歌舞伎

2013年03月03日

巨大提灯

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歌舞伎座の地下がオープンしました。

東銀座駅と直結ということで、このスペースにはお客様の興奮と期待が溢れることになるのでしょうね。

見上げると、そこには鳳凰の紋を配した巨大提灯が。

落ち着いたこの空間のシンボルと言えそうですね。今まで出張で東京に来ていた時は、あまり気に留めなかった東銀座の風景ですが、お店などチェックしてしっかり楽しみたいと思います。

 



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2012年10月22日

次はお父様

松さんを堪能したので、翌日はお父様を拝見しに演舞場へ。

松本幸四郎さんの弁慶と、市川團十郎さんの弁慶。共に弁慶役者と言われた七代目松本幸四郎の孫です。

七代目松本幸四郎は、『勧進帳』の弁慶を生涯に1600回以上演じているそうで、そこから弁慶役者って言われていたんですね。

昼の部の『勧進帳』の弁慶は、團十郎丈です。『勧進帳』自体、歌舞伎十八番と銘打たれた市川家の家の芸。團十郎さんの弁慶を観る度に、弁慶ってこうゆう人だったんだろうな〜って思ってしまいます。大らかで、武勇に優れていて。“義経命”みたいな。

対する富樫は幸四郎さんで、なんと20年ぶりの富樫だそうです。颯爽たる富樫というよりは、“受け入れる富樫”でしたね。義経一行も自分の運命も。

さて、夜の部はこの配役が逆転します。弁慶が幸四郎さんで富樫が團十郎さんです。当代の中では一番弁慶を多く演じているのが幸四郎さんでしょうか。それゆえ緻密、動きのすべてが弁慶のその時の心理描写にかなっているのです。思慮分別ある人物に描かれていますが、これが大変素晴らしかったです。

新聞の劇評では、幸四郎さんの弁慶は至芸の域に達したと評されていたそうですが、これは私も同感です。気迫ですね。もちろんこれは富樫が團十郎さんだったから、お互いの良き点がぶつかりあっての舞台だと思います。

團十郎さんの弁慶と幸四郎さんの弁慶。

違いは、“芸”と“演技”の違い。

弁慶は、やはりこのぐらいの年齢の方が演じてこそ、物語の主旨が伝わってきて無常観を駆り立てられます。

義経を演じるのは昼夜共に、坂田藤十郎丈。さすが若いときからお能を習っていたこともあり、足の運びの品の良さ、形がとても良く、謡曲を題材にしている作品に趣を加えてくれました。

そして、そして、夜の部での特筆すべきは、太刀持ちを演じた松本金太郎丈。幸四郎さんのお孫さん、つまり市川染五郎さんの息子さんですが、まだ幼いながら、華を持った役者さんです。登場した途端、そこにパッと華がありました。

見られるべく生まれた歌舞伎役者なのですね。



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2012年09月17日

極太な一幕

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9月大阪松竹座は、六代目中村勘九郎襲名公演を絶賛上演中です。

今月は、前半にこの公演のイヤホン制作、中旬に四日市能公演へ出張と、なんやかんやで過ごしています。いや、その前に体調を崩して皆様にご迷惑をお掛けしました・・・。

さてさて、9月松竹座大歌舞伎、襲名公演のオススメは昼の部の『瞼の母』です。勘九郎さんの番場の忠太郎、めちゃいいです。

声が、お父様の勘三郎さんにそっくり。

勘九郎さんの芝居で感心するところは、セリフ、 言葉を噛みしめて発するところにあると思います。これは台本を読み込んでないと出来ません。言葉、その奥にある想いをちゃんと理解して、それを言葉に変える。

“芸”ともいえますが、その前に、“真心”を表現する役者だと思います。以前、インタビュー収録で楽屋にお邪魔させていただいた際も、周りへの気遣いが細やかで年下なのに、こんなにしっかりしているなんてすごいなと感心したのを思い出しました。

周りへの気遣いって、つまりは真心なんだと思います。それが芝居にも滲み出てきて、どんな役でも好感が持てます。

恵まれた感興にいながらも決してそれにあぐらをかかない、人として見習うべきところがたくさんある役者です。

さて、その勘九郎さんの番場の忠太郎の母親役は・・・、

坂東玉三郎さん です。

人間国宝に認定され、名実ともに現在歌舞伎界の立女形です。

抑えた演技がまた、感動です。『瞼の母』はよく知られた演目で、歌舞伎以外でもよく上演されるものですが、実は私、観たのは初めてでした。

【嗚咽】

これにつきます。

特にイヤホンガイドの解説によって、胸にグッとくるものが迫ります。私もオペレートをしながら、涙でした。いや、解説のコメントを編集した段階で、既に涙でした。あの物語の本質を誘う解説のコメントとは、これだ!と。

各所の配役がまた、適材適所。七之助さんが忠太郎の妹役で、これも納得。さらに今年92歳の中村小山三さんが元気に舞台に立っていらっしゃいます。フットワークの軽さに脱帽でございます。

しかも、稽古の時に昔の大道具はこうだった、とか本当によく覚えていらっしゃって、凄いです。

多分、このあと語り継がれる舞台になるであろう今月の松竹座の『瞼の母』。

必見です!



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2012年08月14日

夏の風物詩

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今年はちょっと早めの夏の恒例観劇となった、上方歌舞伎会。

今年も見応えありました。メンバーが若手中心になったのがちょっと寂しいところですが普段の公演では見られない役者さんの活躍が見れて、楽しみな公演です。

まずは、『傾城恋飛脚大和往来』から〜封印切〜

本公演では、坂田藤十郎さんのイメージが強くて成駒屋型が印象に残っているのですが、上方歌舞伎会では、松嶋屋三兄弟の皆さんが揃い踏みで指導に当たっていまして、松嶋屋型です。

まさに和事ですね〜。

仁三郎さんの忠兵衛は、上方和事にピッタリでした。松次郎さんの八右衛門は関西人の私としては、スッと入りやすかったです。身のこなし方、しゃべり方、大阪人が滲み出ていましたね。身近に感じすぎて、“歌舞伎”と“現代演劇”との境がないというか。。。現代にでもいそうな大阪商人の人物像の造形はとってもよかったと思いますが、“歌舞伎”となると、八右衛門ってかなり難役なんだと実感。

意外にハマリ役だったのが、當史弥さんの井筒屋おえん。花形の女形を演じて欲しいと思っていますが、老け女形もイケてました!そうして大阪の方の強み、世話物にぴったりの大阪弁の台詞。力が入らない中にもビシっと決めてくれて、色町の花車を体現してくれました。

次の〜新口村〜

忠兵衛と梅川は〜封印切〜とは違う配役ですが、私としては芝居の演出的にこの二つの演目って統一感がないので、違和感はありませんでした。

梅川の純弥さん、情の深さがにじみ出てました。梅川はどちらかと言えば下級遊女だと思うので、このくらいの情がないと説得力がありません。忠兵衛とひとつゴザにくるまった時の恍惚の表情は絶品です。そりゃ、女冥利につきますよ。自分の為に全てを犠牲にしてくれた男に愛されているという実感。女の誇りさえも見えてきそうなくらいのなんとも言えない表情でした。

そして、佑次郎さんの孫右衛門。朴訥としていましたね。孫右衛門と言えば、本公演では仁左衛門さんのイメージがありますが、孫右衛門はよく考えれば大和の田舎の農家の方ですから、洗練されていることはないんです。ちょっと鈍感なくらいの方が実は写実なんじゃないかと。そう思うと佑次郎さんの孫右衛門はまさに、その通り。

豪農ですから、身なりはキチンとしていると思いますが決して“こなれて”いてはダメだと思います。その点、佑次郎さんの孫右衛門は、田舎のお父さんでした。なるほどな〜と感心しました。実年齢よりも大分と老けた役なので、難しかったとは思いますが、これに説得力を持たせられるのは、物語、しいては歌舞伎の力でしょうか。

踊り三曲もよかったです。初めて観る舞踊でしたが、山村若さんの振り付けは大変興味深かったです。

最後は、指導に当たりました松嶋屋の御三人 我當さん、秀太郎さん、そして仁左衛門さん、山村若さん、出演者が一同に揃ってのご挨拶。これがあるので観劇日はいつも千穐楽の夜の部を観ます。

そして、締めは大阪締め。う〜ちましょ!ってやつ。もちろん掛け声は我當さんです。

もうこりゃ、お祭り気分での観劇で、もうちょっと日数があると嬉しいんですけど。。。

 



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2012年05月28日

女が惚れる女形

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カテゴリーは歌舞伎にしましたが、この方はそうゆう枠をもう超えてしまった役者という感じです。

その名は 坂東玉三郎丈

もう、“玉三郎”というジャンルを確立したと言っても過言ではないのしょうか。玉三郎丈が今月は南座で『ふるあめりかに袖はぬらさじ』を公演するということで、この屈指の名作の玉三郎丈を観なくては!と先日観劇に行ってきました。っていうかもう10日以上前ですが。。。

そして、公演は終わりましたが・・・。でも大丈夫。南座は只今玉三郎フェスティバルで、6月は玉三郎丈の特別舞踊公演があります。

http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kyoto/2012/06/post_31.html

さらに今月、来月と南座のロビーでは『玉三郎美の世界展』も行っていて、観劇時の休憩時間にざっとみただけでも生唾もんが続々展示されていました。これは観劇後にまた、ゆっくり・・・と思い、気づけば終演後小1時間は南座のロビーをウロウロして衣裳など喰いついてみてしまいました。。。

あ〜ここでもやっぱり不審人物な私。

さてさて、お芝居はというと、

劇の構成がさすがでした。その昔杉村春子丈が演じ、受け継がれてきた舞台とあって納得の堪能です。

おしゃべりで薹が立った芸者お園。冒頭だけでもすごいセリフ量でこれをすらすらと役の性根を見せつつ、また嫌味ないキャラクターに仕立てる玉三郎丈。

あっさりとした性格ながら、漂う色気はたまりません。舞台転換も少ないのに、長時間の上演時間があっという間に感じるのは玉三郎丈はもちろん実力派の役者によるのとともに、有吉佐和子さん原作の物語のテーマにもよるのかも知れません。

そして、うっとりして、見習いたい玉三郎丈の所作。佇まい。

         美しい

女である自分がうっとりして心奪われてしまうその姿は、玉三郎丈の鍛錬のたまものなのでしょう。

時折垣間見せる御茶目なお園。女優さんがやると共感を得られるかどうかあやういキャラクターを玉三郎丈は「喜劇」として消化して、それでいて物語が訴えかける女性への温かい眼差しをも表現してみせます。

横浜の遊女、亀遊が幕末の尊王攘夷思想に倣い、外国人に身請けされるのを嫌がり自害したという話は、実説として伝わっているとはいうものの、現在となっては噂の域を超えないようです。

しかし、有吉佐和子さんがテーマとしたのは、苦界に身を置く女の存在を世に伝える、といったことだったのではないか・・・と思いました。



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2012年05月27日

タナボタ観劇

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大阪松竹座の團菊祭五月大歌舞伎は今日で千穐楽ですが、今頃感想なぞを・・・。

いや、まぁ今月は色々とお出かけして観劇も出来たので、気持ち的にはリフレッシュ出来ているのではないかと思います。←ブログ更新をサボッた言い訳。。

さてさて、先日タナボタ的に観劇したのは團菊祭の夜の部の『高坏』から。そういや前回海老蔵丈を観たのは、去年の10月御園座の『棒しばり』でした。っていうか、これも松羽目物でさらにお酒がらみ!

え!?もしや意図的?なんて思ったり。松竹座の『高坏』は海老蔵丈がスットボケたキャラクターの次郎冠者を熱演。鋭い眼光がふにゃ〜となるところは奥様達のハートを鷲掴みでございます。客席は大ウケ。

そんなふにゃ〜となった次郎冠者が下駄を履いてのタップダンスさながらの軽快な踊りっぷりはさすがです。

本当に歌舞伎役者さんは器用だな〜と感心しきり。休みなしのぶっ通しの公演で、皆さん毎日当たり前のように完璧な芝居をみせる・・・。

そういえば、何かの本で読んだのですが波野久里子さんが「私たちが舞台に立つというのは、ご飯を食べたり歯磨きをするくらい日常的なこと」とおっしゃっていたそうです。

さもありなん

さてさて夜の部の最後は『ゆうれい貸屋』です。久しぶりに見る“生三津五郎丈”ええ。ええ。私のご贔屓役者さんでございます。

登場からして“生ふんどし”   テンション上がります(笑)いや、いや、市井に生きる人をリアルに表現してくれています。

時蔵丈演じる芸者の幽霊がとっても愛嬌があって、芝居にぐいぐい引き込まれました。時蔵丈の芸者って好きなんですよね。江戸のきっぷのいい姐さんって感じがにじみ出てキャラクターにドンピシャです。私の中で一番印象に残っているのが『名月八幡祭』だからかも知れません。

それから注目は片岡市蔵丈演じる幽霊又蔵。物語中重要な役いうか起承転結の“転”の部分を担う役柄です。ここは市蔵さんのようなせりふ回しがうまい役者でないと成り立たない場面で、物語に厚みを出してくれます。それでいて、重くないライトな雰囲気で世話物らしい肩の凝らないものにしてくれます。

ところで、こうゆう市井の人々を主人公にした生世話物はどうしても人情噺というか、落語から歌舞伎に移ったものという印象が強かったので、山本周五郎さんの原作であるという認識が薄かった私。

最後に思わず、「あれ?オチは?」なんて思ってしまいました(笑)

 



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2012年03月25日

渋い男にシビれます。

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今月は京都南座で歌舞伎公演秀山祭を行っています。

三代目中村又五郎丈、四代目中村歌昇丈の襲名披露公演です。“秀山”とは、初代中村吉右衛門の俳名。初代の芸を受け継ぐ縁の演目が並びます。

私はもちろん、初代の舞台は知りませんが、イメージとしては、『重厚』。本を読む限りだと折り目正しい人物だと想像出来ます。

得意な演目も、グッと胸に迫り、哲学がある演目が多いような気がします。今月は、その得意演目に当代、二代目中村吉右衛門丈が挑んでいます。

昼の部は、『熊谷陣屋』、夜の部は『俊寛』。

『熊谷陣屋』、主人公熊谷直実の登場からして、重厚で一種異様な緊張感を場内にもたらします。内に秘める悲壮感。喪失感。

根底に流れているテーマは、現代では考えられないことなので、どこまで観客が同化出来るか・・・。「戦」というもののあはれ。親が子を思う気持ち。時代背景が分からないとちょっと理解が出来ないんじゃないかと思いますので、そこはイヤホンとともに観劇いただくのをお勧めします。

淡々と進めて行く吉右衛門丈のせりふ廻し。う〜ん聞き取りにくいかも・・なんて勝手に思っていましたが、ラストを観れば納得。ここまで感情を抑えて演技して、最後の最後に感情をむき出しにする芝居の組み立て方。歌舞伎の型と言ってしまえばそれまでですが、芝居の緩急はやはり役者の腕、芸だと思います。

そして、何度も見ていた演目でしたが、初めてラストでの熊谷の行動を理解できました。

ドドンジャンジャン。遠寄せの鳴り物。合戦の様子を表す鳴り物が入り、熊谷は笠で顔を隠し、逃げるように立ち去って行きます。自分はもう武将ではないからといっても戦の音を聞くと、武将の心がよみがえる。そこには悲惨な自分の行いもよみがえるから。

それとともに、今回具体的に気づきました。

この戦での音は、つまり、自分が我が子を手にかけた時の様子を、鮮明に思い出してしまうから・・・なのではないか。だから、耳を塞ぎ逃げるように去ってゆく。

仏の修行をした人たちが悟ること。

 

「人間は悟ることが出来ないことを悟る」

 

心があるから、人間なんです。

熊谷陣屋は壮大な人間ドラマです。



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2011年12月20日

お江戸みやげ

書く!と言っておきながら、すっかり書いてなかった顔見世感想。

ひとまず『お江戸みやげ』

意外な三津五郎さんの女形。おばちゃん役やから、ええ感じ?

とっても分かりやすい演目なので、息抜きには最高。

お江戸に結城紬を売りに来た、お辻(三津五郎丈)とおゆう(翫雀丈)。夫に先立たれて、40代ど真ん中の二人は”色恋”にはとんと無縁。茶店で休んだ二人。今年は去年よりもよく売れてお辻は売上の勘定に余念がありません。一方、楽天家のおゆうは女中にお酒を頼んで、一杯始めます。

この茶店は、宮地芝居の芝居茶屋も兼ねていて、隣の芝居小屋から柝の音が聞こえてきます。宮地芝居は、官許として幕府公認の芝居茶屋ではなくて、地芝居で、引き幕が許されないいわば二流の芝居小屋です。

それでもお江戸にやってきたのだから、今人気の役者を観ようということになり、お辻とおゆうは芝居見物へ向かいます。ここで、阪東栄紫(愛之助丈)という役者に一目ぼれしたお辻。今人気絶頂の役者とあってまばゆいばかりです。お辻は普段はしまり屋ですが、お酒を呑むと気が大きくなる気性。おゆうにすすめられたお酒で、すっかり豪遊気分で、阪東栄紫を座敷に呼んでもらうことになります。ご祝儀だって、かなりのものになりますが、心配するおゆうをよそにお辻は弾むつもり。すっかりキャラクターが逆転です。

栄紫と二人っきりで差し向かいになれたお辻は、夢見心地です。手と手を握り合って感激しますが、栄紫には恋人お紺(梅枝)がおり、二人はお紺の養母の反対から夫婦になれないでいます。しかし、心から愛し合う二人。それを知ったお辻がとった行動とは・・・。

三津五郎さんと翫雀さんコンビが最高に面白いです。いや、この場合翫雀さんの方が勝っているかも。客席をグッと舞台にひきつけます。特にお酒を呑む仕草。翫雀さんのおゆうは、飲み方が女性です。三津五郎さんもお酒を呑むところがあるのですが、面白さをねらっているからか、ちょっと男っぽい呑み方で、「魚屋宗五郎」や落語の振りに通じますね。

私は、この芝居の一番重要なセリフは、お辻が言う

「馬鹿馬鹿しいって言えば、女が男に惚れること自体、馬鹿馬鹿しいことなのかも知れない」

これだと思います!この三津五郎さんの言い方が最高にグッときます。

なんで、女心分かるの?って思っちゃうくらい。

それと、この芝居のホッコリさを加えているのが、中村萬太郎くん演じる角兵衛獅子の兄です。

この素朴なセリフ回しで、あ〜いい芝居見たな〜って実感します。



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2011年11月30日

始まりましたよ〜!

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今年も、はやこの季節がやって参りました。

吉例京都南座の顔見世です。

毎年、毎年、イヤホンスタッフも京都に泊まり込みで解説制作を致します。京都ということで、この時期めちゃめちゃ寒かった・・・というのが例年の印象。ということで、マフラー、ダウンジャケット、ヒートテック、タイツ・・・と、防寒対策バッチリでしたが、

今年は、

暖かい。

昨日や今日なんか昼間は上着がいらなかったくらいです。。。。

さてさて、今年も南座の顔見世の演目は盛りだくさん。昼夜合わせて合計9本の演目ですよ。

昼の部は、10時30分開演で、終演が15時35分を予定。夜の部は16時15分開演で21時45分終演ですから、夜の部をご覧の方は帰りの電車のチェックを。

昼の部、幕開きは例年のごとく、吉例の我當さんをはじめとした上方勢出演の『寿曽我対面』。今年は南座新装開場二十周年記念ということで、演目の頭に「早や二十年もご贔屓の御愛顧あつき御言葉に當るを祝ふて」と、角書きがついています。題名の頭に角のようについているから角書きと言われます。大抵は二行なのですが、今回はチラシでは三行に渡っています。スペシャルバージョン?!

我當さん演じる工藤祐経が、高座に上がる前に挨拶をするところがあって、これは劇場にある櫓(江戸時代、官許の芝居小屋のみありました)と、そしてお客様へのご挨拶らしいのです。さらに今回は南座の新装開場二十周年記念の感謝の意味も込められているんじゃないかな〜と思っています。我當さんの工藤は格があって、それでいて敵役ではなくて全体を包み込むような見守る感じを醸し出しています。そして、これこそ『寿曽我対面』の工藤を演じる役者の性根なんだと思います。

とかく、敵役のイメージがついている工藤祐経ですが、『寿曽我対面』では、やはり座頭格の役者が演じる役ですから、ここは全体を見渡せる余裕のある感じが欲しいところ。この辺り、我當さんはピッタリ!

今まで、様式美としてなんとなく見ていた『対面』でしたが、実は役の性根を見据えてみると、心理劇としても楽しめるんじゃないかと感じました。

冒頭の大名たちのセリフなんて、現代のサラリーマンのつぶやきに通じる部分もありますし。。。。

って、まだ『対面』だけの感想です。。。

昼の部はオペレーターをしているので、この後

『お江戸みやげ』

『隅田川』

『与話情浮名横櫛』

これらの感想も書いてみたいと思っています。

ちなみに、『与話情浮名横櫛』、稽古で観ましたが、仁左衛門さんと菊五郎さんのコンビがええ感じにケミストリー起こしてますよ。



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2011年10月05日

はしゃぐ海老蔵さん

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見たくないですか? 大いにはしゃぐ市川海老蔵丈。

それなら、10月名古屋御園座の顔見世の夜の部がお勧めです。

それは『棒しばり』での太郎冠者!中心となる次郎冠者は三津五郎さんで、いっぱい海老蔵さんをノセてくれています。こうゆう舞踊の海老蔵さんはちょっと珍しいと思うのですが。。。

狂言を元にした演目で、お酒好きな太郎冠者と次郎冠者に困った大名が考えたのは、太郎冠者の手を縛ることと、次郎冠者の両手を棒に縛ること。安心して出かけて行った大名でしたが、それでもお酒が呑みたい二人はアノテコノテでついに酒蔵の酒を呑んで、乱痴気騒ぎと相成ります。

っていうか、お酒ネタOKですか?

と、勝手に心の中でヒヤヒヤしているのですが、まぁまぁまぁ。

もうね〜、三津五郎さんの可愛い次郎冠者に、負けずと大はしゃぎの海老蔵さんの太郎冠者。今まで二枚目のイメージが強かったので、ここまで大サービスのはしゃぎっぷりを見せられると、こっちまでノリノリです。

御園座のお客様も手拍子で応えます。

愛嬌たっぷりの海老蔵さんは、必見!!

夜の部は他に、『角力場』と『助六』です。

又五郎さんの襲名演目『角力場』には、中村吉右衛門さんが濡髪長五郎で出演。新又五郎さんの放駒長吉とのやりとりに格の高さを見せます。大阪相撲の最高位の大関、濡髪。関取というだけではなく、最高位の風格を漂わせ、単調な場面となるところをその芸の大きさで魅せます。これぞ人間国宝の芸。納得。

対する又五郎さんの長吉も、濡髪と対峙したときの心理描写が細かく、繊細な芸で、芝居を進めてゆきます。

新又五郎さんは、セリフ廻しの巧さにいつも感心させられます。新歌舞伎を見るとそのうまさはスグ分かります。いつもなんとなく段取り通りとしてみていた『角力場』でしたが、人間心理を突いたセリフの運びや仕草で濡髪と長吉のやりとりの深さが伝わってきました。役者が魅せる芝居なんですね。

そして、そして、ぜひとも必見なのが歌舞伎十八番『助六』です。成田屋大奮闘!!!

先月は大阪、今月は名古屋、来月は博多と團十郎さん、大忙しの中、今月は2時間の長丁場の芝居、『助六』の花川戸助六でございます。

今まで観た助六は、仁左衛門さん、三津五郎さん、海老蔵さん。そういえば團十郎さんの助六って初めて?かも。

全ての助六さん、かっこよかったですが、今回の團十郎さんの助六はなんつぅかどこか違います。家の芸への気迫というのでしょうか。責任というのでしょうか。

本家の成田屋が演じる『助六』は、この先何百年と受け継がれる芝居の大元となるお手本ですから、そのプレッシャーは計り知れないもの。一字一句、また動き1つ全て完璧でなければならないし、なんとなしに違う動きをしようものなら、それが”型”となってしまいます。

後世に「十二代目の助六は〜」という風に語り継がれるもの。

つまり、成田屋の助六を観るということは、これって歌舞伎の歴史のひとコマをまさにリアルタイムで私たちは目撃するってことなわけで。共演者もみなさん、その重みを理解しているんじゃないでしょうか。役者一人一人がそれを胸に刻んで演じているように思います。

まさに歌舞伎のチームワークと言えそうです。

それにしても、この芝居はまさに完璧ですね。どんなに面白いと言われる映画やドラマでも2時間の作品って、途中に中だるみがあったりするのですが(え?!私だけ?)『助六』は全然それがありません。道具が変わるわけでも、幕が引かれたりするわけでもないのに、ですよ!!

オペレートをしながら、いつもあっという間に2時間が過ぎてしまいます。芝居の構成、運び方に何かしら人を集中させる秘密があるように思うのですが・・・。いつかそれを紐解きたいです。



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