イタリアは呼んでいる

2015年05月01日

  スティーブ・クーガン、ロブ・ブライドン、英国コメディアンの仲良し2人組による、美食巡りのイタリア旅行記。役名もスティーブにロブと、限りなく本人に近いキャラクターを思わせるところも面白い。

 スティーブとロブの元に某媒体からグルメ記事の依頼が舞い込む。数年前に2人が担当したイギリス湖水地方を巡る記事が好評だったようで(どうやらこれを描いたテレビ映画も実際にある模様)、今回はイタリア半島西岸を縦断する企画だ。
 黒のミニクーパー コンバーチブルをレンタルし、ピエモンテ州からリグーリア、トスカーナ、ローマ、ナポリ、カプリ島に至る5泊6日の旅は、美食もさることながら、美しい眺望と雰囲気抜群のホテルも素晴らしく、羨ましい限り。
 しかし、この映画の醍醐味は、目にも美味しい料理でも、ホテルの素敵さでもなく、2人のショービズ界を皮肉る毒舌の数々とモノマネ合戦!マイケル・ケインの演技を絶賛しているかと思いきや、モノマネのコツは「基本ヨーデル」とか、失礼極まりなし。「ダークナイト・ライジング」つながりでは、クリスチャン・ベールは常に舌が上あごについているもごもご喋り、トム・ハーディはマスク取っても台詞が聞き取れない、と言いたい放題。他にもヒュー・グラント(ロブの十八番)にウディ・アレン、アル・パチーノ、マーロン・ブランド(パンを口に詰め込みまくるのはお約束)、デ・ニーロ、ボギーと、モノマネなしの素でしゃべってる時間の方が少ないほどの勢いで繰り出される。
 こんなおっさん、旅の相方だったら正直うっとうしいぐらいなのだけど、そこはもう2人ともなのでお互い様。ショービズ界でこつこつ実績を積み上げている2人ではあるが、やはり中年の悩みも相当にはあるわけで。似た境遇と悩みを持つ者同士、子どものようにじゃれ合って命の洗濯をしている様が何とも微笑ましい。
 あー楽しかった、旅の友は大事にしよう、としみじみ思える、軽やかなロードムービーだ。

HC/神奈川県
年間鑑賞本数170本。生涯のベスト1は17歳で観た「恋する惑星」。都会の孤独を映し出す作品に非常なシンパシーを感じる。劇場公開時に必ず足を運ぶ監督はフランソワ・オゾン、塚本晋也。男優の魅力を感じるのは困惑する表情、女優の魅力を感じるのは不機嫌な表情。




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