トランスフォーマー

2007年11月15日

 予告編を観て「ターミネーター2」以来の興奮!心も体もトランス状態!!と胸ワクワクだったが、監督がマイケル・ベイなのでヤな予感…そして不安はやはり的中(ガクッ)。製作総指揮のスピルバーグは雑誌のインタビューで「僕以外の監督でも、自分が手掛けた場合と大差ないクオリティで仕上げられる作品」と意味深に語っていたが、観終わって彼の本心がよ〜くわかった。

「俺もトランフォーマーのフィギュアが好きで、車がロボットに変身する映画は観てみたい。でも自分で監督する気はない。「宇宙戦争」で失敗したからコリゴリだ!どうせ作ってもロボット宇宙人の話じゃ「アルマゲドン」のレベルにしか仕上がらないから、マイケル・ベイにでもやらせるか…俺には「未知との遭遇」と「E.T.」があるぜよ!」
 実際これは映画というより、CMである。見どころは、ワンカットでの高速変身シーンのみ!マイケル曰く「観客の目をごまかしたくない」とか。しかしそれ以外はヤツの悪いクセのみが出て、CFもどきの短いカット割りと近距離からのブレまくりのカメラワークで、善悪のロボットがどう戦い人間とエイリアンがどう攻防を繰り広げているのか把握できず、どんどん観客を置き去りにしていく。
 好意的な見方をすれば、巨大ロボット同士のバトルを実写化することは一種のロマンともいえる。もともと欧米のロボットの概念は、ルックスは似ていても人間との違いに悩む等身大のヒト型タイプである。なので日本的メカバトル企画をアメリカで実現させたことは、英断である。バカバカしさも究めればアートになるというべきか。でも致命的なのは、肝心のストーリーが日本製のどのロボットアニメよりもつまらないこと!「鉄人28号」「マジンガーZ」「ガンダム」に遠く及ばない。エヴァのように自分探しをしろとは言わないが、登場ロボたちのキャラや性格を、敵も含めてきちんと描けっつーの、堕マイケル!!



山本 正樹/青森県
元TV番組制作ディレクター。映画との出会いは遅く、高校2年の時に「ディア・ハンター」「ミッドナイト・エクスプレス」「エイリアン」「地獄の黙示録」と全盛時代のアメリカ映画を70年代ギリギリにリアルタイムで観て大ショック!以後、映画監督を目指して上京し数々の映画番組を制作するが、再び故郷に戻るはめに…。


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