絵本日記:■『うたうしじみ』児島なおみ - livedoor Blog(ブログ)

2005年05月08日

■『うたうしじみ』児島なおみ

GW、潮干狩りなど楽しまれた方もいらっしゃるのでは?潮干狩りといえば「あさり」ですが、こちらはタイトルからもわかるように「しじみ」です。

しかも、しゃべります、泣きます、歌います(^^)。なかなか可愛い奴らです。

さて、そのしじみたちは、魔法使いのおばあさんに買われてきます。おばあさん、水を張ったボールの中でいびきをかいて寝ているしじみたちをみて、なんだか可哀想な気がしてきます。 とりあえず、食べるのは一晩延ばし、二晩延ばし、、、しているうちに、食べるに食べられなくなり、「海ではないところ」にいると知って泣くしじみたちに海まで送り届ける約束をします。そう、おばあさんにはそんなお金もないので、募金活動までする羽目に…

うたうしじみ
児島 なおみ
4033314105

普通、魔法使いといえば洋風に「スープ」かと思いますが、おばあさんは「お味噌汁」です。魔法使いとお味噌汁、もうそれだけで「くすっ」ときてしまいます。しかも、出汁をとるのにかつおぶしを削るという本格派。

…なのに、しじみが可哀想で、「実なしのみそ汁」になってしまうのです。そんなおばあさんには

「わしらはアホや」


「こんばんもまた、実なしのみそ汁じゃ」

なんて関西弁でしゃべる相棒の猫「トラジ」がいます。関西弁!こどもたちに読んであげつつ、「ワタシ結構関西弁のセリフ上手いやん」なんて思ったり。関西人のはしくれなんで当たり前の話なんですが、、。このトラジの関西弁が全体を通して効いていて楽しい。

もう空飛ぶホウキもボロボロで空を飛べず、汽車でしじみたちを送っていくというおばあさんにトラジは

「汽車!!うちには、そんなお金はありませんで。
それに、こいつらだって、ザッとかぞえて、100いじょうはおりますぜ。
そんな汽車賃、だれがはらうんですか」


なんていうんですよ。汽車賃、しじみもいるのね、、、(^^;)。

難航した募金活動もしじみたちの歌のストリートライブに救われ、一月ほどでなんとかお金もたまりました。そのうちに、すっかり仲良くなってしまったおばあさん・トラジとしじみたち。さぁ、別れられるのかな?

絵は鉛筆書きで黒一色。この黒一色の絵本、昔からの名作といわれる中にも何冊かありますが、実は私はあんまり得意じゃないんです、子供の時から。「こどもたちが心の中で自分なりの色をつけていく」イマジネーションの世界が広がるらしいのですが、そんな想像力とはかけ離れた子どもだったのでしょう、「なんでおかあさん、色の無い本なんか買ってきたんやろ」って思ってました。そして、今はそうした本を「いい本、いい本」と頭で言い聞かせて、子どもたちに読んでます。子どもたちはどう感じているのでしょう、私のようでなければいいけど、と ちょっと心の中を覗いてみたい気分です。

さて、この絵本も黒だけですが、鉛筆でさらさら、あっさりと描かれていて、またその絵が可愛いので、こちらはちっとも気になりません。大学時代の仲の良かった友達に絵が好きで、世間話をしていても、さらさら〜とノートにその世間話を絵にしつつ、おしゃべりを続ける子がいて、絵の雰囲気がその子の落書きに(ゴメンなさい)似ているのもあってか、大好きな絵本の一冊です。

子どもたちには「アンドレのぼうし」のほうが人気があるかも。私も甲乙付けがたく大好きです。是非、こちらも復刊してもらいたいものです。



しじみといえば…石垣りんさんのこんな詩も思い出しました。


しじみ 石垣りん

夜中に目をさました。

ゆうべ買ったシジミたちが 台所のすみで 口をあけて生きていた。

「夜が明けたら ドレモコレモ ミンナクッテヤル」

鬼ババの笑いを 私は笑った。

それから先は うっすら口をあけて 寝るよりほかに私の夜はなかった。


こちらは「鬼ババ」です(^^;)。逆説的にですが、やっぱり生きとし生けるものへの愛情がにじみ出た詩だと思います。
ehondiary at 07:19│Comments(3)TrackBack(1)日本の絵本 

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1. 「うたうしじみ」  [ 絵本だいすき ]   2005年10月21日 07:52
 うたうしじみ 作・絵:児島なおみ 出版社:偕成社 価格:¥1,050 しじみの絵本ってめずらしいなぁ・・と思い 図書館で借りてきました。 これが、とてもかわいくてやさしくて素敵な絵本です撚 「ある日、魔法使いは、夕食に食べようと  しじみをかってきました...

この記事へのコメント

1. Posted by みぃ   2005年05月10日 13:31
昨日、「潮干狩り行って来たから…」とお隣さんからアサリを頂きました。「で、あんたならどうするの?」と誰かに聞かれているような気分でした。しかも、「ちっちゃくてシジミみたいなんやけど…」なんてお隣さん。

塩水に入れて、泥を吐かせつつ、訳も無く凝視してしまいました。が、私は魔法使いのおばあさんでもなく、鬼ババでもなく、家族の胃袋をあずかる主婦なので、入れましたよ、鍋に。

そして みんなで おいしく いただきました^^;。
2. Posted by 山猫編集長   2005年05月12日 20:27
「うたうしじみ」というからには、しじみが歌うんですね!
面白いタイトルです。
復刊本なんですか?本の帯にも「まぼろしの〜」という文字も見えます。
みぃさんは、「アンドレのぼうし」というのも読んでいるんですね。この作者の方は、はじめて名前を聞く方です。
みぃさんの記事を読むと、ちょっと感覚的に日本人の童話というよりも、海外のメルヘンといった感じなんでしょうか?
魔女という設定が何となく自然な感じの印象ですね。(や)
3. Posted by みぃ   2005年05月13日 06:44
山猫編集長様。おはようございます。
コメントありがとうございます。

児島なおみさんは本の作者紹介によると、神奈川県葉山町生まれですが、その後幼少期をニューヨークで過ごし、テネシー州のサウスウエスタン大学を卒業、とのことです。

今は東京にいらっしゃるようですね。

でも、本の雰囲気はアメリカというよりパリっぽいように思います。…とどちらにも行ったことのない人がいうので、頼りない限りですが。

リブロポートから出ていたのが、今回偕成社から再刊されたそうです。

さすが、編集長さま!ホントに海外のメルヘンといったイメージかもしれません。どちらかというと女の子に受けがいい本のような気がします。

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