド・リンチ」世界から「ロアルド・ダール」世界に。奇妙から奇妙に。灰は灰に。


もちろん席は離れているので、それほど内容が聞き取れるわけではない。細切れに聞こえてくるのは、おじさまが半年で30回も香港に遊びに行ったんで、JTBで勝手にVIP扱いになって毎度自動的にビジネスクラスにアップグレードされる、とか。毎回200万円持ち込んで両替するんで、しまいに両替所の女と仲良くなってホテルに呼んだら来た、とか。なんかその手の。

なんだろうなあこいつ。

女性のほうは、そうした話にわざとらしくはしゃぐんで、想像だが水商売では。おじさまのことを「・・ちゃんは」などと呼ぶし。髪を盛ってるわけでもないし黒髪だから、キャバ嬢というよりカラオケスナックっぽい。


そのうち、女性はおじさまと「5分後に」などと時間を決め、たこ焼きを買いに出た。

残されたのは私と謎のおじさまだ。何者だろう。隠居した自営業か、近在の土地成金農家か。危ない世界か。

脚の悪いおじさまは、戻ってきた女性に曳航されるように足をひきずりながらのろのろカフェを出て、タクシー乗り場へとゆっくり進んで行く。

午後の曳航。

取り残されたのは、私と世界だけ。夕焼けに目を細めたときのように、徐々に世界が暗くなっていった。

editors_brain at 00:03│Comments(2) ヘンな世界 | 編集者の日常

この記事へのコメント

1. Posted by tokyo editor   2011年02月02日 00:16
この後編を書くかどうか迷っていた理由ですが、リアル女も出て札束云々と生々しくなるので、前編の幻想的な空気を壊さないか心配だったからです。実際私も体験している最中に強く現実からの異化感覚を感じてたわけで。

でもリクエストを頂いたので、極力下世話にならないよう私の文才を限界を尽くして書いてみました。どうでしょうか。

それに書かないと前編タイトルの「午後の曳航」という伏線も回収できなくなるし。

タイトルに伏線置いて翌日回収って、考えたら変なブログだな。

それにしても彼は何者だったのだろうか。
2. Posted by yasu   2011年02月02日 22:15
続編を書いていただきありがとうございます、ようやくのどの痞えが…と言いたかったのですがやはり何者だったのかが気になりました(笑)
謎の人物ならエロガッパではなく最後まで得体の知れない人として務めてほしかったです。
なんて勝手なことを言ってしまいました(笑)

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