まずは海外フォーラムの反応記事を、
その次に管理人がいとこ婚について調べた内容について書いていきます


1.海外アニメフォーラムの反応


エルフェンリート 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
エルフェンリート 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)


海外でも評価の高いアニメ・エルフェンリートですが、ヒロインの一人が主人公の従姉妹であることが議論を呼んでいるようです。
海外アニメフォーラムの作品紹介ページのユカの記述では、いとこ同士の恋愛は必ずしもタブーではなく、日本では結婚も可能であると説明されています。



以下、海外の反応



・俺はさっきエルフェンリートを見終わったばかりなんだが、一つだけ疑問が
ある。
コウタとユカはいとこ同士のはずなのにそれ以上の関係のように見える。そんなことありうるのか?
日本ではいとこ同士の恋愛が許容されているのか?それともこのアニメだけの話なのか
(スウェーデン)



・多くの国ではいとこ婚は禁止されていないよ。あまり推奨されてはいないと思うけど。
(カナダ)


・日本ではいとこ同士の恋愛がタブーではないんじゃないかな?


・↑マジで?そんなの考えもしなかったよ。
どこの国でもいとこ同士の結婚はタブーだと思ってたよ。


・らぶひなみたいな血の繋がっていない従姉妹なのかと思ってた


・hmmmノルウェーではいとこで結婚できるけど、そういう人はほとんどいないな。禁止されてはいないけど、想像するとかなり気持ち悪い。
(ノルウェー)


・いとこ同士の結婚を禁止してタブー視しているのはアメリカくらいであとはだいたい許容されているよ。


そうだね、今はあまりないけど、昔は貴族の間ではよく親族内で結婚してたんだ。


・たしかにいとこ同士でキスしてるのは気持ち悪かったけど、
その前に読んだ本にエジプトのファラオが兄妹で結婚していたと書いてあった方が嫌だった


・その人の出自によるんだろう。
俺の友達と一緒にみてたんだけどあのシーンをみておもしろいくらい驚いていた。


・私もいとこ同士であんなことしてるの見て困惑したから調べてみたけど、ほとんどの国ではいとこ同士のロマンスはタブーではないとわかった。でもアメリカではなぜか


・俺もはじめてみたときはどうしたんだ?と思ったけど、日本ではおかしくないんだな。


・愛があるなら遺伝子なんて何の障害にもならない!。


・いとこ同士の結婚を許容している国は意外と多いよ。

オーストラリア
ニュージーランド
すべてのヨーロッパ
ロシア
カナダ
メキシコ
その他すべての南米
ヴァージニア、フロリダ、ニューヨーク、カリフォルニア、ノースカロライナ、サウスカロライナ、その他もろもろ


・↑(ヴァージニア州)それは知らなかったよ。でも残念ながら僕の従姉妹はみんなブサイクなんだ


・↑カリフォルニアではゲイの結婚は禁止してるんだぜ。なぜいとこはよくてゲイはだめなんだ。こんなの間違ってる。
法廷闘争になったら誰か主張してくれないかな。




他にも色々といとこ同士の結婚について語るフォーラムがありましたが、

そこで挙げられている意見は主に


・本人たちがしたいなら問題ないんじゃないの?
・気持ち悪いから嫌だ。
・障害を持った子供が生まれやすいからやめた方がいい


の3つの立場があったように思います。
地域差もあるのでしょうが、特にアメリカではいとこ同士の結婚についてはタブーだという感覚が他国より強いように感じました。


※この部分は2010年に書かれた記事を再登校したものです。






2.本当に西洋ではいとこ同士の恋愛・結婚は嫌悪されているのか



さて、ここからは管理人自身の知見による、海外(特に西洋)におけるいとこ同士の結婚への認識を解説していきます。


よく誤解されていますが、いとこ同士の結婚を許可している国は珍しくありません
たまたま日本が中国、韓国、アメリカ、フィリピン等、禁止している国に囲まれているので世界的には禁止の風潮が強いようなイメージがもたれているだけです

英語版Wikipediaのいとこ婚の記事にはいとこ婚を許可している国を色分けした画像がありますが(青が結婚可、赤が禁止、茶は条件付きで許可、無色は不明)、それによるといとこ同士の結婚を禁止している国の方がむしろ少数派です


具体的に西洋におけるいとこ婚文化を見ていくとします


まず第一に、アメリカではいとこ婚への忌避感はかなり強いということは言えるでしょう。
半数の州で法的に禁止されているだけでなく、刑事罰が課される州もあるといいます。
テレビドラマや映画などでもいとこ同士の性的関係は忌むべきものとして描かれます。任天堂の「ファイアーエムブレム 覚醒」北米版では、日本版にはあった、いとこ同士で結婚できるシステムがなくなりました。


これはアメリカという国の成り立ちが関わっていると推測します。
アメリカは性的規範が緩い国というイメージがありますが、元は清教徒の国だけあって、根底にある規範は極めて厳格です。その規範が塗り替えられて現在のアメリカがあるわけですが、塗り替えられなかった部分についての性規範は厳格なまま残っており、近親交配の禁止についてもその一つです。例え幼児でも娘と父は一緒に風呂には入りません。

とはいえ、ではアメリカ全土で完全に拒絶されているかといえばそう単純でもなく、

例えばアメリカの名作小説「風と共に去りぬ』」ではいとこ同士で結婚し恋愛する一族の悲哀が描かれますし、
特に南部ではいとこ婚の習慣があるらしく、そのことを取り上げたエスニック・ジョークもあるようです。



You might be a redneck if you go to your family reunions looking for a date.

デートの相手を探すために親族の集まりに行くようなヤツはredneckだろう。
(南部では従兄弟同士の結婚もよくあります)

You might be a redneck if you think the theory of relativity has something to do with inbreeding.

相対性理論が近親交配に関するものだと思ってるヤツはredneckだろう。
(relativity「相対性」とrelative「身内、親戚」を勘違いしてる、というオチです)
http://www.eigotown.com/eigocollege/marie_english/backnumber/marie_english16.shtml
(Redneck=南部の住人に対する蔑称)



ちなみに、英語の「cousin」はイトコという意味ですが、広義ではハトコなど、「いとこ筋」の親戚を指す単語でもあるので、cousin marriageといった場合はいとこ婚だけでなく、「親類婚」まで含む場合もあります。




次にヨーロッパですが、文化人類学の本を読むと、ヨーロッパではいとこ婚はほぼありえないかのような印象を受けます。
しかし、当然ながらヨーロッパも一枚岩ではありません。

地域によっては日本よりも頻繁にいとこ婚をしていた国もあります。





他には、文学作品から例を挙げましょう。フランスのノーベル賞作家のジッドの代表作「狭き門」(1909年)では、いとこ同士の恋愛と失恋が描かれますが、同作中、親族の誰もいとこ婚を嫌う様子は見せず、むしろ二人の婚姻を勧めています。ジッド自身も従妹と結婚しました。(同性愛者の偽装婚だという説もありますが)
同様に、フランスの代表的な戯曲であるシラノ・ドベルジュラックはいとこに片思いする男の話です。


イギリスでもテレビドラマ「きんぽうげ」はいとこ同士の触れ合いが描かれておりますし、ディケンズの「荒涼館」にも従妹に恋する男が出てきます。何より有名なのは「ロミオとジュリエット」でしょう。ジュリエットは劇中で従兄のパリスと結婚させられそうになります。


こうしてみると、日本はかなりイトコ婚に寛容な文化であることは確かですが、
西洋が必ずしもイトコ婚を完全に拒絶する文化ではないということは言えると思います。
地域、階級、時代などによっても違うということは押さえておく必要があるでしょう。

西洋以外でも例えば東南アジアではベトナムではイトコ同士の性交渉は刑事罰を受けますが、タイでは合法で国王もいとこと結婚していたり、近隣国同士でも大きく違います。



おそらく、現代の西洋でイトコ婚のイメージが悪いのは、西洋にとっての重大問題である中東でいとこ婚が極めて広く行われており、人権の抑圧されている国家や発展途上な国で行われる慣習というイメージが強いのでしょう。
実際、私の見立てでは、部族による地域共同体の支配が強い地域でイトコ婚が多いということは言えると思います。(上の画像のイタリア南部はマフィアの巣窟で有名なシチリア半島が含まれています。)

日本でも、1983年の厚生省の統計調査によると、最もいとこ婚が少なかったのが北海道の旭川市で、最も多かったのが五島列島の福江市です。開拓地である北海道で低く、島で多いということからも、地域共同体が強いところほどいとこ婚の比率が上がるということは言えると思います。






ちなみに、文化人類学で定番の交差いとこ婚並行いとこ婚という分類ですが、これ、日本には全くあてはまらないような気がするんですが、どうでしょう