アン・バランス・ダイアリー

EKKOです。読んだ本の感想を中心に書いています。気軽にコメントいただけると嬉しいです。

『52ヘルツのクジラたち』 町田そのこ 中央公論新社



内容(「BOOK」データベースより)
52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。


インスタで多くの方がポストしていて、とても評判の良いこの本、やっと順番がまわってきました〜
初・町田さんです。
皆さんが推すだけあって、すごく良かったです!とにかく読むの止められなかった。

感情表現がとても緻密で、主人公の気持ちが自分の心の深部にグサグサ入ってくるような文体。
キナコの幼い頃からの境遇がかわいそうでかわいそうで・・・とても辛かった。でも彼女の周りにはとてもとても優しい人も多くいて、だからなんとか絶望せずに読み進められることが出来ました。ラストは涙がぽろぽろ・・・。

嫌な人と良い人がどちらも極端なんですよね・・・
でもそれがかえってヘビーなこのストーリーには合っているのかもしれない。

心を揺さぶられっぱなしで読んでいたので、感情優先の物語かと思いきや、終盤の展開がとても堅実で現実的で、一気に作品への信頼度がアップしました。

52ヘルツのクジラ。
実際に存在するけれど正体不明、謎のクジラなんですね。この「世界でもっとも孤独な鯨」をこんな風に小説に昇華させたことは、とても素敵なことだなぁと思いました。
きっと世の中には狭い狭いところで助けを待っている「52ヘルツのクジラ」がたくさんいるんだろうなぁと思うと心が痛くなります。そういう人たちに「魂の番」が現れますように。私もクジラの声を聴けるように心がけたいと思います。

それにしても、親子の確執とか、虐待を扱う作品、多いですね・・・こないだ読んだ「銀花の蔵」のように、大切なのは血のつながりではない、というのがテーマのお話も。
いろいろ考えさせられます。

あと、「 流浪の月 」をちょっと思い出したりしました。「流浪の月」が好きな方にはぜひおすすめします。
しんどい展開ですが、読後感は悪くないです。

町田さんのほかの作品も読んでみよう。





『銀花の蔵』 遠田潤子 新潮社



内容(「BOOK」データベースより)
絵描きの父と料理上手の母と暮らす銀花は、一家で父親の実家へ移り住むことに。そこは、座敷童が出るという言い伝えの残る、歴史ある醤油蔵だった。家族を襲う数々の苦難と一族の秘められた過去に対峙しながら、昭和から平成へ、少女は自分の道を歩き出す。実力派として注目の著者が描く、圧巻の家族小説。


いろんな思いが巡ってなかなか感想がまとまらないのですが・・・
すごく良かったです!遠田さんは「冬雷」(感想はこちら)に続いて2冊めです。

アクが強い登場人物が多いし、主人公の銀花に次から次へと襲いかかる苦難に心を痛めることが多かったけど、それらの困難から逃げずに対峙する銀花のブレない強さにとても勇気をもらえました。ひたむきに、そして真っ当に生きることの大切さをあらためて教えてもらったようです。
そして銀花と剛の絆があたたかくていいですね。

主人公以外の登場人物たちもみんな重い秘密や痛みを抱えていて、その苦悩や挫折感を丁寧に描いているのです。彼らがとりかえしのつかないことを悔やむ姿に何度も泣きそうになりました。(この歳になると、こういうのに弱いんですよね・・・)
これでもかと親と子の葛藤を描いているのもなんとも痛くて、その都度心をえぐられる気持ちにもなったのですが、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。銀花のひたむきさに助けられたと思う。

読み終えて、自分のなかの蛇と戦いつづけることが生きていくことなのかもしれない、と思いました。もちろん私もそうだなぁと。

かわいそう。傲慢で身勝手で、だけど素敵な言葉だ。私はみんなに言ってあげたい。かわいそう、と。そして寄り添ってあげたい。人にかわいそうと言ってあげられる強さを持ちたい。(単行本p321)


人にかわいそうと言える強さ…
この考え方は今までしたことがなかったので、個人的には衝撃でした。

祖母の多鶴子さんもとても印象的。

血が繋がっていなくても家族は家族。
5世代の生き様を描く大河小説であり、素晴らしい家族小説でした。個人的には昭和の時事描写が肌でわかったところも親近感をもてました。

座敷童のエピソードも幾重にも作り込まれているし、読み応え十分、読後感もよくてオススメです。

直木賞ノミネートされてます。すごくよかったので受賞するといいなぁと思います。

2020年6月読了本

6月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1697
ナイス数:153

クスノキの番人クスノキの番人感想
流石の東野さん。いつものことながら読める読めるスルスル読める…
内容にひきこまれるのももちろんあるけれど、やはり文体かな。懐ににすっと入り込んでくるナチュラルさ、、親しみやすさ、そしてリズム感かな〜
クスノキに祈念する人、受けとる人、それぞれのドラマもとても胸にくるものでした。自分も過去を振り返って悔やむことが最近あるので、身につまされる思いで少し泣いてしまいました・・
玲斗がだんだん良い人になっていくのが、ちょっと出来すぎ・・と思わないでもなかったですが・・
読後感もよく、誰にでもオススメできます。


読了日:06月26日 著者:東野 圭吾

歌舞伎座の怪紳士歌舞伎座の怪紳士感想
歌舞伎と出会い、その魅力に心を奪われるうちに、頑なに閉じていた主人公の心が次第にほどけていって、だんだん前向きになっていく過程が自然な流れで描かれていて、とてもほっこりします。人の気持ちがわかるようになると、自分の気持ちにも素直に向き合えるものなのかも。
歌舞伎の演目の紹介もわかりやすくてワクワクする。
近藤さんの歌舞伎愛があふれてますね!
父方の祖母のしのぶさんと、怪紳士、堀口さんとの関係もとても素敵でした。それにしても歌舞伎の演目のストーリーって、どれもなかなかクセが強いですよね〜(褒めてます笑)

読了日:06月20日 著者:近藤史恵

【2020年・第18回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 (『このミス』大賞シリーズ)【2020年・第18回「このミステリーがすごい! 大賞」大賞受賞作】紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 (『このミス』大賞シリーズ)感想
行動派の紙鑑定士と安楽椅子探偵のプロモデラーがタッグを組んで事件を解決する、という趣向です。
タイトルに反して、紙鑑定士さんよりもプロモデラーさんの方が探偵として際立っていて、紙鑑定士としての活躍は控えめだったというツッコミどころはありますが、スピード感があってぐいぐい読めて面白かったです。謎解きはめちゃめちゃびっくりというほとではなかったけど、紙と模型の蘊蓄は楽しめました。
何よりこの本自体、本文に4種類の用紙を使用しているのが面白い!単行本の紙の種類とか質感はいつも気にしているので興味深かったです。

読了日:06月15日 著者:歌田 年

国宝 (下) 花道篇国宝 (下) 花道篇感想
下巻は、読み進めるにつれて、上巻のエピソードが走馬灯のように浮かんできました。穏やかに語りかけてくれていた地の文も、徐々に狂気をまとい、ラストに広がる壮大な景色は、最初から物語を見守ってきた読者だけが見えるもの。
激しくそして静謐な…
震える読書体験でした。
素晴らしい!
芸を極めることの狂気、最期まで役者として生き、そして散っていく・・・。主人公、喜久雄の壮絶な人生に圧倒されるのはもちろん、脇の人たちにも全て血が通っていて全員の生き様が愛おしくなる。まさに大河小説。
読了日:06月09日 著者:吉田修一
国宝 (上) 青春篇国宝 (上) 青春篇感想
歌舞伎界を描いているという前情報のみで読み始めたら、いきなり血なまぐさい任侠話で少々ギョッとしたのですが、その後の展開、いやぁグイグイ引き込まれました〜
芸事を極める厳しさや表現者としての鍛錬という側面よりも、主人公の壮絶な人生を描く人間ドラマという趣きが強く、わたしが思ってたよりもエンタメ路線でした。それはそれでワクワクするし、とにかく先が気になって仕方がない。
喜久雄と俊介の関係…どうなるんだろう。
歌舞伎の演目の紹介がたくさんあって、そこもとても楽しめます。
このまま下巻に突入です。
読了日:06月04日 著者:吉田修一


読書メーター


コロナの影響で延期になっていたキッチンリフォームを7月に施行できるようになったので、6月は本格的にその準備にかかりました。今まで義母の代から使っている古い台所(キッチンは50年以上前のもの・・・)だったので、ようやく自分仕様のキッチンを作ることができます♪しかし物が多いと大変だぁ・・・

あと、通信で書道を始めたので、こちらも40年以上ぶりになるのですが、筆を持ちました。小学生時代に習っていたのですが、腕が案外覚えてるものですね〜。毎月検定があって、初段になると行書のおけいこができます。マイペースに続けて楽しみたいと思います。毛筆も硬筆も細筆も行書を美しく書けるようになるのが目標です。

6月に観た映画
「日日是好日」
「サイコ」
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」
「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」
「時をかける少女」
「知りすぎていた男」
「めまい」
「情婦」

『クスノキの番人』 東野圭吾 実業之日本社



不当な理由で職場を解雇され、その腹いせに罪を犯し逮捕されてしまった玲斗。  同情を買おうと取調官に訴えるが、その甲斐もなく送検、起訴を待つ身となってしまった。そこへ突然弁護士が現れ,依頼人の命令を聞くなら釈放してくれるという。 依頼人に心当たりはないが、玲斗は従うことに。  依頼人は千舟と名乗る年配の女性で、驚くことに伯母でもあるというのだ。あまり褒められた生き方をせず、将来の展望もないと言う玲斗に彼女が命令をする。「あなたにしてもらいたいこと||それはクスノキの番人です」と。

東野さんの新刊。

東野さんとは気があわないこともあるのですが、これは大丈夫でした笑
「トキオ」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」のテイストが好きな私にはこれはもうドンピシャでとても楽しめました。

いやー、流石の東野さん。
いつものことながら読める読めるスルスル読める…
この読みやすさはなんなんだろう?っていつも思う。遅読の私でも、文章にエンジン搭載してる?って思うほどスピードを出せる。
内容にひきこまれるのももちろんあるけれど、やはり文体かな。懐ににすっと入り込んでくるナチュラルさ、、親しみやすさ、そしてリズム感かな〜

クスノキに祈念する人、受けとる人、それぞれのドラマもとても胸にくるものでした。自分も過去を振り返って悔やむことが最近あるので、身につまされる思いで少し泣いてしまいました・・
玲斗がだんだん良い人になっていくのが、ちょっと出来すぎ・・と思わないでもなかったですが(^^;)
千舟さんの雰囲気は好きでしたね〜
読後感もとてもよく、誰にでもオススメできます。

いずれ映画化されるでしょうね〜


『歌舞伎座の怪紳士』 近藤史恵 徳間書店



内容(「BOOK」データベースより)
生活に不満はないけど、不安はある。家事手伝いの岩居久澄は、心のどこかに鬱屈を抱えながら日々を過ごしていた。そんな彼女に奇妙なバイトが舞い込んだ。祖母の代わりに芝居を見に行き、感想を伝える。ただそれだけで一回五千円もらえるという。二つ返事で了承した久澄は、初めての経験に戸惑いながら徐々に芝居の世界にのめり込んでいく。歌舞伎、オペラ、演劇…。どれも楽しい。けれど、久澄には疑問があった。劇場でいつも会う親切な老紳士。あの人っていったい何者…?


久しぶりの近藤さん。
とても読みやすくて面白かったです。

「国宝」に続いて歌舞伎がテーマです。こちらは演者ではなく、観劇する側のお話です。
歌舞伎と出会い、その魅力に心を奪われるうちに、頑なに閉じていた主人公の心が次第にほどけていって、だんだん前向きになっていく過程が自然な流れで描かれていて、とてもほっこりします。
人の気持ちがわかるようになると、自分の気持ちにも素直に向き合えるものなのかも。
歌舞伎の演目の紹介もわかりやすくてワクワクする。
近藤さんの歌舞伎愛があふれてますね!
父方の祖母のしのぶさんと、怪紳士、堀口さんとの関係もとても素敵でした。
それにしても歌舞伎の演目のストーリーって、どれもなかなかクセが強いですよね〜(褒めてます笑)そういうところがハマったら抜け出せなくなる歌舞伎沼なのかも。

歌舞伎は一度だけ観に行っただけなので、また観に行きたいですね〜
芸術を生で楽しめる日常が一日でも早く戻ってきますように・・・。

『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人 』 歌田年 宝島社



内容(「BOOK」データベースより)
どんな紙でも見分けられる男・渡部が営む紙鑑定事務所。ある日そこに「紙鑑定」を「神探偵」と勘違いした女性が、彼氏の浮気調査をしてほしいと訪ねてくる。手がかりはプラモデルの写真一枚だけ。ダメ元で調査を始めた渡部は、伝説のプラモデル造形家・土生井と出会い、意外な真相にたどり着く。さらに翌々日、行方不明の妹を捜す女性が、妹の部屋にあったジオラマを持って渡部を訪ねてくる。土生井とともに調査を始めた渡部は、それが恐ろしい大量殺人計画を示唆していることを知り―。第18回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。



「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。あれ?大賞は「medium 」じゃなかったっけ?って思ったら、あちらは読者ランキングで、こちらは新人賞的な賞なんですねー。(ややこし・・)

行動派の紙鑑定士と安楽椅子探偵のプロモデラーがタッグを組んで事件を解決する、という趣向です。
タイトルに反して、紙鑑定士さんよりもプロモデラーさんの方が探偵として際立っていて、紙鑑定士としての活躍は控えめだったというツッコミどころはあるとしても(^^;) でも全体にスピード感があってぐいぐい読めて面白かったです。謎解きはめちゃめちゃびっくりというほとではなかったけど、紙と模型の蘊蓄は楽しめました。

何よりこの本自体、本文に4種類の用紙を使用しているのが面白い!私はツルツル感のあるb7クリームが好みだったけど、全編これだと分厚く重くなっちゃうのかなーなんて考えたり。
単行本の紙の種類とか質感はいつも気にしているので、これはなかなか興味深かったです。

ラノベ感覚で軽く楽しめる一冊です。シリーズ化されても面白いかも。その際は、痛快キャラの真理子さんはレギュラーでぜひお願いしたい!真理子さん、終盤に突然登場していっきに明るくなりましたよね〜


『国宝(下)花道篇』 吉田修一 朝日新聞出版



内容(「BOOK」データベースより)
鳴りやまぬ拍手と眩しいほどの光、人生の境地がここにある。芝居だけに生きてきた男たち。その命を賭してなお、見果てぬ夢を追い求めていく。今年最高の感動を届ける役者一門の大河小説。




上巻は思っていたよりも淡々としたイメージで読み上げたのですが、下巻はなんとも怒涛で圧巻でした。
静かだけれどもずしりと重い感動。

淡々としたイメージ、と書いたのですが、それを演出していたのはまぎれもなく一人称でも三人称でもない、誰かが語って聴かせてくれているような地の文。壮絶な出来事や愛憎劇があっても、柔らかな語りがそれを緩和してくれ、そして感情表現をおさえめにして叙景的に語ることで、読者はまるで舞台を見ているような感覚になる。

下巻は、読み進めるにつれて、上巻のあんなシーン、こんなエピソード、若かりし登場人物たちのひたむきに生きる姿、それらが走馬灯のように浮かんできました。穏やかに語りかけてくれていた地の文も、徐々に狂気をまとい、ラストに広がる壮大な景色は、最初から物語を見守ってきた読者だけが見えるもの。
激しくそして静謐な…
ラスト、万雷の拍手のなか目の前で幕が下りていくのが見えるような、震える読書体験でした。

素晴らしい!

芸を極めることの狂気、最期まで役者として生き、そして散っていく・・・。歌舞伎の演目はおどろおどろしいものが多くありますが、まさにそれを地でいくような主人公、喜久雄の壮絶な人生に圧倒されるのはもちろん、脇の人たちにも全て血が通っていて全員の生き様が愛おしくなる。まさに大河小説。
喜久雄と俊ぼんの友情、徳治と喜久雄の関係がよかったです。

時代背景を昭和から平成にしたのもよくわかります。令和にはこんな生き様の役者さんはいないかも・・・極道の家出身の喜久雄、出目もそうですが、女性関係で結構無茶もしてるし今なら炎上必至ですね(^^;)

読んでよかったです!吉田さん凄いわ〜


『国宝(上)青春篇』 吉田修一 朝日新聞社



内容(「BOOK」データベースより)
1964年元旦、長崎は老舗料亭「花丸」―侠客たちの怒号と悲鳴が飛び交うなかで、この国の宝となる役者は生まれた。男の名は、立花喜久雄。任侠の一門に生まれながらも、この世ならざる美貌は人々を巻き込み、喜久雄の人生を思わぬ域にまで連れ出していく。舞台は長崎から大阪、そしてオリンピック後の東京へ。日本の成長と歩を合わせるように、技をみがき、道を究めようともがく男たち。血族との深い絆と軋み、スキャンダルと栄光、幾重もの信頼と裏切り。舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜け、数多の歓喜と絶望を享受しながら、その頂点に登りつめた先に、何が見えるのか?朝日新聞連載時から大きな反響を呼んだ、著者渾身の大作。


ずっと読みたかったこの作品、図書館の予約もようやく落ち着いてきて、ついに手元に届きました〜
歌舞伎界を描いているという前情報のみで読み始めたら、いきなり血なまぐさい任侠話で少々ギョッとしたのですが、その後の展開、いやぁグイグイ引き込まれました〜
芸事を極める厳しさや表現者としての鍛錬という側面よりも、主人公の壮絶な人生を描く人間ドラマという趣きが強く、わたしが思ってたよりもエンタメ路線でした。それはそれでワクワクするし、とにかく先が気になって仕方がない。
喜久雄と俊介の関係…どうなるんだろう。
歌舞伎の演目の紹介がたくさんあって、そこもとても楽しめます。
このまま下巻に突入です。

2020年5月読了本

5月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1626
ナイス数:96

逆ソクラテス逆ソクラテス感想
最高の読後感、そのとおり!
小学生が主人公の短編集。
こういう体験、誰しもありそうな、いややっぱりなさそうな…でもなんとなく自分の小学生時代を懐かしく思い出してしまうのは、やはり伊坂マジックかな。
それぞれのお話に込められたメッセージが明確にあって、それはどれも生きていく上でとても根源的というか、普遍的なことだと思う。「アンスポーツマンライク」から「逆ワシントン」の流れが凄く好き!最後に泣きじゃくった店員さんはもしかして……こんな風に厳しさのなかにちょっと甘さを挟んでくれる優しさが伊坂イズムかな。
読了日:05月27日 著者:伊坂 幸太郎

甘夏とオリオン甘夏とオリオン感想
面白かったー!
新米女性落語家が主人公。
突然の師匠の失踪に動揺する弟子たち。
大好きだった朝ドラ「 ちりとてちん 」を思い出させてくれる設定にわくわくです。
こってこての大阪のお話。大阪でも南地域の下町が舞台で、知ってる地名がたくさん出てくるし、上方落語の演目が次々に紹介されて楽しめるし、ストーリーもとてもまっすぐで心地よくて、でも終盤はホロリとさせられて…
なかでも夏之助師匠の言葉はどれも沁みました。
上方落語が好きな人、また「ちりとてちん」ファンの人はぜひ!ドラマで登場した演目がたくさん出てきます。
読了日:05月21日 著者:増山 実

孤独な夜のココア (新潮文庫)孤独な夜のココア (新潮文庫)感想
田辺聖子さんの恋愛短編集。主人公はいずれも20代後半くらいの女性で、タイプがどことなく似ていて。
恋愛に対してナチュラルで、真面目で律儀で、心根が優しくて、そしてとても可愛い。きちんと地に足がついた強さがあってそのうえでの可愛らしさ。
そういった、同じタイプの女性のいろんな形の恋愛。恋人同士だったり、夫婦だったり、恋人未満だったり、不倫もある。ほのぼのしたり、切なくなったり、嬉しくなったり、悲しくなったり、考えさせられたり・・。どの作品も余韻が深くていろんな読後感を体験できます。
読了日:05月15日 著者:田辺 聖子

プレゼント (中公文庫)プレゼント (中公文庫)感想
私の今年の課題のひとつ、葉村晶シリーズの第一弾。ようやく読めましたー!
ただ、この短編集では葉村さんが登場しないお話も掲載されています。まだワープロ時代で、パソコンを入れる箱がとても大きいとか、携帯が普及してなくてポケベルを持っている、とか、凄く時代も感じて、それはそれでちょっと興奮してしまったり。どうしてもシシド・カフカさんが浮かぶけど、それも良し。つくづくイメージぴったりだと思う。「トラブルメイカー」はドラマ化されてたのでストーリーは知ってたけど、それでも苦い苦い真相に気分がどんより…
読了日:05月09日 著者:若竹 七海

雲を紡ぐ雲を紡ぐ感想
伊吹さんの新刊、ということで楽しみにしていたのですが、読むのに少し時間がかかってしまいました。
決して面白くなかったというのではなく、逆にちょっと刺さりすぎてしまって…親子のあれこれって本当に難しいし、取り返しのつかないこともたくさんあるし。いろいろ身につまされて辛かった。
結局は、親離れ、子離れの過程の物語なのかもしれません。
最終的には良い方向に向かってくれたし、おじいちゃんがとても素敵だったし、ホームスパンのこともいろいろ知ることができたので、結果的には読んで良かったと思いました。装丁も美しいです。
読了日:05月02日 著者:伊吹 有喜


読書メーター



5月はテレビで放映された映画を観ながら裁縫、という日が多かったです。4月から5月にかけてチャップリンの一連の作品がBSプレミアムでオンエアされていたので夢中になってみました。昔に観たことのある作品もいくつかありましたが、何度観ても新鮮な面白さ!とくに「独裁者」には恐れ入りました・・いやぁあらためてチャップリンすごい・・・!

本当だったら5月はキッチンのリフォームの予定だったんですが・・・さてさていつ実現するのやら。
ようやく緊急事態宣言が解除され、一歩前進でほっとはしていますが、もちろん油断は禁物。
まだまだ以前のような生活に戻る日は遠そうですが、なんとか切り抜けていきたいですね。

5月に観た映画
「七年目の浮気」
「深夜の告白」
「道」
「チャップリンの独裁者」
「若草物語」
「予期せぬ出来事」
「ライムライト」

『逆ソクラテス』 伊坂幸太郎 集英社



敵は、先入観。世界をひっくり返せ!
伊坂幸太郎史上、最高の読後感。
デビュー20年目、無上の短編5編を収録。


伊坂さんの新刊。
伊坂さん、もうデビュー20年なんですね。おめでとうございます!
20年たっても、まったく変わらない、いつも新鮮な感動を与えてくれる作風は、稀有な存在なのではないかな?実に実に素晴らしいと思います。

そして本書。
最高の読後感。本当そのとおり!

ソクラテスの「無知の知」、懐かしいな〜。高校時代に倫理社会の宿題で「ソクラテスの弁明」読んで感想文書きましたよ〜

てことはおいといて。
小学生が主人公の短編集。ここまで徹底して子ども視線というのははじめてかな?
こういう体験、誰しもありそうな、いややっぱりなさそうな…というのはいつもの伊坂テイスト。
でもなんとなく自分の小学生時代を懐かしく思い出してしまう・・・というのもやはりいつもの伊坂マジック。
それぞれのお話に込められたメッセージが明確にあって、それはどれも生きていく上でとても根源的なことなのだと思う。思えば伊坂さんはいつもそうだ。ストーリーや人物造詣はリアリティがありそうでなさそうで。でも伝えたいメッセージはいつだってこれ以上ないほど普遍的なこと。


「相手によって態度を変えることほど、恰好悪いことはない」(「非オプティマス」単行本p159)

そう!そうなの!私が最近ずっと思っていたことだったので、膝を打ちましたよ〜

自分はなんでも知っていると思うこと、人に偉そうにすること、相手によって態度を変えること、人のことを決めつけてかかること、それらはとても愚かで恰好悪いことなんですよね。ほんと。

そして「僕は、そうは思わない」ってはっきりと言うことは、忖度があふれる今の世の中だからこそ、とても大切なことだと思う。

あと、悪人だからと言って徹底的に懲らしめてめでたしめでたし、というのは現実ではない、という磯憲先生の言葉も考えさせられました。
大人になって大けがして担ぎ込まれた救急病院の担当医がかつて自分がいじめていた相手だったら・・・という「逆ワシントン」のお母さんのたとえ話と同じで、今だけのことじゃなく、かならず未来がくるし、誰とどこでどういうかたちで再会するかは、たしかにわからないから。「情けは人のためならず」じゃないけど、だから今のひとつひとつを誠実にまじめに生きることが大切なんだ。

個人的には「アンスポーツマンライク」から「逆ワシントン」の流れが凄く好き!最後に泣きじゃくった店員さんはもしかして……
こんな風に厳しさのなかにちょっと甘さを挟んでくれる優しさが伊坂イズムかな。

いつものことながら名言オンパレードですが、わたし的名言ベストワンは「逆ワシントン」のお母さんの

「はなはだ簡単ではありますが、これでわたしの掃除に代えさせていただきます」(単行本p235)

です(笑)最高やん!!だから伊坂さんはやめられない。

きちんと生きていくためのヒントがいっぱいあって、それこそ小学生が読んでも良いと思う。というか、いっそのこと道徳の教科書に載せちゃえーって思います。

おすすめです!


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