第540話゛LV6 無限地獄〟より
インペルダウンから脱獄する際、イワンコフが言及したクロコダイルの弱み…
現在(単行本102巻)も、それが明かされないため、様々な憶測を呼んでいる。
・イワンコフが握る弱みから、ホルモン(性別)に関係する?
・白ひげとの確執から、彼との間に何かあった?
などがネット上で散見されるが、私は原作『ピーター・パン』からの切り口だけ提示したい。
1.恐怖の船長
ディズニー作品ではコミカルに描かれるフックだが、原作では「゛海の料理番〟とも呼ばれた大海賊ジョン・シルバーが恐れた唯一の男」とその恐ろしさが前面に出されている。
※ジョン・シルバーは、小説『宝島』に登場する義足の海賊。過去ブログ参照。
手下の海賊スカイライツは、その鉤で一閃された。
スカイライツはぶざまによろめいてフックにぶつかり、フックのレースのカラーをくしゃくしゃにしてしまいます。鉄鉤がさっと前に伸び、何かが引き裂かれる音がして、悲鳴が一つ。それから、死体がわきに蹴られます。海賊たちはそのまま通り過ぎます。フックは口から葉巻をとりさえしません。クロコダイルも葉巻を常にくわえ、「任務を遂行しなかった」社員をフックで切り捨てる残忍さを見せた。
ジェームズ・M・バリー 著 大久保寛 訳『ピーター・パンとウェンディ』新潮文庫、2015、P100~101より
第203話〝ワニっぽい〟より
2.フックの出で立ち
原作『ピーター・パン』のフック船長の容姿は、次のように描かれている。
体は骸骨のようにやせこけ、顔は浅黒く、長く伸ばした髪はカールさせていましたが、少し離れてみると、黒いロウソクのように見えました。そのせいで、元々はハンサムなのに、異様に恐ろしい顔に見えるのでした。<中略>
不屈の勇気を持つ男、ジェームズ・フックがただ一つ怖いのは自分の血を見ることだけだ、と言われていました。その血は濃く、異常な色をしていたのです。服装については、どことなくチャールズ二世を連想させるような衣装を身につけていました。海賊を始めた頃、あの不運なステュアート家の王様に妙に似ていると言われたからです。
同上書、2015、P99-100より
ステュアート家とは、スコットランド王の王家で17世紀にイングランド王も兼ねた。
しかしこの王家は、ピューリタン革命で王が処刑され、王政復古後も名誉革命で国王追放の憂き目にあった。※チャールズ二世は復古時の王で、その弟が名誉革命で追放された。
↑並べてみると、ディズニー版フックの服装と似ている!
フックは海賊をはじめたとき、ステュアート家の王に似ていると言われた…
クロコダイルは、ルーキー時代に何かあった…
3.船長の秘密
どこか気品があふれる原作のフック船長だが、物語の終盤でその理由が明かされる。しかしこの王家は、ピューリタン革命で王が処刑され、王政復古後も名誉革命で国王追放の憂き目にあった。※チャールズ二世は復古時の王で、その弟が名誉革命で追放された。
↑並べてみると、ディズニー版フックの服装と似ている!
フックは海賊をはじめたとき、ステュアート家の王に似ていると言われた…
クロコダイルは、ルーキー時代に何かあった…
3.船長の秘密
フックというのは本名ではありません。フックが本当は何者であるかを明かしたら、今日でさえ、国じゅうに大騒動が巻き起こることでしょう。<中略>フックは、上流階級の子弟が通う有名なパブリック・スクールの生徒だったのです。<中略>しかし、何にもまして大切にしているのは、礼儀作法を重んじるしきたりでした。一文目から強烈である。
同上書、P238-239より
※本名は最後まで明かされない
フックは海賊になる前、上流階級の学校で学び、礼儀作法を身につけた。スカイライツが殺されたのも、服装が乱されたからである。
この「礼儀作法」は強迫観念と化し、ワニのようにフックに付きまとった。
例えば、フックはこう自問する…
「今日は礼儀正しくふるまえたか」
「有名になることは礼儀にかなったことか」
「礼儀について考えること自体が、礼儀に反するのではないか」
……明らかに病んでいる!
そしてこの病理は、ピーターとの最終決戦の際も、フックに襲い掛かることとなるが、それは原作を読んで頂きたい。※ディズニー版のオチと比較するのも一興
さて、原作『ピーター・パン』のフック船長の秘密から、憶測できるクロコダイルの秘密は「王族か名家の生まれ」ということだろうか…?
ただ自分で唱えておいて、「だからどうした!」とクソつまらない説だと思っております。
ピーター・パンのようにすぐに忘れて下さい!
※原作ピーターの特性
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