アルテミスカルテットのブラームストッパンホール15周年室内楽フェスティバル

April 09, 2016

ルノー・カプソンのラロ、サラサーテ、ブルッフ

Renaud Capuson
ルノー・カプソン、パーヴォ・ヤルヴィ、パリ管弦楽団という実に豪華な布陣による華やかな新録音。このアルバムのコンセプトは実に明快で、カプソンのヴァイオリンの音色を徹底的に聴かせることにある。曲目も、ラロ、サラサーテ、ブルッフと、今時恥ずかしいくらいの美メロ大会だ。

ラロのスペイン交響曲は、昨今、あまり演奏されているように思えないが一昔は、よく演奏された曲だった。この曲の人気がないというよりも、どちらかと言えばストイックで細身、または、ピリオド系の演奏を得意とする、ヴァイオリニストが人気の中で、ここまでスイーティな曲を弾きこなせる演奏家がなかなかいないことも、一因だろう。
カプソンのこの曲への適性は、もはや完璧の部類、甘く濃厚に、時には、情熱的に、そして、リズミカルに、エキゾチックな旋律うたっていく様は実に痛快でありどの場面もデリシャスというほかない。技術的にも安定しており、まさに脂の乗り切った男の演奏を披露している。ドイツ系の演奏家では、不思議とこうはならないものだ。

パーヴォ、パリ管も優れた伴奏を披露、シャープな躍動感を付加、お見事だ。

ブルッフも、ケーキ屋のウインドウのような、華やかさに惹きつけられる。ロマン派的な渋みはほとんどなく、曲は、ラテンの温暖な日差しに照らされている。特に、低弦の響きは濃厚で素晴らしく 第二楽章の低弦のうたい回しは、ねっとりとして美しい。さすが名器1737年製のグァルネリ・デル・ジェス「パネット」、格調の高さを感じさせる音色である。

ヴァイオリンの録音は、G線から、E線まで、スケール感たっぷりに捉えられていて、ヴァイオリンの箱からの波動をも感じられる濃いめな録音となっている。オーケストラは、かなり意識して、フィルハーモニー・ド・パリの響きを取り入れようと、工夫しているようだ、残響が豊かで、音のクリアさを多少犠牲にしながらも、ホールの雰囲気、スペース感を優先している。

カプソンも40代に入り、持ち前の、美音、技術に、+αの男臭さが加わってきたようだ、益々の活躍を期待したい。

EDOUARD LALO
Symphonie espagnole OP.21

PABLO DE SARASATE
Zigeunerweisen

MAX BRUCH
Violin Concerto No.1 OP.26


Renaud Capucon
Paavo Jarvi
Orchestre de Paris

26-27 ,5 2015 Bruch,
1-2 ,9 2015 Lalo, Sarasate
Phiharmonie de Paris


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