SONYと双璧のNATIONAL。
人気を完全に二分していましたね。
COUGARシリーズは一理ありました。
私の脳裏に焼き付いている特徴的なポイントは、ジャイロアンテナ。
あの、カリカリと音を立てて中波の電波を増強させるための指向性アンテナ。
格好いいですし、COUGARシリーズの象徴とも言えるシンボリックなアンテナです。

COUGARシリーズで最初にメジャーになったのは、なんといってもクーガー7ではないかと思います。

cougar7

















♪遠くの電波を聞きましょう~、ナショナルクーガーセブン~。
CMで流れたこのテーマソング、当時のBCL少年なら、この歌詞に容易に音符がつくはずです。
1973年12月、SONYのスカイセンサー5800に対抗して発売されたBCLラジオ。
コンセプトとしてはきわめておもしろい存在でした。
ミリタリーフェイスのデザインは、インパクトがあります。
そして独自のジャイロアンテナ。
本体の大きさがやや小柄なのも、BCLラジオのマニアックなイメージを払拭し、カジュアルなBCLラジオとして愛された由縁でしょう。
価格も18,500円と、ライバル機のスカイセンサー5800に比べて2,000円余りやすく、一万円台に抑えられているのは大きなアドバンテージ。
ただ、致命的なのはBCLラジオとしての性能です。
一方のスカイセンサーはメカニカルファインチューニングを搭載し、28Mhzまでのほぼフルバンドカバーであるのに対し、クーガー7は航空機の操作パネルに似せたデザインにこだわるあまり、チューニングダイヤルは見にくく、12Mhzまでのカバーと、BCLには物足りないメカとなってしまいました。
従って販売対象が全く異なっていたのです。
このクーガー7は、どちらかといえばあまり詳しくない、アマチュアラジオ愛好家や小中学生、主婦の間で人気を博しました。
それに対してスカイセンサー5800は、本物志向のマニアや、高校大学生に圧倒的な人気を得たのです。
BCLラジオとしては、スカイセンサー5800に対して明らかに実力がかなわなかったクーガー7だが、家電としてのラジオという観点からすると、むしろ売れに売れたのではないかと思われます。

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NATIONALのBCLラジオと言えば、クーガーシリーズの前はWorld Boyシリーズです。
SONYはWorld Zoneシリーズで、大きな本格的短波ラジオを次々と製造していく一方で、NATIONALは全く違ったコンセプトの、家庭用短波ラジオシリーズWorld Boyを主力としていくのです。
元々の流れの違いを知っておけば、SONYとNATIONALの造りの違いが飲み込めるはずですね。

先にも述べたように、クーガーシリーズで一番最初に有名になったのは、このクーガー7かもしれないですが、実はクーガシリーズの先輩が少し前に発売されているのです。
それは「吠えろクーガー」シリーズです。

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大きなスピーカーが特徴ですが、これといって何の特徴もない初代クーガー。
発売は1973年3月です。
価格は18,900円。
高くも安くもないし、ラジオと同じで何の特徴もないので、売れ行きは疑問です。
色が三色用意され、黒・赤・青・・・。
ただ、最近になって、この赤は人気があるようです。

888









やはり私も、吠えろクーガーシリーズと言えば、この赤をイメージします。
よく売れたかと言えばそれは疑問ですが、そんな中でもこの赤だけはそれなりの人気だそうですよ。
ですがやはり特徴のないBCLラジオは印象に薄い。
最初のクーガーのイメージは、やはりクーガー7のものですね。

しかし残念ながら、SONYのスカイセンサー5800のできが良すぎて、後発のクーガーがBCLラジオとして追いつきません。
そこで本格的使用に作り上げて発売されたのが、クーガー118(1180)です。

1180














クーガー7の発売後1年ほど経過した、1974年11月に発売されました。
どっしりとした受信機のイメージを作りましたが、42,000円という価格設定に、全くと言っていいほど売れませんでした。

118-2


















当時の42,000円って・・・。
今でさえ、あなたは果たして1台のラジオを買うのに、こんな大金出しますか?
答えはノーでしょう。
この失敗で、ますますスカイセンサー5800の独走を許す状態になるのです。

このままでは引き下がれないNATIONALが、ようやく脚光を浴びたのがクーガー115(1150)の発売です。

115




















ようやくこれでSONYと対等の勝負ができるようになった。
そんなイメージです。
それでも発売は1975年4月と、スカイセンサー5800から遅れること丸2年。
スカイセンサーとの明らかな違いはジャイロアンテナと大型スピーカーでしょうか。
もちろんファインチューニングも、スカイセンサーとは方式が違いますから、ダイヤルあわせはしやすいですね。
しかしその分価格もあまり抑えが効かず、26,900円。
スカイセンサー5800との価格差は6,000円あまり。
引き続きスカイセンサー5800とは苦しい勝負を繰り広げます。
しかしその半年後、SONYの歴史的BCL機、スカイセンサー5900が発表されるのです。
これには参ってしまいます。
一方はダイヤル直読、10Khz。
しかもダブルスーパーへテロダイン方式。
全く相手になりません。

そこでNATIONALが、社運をかけて発表したのが、クーガー2200。

rf2200
















スカイセンサーと同じくクリスタルマーカーを搭載し、ダイヤル直読を実現。
ダブルスーパーへテロダイン方式に、今までおなじみのジャイロアンテナ搭載。
そして単なるBCLラジオ単体の発売ではなく、「シャック」としてBCLラックを基盤として、周辺機器を備えて一斉発表。
マニアの心をくすぶるパックを一斉に発売したのです。

2200




















このクーガー2200を発表したのが1976年6月。
価格の34,800円が多少ネックでしたが、このころの少年たちは、どこからか購入資金を調達し、必ずほしいラジオを手に入れるのでした。

おそらくここまで(1976年頃)が、アナログ戦争のピークであり、終焉でもありましょう。
なぜならスカイセンサーは5900,クーガーもこの2200以降、新製品は発表されなかったからです。
一方でBCLラジオ戦争は過激の一途を続け、これ以降は「デジタルカウンター」戦争へと突入していくわけです。
残念ながら、私もそのデジタルカウンター戦争の突入と同時に、BCL最前線から遠ざかっていったように思います。

さて、NATIONALのクーガーシリーズは、ここで紹介したものだけでなく、全くコンセプトの異なる他機種もいくつかありますから紹介しておきましょう。

まずはクーガー113(1130)。

113











1975年7月頃発売、23,800円。
格好いいですが、受信機としての評価はイマイチ。

次にクーガー118D(1188)。

118D












1976年1月発売、43,800円。
言わずと知れた、クーガー118の改良版。
価格が高くて売れなかったのに、恥の上塗りのように発売された機種。
たぶん開発者の意地があったのでしょうが、あえなく敗退。

クーガー101(1010)。

101




















1976年5月発売、21,000円。
やや小ぶりなクーガー。
何を意識して作られたのかがわかりにくい一品。
ほとんど騒がれることなく、1ヶ月後に2200発売。

この後、NATIONALは完全にデジタル路線に入っていきます。
PROCEEDシリーズです。
もちろんそれに対抗して、SONYもデジタルラジオを発売するのですが、価格でNATIONALに遙かに分があり、そこまでのアナログ路線での負けを、デジタル路線でリベンジした形になりました。

いずれにしても、SONYとNATIONALの熾烈なBCLラジオ戦争は、電機メーカーの意地とプライドを垣間見ましたし、その熾烈な開発戦争の傍らで私たちラジオ少年たちは、ダイヤルさばきにひたむきに取り組んだものでした。
それぞれのメーカーに優劣をつけること自体、今となっては馬鹿げていて、双方に大きな拍手を送りたい気持ちでいるのは私だけではないでしょう。


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