2007年07月
2007年07月24日
梅雨明け
梅雨が明けました。洗濯物がよく乾く。
ニュースじゃ冷夏って言ってたけど、ほかの情報番組じゃ猛暑と言ってた。どちらだ?
西尾維新つながりで、刀語を購入。
面白かったです。これからも購入を続けようと思います。
びっくり刀とびっくり人間がこれからもでるんしょうか? 楽しみ。
初代の思い切りのよさがいいですね。使えないなら、使わない方法を探す。捜し求めて、鍛え上げてあそこまでいったんですから上出来でしょう。
にこにこ動画で偶然見たさよなら絶望先生が面白かった。
漫画買おうかなと思ってます。
どのキャラも突き抜けてんなぁというのが見た感想です。
地球防衛軍2も少しずつ進んでます。
今は怪獣狩りから、団子虫狩りに移行。
そして蜘蛛インフェルノに挑んで相変わらず一撃死。蜘蛛嫌い。
2007年07月16日
サンタがいると言う理由
サンタの存在を信じていたのは小学二年生まで。信じなくなった理由は、ありがちなことで、サンタにふんした父親と目があったから。
高校生になった今、回りの皆も同じようにサンタを信じていない。僕もあいかわらずサンタがいるとは思っていない……はずだったんだけど、いるかもしれないと思ってしまっている。
電波受信したとか怪しい宗教に入ったとかじゃなく、きちんとした理由がある。
それはサンタを信じなくなって何度目かのクリスマスの日、僕はちょっとした出会いをした。
「寒い〜」
日も暮れて辺りはすっかり闇に包まれている。温度がさらに下がり、コートを着ていても寒さが辛い。そんな中なんで出歩いているのかと言うと、学校に忘れ物をしたから。
明日行けばよかったかなと家を出て数分で後悔した。ポケットから手を出し、白い息を吹きかけて温める。
「帰りに肉まんでも買おう」
絶対買うと心に決めて、学校に向かう。十分も歩くと暗い校舎が見えてきた。職員室の電気がついていたから忘れ物を取りに来たと言って教室に向かった。
暗い校舎を歩きまわれるほど怖さに耐性はないので、廊下の電気をつける。教室に入り、机の中からファイルを取り出す。
「これでよし」
ふと窓の外を見ると雪が降り始めていた。どうりで寒いはずだよなとか思いながら、少し眺めていた。降る雪につられて視線が下に落ちていくと、校庭の隅に小さな影がいくつもあるのに気づいた。目を凝らしてもここからじゃ暗すぎてよく見えない。すぐに諦めて見るのをやめた。
教室を出て、職員室に帰ることを告げて校舎を出る。
「見に行ってみよう」
影が気になって校庭に行ってみる。何がいるかわからないし怖いので、隠れられる場所はあったか思い出す。たしか運動部の部室が隠れるのにちょうどいいはず。僕がいるということを気づかれないように、静かに歩く。わずかな足音もさせないようにゆっくりと。
二分かかるところを五分以上かけて到着。さっそく部室の角から覗き見る。
そこには黒、白、灰、茶、まだらの動く塊が二十以上いた。わかりやすく言うと猫だ。
「猫だったのか」
猫たちに聞こえないように小さく呟く。こんな場所にこんなに集まる理由はわからない。たぶん噂に聞いた猫の集会というやつなんだろうと勝手に納得した。
気になることは解消したんで帰ろうと思ったら、回りが明るくなり始めた。急に電灯がついたのかとも思ったけど、探しても電灯はない。光源を探して見上げてみると、月明かりに似た光の塊がゆっくりと下りてきていた。眩しいというより優しく柔らかな光は猫たちの中心にふわりと着地。そのあと光はじょじょに薄れてきた。
「何かいる?」
薄れた光の中に猫たちよりも大きな何かがいる。今日のシンボルカラーといってもいい色の服に身を包んだ何か。まだよくわからないけど、子供の頃に絵本でよく見た姿がそこにいるような気がする。
湧き出てくる興奮を抑えながら、光が小さくなるのを待つ。こんなにドキドキしたのは久しぶり。数秒が数十分にも感じられ、ついに姿が現れた。
「あら?」
現れた姿は期待していたものと少し違っていて、微妙に肩透かしをくらう。
猫たちの中心に立つのは、サンタルックの白猫。長靴を履いた猫のサンタバージョンって感じだ。
サンタ猫は、袋から魚や毛布やボールなどを取り出して回りにいる猫たちに渡していく。プレゼントをもらった猫たちはお辞儀をして去っていく。
珍しい光景に見入っているうちに、全ての猫にプレゼンが配られサンタ猫以外いなくなった。
軽くなった袋を抱えたサンタ猫がまた光りだす。光が強くなって姿が消える前に、僕のほうを見てウィンクして飛び去った。
「気づいてんだ」
物陰から出て、サンタ猫を見上げながら呟きが口から漏れ出た。忘れていた寒さに気づくまで僕はサンタ猫を見上げていた。
こんなわけで僕はサンタにあった。猫のサンタだったけど、本物のサンタだということは確か。
だから僕はサンタを信じる。猫にいるなら、人にだってサンタはいるかもしれないから。
2007年07月14日
3話
ここ何年も続いた習慣のおかげで、六時を知らせる鐘の音とともに目が覚める。のびをして眠気をとる。完全にはとれなかった眠気も顔を洗えば完全にとれた。
簡単に朝食の準備を済ませて、親父は叩き起こし、フェノスは軽く揺すって起こした。フェノスと親父の扱いが違うのは言わなくてもわかることだろう。
朝食を食べたあと、食器を片付けながらフェノスに昨日買った丈夫な服を着るように言う。
「わかりました」
フェノスは素直に頷いて、部屋に戻っていく。食器を洗い拭き終わると、着替えたフェノスがやってきた。長袖の革の外套に、半そでのTシャツ。厚手のズボンを着たフェノス。白に近いクリーム色の外套がよく似合っている。武器は持っていない。
「ちょっと待ってて、俺も着替えてくるから」
そう言って自分の部屋に戻った。着替えると言っても革のジャケットを着るだけ。色は黒だ。昨日のうちに探しておいた武器を手に取り部屋をでる。武器は斧。倉庫を探してみつけた錆びた斧。ほかにも親父の発明品が転がっていたけど、いまいち使い方がわからないし信用がおけなかったか斧を選んだ。
フェノスにも何か持っていくか聞いたところ、自前の攻撃手段があるとのこと。
「さ、行こか」
「はい」
居間で座っていたフェノスを誘い家を出る。
「いってくる」
「いってきます」
親父の返事を聞いてから玄関を閉めた。一昨日までバイトのために歩いていた道を、今日からは塔への挑戦者として歩く。緊張はするけど、それ以外に特に嫌悪や高揚感はない。少し未知への期待感があるくらいか。こういうところは親父の子なんだなと思う。
協会を目指し歩く。冒険者の姿が多く見えはじめ、同じ方向へ歩いていると協会が見えた。
「そういやどの塔に入るか決めてなかった」
「グラスロウ、アイリア、デザーダスの三つだと聞いていましたが」
「うん、それであってる。さてどれに行こうか。フェノスは行きたい場所はある?」
「私はこれといって希望はありません。強いて言うなら、トロンに危険の降りかからないところへ行きたいです」
俺をマスターとしてるからの発言かな? でも、塔に行くのは危険に飛び込むようなものだから無理な注文だ。
「どこも危険度は変わらないだろうし、適当にデザーダスでいっか」
どっれにしようかなって感じで選ぶ。本当に適当だ。お金が稼げればどこでもいい。どこが一番稼げるかわかっていればそこに行くけど、知らないし。
「人が多いからはぐれないようにね」
「わかりました。手をお借りします」
そう言って手を繋いできた。はぐれないようにと考えての行為なんだろう。女の子と手を繋いだのなんか記憶にないから焦った。
「トロン、顔が少し赤いです。熱があるのですか?」
表情にも出てたのか。正直に言うのも恥ずかしいし誤魔化そう。
「初めて塔に行く緊張のせいじゃないか?」
「そうなのですか」
あっさり信じたなぁ。生まれたばかりだから仕方ないか。これからの成長に期待? 何に期待してるかはおいといて、親父の影響受けなけりゃちょっと変に育ってもいいと思う。
手を繋いだまま、人の流れにそって移送陣に向かう。きちんと武具を揃えている人ばかりだ。魔術を専門に扱う人も、硬い革で補強された服を着てるし。俺らみたいに普段着っぽいのはいない。なぜここにいるの? といった感じで見られて、ある意味目立ってる。声をかけられないのは、他人にかまってる暇なんかないせいなのか?
視線にさらされながらも移送陣に到着し塔へと跳ぶ。
移送陣を踏んで光るとそこはすでに塔の内部。床は砂と土。壁は黄色のレンガで作られている。草もところどころ生えているけど、少ない。見えるかぎりじゃ草以外に何かあるようには見えない。
フェノスも周囲を見ている。警戒というよりは、珍しさから見回している感じだ。
いよいよ、探索の初挑戦。油断せずにいくとしよう。まだキョロキョロとしているフェノスに声をかけて先に進む。
「罠もあるって話だから気をつけないと」
「罠ですか。わかりました。探査センサー起動します」
フェノスが目を閉じる。すぐに開いたまぶたの下からエメラルド色の瞳が現れた。アイスブルーのはずの目の色が変わっている。
「目の色が変わってるぞ」
「はい。センサーを起動しましたので、その影響で変色しています」
「センサー?」
「罠や魔物を探すための機能です」
「そんな機能ついてたんだ」
そういえば日常生活には必要ない機能がついてるって言ってたっけ。ほんとに必要ないよな。こんな状況には役立つけど。始めから塔探索を目的にフェノスを創ったんじゃないだろうな?
翠玉色の目のフェノスと共に二階への移送陣を探し歩く。
「前方3m先に罠発見。スイッチタイプの罠です」
「え? どこどこ?」
少し近づきしゃがみこんで探してみる。フェノスも同じようにしゃがみ、指差して教えてくれた。教えられた部分の砂を慎重に払うと、色がわずかに違う床が現れた。
「こんなところに」
砂に隠されたら誰も気づけないんじゃ? 熟練の冒険者は気づくのか? それとも俺が見落としたヒントがあるとか。まあ最初からなにもかもわかるわけないか。仕事といっしょだな。時間が経てばおのずとわかってくるだろ。それまではフェノスに頼ることにしよう。
「フェノス、罠の解除ってできる?」
「私にその機能はありません。できるのは罠発見のみです」
「そっか」
それじゃ避けて進もう。……いや、ちょっとまてよ。歩きだそうとして止まった俺をフェノスが見ている。
「フェオス、これどんな罠かわかるか?」
「少し時間がかかってもよければ、多少は解析できます」
「頼む」
「はい」
俺の頼みを聞いたフェノスは、じっとスイッチを見て、次に周囲をゆっくり見回していく。解析が終わるのにかかった時間は五分ほど。
「終わりました。この罠は踏むと作動します。そしてあの場所から何かが飛んできて、スイッチを踏んだ者にぶつかる、という罠です」
フェノスは指差して、罠の発射口を教えてくれた。発射口は天井にあって、今俺が踏むと背後から飛んでくるような位置にある。
注意してさえいれば当たらないようにすることも可能っぽい。これならできるかもしれない。
「フェノス、俺はこの罠を解除してみようと思う」
「危険です。失敗すれば傷を負うことになります」
「どこからくるのかわかってるから、失敗したらすぐ離れる。
これから先も罠は出てくる。フェノスがいれば発見は簡単だと思う。でも、みつけても避けられない罠があるかもしれない。そんなとき解除ができれば安全に進むことができるはず。そのために練習としてこの罠を使いたいんだ。それに一階の罠にかかって死んだ人の話は聞いたことがないから、きっと避けられなくても軽傷ですむはず」
被害が少ないうちにこういうことやっといたほうがよさそうだし。
「わかりました。しかし十分注意してください」
「もちろん。怪我はしたくない」
とフェノスを説得して罠解除にとりかかってみた。
何も知らない素人が手を出したところで、どうにかなるものじゃなかった。開始十秒で罠を作動させちゃった。とっさに後ろへ転んだから飛んできたとりもちに当たることはなかった。
「とりもちでよかった」
「そうですね。それで解除について何かわかりましたか?」
「作動させないですむものは、触らずにすますのが一番ということかな」
「それは行動する前からわかっています」
そだね。次も罠をみつけたらまた挑戦するけど。
「先に進もう」
作動して用のなくなった罠から離れて先に進む。進むうちにもう一個罠をみつけた。今度は仕組みを見ることができたけど、また作動させた。
「止まってください」
二階に移動し、進んでいたときフェノスが俺を止めた。
「この先の曲がり角に生命反応が複数あります。おそらく魔物です」
「ようやく出てきたのか」
運がいいのか悪いのか一階では魔物に遭遇しなかった。お金が欲しいから運が悪いのか。
そんな考えを振り払って手に持った斧を握り締め、ゆっくりと音を立てずに歩く。角にからそっと顔をだすとウサギっぽいものが四匹いた。街の外で見かけるものよりも三倍は大きなウサギが、俺たちに気づかずに床で休んでいる。
ウサギを見ているとフェノスの小さな声が聞こえてきた。
「エネルギーガン拡散モード……準備完了……目標に捕捉」
声に反応してフェノスを見ると、フェノスは角から出て、腕を大ウサギたちにむけて突き出しているところだった。
「発射」
止める暇もなく、俺たちに気づいた大ウサギが動く間もなく、静かに呟いたフェノスの手のひらから出た魔力が大ウサギを一掃した。
外れた魔力弾が起こした砂煙が治まると大ウサギは消えていて、アイテムが床に散らばっていた。
「うわ〜はやーい」
驚きと呆れが混じった棒読みだ。初めての戦闘に対しての緊張感が崩れ去った。っていうかなんだよ今の攻撃。
「攻撃手段持ってるって言ってたけどこれのこと?」
「はい。攻撃手段の一つです。ほかにもライトブレード、単発のエネルギー弾、威力の高いエネルギー砲があります」
そう言いながら、手を変形させて各種武器を見せてくれる。光る剣が出たり、手が筒状になったりと忙しい。
もっと日常生活に役立つ、調理道具とか掃除道具とか搭載してくれても罰は当たらないと思う。
アイテムを拾いつつ、戦闘での俺の出番ってなさそうだと思ったりした。事実、この後二回戦闘があってフェノスの攻撃だけで終わった……けどこのまま楽をできるわけじゃなかった。
それは今日四度目の戦闘でのこと。中型犬サイズの団子虫を三匹発見して戦闘に入る。
「目標発見、攻撃開始します」
「ん、やっちゃって」
今までと同じようにフェノスは手を団子虫にむける。こっちに気づいた団子虫が丸くなり転がってくるけど、到達せずに倒されるんだろう。
「発射」
そう言ったフェノスの手から魔力が放たれる……はずだった。チカっと光ったあとは何も出てこない。
何事かとフェノスを見たのが悪かった。突撃してくる団子虫のことを意識から外したせいで、体当たりをまともにくらってしまった。フェノスも同じようで、二人して砂の上に倒れる。
体は痛いがそのまま倒れているわけにもいかない。そんなことしていたらまた体当たりをくらう。痛みを耐えて、斧を構える。団子虫は再び体当たりをしようと丸まっている。
「やらせるか!」
攻撃させる前に走りよって、斧を振り下ろす。硬い殻を叩き壊し団子虫を一匹倒す。ぐちゃりとした感触が気持ち悪いが、できるだけ無視して血と肉を振り払う。選んだ武器がそれなりに重量のある斧でよかった。ナイフとか剣を選んでいたら、この団子虫を一撃では倒せなかっただろうし。
「次!」
近くにいた団子虫に斧を振り下ろす。外殻にそらされて、上手く叩きつけることができずに床に当たる。
「もう一度!」
今度はバットを振るように横から斧を叩きつけた。3mほど砂の上を滑っていった団子虫の様子を見ずに最後の一匹を探す。
すぐに、転がってフェノスに体当たりを仕掛ける団子虫をみつけた。
「危ない!」
とは言ったものの走って庇おうにも間に合わない。
声に反応したフェノスが、先ほどまでとは違う精彩を欠いた動きでどうにか団子虫を避ける。反撃はしないようだ。
転がった団子虫を追い、斧をフルスイング。バウンドして砂に落ちた団子虫はピクピクしていたが、すぐに動かなくなった。
始まる前の戦闘は、こうして終った。フェノスに聞かなくちゃな。
「フェノス、攻撃しなかったのはどうしてなんだ?」
フェノスはゆっくりと首を動かし、こっちを見た。
「エネルギーが足りなくなったようです。搾り出せばあと一発は、放つことができたのでしょう。ですが、そうすると動くことができなくなりますが」
「もう戦闘は無理そう?」
この問いを受けたフェノスは、目を閉じる。じっと動かず、目を閉じる様は彫刻のように見える。目を開けたことで、彫刻に生が吹き込まれた。
「エネルギー残量8%……使用可能武器ライトブレードのみ。ただしブレード維持は一分のみ。
結論をいいますと、戦闘は可能なかぎり避けたほうがいいとでました」
「そっか。次から体力配分にも気を配らないと。今日はもう帰ろう」
「賛成です」
近くに落ちている団子虫のおとした外殻を拾い、俺たちは移送陣に向かう。魔物に遭遇することなく、二階を脱出した。
協会に戻った俺たちは、経験値配布所へ向かいLvを上げた。二人ともLv3になった。
フェノスの体力が持つか心配だったので、どこにもよらずに家に帰ろうとしたが、歩くだけならば三時間はもつと言うので手に入れたアイテムを売ることに。
「どこで売ればいいんだろ」
手に入れたアイテムを売れる店を探す。事前の情報で買い手にも詐欺師みたいな人がいることはわかってんだけど、わかってるだけで見分けがつかない。とりあえず回りの
様子をよく観察して、よさげな商人を探すか。
「フェノスも揉め事が起きてない商人を探して」
「はい」
二人してきょろきょろと周囲を見渡す。
こうしてみるとほんとに色々な人がいる。強そうな人、無骨な装備に身を包んだ人、体中に包帯を巻いた人、美人なエルフ、楽しそうに笑い協会に入っていく獣人、横笛を吹いてお金を集めているウィッシュ、自分で作ったらしい剣を並べるドワーフ。ウィッシュなんか近くで見たのは初めだ。
フェノスも露店を探しながら、そういったたくさんの人にも目をとられている。
そうしていると横から声をかけられた。
「あんたら何きょろきょろしとるん?」
横をみるとタンクトップに短パン、褐色の肌をした女の人が立っていた。俺と同じ灰色の髪をもった二十歳くらいの女の人が不思議そうな顔で俺たちを見ている。
アイテムを売りたいんだけど、この人が詐欺師じゃないって確信はないし、どうするかな。
「手に入れたアイテムを売るために露店を探しています」
俺が悩む横で、フェノスがあっさりと目的を話す。
「アイテムを売る店で悩んでたということは、あんたらかけだしやな?」
「はい。今日から塔に行き始めました」
「そっかそっか。それならうちで売り買いせんか? あたしもあんたらと同じで店構えたばかりなんよ」
「どうしましょうトロン」
どうしようか。あったばかりで信頼できるかはわかんないし。
「悩んでるね? まあそれは当然だと思うわ。難しく考えんで、一回試しに利用するって考えで来てみたらどや?」
それならいいか?
「じゃそれでお願いします」
「お客さんご案内〜♪ っと自己紹介がまだだった。あたしはラオ・クリン、よろしく」
「俺はトロン・アルゴール。こっちがフェノス・アルゴール」
フェノスは紹介とともに一礼する。
「ん? 名字が同じってことは兄弟?」
「兄弟じゃないけど、家族です」
「ふーん」
それだけで何も聞いてこなかった。こみいった事情があると思ってくれたんだろう。
ラオの店は俺たちがいたところから近い場所にあった。リヤカーとシートと並べられた商品と簡単な屋根。これがラオの店だった。シートの上には、草や薬ビンなど探索を補助するものが多く、武具の類はない。
「ここがあたしの店! 今はちっこいけどゆくゆくは実家を越える大手になってみせる」
「実家も商売をしているのですか?」
「うん。商人としての修行のために露店を開けって言われてな。一昨日からやってるんよ」
「そうですか」
「欲しい物があれば実家から取り寄せるから遠慮なく言って」
フェノスとラオが話している間に、手に入れたアイテムを出す。
「これを買い取って欲しいんだけど」
「はいな……ウサギの尻尾が三、外殻が三、レギル鉱石の欠片が二……合計で銀貨二百七十枚ってとこやね。
レギル鉱石の欠片は、まとめて欲しいっていう依頼がときどきあるから、取っておくのもいいかもしれん」
「ふむ……まあいいや全部買い取ってください」
石はとっておこうかちょっと悩んだけど、その依頼がいつあるかわからないから売ることにした。
「まいど!」
大銀貨二枚と銀貨五十枚を受け取る。
これからどうしようか。このまま帰るか。ここで何か買っていくか。傷薬とか持ってないから買っておいたほうがいいかな。団子虫の体当たり受けた場所がまだ痛むし。これからも必要になるだろ。
「手ごろな傷薬と塔に持っていったほうがいいっていう道具ある?」
「買い物かい? そうだね……この傷薬はどうかな」
そう言って小瓶を取って差し出してきた。
「小さな切り傷、擦り傷、打ち身に効くよ。効果は夜に塗れば、朝にはほぼ回復ってもの。五回分入って銀貨百枚。
あとは、地図作成セット。コンパス、定規、方位磁石、鉛筆、小さな望遠鏡、紙三十枚、敷板がついて銀貨六十枚。
出会った記念に銀貨十枚引いて合計百五十枚でどう?」
「買う」
即答だ。安くすると言われるとつい買ってしまう。節約してきて、身についた習慣だ。それに地図のこと忘れてたからちょうどよかった。今日行った階層も覚えてるかぎり描いとかなくちゃ。
「まいどあり!」
商品を受け取る。
「またのお越しをお待ちしてます〜」
ラオの声に見送られ、家に帰る。途中で夕飯の材料もかった。
フェノスは、夕飯を食べたあとすぐに部屋に戻り寝た。ふらふらとしながら部屋に入っていくフェノスを見て親父が、ギリギリまで魔力を使ったんだなと聞いてくる。隠すことじゃないから皿を洗いつつ今日あったことを話した。
「やっぱりフェノスは俺が予想していた以上の性能をもってるな。本来なら、団子虫だったか? そいつと戦う前にエネルギー不足で動けなくなるはずなんだが」
「原因はわからないのか?」
「今のとことはな。週一で軽いメンテナンスしなけりゃならんから、そのときに調べてみるさ。それで駄目なら、月一の本格的なメンテナンスのときに調べる」
「メンテナンスってなんだ?」
聞き慣れない言葉が出てきたんで聞いてみる。
「えっとな、健康診断みたいなもんだ。使ってる部品が壊れやすくなってないかとか調べる」
「なるほど」
そのあと、いつもどおり家事をして寝た。寝る前に買った薬を塗っておいた。
初めての戦闘とか初めての塔探索とか始めてづくしだったけど、そんなに疲れなかった。俺って神経図太いんだろうか?
2007年07月06日
防衛だ
雨が降らないと困るけど、降り続けられても困る。難儀なものです。
でもこんだけ降れば、水不足は解消だろう。
ネットで注文していた地球防衛軍2が届きました。
早速、遊んでみました。面白かったです。二千円でこれだけ面白ければ十分満足できます。
陸戦ノーマルで初めて、一番最初は蟻に囲まれ死にました。次も似たようなものでした。
五度目でようやく操作に慣れ、ステージクリア。その後もクリアと死を繰り返しました。
武器が充実してきて、ようやく少し楽になったところを赤蟻に囲まれ死亡。
死にまくりですが、楽しかった。
ペイルもやりました。こちらはさらに扱いづらそうなのでイージーで。
少し強化して、怪獣に特攻。試行錯誤の末、ハデストで楽に退治できるように。でもインフェルノではまだ倒せない。
アルカディアの探索掲示板で名前がでたおかげで、来客がいつもの数倍に。
有名どころで名前がでると、宣伝効果がすごい。
2007年07月01日
2話
店を開いて、客を呼ぶ準備を始めて活気づきだした大通りを仕事に向かう人に混じって歩く。
フェノスは初めて外に出ていろいろなものに興味があるのか、あちこちと見ている。フェノスのペースにあわせてゆっくりと歩いていると、目的地が見えてきた。
「おはようございます親方」
「おう、おはよう。どうした俺の家なんかに来て」
工事のバイトをやめることを伝えるため、そして給料をもらうため親方の家に来た。バイトの集合場所はここではなく事前に知らされている現場なので、朝早くに家に来た俺を不思議そうな顔で見ている。俺の隣にいるフェノスのことも不思議そうにしている一因かもしれない。
「実はバイトをやめなくちゃいけなくなって」
「バイトをやめるってお前、借金の返済ができなくなるぞ! やめてどうするんだ?」
やっぱり驚くよな。バイト先の人たちは俺の事情知ってるし。
「実は親父がさらに大きな借金を作ったんです。それで今までどおりのバイトで返済する方法だときつくて、塔に行ってみることになりました」
「アルゴールの奴さらに借金増やしたんか!? とんだ災難だな。しかし塔に行ったからといって必ずしも成功するわけじゃないんだぞ?」
「それはわかってます。いざとなったら、家を売って借金の返済にあてますよ」
「そうか。トロンがいなくなると寂しくなるな。怪我に気をつけろよ。ほかの奴らには俺から言っておく。
それで気になっていたんだが、そっちの嬢ちゃんは誰なんだ?」
俺の隣に静かに立つフェノスを見て聞いてくる。
「新しく家族になったフェノスです。
フェノス、こちらは俺がお世話になってる親方だ」
フェノスは少しだけ前に出て一礼する。
「はじめまして親方さん。フェノス・バネードです、よろしくお願いします」
「ああ、よろしく。なんだが表情の乏しい嬢ちゃんだな、もとがいいのにもったいない」
「フェノスは生まれたばかりだから。ゴーレムなんです」
親方は驚いた顔になる。
「この嬢ちゃんゴーレムなのか!? 顔だけじゃなく動きとかも人にそっくりだぞ」
やっぱり驚くよな。ここまで高性能なゴーレムはいないだろうし。
「俺も昨日会ったとき驚きました。五感まで備えてるんですよ」
「どれだけ性能高いんだ。ここまでとなると金かかったんだろ。……そうか借金はそのせいか」
ちょっと哀れみを込めた目で見られた。もう慣れたよその目は。
「そういうわけなんで、今日はほかのバイトもやめて塔にいく準備にあてるつもりです。それで今月分の給料をもらいたいんですけど」
「ん、わかった。持ってくるからちょっと待ってろ」
そう言って親方は家に入っていく。すぐに給料袋をもって出てきた。
「いままでお疲れさん。困ったことがあったら相談にのるぜ、いつでもきな」
「ありがとうございます」
給料を受け取って、次のバイト先へむかう。
食堂と倉庫整理のバイトでもフェノスを連れて行くと驚かれた。この反応からすると、フェノスは首都で一番の性能を持っているゴーレムって言ってもいいじゃないか?
親父は腕はいいのだと思い知らされる。これで思考がもう少しまともならなぁ。
三つのバイトでのもらった給料を確かめると、いつもより多めだった。同情してくれたのか哀れまれたのか、どこも少しだけ多めに給料をいれてくれたらしい。ただこれからのことを思って、激励のつもりで多めにくれただけかもしれないけど。お金がたくさん手に入るのは嬉しいので、ありがたくもらっておく。
「さて次は協会に行こう」
「キョウカイですか? 昨日も言っていましたが、キョウカイとはなんですか?」
「知らない?」
「アルゴールが私に入れた情報の中には、そのキョウカイについてはなにも情報はりません。境目という意味ではないんでしょう?」
本当に知らないんだ。親父が入れた情報って何が入ってるんだろう。親父にとっての常識か? だとしたらさっさと忘れてほしい。
「協会っていうのは、挑戦者管理協会のこと。塔に行くためにはそこで手続きをする必要がある」
歩きながらフェノスに協会のことを説明していく。一通り簡単に説明し終えると、ちょうど協会についた。
ときどき協会の近くを通っていたけど、相変わらず人が多い。ここくるとことになるとはなぁ。
「トロン? 立ち止まってどうしたんですか?」
「いや、少し前まで俺が塔に行くなんて思ってもなかったから、人生何が起こるかわかんないなぁって考えてた」
「そうですか」
ほんと表情ないなぁ。のちのちいろんなことを覚えたり知ったりして笑顔を見せてくれると期待しておこう。どんな笑顔か今から楽しみだ。
「じゃ行きますか」
「はい」
フェノスを連れて協会の二階にある手続き専用の受付に向かう。食堂のバイトしていたときに冒険者たちが話していたことが聞こえてきたから、何をすればいいかはわかっている。
書類に必要事項を書き込み、お金を払う。ゴーレムってどうすればいいのかわからなかったので、受付さんに聞いてみたところ同じように書類を作ってくれと言われた。ただし、カードはゴーレム専用のものができるから自分のものと違うと慌てないように、と忠告される。
受付さんに連れられて挑戦の門にやってきた。見物客が門の回りを囲んでいる。
「これが挑戦の門か。話に聞いただけで見に来ることはなかったけど、すごいもんだ。さすが観光スポットの一つだけのことはある」
「では先ほども説明したとおり、門に触れてカードを取得してください」
受付さんが観光客をのけてくれたおかげで、門に近づけた。
俺もフェノスも女神が彫られたほうに触れ、最初のクラスタイプは武器メインとなった。光が手のひらに現れて、治まるとカードが現れた。隣に立つフェノスを見ると同じようにカードを持っている。
「それでは次に経験値配布所へと案内します」
受付さんの後ろ歩きついていく。
「フェノス、カードを見せてくれる?」
「どうぞ」
フェノスに頼んでカードを見せてもらう。事前の説明でゴーレム専用になると聞いていたので、どう違うのか気になった。右手に自分のカード、左手にフェノスのカードを持って見比べる。
「あれ?」
どこも違う箇所なんかない。名前は違うけど、それは当たり前のこと。でもほかのLv、タイプ、到達階層、取得経験値はまるっきり同じ。
どこが違うのかさっぱりわからないので、説明してくれた人に聞いてみることにした。
「すいません。ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
そう言って前を歩く受付さんに声をかけた。
「はい? なんでしょう」
足を止め振り返って聞いてくる受付さんに、フェノスのカードを見せる。
「ゴーレム専用になるって言われたんですけど、俺のと違いがなくて何か問題が起きたのかと」
「違いがない? 渡してもらえます?」
受付さんは手に取ったカードを見ている。そして驚いたあと、不思議そうな表情になった。
「確かにゴーレム専用のものになっていませんね。通常ゴーレム用のものは、Lv部分が横線を引かれていて、クラスタイプもゴーレムと書かれているんです。しかしこれは一般のものと同じものになっています。
……とりあえず配布所に行って手続きしてみましょう。そこで異変があれば、なんらかの対処をとりますから」
「そうですか」
カードを返してもらい、フェノスに渡す。
配布所につき、手続きをしてもらう。受付さんは、配布所の役員に事情を説明してフェノスのカードを慎重に扱ってもらっている。
結果、なんの異常もなく手続きは行われた。受付さんはカードを受け取り、俺たちを部屋隅のベンチに呼ぶ。
「手続きは何の異常もなく終わりました。同時もカードに異常がないか調査もしてみましたが、それも滞りなく終わりました。
カードは一般のものとして発行され、使用しても問題ないようです。なぜゴーレム用として発行されなかったかは、不明のままですが」
「なんの問題もないならいいです」
「何か不具合がでたのなら、いつでも申し付けてください」
そう言って受付さんは、二階に戻っていった。
「なんで一般用になったんだろ」
「なぜでしょう?」
「考えてもわからないか。次に行こう。フェノスの生活用品を買おう」
「はい」
協会を出て、服や靴といったものが置いてある通りに向かう。
「どんな服が欲しい?」
「どんな服が欲しいと言われても……わかりません」
こういった知識は持ってないのか。実物を見て決めるか。塔に行く用の丈夫な服も買わないと。
適当に目に付いた服屋に入る。店員さんにアドバイスをしてもらいながら、俺のセンスで選んでいく。フェノスにも選ばせてみたけど、いまいちわからないようで服を見ながら何度も首を傾げていた。一年も経てば、自分の好みの服を買うようになるんかな。下着も購入した。これは完全に店員さんに任せた。さすがに恥ずかしい。ついでに自分の服と親父の服も買っておいた。多めにもらえた給料のおかげ。
フェノスの服は日常生活のものを四着、塔に行くようの丈夫なものを二着買った。現在の全財産だと防具を買えないから、せめて丈夫な服着ていくつもりだ。でもそんなことが許されるのは低い階層だけだろうなぁ。
服を買い終えて、靴屋、雑貨屋によって生活用品をそろえていく。荷物は多くなったけど、フェノスが力持ちで助かった。
一度、荷物を家に置きに戻る。親父は家にいなかった。散歩にでも出てるんだろう。
昼食を食べるため、また家を出る。適当な店に入り注文を決める。
「フェノスは何が食べたいって言ってもわからないか」
「はい」
「じゃ、俺と同じものでいい?」
「はい」
了承を得たので、オムライスとサラダを二つずつ頼む。ほどなくして運ばれてきた料理をフェノスに食べ方を実演してみせて食べる。フェノスは俺の真似をして食べ始めた。
「美味しい?」
「おいしいとは?」
味覚はあってもそこらへんの感覚はわからないらしい。
「えっとね、もっと食べたくなる。食べて満足感を得られるってことだと思う」
この言葉にフェノスは一つ頷いて、
「美味しいです」
そう言ってオムライスもサラダも綺麗に食べきった。
昼食を食べ終えたあとは、夕飯の買い物と午前に買えなかったこまごまとしたものを買う。
買い物の途中、菓子店のそばを通る。隣を歩いていたフェノスが止まって菓子店を見ている。
「どうしたフェノス?」
「いえ気になる匂いがしたので、探してみたらこの店が」
「菓子店?」
ショーウィンドウに色とりどりのケーキが並べられ、テーブルにはクッキーや飴の詰め合わせが。ほかにもタルトやチョコ、パイなどいろいろとそろっている。
そういや最近、お菓子食べてないな。
「何か欲しいお菓子でもある?」
「……わかりません。ただ気になっただけですから」
「食べていこか。ここ喫茶店も兼ねてるみたいだし」
久しぶりに食べたくなったしちょうどいい。店員に紅茶と苺のショートケーキを頼む。フェノスも同じものだ。
ここでもオムライスのときと同じように先に食べてみせる。フェノスはフォークを使い一口分とり口に入れる。無表情だったフェノスに変化が表れた。といってもそんなに大きな変化じゃないけど。目を見開き、驚いたっていう感じに見える。何も言わずに次から次へと口に運んでいる様子から、気に入ったんだろうなと思えた。
食べ終えたフェノスに再び聞いてみた。
「美味しかった?」
「はい。昨日食べたものよりも、昼に食べたものよりも」
心なしか喜んでいるようにも見える。好物は苺のショートケーキか。ほかのケーキも好きかもしれないけど。お土産としてほかのも買ってみよう。カットされたケーキを六種類選んで買う。店員から渡されたケーキが入った箱をフェノスがじっと見てくる。
「フェノス持つ?」
「はい」
渡した箱をそっと受け取り、大事に抱えるフェノス。よほどケーキが気に入ったんだなぁ。
夕食後にデザートとしてケーキを食べた。結果、一番好きなのは苺のショートケーキだった。好物がわかったのはよかった。辛いこと嫌なことがあったときに、出せば一時的にもまぎらわせることができるし。ご褒美としても使えるし。
「フェノス、歯を磨いて寝るんだよ」
「どうしてですか?」
「虫歯になるから」
……ゴーレムって虫歯になるのか? ま、口の中を清潔に保つのには必要だ。適当に納得してもらおう。
皿洗い、朝食の仕込みを終わらせて、あとは寝るだけ。明日から塔に挑戦だ。ゆっくり休んで、明日に備えよう。