この本のP129にこんな記述があります。
基本的にどのような画面でも表示できますが、AppleのHIGでは、アプリケーションが起動後最初に表示する画面に似せた画面を表示することを推奨しています。つまり、バーなどのアプリケーションの最初の画面を構成するUIのみ配置し、コンテンツは空白になっている画面です。これは、「既に起動している」「すぐに使える」という印象を与えるためです。これにより、ユーザーが違和感なく、自然にアプリケーション画面に移行することができます。
今現在、日本語訳のヒューマンインタフェースガイドラインを見つけることができないのですが、英語版ではこの部分のことだと思います。
Design a launch screen that’s nearly identical to the first screen of your app. If you include elements that look different when the app finishes launching, people can experience an unpleasant flash between the launch screen and the first screen of the app.
が、私はこのアップルの方針に対して真逆の意見を持っています。
先の書籍の後段部分はこの書籍の著者の解釈でアップルの意見ではないかもしれませんが、一応アップルの指針だと考えて反論します。
「すぐ使える」と思っても実際にはボタンなどはダミーで使用することはできません。つまりすぐ使えるように錯覚させているだけです。そのため、使えると誤認してボタンなどをタップして操作しようとしても操作できずにかえって不快感をあおるだけだと思います。
例えれば売店などで開店時刻前に店員さんが目の前にいるので話しかけても店員さんはなんの反応もしてくれない。時刻になってようやくそれまでの会話はまったくなかったことにして「いらっしゃいませ」と一から応対を始めるようなものだと思います。店員がいなくて、「準備中」と書かれている札が置いてあるだけであれば、「ああ、まだ開店していないんだな」と待つ気になりますが、すでに店員がいて話しかけても無視している状態のほうがよほど腹が立つのではないでしょうか?
アプリの起動には時間がかかるというのは多くの現代人はパソコンであれ、家電であれ慣れていることと思います。起動中ですよと認識可能な画面を表示しておけば、「起動中で今少し待たないと操作できないんだな」と誰でもが認識してもらえると思います。「起動済みで操作できそうに見えるけど実際には操作できない」のとどちらがユーザーにとって「待たされている」感があるのでしょうか?
実際にアップルの作成するアプリでは「ミュージック」がそうです。一度起動したあと、他のアプリの使用状況次第ではアプリのUI自体は終了してしまっていることがあります。この場合でもアプリ終了時のUIを表示しています。なので、起動後タップして操作しようとしても何の反応もしません。あれ?と思い何回かタップする間に起動しますが、その状況次第では先ほどタップした指の位置に別の機能がくることがあり、意図したのとは違う動作をしてしまいます。そして慌てて中断して元の画面に戻り、最初にやりたかった操作をやり直すという二度手間を繰り返すことになります。なので今では起動後数秒待ってこれはダミー画面ではないと確信が持てるようになってから操作するようになりました。ダミー画面かどうかは容易には判別できないので、時には実際に操作可能な画面が始めから起動していることもあるのでしょうが、その場合には数秒の待ち時間が無駄になっています。
アップルは数々のユーザー体験について先進的で有効な考え方を示してくれています。ガイドラインに従ってアプリ開発することがユーザーにとってよいアプリになる可能性が高いことは間違いないことでしょう。が、この件に関しては従う予定はありません。
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