本日は、お姐がサインナーとして所属する日本税制改革協議会(JTR)の水曜会(定例会)に行ってきました。ほぼ同じ経済政策や思考を持つメンバーとの忌憚のない議論は毎度のことながら、密度の濃いひととき。魂が洗われます。
 ワイワイと民主党のマニフェストを検証したのがことに興味深かったです。JTRや我々サインナーが地道に地方自治体で税の無駄を指摘してきた機運が有権者に伝わり、政権交代につながり、政策に反映されていることが理解できました。
 おおむね評価できるということになりましたが、お姐がどうしても納得できないのが最低賃金の引き上げ
 
 お姐居酒屋の娘でありました。(今年3月実家三四郎は創業35年の暖簾を下ろしました。御贔屓筋の皆さま、本当にお世話になりありがとうございました!)
 ウン、商家では丁稚娘も最初は無駄飯食らい。なんの芸もないから当然ただ働き。そりゃぁそうだ。「いらっしゃいませ」も「ありがとうございました」もろくすっぽ言えないデクノボウに払う金は、細腕一本で家計を支える三四郎の女将にゃ一銭もない。でも、丁稚娘もだんだん仕事を覚えて、タダから時給300円、それから500円に、やがて800円に、そして1000円になったのであります。その後他の大店(おおだな)へ修行に出され(平たくいえば就職ね)、三四郎の丁稚奉公は卒業したのでありました。

 何が言いたいかというと…

 ………(←なんか、言おうとしてるんだけど頭マッシロなのね)

 ハイ、ということで、ここはフリードマン先生に登場願いましょう!!

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お姐「いやー先生お久しぶりです!早速ですが、労働者を守るため最低賃金の保障を1000円に大幅引き上げると政府が言ってるんですけどぉ、商家育ちのお姐はピンときません。時給1000円ったら中小零細企業経営者にとったらタイヘンな金額であります。」

フリードマン先生「政府による問題解決というのは、だいたいにおいて問題そのものと同じくらい悪いし、問題を一層ひどくすることだってよくありますからね。いい例がこの最低賃金法。この法律はどんな効果をもたらしましたか。賃金体系のいちばん下にいる貧しい人たちを助けるはずの法律だったのに、かえってその人たちを苦しめているではありませんか?」

お姐「えーまじっすか?」

先生「(敬語を使え敬語を!)コホン、最低賃金法というものの実態は、限られた技能しか持たない人々の雇用を禁止する法律なんです。」

お姐「???」

先生「…(バカだからな)よろしい。いいですか、三四郎の女将がバカで無能な丁稚娘を時給500円なら雇ってもいいと思っています。しかし、“お上”(法律)が500円は法律違反だ、1000円払いなさいと言います。女将にとって、このなんの価値もまだないデクノボウを時給1000円で雇うのは慈善事業に乗り出すようなものです。そんなこと進んでやる、あるいは余裕のある経営者はほとんどいないでしょう。ね、ですから、最低賃金法は、これといった技術を持たない人たちの失業を増大させるのです。」

お姐「(バカで無能な丁稚娘だとぉ!!)コホン、あの鬼のような女将だったら、さっさと、そのデクノボウに見切りをつけて(って自分のことだよ!)どうせ身銭を切るならば、1000円に見合う技術のある他の人、たとえばしっかり者で如才のない草履屋の娘あけみちゃんを採用するでしょうな。」

先生「そう、最低賃金法は若き日のお姐さんのような、なんのとりえもない丁稚娘や(をい!)、十代の若者や特殊技能のない女性、あるいはしばらく仕事を離れていて仕事に戻ることを希望している女性の失業を増大させるのです。こういう層に異常に高い失業率が見られるのはこの理由によるものです。」

お姐「あのーそのデクノボウさんですか(だから自分のことだって!)、最低賃金法の被害者の。彼女に国が職業訓練をして女将のお眼鏡にかなう技術をつけてあげるってのはどうなんでしょう?」

先生「仕事についていえば、国が教育するより、女将に怒鳴りつけられて実地で学ぶほど良い訓練が他にありますか。最低賃金法は、そういう実地訓練の機会すら奪い去っているのです。」

お姐「あまり…ありがたくなかった実地訓練でしたが、確かにその後就職して、今のシゴトにおいても、あの思い出したくもない、ぞっとするような女将のスパルタ教育が妙に役に立っております!」

先生「でしょうな。デクノボウ、もとい、労働者がしだいに昇進していくのは、とにかく技能もいらない仕事につき、そこで、いろいろなことを習い覚えて上の地位に昇って行くのです。なにも、高等なビジネススキルだけじゃない、挨拶ができる、お礼が言える、電話対応ができる、遅刻しない、わずかでも責任を負う…そういう態度や常識を学ぶのです。とても大事なことです。
しかし
最低賃金法によって、この種の伝統的職業訓練の場が失われてしまいました。」

お姐「まさに、無能の極みだったお姐がなんとか食っていけるようになったのは、伝統的職業訓練、女将のスパルタ教育のなせる技だったというわけですね。」

先生「私の母も14歳でアメリカに渡りました。いわゆる搾取的工場でお針子として働いていたわけですが、そこで仕事が得られたからこそアメリカに渡れた。それに、母は生涯そこで働きつづけたわけではありません。ほんの一時しのぎの場所だったのですし、それは、他の人々も同じだったでしょう。このところの日本は、自由放任経済を小馬鹿にしていますが、そうやって嘲っていられるのは、当の自由放任経済のおかげなのです。19世紀に最低賃金法があったら、お姐さんは今の仕事につけていないでしょうね。」

お姐「あ、あひーー!でも安心して働いて暮らしたいってのが誰しもの希望では。そのために政府に何かしてもらいたいって思うのも人情??」

先生「安心は政府から得られるものではありませんし、たとえ得られても、個人の自由と引替えにするほどの価値のあるものではありません
そのことにぜひ気づいてほしい。それでも中には、自由市場をまるで、処女大陸の探検にでもやってきたかのように、あたりを見まわしながらゆっくりと一歩一歩踏み出す人が現われています。」

お姐「今日の水曜会の連中か?!」

先生「私は、彼らに危険ではないよ、と言ってやりたい。その大陸にずっと住み続け、何の不便の感じない人だってたくさんいるのですから。」

お姐「やっぱり、動物的カンというか動物そのもの?の直観は正しかったんですね。最低賃金法は人々、ことに本来救わなくてはいけない貧しい人を犠牲にしてしまう皮肉な結果となってしまうのですね。そのためにこそ教育はお上じゃなくて、女将に 。安心と自由は政府ではなく自分でつかみとる。そしてそれは、思うほど危険でもなく難しくないってことですね?先生!!
ってあれ??先生〜」

フリードマン先生は、自由を愛する孤独な一人の無能だった(今もか?!今もなのか?!)女子のこれからを、さらに見守るためフリーダム星に戻ったのでありました。

参考文献:ミルトン・フリードマン『政府からの自由』(『プレーボーイ』インタビュー)
脚色/編集:元デクノボウ丁稚娘=お姐