ジュリー&ジュリア

2010年02月05日

 メリル・ストリープ。個人的には決して好きな女優ではないのだが、やはり、とんでもなく上手い。

今回、彼女は伝説的な料理研究家ジュリア・チャイルドに扮するのだが、本人を「完コピ」したと思われる甲高く特徴的な話し方が些か鼻につくと感じるのも束の間、開巻10分もすれば、ジュリア・チャイルドの魅力の虜にならずにはいられない。
 メリル・ストリープ扮するジュリア。そして、ジュリアの524のレシピを1年間で作ることをブログで公約してしまった、エイミー・アダムス扮するジュリー。50年のときを隔てた二人の物語が並行して描かれるこの『ジュリー&ジュリア』、二人の共演シーンはないけれど、主演女優二人の好演によりなかなか面白い映画になっていた。二人ともすばらしいコメディエンヌだ。このところパッとしなかった監督ノーラ・エフロンにしても久々に手応えのある映画だったのでは?
 ジュリアと、ジュリアを敬愛するジュリー、時制の異なるそれぞれの物語が並行して描かれるコンセプト自体も面白いと思う。しかしながら、ジュリーとジュリアの二つの原作を無理矢理束ねた感があり、ジュリーの物語が先行するジュリアの物語に影響されているのは当然であるとしても、ジュリアの物語とジュリーの物語とが有機的に結びつき合って展開するわけではないこと、そして、物語の主人公が変わる「接ぎ目」となるショットが決して必然性のあるショットでないこともまた、些か映画的思慮に欠けると言えなくもない。
 とは言え、見ている間微笑が止まらない、愛すべき映画であることは間違いがない。

根岸 史/千葉県
28歳会社員。幼少期に親戚の影響で映画を見始め、最初にはまったのはチャップリン。以後、北関東の片田舎でレンタルビデオとBS2によりクラシック映画の素養を深める。時代を問わずアメリカ映画を愛する。最も好きな監督はウディ・アレン。大学時代の卒論テーマはフィルム・ノワール。  

 
 
 

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