関越道バス事故について、規制緩和が原因の一つではないかと指摘されている。それが本当かどうかは置いて、ここでは大阪府特別顧問・高橋洋一氏の「規制緩和でバスの事故は増えたのか。大統領選で国民が緊縮財政にNOを選択したフランスと、増税でも解散もない日本国民の不幸」という記事中でのグラフのおかしさを指摘する。

高橋氏はその記事の2ページ目でグラフを二つ出しているが
問題はこのグラフである。 
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で高橋氏はこう言う。
二つの統計でチェックしてみても、規制緩和によって事故率が大きく増えたとはいえない。むしろ最近時点では事故率は低回傾向になっている。これから規制緩和によって事故が増加しているとはいえない。

しかしバス規制緩和が始まったのは貸切バスが2000年2月、乗合バスが二年後の2002年2月だそうだ。このグラフは2000年、つまり規制緩和元年から始まっていて、これでは規制緩和以前と比べることができない。ちなみに2000年以前を含めるとこうなる。
事故グラフその3

これは高橋氏のものと同じく走行1億キロあたり事故件数の推移を表したものである。ただし走行キロは年度で、事故件数は暦年である。2000年の貸切バス規制緩和の頃に事故が急増していることがわかるだろう。ただそれが規制緩和のせいかどうかは分からない。

高橋氏グラフは矢印の右側部分だけである。そういうグラフの出し方切り方はおかしいのではないか。事故は増えていないとする主張には都合がいいかもしれないが。割合でなく実数を見ても2000年(平成12)に急増していることが分かる。
無題
  事業用自動車の交通事故統計(交通事故総合分析センター)のp13より
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○事故件数の資料
・ 上記の事業用自動車の交通事故統計 ※1992~2007年(暦年)
・ 自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会報告書(国交省)のp5表5 ※2008、09年 (暦年)

○走行距離の参考資料
日本のバス事業(日本バス協会)p3、p5

以上の資料より乗合、貸切ごとの走行キロと事故件数が分かるので、走行1億キロあたりの事故件数を算出してグラフ化した。