昨年度のS台柏校への月曜日の出講は、午前の授業が終わってすぐに他校舎への移動があるために受講生の質問に応じる時間が取れなかったので、代わりに土曜日に校舎に出向いて原稿を書きがてら質問を受けるべく待機するのを習慣にしていたが、秋のある日「この校舎の在籍ではないんですけど、質問してもいいでしょうか」と言って講師室を訪れる受講生がいた。
質問に応じたついでに「どの校舎の在籍であるか」を訊いてみると、授業がない土曜日は、茨城県の自宅から1時間以内で来られる柏校の自習室で勉強しているが、月曜日から金曜日までは2時間以上かけて市ヶ谷校まで通っているという。
往復で4時間を超える時間を費やして市ヶ谷まで通うのは決して楽なことではなく、柏校に通えば往復2時間足らずで済むことを考えれば、1週間あたり差し引き10時間を大きく上回るハンデを背負っている計算になる。
確かに市ヶ谷校に通う受講生の国公立大医学部への合格者数はS台の中で圧倒的に多いが、それは在籍人数が多い上に大半が国公立大医学部の志望者であることからすれば必然のことで、この校舎に限って国公立大医学部に合格させるための特別な魔法を使っているわけではない。
国公立大医学部への志望者が、そういう大学への合格者数が断然多い校舎に通いたがるのはちょうど、ある宝くじ売り場が売り上げ枚数が多いのに比例して出る当たりくじの枚数が多いだけであるのに、そこが特に当たりくじが出る確率が高いと多数の人が錯覚して長蛇の列を作って並ぶの同じ心理によるものであることは否めない。
もちろん、その校舎が自宅から近いのであれば問題はないが、通学に要する時間が2時間超となると、混雑した電車で通うことによる疲労と時間のロスは決して無視することができない。
ほぼすべて同じ教材を使って同じ有能な講師が出講して教えている柏校であるのに、そこを素通りして、わざわざ遠方の校舎まで通う利はまったくないどころか、逆に不利が甚だしく大きいと言わざるを得ない。
去年の秋に柏校の講師室に質問に来た件(くだん)の受講生が、そうした不利を克服して第一志望の国公立大医学部に合格してくれていればよいが。
昨日この話をある教務職員にしたところ、その人がかつて柏校に務めていた時に担任していたクラスのある受講生が「夏期講習だけは!」と勇んでお茶の水まで授業を聴きに行ったが、終わって帰ってきて「ふだん柏校で受けている授業がいかに信頼に足るありがたいものであるかがよくわかりました」と言って、その後は「浮気心」を起こすことなく、冬期講習も含めて柏校に留まって勉強を続けた結果、第一志望の東大にめでたく合格したとのことだった。
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