100万回生きたねこ


私の場合、最初は何とも思っていなかった人を
突然好きになるなんてことはあまりなくて、
ある程度の「なんかいいな」という土台がまず前提になる。
「ちょっといいな」「やっぱりいいな」「ぜんぶいいな」が
少しずつ更新されて、私の「好き」は
積み木のようにどんどん高くなっていく。

でも、積み木は高くなればなるほど不安定で、
ふとしたことでゆらゆら、ゆれる。
ゆれるのが怖くて、自分で崩してしまったこともあったし、
そのゆれに酔いながら、
どんどん高く積み上げてしまったこともあったっけ。

さて、今度は?

昔、佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』をすすめてくれた人がいた。
「本当に素敵な絵本なんだよ」って言われて、私もすぐに手に入れた。
でも、私はこの猫の気持ちがわかるほど大人ではなくて、
この本をすすめてくれた人の気持ちもまるでわからなかった。
子どもだったのだ。
そして、今でもやっぱり子どものまま。
いっしょに積み木を積み上げることもできず、独りよがりで。

どうせ崩れる積み木なら、あの人に思いきり崩されたい。