2011年07月

2011年07月17日

伊勢音頭恋寝刃 考

acd74ba0.jpgそろそろ夏休み文楽公演が始まるからモードを文楽に…。

と思いながらふと気になったこと。

あれ?

文楽の「伊勢音頭〜」って、貢は岩次が折り紙を持っていると睨み、岩次がお紺に横恋慕しているのを知って、貢は岩次を探るようにお紺に頼んでいるっていう設定で、油屋の冒頭では貢の伯母より別れて欲しいと言われたお紺の姿から始まっていました。

これ重要。

お紺は許嫁がいるという貢の為、別れる決心をする。
だけど、女は惚れた男に最後の義理を立てたい。

そこで、岩次から折り紙を手に入れようと考える。貢に無事に渡せたら、自分は自害しようとまで決心している。
そんな女の一世一代の芝居が、貢への愛想づかし。皆がいる前で貢への愛想づかしをして岩次からの信用を得て、折り紙を預かろうとの思いです。

文楽ではこのお紺の心情を丁寧に描いていて、女性目線を重要視する大阪の文楽らしい解釈だと思います。

この文楽の「伊勢音頭〜」は二代目豊澤団平が改訂を行ったものだそうです。

同じ作品であっても歌舞伎と文楽で、微妙に違うのもなかなか面白いですね。

解説する身としては、かなり頭がこんがらがりますが…。


eggm2005 at 15:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 日常 

2011年07月09日

夜は?

松竹座の七月大歌舞伎、夜の部はというと・・・。

まずは、『車引』。松嶋屋の従兄弟三人の三つ子です。愛之助さんの梅王丸に進之介さんの松王丸。そして孝太郎さんの桜丸です。それに、フレッシュな巳之助くんの杉王丸に、藤原時平は我富さんです!

う〜ん、家族っていいなって普通に思います。しかも親戚が多い方が歌舞伎役者はいいですね。一族でこうやって一幕できちゃうんですから。その点、松嶋屋さんの男三兄弟、うらやましいです。さらにそれぞれ男の子がいるんですから、心強いですね。

上方役者の荒事は、やはりちょっといつもと違ってかなりレアです。荒唐無稽な荒事よりも上方はあくまで写実的。桜丸に隈取がありません。孝太郎さんだけ普通に白塗りの顔です。これって上方の役者さんが始めたと思うのですが、誰からなんだろう?実は新演出?!う〜ん東西折衷で面白いですが、一幕の中にテイストが違うのが混在している点は不思議な感じです。

そして、通しでご覧いただく『伊勢音頭恋寝刃』。いつもは二幕目の油屋からですが、今回は序幕もついて筋が分かりやすいです。序幕はお家騒動全開のストーリー。解説頑張りました!いや、もちろん芝居の邪魔にならないように、初日以降、変更変更繰り返してます。それでも私自身、やっぱり関西人。お客様に650円いただいているんだから、得した気分になって帰ってもらおう、の精神が働いてます。幕と幕の間のつなぎでは、しゃべってます。

序幕の見物は、阿波のお家の重宝の刀、青江下坂の折紙(刀の鑑定書)がお家乗っ取りを企む一味に取られる部分が描かれ、さらに悪者の首謀者からの密書を取り合う追い駆けっこ、ついに証拠の密書を手にした主人公、仁左衛門さん扮する福岡貢の幕切れのいい形。

それと、舞台に松嶋屋三兄弟が揃います。阿波藩の国家老の嫡男で、刀を詮索しているおっとりおぼっちゃま。今田万次郎に秀太郎さん、貢は仁左衛門さん。さらに万次郎の後ろ盾になる人物、藤浪左膳に我當さん。松嶋屋三兄弟が舞台に揃うだけで拍手が起きます。

そして、十三代目を思ってしまった私。

上方歌舞伎の衰退の危機を救うため、私財を投じて行った先代。『仁左衛門歌舞伎』

先代は、私財を投じて歌舞伎公演を行う決心をしますが、やはり迷いがあった。もし失敗したら・・・・。それでも関西に歌舞伎の火をなくしてはならない。

その時、奥様がおっしゃった一言。

「だったら家を売りましょう。」(いや、こういう言葉だったかどうかは忘れたけど、とにかく奥様が背中を押した)

手作りの公演は、大成功!それこそ、私財を投じておこなった歌舞伎の公演。この時戦力となった役者は、もちろん息子たち。現在の我富さん、秀太郎さん、当代の仁左衛門さんです。

頼もしいですね。

嬉しいですね。

そう思うと、舞台に三兄弟がそろう場面は、感慨深く、歌舞伎とは一族で繋がる芸能だとジーンとひとり胸キュン。

さて、二幕目は、夏狂言気分たっぷりの油屋と奥庭。これもやっぱり上方の型で観ることが出来ます。

そして、ここでも特筆すべきは、秀太郎さん。貢をいじめる役の仲居の万野役。聞くところによると初役らしいのですが、思う存分ハジけてます。

もう秀太郎さん、器用すぎ(>_<)



keggm2005 at 19:11|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 歌舞伎 

2011年07月05日

夏の仁左衛門さん

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観てみたいでしょ?色男の着流し姿!

てなわけで、7月大阪松竹座 関西・歌舞伎を愛する会の第20回公演が開幕しました。

私は夜の部で『伊勢音頭恋寝刃』の序幕 相の山〜二見ヶ浦の場までのイヤホンの解説を担当させていただいています。

今回こそは早めに原稿を!と思ってせっせこと書き出していましたが、自分の中で、勝手に伊勢音頭の世界が広がり情報として必要なコメントなのか、自分が話したいだけのコメントなのか、その取捨選択に迷う日々でした。

筋はややこしいから説明が必要だけど、芝居もみせたい!う〜まだまだ修行が必要です。

さてさて、昼夜の部とも観劇させていただきまして・・・。

昼の部オープニングは、『播州皿屋敷』。愛之助さんの色悪、ええわ〜。そういやこないだテレホンショッキング出てたとか。ここのところすっかりメディア露出が多くなって、関西人としてはうれしいところ。

『播州〜』は45分の作品で道具も一杯で、それでいて歌舞伎的な要素もあり、筋もあり朝一番の演目にはちょうどいいです。一言でいうと、

孝太郎さんをいたぶる愛之助さん

いや、役でいうと、

愛之助さん扮する浅山鉄山はお家横領を企んでいて、お家の重宝の皿を一枚盗み、その紛失の咎を孝太郎さん扮する腰元お菊にきせるというもの。で鉄山はお菊に横恋慕しているが、お菊は言い交した相手がいるので靡かない。そこで、鉄山はお菊を痛めつけて惨殺に至る。。。痛めつけられるそのお菊の姿が歌舞伎の様式美なわけで。見ているこっちも思わず、「痛い。痛い。」って思ってしまいました。二人の息がいいですね。適材適所です。

お次は『素襖落』。久々に三津五郎さんを拝見出来てシアワセ

松羽目物はイヤホンガイドが役立ちます。芝居の内容的には結構教養いるな〜。題名のオチはいつ出てくるんだろうと思っていると後半の件で判明。なるほど、これでこの題名か〜。

とにかく、要所、要所の三津五郎さんの表情がかわいい〜!!!必見。

最後は『江戸唄情節』。江戸前の役の仁左衛門さんに、TKO。テクニカルノックアウトですよ。登場の姿からかっこいい!惚れる。惚れる。元やくざの三味線弾き。しかもその三味線の腕前は相当なもので、芸者の恋人だっていちゃいます。しかし元やくざ。その性根までは足を洗えていない。。。そこを芝居茶屋のおかみが意見するのですが、この場面がめちゃいいです。芝居茶屋のおかみは秀太郎さん。いきなり観客の心を掴みます。立ち居振る舞い、すべて茶屋のおかみです。セリフの一語一句に説得力があります。なんとも言えない”間”。この”間”は単なる芝居の”間”じゃなくて、こうゆう状況になったら、多分この場はこうゆう雰囲気になって、そうなると言葉を発する”間”はこうなるだろうと思わせる。

物語進んで、眼目は仁左衛門さん自らが三味線を弾いての劇中劇『連獅子』。劇中劇ながら、三津五郎さんの親獅子に愛之助さんの仔獅子。なかなかこのコンビの連獅子なんて見られませんから、とっても得した気分。その後ろには三味線を弾く仁左衛門さん。

うお〜贅沢な舞台。

仁左衛門さん演じる杵屋弥市の恋人の芸者米吉は中村時蔵さん。前半の芸者では江戸前のきっぷのよさを前面に出して後半では抑えた演技で、はかなさを出します。

ほんのつなぎのちょっとした時間だけで、三年という歳月を表現する。

役者さんのモチベーションはすごいなぁ。



keggm2005 at 18:24|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 歌舞伎 

2011年07月01日

生誕350年

052933ae.jpg平成22年は初代市川團十郎の生誕350年だったそうで…。

そんな記念すべき年でしたが、年末はああゆう感じに終わってゆきましたが…。

が、

が、

七月の新橋演舞場にあの男が帰ってくる!

もう、見られるべくして生まれた運命の役者。


市川海老蔵が舞台に帰ってくる。

が、

面像拝む前にこの本読んでみて下さい。

中川右介著

『悲劇の名門 團十郎十二代』

いや、拝んでからでもええか。


eggm2005 at 10:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 日常