マジック・イン・ムーンライト

2015年04月13日

  今年の(というぐらいコンスタントでもはや年中行事!)ウディ・アレンは、昨年の苦ーく現実を見つめた「ブルージャスミン」とはがらっと趣を変え、マジックをテーマにしたロマンティック・コメディ。主演は英国の堅実派コリン・ファースに、元気印アメリカ娘エマ・ストーン。

 主人公スタンリー(ファース)は、「謎の東洋人魔術師ウェイ・リン・スー」として人気を博しているマジシャン。ある日、マジシャン仲間のハワードから、知り合いの大富豪をたぶらかしている占い師のトリックを見破ってほしいと依頼を受ける。
 オカルト・超能力など全く信じない筋金入りの現実主義者スタンリーは、打倒!詐欺師とばかりに南仏コート・ダジュールの富豪の別荘を訪れる。そこで出会った件の占い師ソフィ(ストーン)は、意外や天真爛漫で人なつこいチャーミングな女性。素性を隠したスタンリーの本職を言い当てたり、交霊会でもまったく見破れない奇跡をいくつも起こしてみせる。すっかり対決に敗れた形のスタンリーだが、今までの人生観が覆り、この世の未知なる可能性に触れてこのうえない幸福を感じるのだった。幸せな気分のまま、ソフィに恋心さえ抱くようになってしまったスタンリーとソフィの恋の行方は・・・。
 1928年という時代設定は、「ミッドナイト・イン・パリ」、「ギター弾きの恋」、「カイロの紫のバラ」「ブロードウェイと銃弾」などなどにも共通していて、本当にこの時代が監督は大好きなのだなあ。そして私もこの頃のアール・デコファッションには目がないので、眼福、眼福。キュートなヘッドアクセサリーにしめつけ感少なめの直線的なデザインのドレスの数々は、小さな顔に大きな瞳、細長い手足のエマ・ストーンが着ると、反則ものの可愛さ!
 コリン・ファースは、まあ何だかいつもこんな格好をしているような感じでインパクトには欠けるのだが、ラスト、毒舌まみれの愛の告白、という新手の芸を見せ、これがまたキュート。
 非科学・オカルト・・・、現実に存在しないのは重々承知ですけど、でも人の幸せって、魔法みたいなものの向こうに見えたりするんだよね、というリアリズムとロマンチズムの間を漂うような結末が温かい。ロマンティック・コメディって、やっぱりいいものです。

HC/神奈川県
年間鑑賞本数170本。生涯のベスト1は17歳で観た「恋する惑星」。都会の孤独を映し出す作品に非常なシンパシーを感じる。劇場公開時に必ず足を運ぶ監督はフランソワ・オゾン、塚本晋也。男優の魅力を感じるのは困惑する表情、女優の魅力を感じるのは不機嫌な表情。



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