チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密

2015年02月07日

 ジョニー・デップがまたもクセものキャラに扮したアクション・アドベンチャー。今回のキャラクターは英国の画商にして小説家、キリル・ボンフィリオリ氏が生み出したチャーリー・モルデカイだ。

 芸術品に食に女性、何でも最上級のものを愛する蘊蓄屋。英国上流階級の生まれだが、堅実とはほど遠い暮らしぶりが災いしてか、いつも家計は火の車。アート・ディーラーとして、成金相手に価値のあやしげな品を言葉巧みに売りつけては自転車操業で暮らしを維持しているような男である。忠実で屈強な従者兼用心棒ジョック(ポール・ベタニー)の働きで、常にぎりぎりでピンチをのりきっている。
 愛妻ジョアンナ(グウィネス・パルトロー)は、大学時代からの付き合い。同じく大学の同窓、現在はMI5幹部となっているマートランド(ユアン・マクレガー)が自分にずっと憧れていることを手玉に取るような小悪魔ぶりは、時にチャーリーをやきもきさせる。
 以上が主人公周りのキャラクターで、なかなか楽しそうなチーム編成なのだが、ポール・ベタニー、ユアン・マクレガーと英国出身の役者が演じるキャラクターに比べ、肝心のモルデカイ夫妻がちっとも英国上流階級の人に見えないのが何とも残念・・・。チャーリーは何かにつけアメリカを見下すような発言をするのだが、あなたたち夫婦どう見てもアメリカ人でしょ、そのギャグすべってますよとつっこみたく。個人的に、スティーブ・クーガンあたり、チャーリーやってくれませんかと思う。
 ギャグでいうと、チャーリーは口ひげをたくわえたばかりでそれを自慢に思っているのだが、ジョアンナは口ひげアレルギーで、近づくとえづいてしまうという小ネタが繰り返されるのだが、これも何だか品がなく、いい加減飽きてくる。何度も主人に撃たれるジョック、異常に女に手の早いジョック、このリピートはまあ合格なんだが、全体にベタ過ぎる感じは、これでいいのだろうかと首をひねってしまうところあり。主人公周りのキャラクターに比べ、敵キャラクターの描きこみが雑なのも残念至極。と、全体的に何だか安物くさい。
 原作小説もシリーズもののようだし、シリーズ化を狙っているのだろうか。おなじみクセものメンバーで送る、ご陽気アクション・アドベンチャーなんて、楽しいことうけあいの骨組みなんだから、もう少しちゃんとやろうよ、と言いたくなってしまうのだった。

HC/神奈川県
年間鑑賞本数170本。生涯のベスト1は17歳で観た「恋する惑星」。都会の孤独を映し出す作品に非常なシンパシーを感じる。劇場公開時に必ず足を運ぶ監督はフランソワ・オゾン、塚本晋也。男優の魅力を感じるのは困惑する表情、女優の魅力を感じるのは不機嫌な表情。



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