June 16, 2006

童貞と処女

 英語ではvirginという語を男女共通に使うが、日本語ではに関してはそれをそのまま片仮名に替えて「ヴァージン」と言ったり、または「処女」と言ったりするのに対して、の場合は「ヴァージン」とも「処男」とも言わず「童貞」と言う。
 「処女」とは「家に(い)る」ということから「まだ男に接していない女」という意味になった。そして、「人がまだ一度も手をつけず、自然のままであること」や「それまで経験がなく初めてすること」を意味する接頭語として「処女峰」とか「処女航海」や「処女作」のような使い方をするようになった。の場合は擬人化してsheherで受けることもあるくらいだから「処女航海」で納得できるが、作品に関しては男性の作家の場合でも「童貞作」ではなく「処女作」と言うところが面白い。
 一方「童貞」は「異性と交接していないこと」を言い、主としてに関して言うが、カトリックでは「尼僧」のことをそう言うらしい。
 もっとも「」は「幼くて無垢な子供」、そして「」は「節操を守って変えないこと」や「婦人の操の正しいこと」を意味し、現に「貞操」という専ら女性にだけ使う言葉もあるので、「尼僧」のことを「童貞」と言っても不思議ではない。
 また、キリスト教伝来時には「童貞」という言葉が存在せず、男性の純潔という概念が日本になかったために翻訳の際に、異性と接したことがない者はまでもが「処女」と訳されてしまったという信じがたい話もあるが、逆に、選挙のときにある女性の候補者が宣伝カーの中から「有権者の皆さん、どうか私をにしてください」とつい叫んでしまったというウソのような話もある。
 ちなみに、virginityを失うことを、女性の場合は「女になる」と言うことがあるが、男性の場合は「男になる」とは言わない。
 「童貞処女」は「太郎さんと花子さん」や"Jack and Betty"のようなもので、対にして用いることが多いにもかかわらず、以前は両者の扱いはとても対等と言えるものではなかった。例えば、結婚前とはいえ、いい年をした男が童貞であることは恥ずべきこととされ、一方、結婚前の女が処女であることは奨励されるべきこととされた。同じvirginityではマイナスに、ではプラスに解されるという不公平極まりないことを誰も不公平とは思っていなかったか、または思っていたとしても口に出して言うことはあまりなかった。
 また、結婚後も「浮気は男の甲斐性」といって、男が妻以外の女と接することはその男の力の証のように言われ、一方、女の浮気は貞女に反する行為として絶対に許されないものだった。
 もっとも、一度に多数の子供を産ませることができる男と、双子や三つ子の場合を別にすれば一度に1人の子供しか産むことができない女で、自分の遺伝子のコピーを残す作戦が大きく違うのだから、男の浮気は仕方がないという一面はある。
 行列のできる法律相談所で司会の島田紳助は「交通事故を起こそうと思って車の免許を取る者はいない。それでも事故は起こってしまう。浮気をしようと思って結婚する男はいない。それでも男は浮気をしてしまう。浮気は事故なんや」という趣旨の発言をしていたし、また「浮気をしない男はいない。浮気ができない男がおるだけや」とも言っていた。
 バツイチ・タレントの秋野暢子も「男はだいたい誰でも浮気しますね。私が知っているだけでも浮気をしていないのは2人しかいません。1人は三浦友和さん、もう1人は蛭子(えびす)さん」と言っていた。
 もっとも、自分のお金が自由になる芸能人と違って、妻に財布を握られ、一日に1,000円しか渡されない亭主には浮気をすることは至って困難だろうから、国民全体の中で実際に浮気をしている男の比率はそう高くないのかもしれない。
 大きく「浮気」にそれてしまった話を、再び童貞処女に戻すなら、以前は結婚前でもいい年をした童貞であることは恥ずかしいこと、処女であることは恥ずかしくないどころか望ましいこととされたが、今ではそれが大きく変化して、童貞処女も、ともに異性にもてない証として恥ずかしいことであると解するのがふつうになった。よしあしはともかく、ここへ来てある意味、男女平等が達成されたという気がしないでもない。
 


Posted by eg_daw_jaw at 10:44│Comments(2)TrackBack(0) エッセー・雑文など(私生活編) 

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この記事へのコメント
 交通事故と浮気を同じレベルで論じるのは、あまりに単細胞の人間のやること。世間話のレベルでは許されるけれど、己の軽薄さの証明ではないかな。積極的に・やりたくて事故を起こす人間は免許証を与えないほうが良い。否、与えては駄目だ。
 浮気は、自らの意思が多分にかかわるから、ばれたとき、あまりみっともないことさえやらなければいいだけのことじゃない。
 童貞と処女がそんなに有難いものなら、童貞を捧げたくなるほど素晴らしい女、処女を捧げたくなるほどに魅力的な男、それぞれ出てこいというところかな。奪われるものではなく、捧げるものだよ。
Posted by 鴨川シャチ助 at August 04, 2006 14:03
おめえ童貞だべ
Posted by 漏れ at August 15, 2006 19:20

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