グッド・ストライプス

2015年05月30日

 文化系女子の緑(菊池亜希子)と優柔不断おぼっちゃまの真生(中島歩)。交際4年のマンネリカップルに訪れた、できちゃった結婚の顛末。メガフォンをとったのは、自身も脚本執筆中に結婚を経験した、30代女性監督、岨手由貴子氏。

 一緒にいるのが当たり前、幸せラブラブな日々を過ぎた2人に降ってわいた妊娠の事実。来たるべき出産の日に向けて、結婚準備も進めていくことになるのだが、緑は家族と決して仲が良くなく、真生の両親は離婚して父には20年近く会っていない。少しずつ、家族との距離を取り戻すことから始めていく内に、ちょっとロマンティックな瞬間がポツリ、ポツリと訪れて・・・・。
 親族や周囲に大々的にお披露目するタイプの結婚は、今やすっかり影をひそめ、いつの間にか入籍していましたタイプの結婚が主流をなしている昨今の事情をリアルに描いたストーリーには好感度大。それでも、籍を入れるということは、今まで他人だった家族と家族がつながりをもつようになるということであり、付き合っている当人同士ですら知らなかったようなそれぞれの歴史やルーツを探る過程はわくわく、どきどきの連続だ。
 結婚の良さって、きっとキラキラ華やかな式典にあるのではなく、インクが水に落ちて滲んでいくような人間関係の広がりにあるのだな、と、丁寧なエピソードの積み重ねにくすっと笑ったり、身につまされたりしながら、しみじみ思える。
 自分もこのまま。相手もそのまま。素晴らしき平行線をたどっていこう、というのがタイトル「グッド・ストライプス」の真意とか。変わらない自分自身があること、というのは、夫・妻になっても、父親・母親になっても、毎日を見失わずに生きるうえで、基本中の基本。
 気負わない演技で、あまり笑わないけど幸せを体現した主演2人をはじめ、臼田あさ美(文化系女子、はまる!)ら絶妙な周囲のキャラクターを好演した俳優陣も素敵です。

HC/神奈川県
年間鑑賞本数170本。生涯のベスト1は17歳で観た「恋する惑星」。都会の孤独を映し出す作品に非常なシンパシーを感じる。劇場公開時に必ず足を運ぶ監督はフランソワ・オゾン、塚本晋也。男優の魅力を感じるのは困惑する表情、女優の魅力を感じるのは不機嫌な表情。





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