April 2007

April 29, 2007

米1-3月期GDP伸び率、大幅鈍化でもインフレ率は上昇=消費は堅調

−イエレン地区連銀総裁は年後半に景気強まると楽観=景気後退リスクあっても−

【2007年4月29日(日)】 − 先週末(27日)、米商務省は今年第1四半期(1-3月)の実質GDP(国民総生産)伸び率の速報値(季節調整済み、前期比年率換算)を発表したが、伸び率は+1.3%と2003年第1四半期以来、4年ぶりの低成長となり、市場予想のコンセンサス+1.8%を大幅に下回った。これは、昨年第4四半期(10-12月)の+2.5%、同年第3四半期(7-9月)の+2.0%、同年第2四半期(4−6月)の+2.6%、2006年全体の+3.3%と比べて大幅な減速で、エネルギー価格の急騰による可処分所得減少や輸入増加(外需の悪化要因)、住宅市場の冷え込みによる住宅投資の大幅減少、さらに、企業の在庫投資の減少などが主な要因だ。

  ただ、成長鈍化にもかかわらず、GDPの3分の2以上を占める個人消費はやや減速したものの、依然として堅調さを維持していることから、エコノミストの多くは、米経済はエネルギー価格の上昇と住宅市場の低迷という逆風を受けているが、今後1、2四半期は個人消費で下支えられ、景気の失速(リセッション)は免れると見ており、今後、株や債券、外為の市場では、今後、徐々に安心感が広がって行くと見ている。
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April 22, 2007

米3月コアCPI:大幅改善は一時的か持続可能かで見方分かれる

−3月コアCPI、前年比+2.5%に低下=先物市場では年内利下げ確率が再上昇−

【2007年4月22日(日)】 − 先週の17日、米労働省は、FRB(連邦準備制度理事会)の今後の金融政策を決定する上で重要なインフレ指標である3月のCPI(消費者物価指数)を発表したが、FRBと市場が注目していたコアCPI(価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたもの)は、前月比+0.1%と3カ月ぶりの低い伸びとなり、市場予想の同+0.2%を下回った。1月の同+0.3%と2月の同+0.2%から着実に減速傾向を示しており、前年比で見ても2月の+2.7%から+2.5%へと10カ月ぶりの低水準になった。また、この結果、3月までの3カ月(1-3月)平均のコアインフレ率の水準は+2.3%となり、2月までの3カ月平均+2.6%と2006年全体の+2.6%から見ても大幅に改善した。

  それでも、まだ、FRBの望ましいコアインフレ率のレンジ(+1〜+2%)の上限を超えているのだが、市場では、同統計の内容を好感し、ニューヨークの株式市場と債券市場は、上昇した。これは、コアインフレ率低下はいい意味でのサプライズで、FRBによる年内の早期利下げの確率が高まったためだ。対照的に、外為市場では、利下げの可能性が強まったことはドル資産の価値を目減りさせ、ドル売り要因となることや、この日は、たまたま、英国の3月CPIが前年比+3.1%に急伸したという発表もあり、ドル売りが加速。ドルは英ポンドに対し、一時、15年ぶり安値の1ドル=2.0074ドルにまで急落している。続きを読む

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April 15, 2007

米FRB、コアインフレ率高止まりへの危惧強める=3月FOMC議事録

−議事録を受けて、ダウ平均は90ドル近くも急落−

【2007年4月15日(日)】 − 先週11日、米FRB(連邦準備制度理事会)は、3月20-21日に開かれた、当面の金融政策を決定するFOMC(公開市場委員会)会合の議事録を公表したが、各FOMCメンバーが予想以上に強いインフレ懸念を示していたことが明らかになった。この議事録の公表を受けて、ニューヨーク株式市場では、ダウ平均株価指数が前日比90ドル近くも急落し、債券市場でも長期金利の指標である10年国債の利回りが上昇し、外為市場でも利下げの可能性がなくなったとの見方から、ドルが反発するなど、米国の市場に波紋が広がった。また、議事録の公表と前後して、FRB幹部が相次いで、インフレ懸念を表明し、利上げ再開の必要性を指摘したことも、市場のかく乱要因となった。

  インフレについて、議事録では、FOMCのメンバーが「インフレを徐々に低下させていくために、追加利上げが必要になることが立証される可能性がある」との認識で一致したとしており、利上げの可能性を強調している。しかし、その一方で、「だが、経済成長とインフレの先行き不透明感が増している現状に鑑みて、FOMCは“今後の追加利上げの程度やタイミングは・・・”という文言を外した方がいいとも判断した」としている。これは、「追加利上げ」という直接的な文言を削除したのは、景気とインフレの先行きを読むのが一段と難しくなっているためで、これまでの声明文で見られたような、利上げの可能性を強調する手法とは趣を変えるもので、実際、この削除された箇所は、「将来の金融政策の変更は、今後のインフレと景気の先行きの動向を判断して決める」という文言に置き換えられている。どちらかといえば、当面は金利を据え置くものの、将来については、インフレバイアスを維持するが、100%ではなく、ややニュートラル方向にシフトしたことを伺わせているのだ。続きを読む

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April 08, 2007

米労働市場、依然、タイトでもピークに達した可能性=失業率、2カ月連続で改善

−米市場、FRBの早期利下げ観測が大幅後退−

【2007年4月8日(日)】 − 米労働省は先週末(6日)、3月の雇用統計を発表したが、新規就業者数(非農業部門で軍人除く、季節調整済み)は前月比+18万人と市場の事前予想のコンセンサス+13万5000人を大幅に上回り、また、1月と2月の数値も合計で3万2000人も上方改定され、失業率も2カ月連続で低下したことから、依然として、労働市場がタイトであることが分かった。景気の急速な冷え込み懸念から、FRB(連邦準備制度理事会)による早期利下げを期待していた市場関係者にとっては、ショッキングな結果となった。これより先、FRBセントルイス地区連銀のウィリアム・プール総裁は、2日のニューヨークでの講演の中で、「景気が一時的にやや減速した程度で、利下げするというのはハードルが高すぎる」と指摘していたことが的中した格好だ。

  多くのアナリストやエコノミストは、住宅市場が低迷し、企業が在庫調整を進め、新規投資に慎重になっている中で、米経済の成長率が着実に鈍化しているにもかかわらず、今回の統計で、企業が雇用を積極的に進め、1時間当たりの賃金も大幅に上昇していることが示されたことから、今後、GDP(国民総生産)の3分2を占める個人消費が堅調に推移し、米経済は引き続き順調な成長軌道に乗り続けるとの見方を一段と強める結果となった。この統計結果を受けて、6日のニューヨーク外為市場では、ドルが買われ、今後は、これまでの軟調な動きが続いていたドルは、上昇傾向に転換すると指摘するアナリストも出るほど強いインパクトを与えた。続きを読む

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April 01, 2007

米コアインフレ率、伸びが加速=利下げの可能性は低下

−2月コアPCE、前年比+2.4%に加速=個人消費支出も高い伸び−

【2007年4月1日(日)】 − 先週末(3月30日)、米商務省は2月の個人消費支出・所得統計(インフレ調整前)を発表したが、米FRB(連邦準備制度理事会)がインフレ動向を見る上で、最も重視しているコアPCE(個人消費支出)物価指数(価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたもの)の伸び率が加速し、米GDP(国民総生産)の3分の2を占める個人消費支出も予想以上の高い伸びを示したことから、市場や多くのエコノミストは、FRBによる利下げの可能性は低下したと見ている。

  FRBは、先月21日に、当面の金融政策を決定するFOMC(公開市場委員会)会合を開き、6回連続の金利据え置きを全会一致で決定した上で、その直後に発表した声明文で、インフレ懸念を強調したが、今回の統計は、声明文の内容をそのまま肯定するものになったといえる。FOMCの声明文では、「今後の追加利上げの程度やタイミングは、・・・」という追加利上げを意味する文言が初めて削除されたものの、新たに、「FOMCにとって、インフレ率が思ったように伸びが鈍化していかないリスクが金融政策上の極めて大きな懸念となっている(predominant policy concern remains)」という文言が追加され、さらに、「コアインフレ率は(前年比で)やや高い水準が続いている」というコアインフレ率の高止まりの認識を示す文言、また、「高水準にある企業の設備稼働率がインフレ圧力を持続させる可能性がある」という文言を残し、依然として、FRBはインフレバイアスの基本は変えていないことを明らかしている。これは、景気減速が急速に進まない限り、早期利下げの可能性はないと見ているのだ。続きを読む

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