2018年03月15日

モルディブはもうダメだ

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直近、モルディブ騒乱の報道を受けて調べたら、現地はけっこう大変なことになっていた。

モルディブといえば、一般的な日本人の認識では、インド洋に浮かぶヨーロピアン好みの隠れリゾート国家的な印象があるだろう。

この国が現在、中国からえらい目に遭わされてる。


というのも、モルディブには現在、中国からの借金が一兆数千億円だかある。主要産業と言えば観光と漁業程度の、小さな島の集合した島嶼国家であって、金利すら払えない状況だ。

このため、いくつかの島は事実上中国の管理下に置かれており、中国が監視タワーを建てている。いずれ中国の軍港化されるのは確実だ。

ちなみに隣国スリランカも同様に借金漬けにされており、すでにいくつかの港湾運営権を中国に取られている。たしか99年間の契約だったから、事実上の割譲だろう。

インド洋での覇権を握り、インドや日本、東南アジア国家群を意のままにしようという目的が、もちろん背景にはある。


モルディブに対する最大の援助国家は、ご多分に漏れず日本だ。実際、首都マーレでは日本のODAで防波堤が作られ、過去の大津波のとき首都を救って感謝されている。

とはいえお人好しの日本がせっせと援助している間に、中国は金をじゃぶじゃぶ貸して属国化を進めていたわけで、外務省はなにしてるのかと言いたくはなる。


やり方はアフリカや東南アジアに対して中国がこれまでやってきた例と同じ。現地の腐敗政治家に賄賂を渡し、「夢に彩られた」未来を語って中国寄りの政策を取らせると、一転、態度を変えて利益をその国から吸い上げていくパターンだ。

実際、こうした国では中国からの金で中国企業がインフラを受注すると、現地の雇用や経済に貢献するどころか、現場レベルにまで中国人労働者を大量に送り込んで利益を吸い上げる。「安いはず」の契約は、あとからどんどん条件が変わって、結局高くつく。よく聞くのは、労働者どころか中華料理屋までくっついて出てくるって笑い話だ。メシ代すら現地には落とさないという奴。


要するに儲かるのは中国と、国を売った腐敗政治家だけ。

実際、首都マーレの空港島ではインフラ工事現場を囲む覆いに漢字が並び、中国企業が受注していることがよくわかる。

現在の大統領は親中派であって、金にものを言わせた強権を用いて政敵だの前大統領派だのを粛清して回っており、それが現在の騒乱の原因となっている。資金源がどこか、想像つくよね。


――と、ここまでは国家レベルの問題。個人として遊びに行くレベルでは関係ないと考える方もいるだろう。だが、モルディブを訪れる観光客の立場でも、いろいろ「もうダメ」と言いたくなる状況がある。

モルディブを訪れる観光客は、年間約130万人。1位は中国人で、30万人。2位のドイツが11万人とかだから、その3倍だ。

要するに観光客の4人にひとりは中国人、というのが実情だ。中国人が多いのは、彼らがビザ不要で渡航できる数少ない国のひとつだから。ビザなしの背景には、借金を取り立てる中華人民共和国の政治圧力がある。


モルディブは基本、1島1リゾート型のリゾート展開がされている。ここで、キャパ100人程度の、モルディブの小規模リゾートを考えてみよう。

平均すれば、100人のゲストのうち25人が中国人ということになる。

世界のあちこちで彼ら中国観光客と出会った方ならわかるだろうが、中国人が25人もいたら、リゾートには平安なまったりした時間など流れない。

なにせ喧嘩しているような大声で怒鳴るし、吸い殻もゴミも所構わず捨てる。プールサイドのビーチパラソルの柄の穴とか、植木鉢にまで吸い殻捨てまくるからなあ。もちろん、飯の列には横入り、逆走、なんでもありだ。

私の経験では、マレーシアのリゾートの食堂に麻雀持ち込んでガラガラやられたこともある。

シュノーケリングやダイビングでは、海中でサンゴを折ってお土産にするとか、あちこちの国でトンデモ振る舞いを聞くわ。パラオなんかでも、中国人ダイバーの悪行が目に余ったそうで、いつの間にかダイビンググローブ装着禁止になってた。素手ならサンゴを折りにくいからさ。


――話を戻すが、要はモルディブと聞いてイメージされる閑静なリゾートなどは期待できず、嫌な奴の振る舞いを毎日見せつけられながら、アジア的混沌を楽しむしかなくなる。いやそれでもいいんだが、平均的日本人観光客がモルディブに求めるのは、それではないだろう。なにしろアジア的喧騒を楽しむなら、東南アジアに行ったほうが安いし飯もうまいし、なにより文化の厚みが全然違う。モルディブまで行く意味はない。


どうしても昔のモルディブらしさを味わいたければ、セレブ対象の超高額リゾートを選ぶしかないんじゃないかと、個人的には考えている。いやそこにももちろん中国人がいるはずだが、大金持ちだけにソフィスティケートされていると思う。いや違ったらゴメンだけどさ。

「モルディブは天国のようなリゾート」としか思ってない、(良く言えば)イノセントな人と、ときどき出会う。仕事で知り合った女性とかね。こうした方々には、リアルな世界を学んでほしいと、どうしても考えてしまう。なんたって最近、当のモルディブに行った経験があっても「ものが見えない」んだからさあ……。日本人、大丈夫かよ。


editors_brain at 09:11│Comments(0) 雑記 

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出版社の編集者。雑誌、単行本、Webサイトとすべて経験。基本マインドは雑誌屋。デザインに凝った趣味雑誌が好み。

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