アン・バランス・ダイアリー

EKKOです。読んだ本の感想を中心に書いています。気軽にコメントいただけると嬉しいです。

『アイアムマイヒーロー!』 鯨井あめ 講談社




今までの自分をきれいさっぱり捨て去って生まれ変わることができたら、どんなに幸せだろうか――。
誰もが一度は思うこと、その願いへのひとつの答えがここにある。

自分に何の期待もできず、自堕落な生活を送る大学生の敷石和也(たかなり)。
ある日突然、全く知らない子どもの姿となって目覚める。目の前には、小学生時代の自分が。
なんと「赤の他人」として10年前にタイムスリップしてしまった……!
大人びた優等生のクラスメイト・渡来凛、いつも一緒だった友達の飯塚正人と田島拓郎。
その中にあって小学生時代の自分を客観的に見つめる和也。
果たして和也は自分の身に起こった、この奇妙な奇跡とどう向き合っていくのか?

デビュー作『晴れ、時々くらげを呼ぶ』が4刷の大反響、鯨井あめが紡ぐ最新作!




過去を捨て去って、新しい自分に生まれ変わりたい。居心地の悪い同窓会を抜け出し駅に来た和也は、ホームから落ちそうになっている女性を見つけるがどうすることも出来ず…
そして次の瞬間、10年前に時間移動していた。

基本タイムスリップものは大好きです。
タイムスリップものにもいろんなパターンがあるけれど、この作品の面白いところは、自分の小学生時代にタイムスリップするものの、自分自身ではなく、自分の小学生時代の友人(実際には存在しなかった)「赤の他人」として過ごすことになるところ。
自分の小学生時代を客観的に眺めるってどんな感じでしょうね?私も結構いらついてしまうかも笑

でも、私は「俺はヒーローだ!」って宣言してるタカナリくんはいい子だな〜と思いながら読んでいました。若干おバカではあるかもしれないけれど、なりたい自分があるって素敵なことだし。

大丈夫じゃないのに、大丈夫って強がってしまうことは誰しも経験があると思う。できるだけ人に頼りたくない、でも頼らないといけないときもある、その按配が難しいんですね。

「自分を守ることと、誰かを守ることは、違うように見えて同じなんだよ」(単行本p87)

という杉内先生の言葉が印象的。

マイゴという犬がキーになり、ラストは爽やかな感動を連れてきてくれます。 「晴れ時々くらげを呼ぶ」と同様に鯨井さんの描く奇跡の青春物語、とても良かったです。

タカナリくんの未来…これからが大事。ずっとヒーローでいてほしいな〜
「俺はヒーローだ」そう思うことで強くなれるはず、きっと。



そういえば、ひとつツボだったところ。

「何時何分何秒?地球が何回まわったとき?」(単行本p178)

懐かしいーー!今の子も言うのー?笑笑

『かか』 宇佐見りん 河出書房新社



うーちゃん、19歳。
母(かか)も自分も、もう抱えきれん。

痛みと切なさを描く20歳の才器、第56回文藝賞受賞のデビュー作。

19歳の浪人生うーちゃんは、大好きな母親=かかのことで切実に悩んでいる。かかは離婚を機に徐々に心を病み、酒を飲んでは暴れることを繰り返すようになった。鍵をかけたちいさなSNSの空間だけが、うーちゃんの心をなぐさめる。
脆い母、身勝手な父、女性に生まれたこと、血縁で繋がる家族という単位……自分を縛るすべてが恨めしく、縛られる自分が何より歯がゆいうーちゃん。彼女はある無謀な祈りを抱え、熊野へと旅立つ――。
未開の感性が生み出す、勢いと魅力溢れる語り。
痛切な愛と自立を描き切った、20歳のデビュー小説。



宇佐見りんさん20歳のデビュー作。
なるほど、これは衝撃のデビューですね〜

「推し、燃ゆ」も濃かったけど、こちらはさらに狂おしさが増している。主人公のうーちゃんは関東在住のはずなのに、なぜかキツイ方言で(九州ぽい?)語られるから、なおのこと空気がドロッとする感覚になる。

母親が好きな気持ちと、憎らしく思う気持ちと。
そばにいたいという思いと、離れたいと願う思い。
ぐるぐる旋回を繰り返し、やっぱり最後にはどうしようもない愛着に支配され、立ちすくむ。

とにかく文章の吸引力が強くて、とくに終盤はぐいぐい怒涛に引っ張られるような感じで読み終えました。
うまく説明できないけど、やっぱり凄いな〜

生きづらさを描いているところ、家族との確執、主人公がネットに癒しを求めているところは「推し、燃ゆ」と通ずるところがありました。

宇佐見さん、次はどんなテーマ、作風でくるかな?楽しみです。

2021年8月読了本

8月の読書メーター
読んだ本の数:6
読んだページ数:1858
ナイス数:223

できることならスティードでできることならスティードで感想
先日「オルタネート」を読んだとき、文章にとてもひきこまれて心地よかったのです。今回このエッセイを読んで、その心地よさの理由は、加藤さん自身の真面目で誠実な人柄によるものなのだと思い当たりました。
⁡亡くなったジャニーさんへの思いを綴った一編が印象的。
自分のカッコ悪い部分をきちんと認めて、飾らずさらっと書くって、なかなか出来ないことなのではないかな。自分を冷静に客観視出来ている。
⁡あいだに挟み込まれた短編小説が、エッセイ部分とさりげなく重なっていく構成が、とても気が利いていて素敵でした。
読了日:08月31日 著者:加藤シゲアキ

星影さやかに星影さやかに感想
⁡息子、母、父、それぞれの視点で家族に対して抱える思いが語られていく筋立て。
⁡怖くて意地悪だと思っていた祖母が抱いていた寂しさ。夫や姑に尽くし働きづめだった母が胸に秘めていた思い。父の苦悩。
⁡時勢により価値観が目まぐるしく変わり、自らをそれに合わせることが当然だった戦争の時代。どれだけの人が自分自身を封じ込め、トラウマを抱え悲しい思いを強いられたか…決して繰り返してはいけないのだとあらためて強く思います。
⁡日記を読んだ母の寿子が言った言葉に感動…夫婦の絆が胸に沁みました。やはり古内さんはいいです!
読了日:08月25日 著者:古内 一絵

リボルバーリボルバー感想
史実にもとづくフィクションで、ゴッホとゴーギャンの関係を掘り下げた、原田さんならではのアートミステリ。もしかしたらそのオークションの裏側にはこんなドラマが隠されていたのかも…と思わせてくれるもので、ワクワクしながら読みました。
ブロマンスなテイストなのが非常に私好み♫
⁡著者のゴッホ愛、ゴーギャン愛、そしてアートへの愛があふれています。その人の人生が幸せなものだったかなんて、誰にもわからない(もしかしたら本人でさえ)。でも自分の大切な人は幸せな人生を送ったのだと信じたい。私は著者のそんな思いを感じました。
読了日:08月18日 著者:原田 マハ

invert 城塚翡翠倒叙集invert 城塚翡翠倒叙集感想
翡翠ちゃんは正直苦手キャラだけど、あまりに潔くあざといから、一周まわってファンになっちゃう不思議笑
⁡「信用ならない目撃者」のキレが凄い。
ミステリだから多くは語れないけど、あんな離れ業使ってくるとは…はい、綺麗に騙されましたとも!
⁡翡翠ちゃんの推理小説論はなかなか興味深かった。異常なほどの正義感の強さは過去の経験からくるものなのかな?ちょっと気になりますね〜
⁡相沢さんがTwitterでこの作品の評価を気にされてましたが、全く嫌な気持ちになんてならなかったですよ〜
古畑任三郎リスペクトは思わずにやり。
読了日:08月12日 著者:相沢 沙呼

オルタネートオルタネート感想
評判どおり、そして期待以上の面白さでした。読んでよかったです。
⁡ドロドロ展開はなく、まっすぐ爽やかな青春群像劇に仕上がっていて、10代の読者も楽しめそう。というか、そのあたりがターゲットなのかな。
⁡自分の情報をすべてアプリに落とし込むことで、遺伝子レベルの相性をマッチングしてくれるというのは、なかなか興味深かった。と同時に、実際そういう時代がすぐにやってきそうなのでそれはなんとも不気味な感じ。
⁡蓉、尚志、凪津、それぞれの思いが交錯し大団円を迎える文化祭のシーンは臨場感があってわくわくしました。
読了日:08月06日 著者:加藤シゲアキ
臨床の砦臨床の砦感想
読んでいて、思わず「医療ドラマみたい…」と不謹慎なことを思ってしまったのですが、でもこれは現実に起こっていること。米澤穂信さんが「現実はリアリティがないと言われることがないから羨ましい」とおっしゃっていましたが、たしかにある意味現実が一番リアリティがないのかも。それほど凄まじい現場の状況が描かれていました。
⁡クルーズ船の感染者を受け入れたときの不安と恐怖が一番苦しかった、という言葉は、現場の人だからこその言葉ですね。
自分にできる最大の感染対策を粛々と実践していくことが今は一番大切なのだと思いました。
読了日:08月01日 著者:夏川 草介


読書メーター


8月に入り、感染拡大のため大阪に緊急事態宣言が発令、またまたステイホームの日々です。
ワクチン接種の副反応で2日間ほど寝込みましたが、まぁ穏やかに静かに過ごしています。
でもいいかげんストレスがたまってきたので、そろそろ沈静化してくれないかなぁ…
友達に会いたいです(涙)

観ている(観たいた)ドラマ
「おかえりモネ」
「シェフは名探偵」
「彼女はキレイだった」
「ハコヅメ」
「#家族募集します」

あとは、今テレビ大阪でオンエアしている「キルミー・ヒールミー」という韓国のドラマと、WOWOWでオンエア中の「山河令」という中国のドラマを観ているのですが、このふたつがめちゃめちゃ面白い!次回が待ちきれない状態で、すっかり夢中でございます♪(最近アジアドラマにハマり中)

『できることならスティードで』 加藤シゲアキ 朝日新聞出版



広義の"旅"がテーマとなる、著者初のエッセイ集。
大阪やパリ、スリランカ旅の話から、学校に行く意味を考える「小学校」、
2019年7月に亡くなったジャニー喜多川氏との邂逅を綴った「浄土」など、
本書の“旅"は、何気ない日常生活から深い思索の底まで多彩。
「小説トリッパー」掲載の14編をまとめ、
さらに単行本のための書き下ろしとして、連載と同形式のエッセイ1編とあとがき、
および[intermission(小休止)]となる掌編小説3編を収載する。



苗坊さんにおすすめいただいたシゲ先生のエッセイ集。

先日「オルタネート」を読んだとき、なんだかとても心地よかったのです。
ユーモアが冴えているという作風でもなく、特別ハートウォーミングという風でもなく、表現がとびきり上手い!とか、ぐさぐさ刺さる!という印象もないのに、読んでいてなぜか気持ち良い。
何なんだろうな〜って思っていたのですが。

このエッセイを読んで、その心地よさの理由は、加藤さん自身の真面目で誠実な人柄によるものなのだと思い当たりました。

亡くなったジャニーさんへの思いを綴った一編が印象的。
自分のカッコ悪い部分をきちんと認めて、飾らずさらっと書くって、なかなか出来ないことなのではないかな。自分を冷静に客観視出来ている。

あいだに挟み込まれた短編小説が、エッセイ部分とさりげなく重なっていく構成が、とても気が利いていて素敵でした。

シゲ先生をこれからも追いかけたいです〜

『星影さやかに』 古内一絵 文藝春秋




★〈マカン・マラン〉著者が描く感動の家族小説

戦時中、近所から「非国民」と呼ばれる父親を恥じ、
立派な軍国少年となるべく日々を過ごしていた良彦。
それから終戦を経て約20年後、
良彦の元に父の遺品の日記が届く。
なぜ父は心を病み、非国民と呼ばれたのか――
本当に正しかったのは誰だったのか――
そして、良彦の家にまつわる数奇な運命とは――

激動の昭和を生きた親子三代の記憶が紐解かれる。


「お父さんに限らず、この世の中を生ぎでいぐには、ご苦労さんなごどでねでがしょか」(単行本p249)

古内さんの新刊。

昭和39年、東京オリンピックが開催された年の暮れ。
郷里を出て東京で暮らす良彦のもとに、妹の美津子が訪ねてくる。先日亡くなった父が戦時中に書いた日記が見つかったという。神経症を患っていた父は、当時「非国民」と呼ばれていて、軍国少年だった良彦は、そんな父を恥じていた。

いつもの古内さんとは少し違ったテイストのお話でしたが、とても良かったです!
ラストは涙がこぼれました。

自分は、自分の両親のことをどれだけ知っているのだろう?と思うことがあります。自分が知っているのは「自分の親」としての姿だけで(それだって一部分に過ぎない)、見えていないことの方が多いのでは、と。

息子、母、父、それぞれの視点で家族に対して抱える思いが語られていく筋立てです。

怖くて意地悪だと思っていた祖母が抱いていた寂しさ。夫や姑に尽くし働きづめだった母が胸に秘めていた思い。父の苦悩。夫婦の絆。

時勢により価値観が目まぐるしく変わり、自らをそれに合わせることが当然だった戦争の時代。どれだけの人が自分自身を封じ込め、トラウマを抱え悲しい思いを強いられたか…決して繰り返してはいけないのだとあらためて、強く思います。

日記を読んだ母の寿子が言った言葉に感動…夫婦の絆が胸に沁みました。

やっぱり古内さんはいいですね。いつも心の芯が震えます。

多くの人に読んでほしい一冊。

ラジオドラマ「鐘の鳴る丘」が登場するのは嬉しかったですね〜

『リボルバー』 原田マハ 幻冬舎




 誰が引き金を引いたのか?
「ゴッホの死」。アート史上最大の謎に迫る、著者渾身の傑作ミステリ。

パリ大学で美術史の修士号を取得した高遠冴(たかとおさえ)は、小さなオークション会社CDC(キャビネ・ド・キュリオジテ)に勤務している。週一回のオークションで扱うのは、どこかのクローゼットに眠っていた誰かにとっての「お宝」ばかり。
高額の絵画取引に携わりたいと願っていた冴の元にある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれる。
それはフィンセント・ファン・ゴッホの自殺に使われたものだという。

「ファン・ゴッホは、ほんとうにピストル自殺をしたのか? 」 「――殺されたんじゃないのか? ……あのリボルバーで、撃ち抜かれて。」

ゴッホとゴーギャン。

生前顧みられることのなかった孤高の画家たちの、真実の物語。


⁡ゴッホが自殺に使ったとされる拳銃が、2019年パリでオークションにかけられ、約二千万円で落札された。
この作品は、この史実にもとづくフィクションで、ゴッホとゴーギャンの関係を掘り下げた、原田さんならではのアートミステリ。もしかしたらそのオークションの裏側にはこんなドラマが隠されていたのかも…と思わせてくれるもので、ワクワクしながら読みました。
ブロマンスなテイストなのが非常に私好み♫


著者のゴッホ愛、ゴーギャン愛、そしてアートへの愛があふれています。
その人の人生が幸せなものだったかなんて、誰にもわからない(もしかしたら本人でさえ)。でも自分の大切な人は幸せな人生を送ったのだと信じたい。私は著者のそんな思いを感じました。

「たゆたえども沈まず」を再読したくなりました〜



『invert 城塚翡翠倒叙集』 相沢沙呼 講談社





あまりの衝撃的結末に続編執筆不可能と言われた、5冠獲得ミステリ『medium 霊媒探偵城塚翡翠』待望の続編!

すべてが、反転。

あなたは探偵の推理を推理することができますか?

綿密な犯罪計画により実行された殺人事件。アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される……はずだった。
だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠が現れる。大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。ところが……。
ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。すべてを見通す翡翠の目から、彼らは逃れることができるのか?

ミステリランキング五冠を獲得した『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、待望の続編は犯人たちの視点で描かれる、傑作倒叙ミステリ中編集!


はわわ〜
翡翠ちゃんアゲイン〜

「medium 」(感想はこちら)のラストの怒涛の畳みかけは凄まじかったですね〜忘れられません。そして!なんと続編は倒叙縛りの3編。なるほどそうきましたかー

うざいよーあざといよー、翡翠ちゃん。
正直苦手キャラだけど、あまりに潔くあざといから、一周まわってファンになっちゃう不思議笑

「信用ならない目撃者」のキレが凄い。もはや前の2編は前座と言ってもよいほど。
ミステリだから多くは語れないけど、あんな離れ業使ってくるとは…はい、綺麗に騙されましたとも!

翡翠ちゃんの推理小説論はなかなか興味深かった。異常なほどの正義感の強さは過去の経験からくるものなのかな?ちょっと気になりますね〜

相沢さんがTwitterでこの作品の評価を気にされてましたが、全く嫌な気持ちになんてならなかったですよ〜
安心さん、です相沢さん!

続きも楽しみです!映像化してほしいなぁ〜翡翠ちゃんは誰がやれるだろう?


ちなみに翡翠ちゃんいわく、相手を苛立たせるのは
あわわ、ではなく、はわわ
あらら、ではなく、あれれ
だそうです。(活用する機会はないけど笑)

あと、倒叙ということで、古畑任三郎リスペクトは間違いない!というか、そのまんまの台詞があって思わずにやり。


騙されたい方は是非。
でもくれぐれも「medium 」を先に読んでから。


『オルタネート』 加藤シゲアキ 新潮社




高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。
全国配信の料理コンテストで巻き起こった〈悲劇〉の後遺症に思い悩む蓉(いるる)。母との軋轢により、〈絶対真実の愛〉を求め続ける「オルタネート」信奉者の凪津(なづ)。高校を中退し、〈亡霊の街〉から逃れるように、音楽家の集うシェアハウスへと潜り込んだ尚志(なおし)。恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる"とは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体――。
“あの頃"の煌めき、そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。



高校生のみが利用できるマッチングアプリ、「オルタネート」。「フロウ」し「コネクト」し、新しい繋がりが生まれる。そんな最新ツールを使うのを躊躇する調理部の蓉、オルタネートに絶対的信頼を寄せる凪津、高校を中退しアプリを使えなくなった尚志。

一度読んでみたかった加藤シゲアキさん。(アイドルとしての加藤さんはあまり存じ上げてないのですが、ソチ五輪の頃、加藤さんは町田樹さんのことを褒めてくれていたので勝手に好印象を抱いています。ありがとう加藤さん!←今頃😅)

吉川英治文学新人賞受賞作ですね。評判どおり、そして期待以上の面白さでした。読むのどうしようかなぁ思ってたけど、読んでよかったです。

ドロドロ展開はなく、まっすぐ爽やかな青春群像劇に仕上がっていて、10代の読者も楽しめそう。というか、そのあたりがターゲットなのかな。

自分の情報をすべてアプリに落とし込むことで、遺伝子レベルの相性をマッチングしてくれるというのは、なかなか興味深かった。と同時に、実際そういう時代がすぐにやってきそうなのでそれはなんとも不気味な感じ。

蓉、尚志、凪津、それぞれの思いが交錯し大団円を迎える文化祭のシーンは臨場感があってわくわくしました。

ただ、思ったほどオルタネートを掘り下げてなかったのが少々残念だったかな。

それにしても、“料理の鉄人高校生版”のような大会、あの課題で45分で仕上げるって、レベル高すぎではないですか😅

私としては、読み始めてすぐに物語の世界にすんなり入り込めたのが何より心地よかった。映像がうかぶ描写でとても読みやすく、加藤さんとは気が合いそう。次作も楽しみです。


『臨床の砦』 夏川草介 小学館





緊急出版!「神様のカルテ」著者、最新作

「この戦、負けますね」
敷島寛治は、コロナ診療の最前線に立つ信濃山病院の内科医である。一年近くコロナ診療を続けてきたが、令和二年年末から目に見えて感染者が増え始め、酸素化の悪い患者が数多く出てきている。医療従事者たちは、この一年、誰もまともに休みを取れていない。世間では「医療崩壊」寸前と言われているが、現場の印象は「医療壊滅」だ。ベッド数の満床が続き、一般患者の診療にも支障を来すなか、病院は、異様な雰囲気に包まれていた。
「対応が困難だから、患者を断りますか? 病棟が満床だから拒絶すべきですか? 残念ながら、現時点では当院以外に、コロナ患者を受け入れる準備が整っている病院はありません。筑摩野中央を除けば、この一帯にあるすべての病院が、コロナ患者と聞いただけで当院に送り込んでいるのが現実です。ここは、いくらでも代わりの病院がある大都市とは違うのです。当院が拒否すれば、患者に行き場はありません。それでも我々は拒否すべきだと思うのですか?」――本文より



現役の医師でコロナ患者を受け入れる病院で勤めている著者が、実体験をもとに書いたドキュメント小説。令和3年初頭からの1ヶ月間、第3波の渦中の医療機関の実状を描いています。

読んでいて、思わず「医療ドラマみたい…」と不謹慎なことを思ってしまったのですが、でもこれは現実に起こっていること。米澤穂信さんが「現実はリアリティがないと言われることがないから羨ましい」とおっしゃっていましたが、たしかにそういうこと。ある意味現実が一番リアリティがないのかも。それほど凄まじい現場の状況が描かれていました。

この頃は高齢者の重症化が問題となっっていて、感染者が若年化している現在を思うと、状況は刻々と変化していることを痛感します。

クルーズ船の感染者を受け入れたときの不安と恐怖が一番苦しかった、という言葉は、現場の人だからこその言葉ですね。当時どれだけの恐怖と闘っていたのかと思うと…

”正解とは言えなくても、最善の道を選んだ“

オリンピックだって、こうして地を這うように、血を吐くような思いで戦ってくれている医療従事者の方達がおられるからこそ、なんとか開催されいるわけで。エッセンシャルワーカーの方達への感謝の気持ちは忘れてはいけないし、感謝をどんどん表に出していくべきですね。
そして自分にできる最大の感染対策を粛々と実践していくことが今は一番大切なのだと思います。

2021年7月読了本

7月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1372
ナイス数:101

つまらない住宅地のすべての家つまらない住宅地のすべての家感想
とても仲が良いというわけでもなく、かと言ってお互いに無関心ということでもない、ほどほどの関係を保っているとある住宅地の家族たち。ごく普通の家族もいれば、とんでもないことを企てている人もいて、そこは少し緊張感がなくはないけれど、津村さんのどこかとぼけたような作風が、全体をふんわり包み込んでくれていて、とても気楽に読めました。ドラマチックに描写するのをあえて避けているような。
読後感も良かったです。
伊坂作品にありそうな設定だな〜と思いながら読んでいました。でも伊坂さんが書くともっと物騒な雰囲気になりそう笑
読了日:07月25日 著者:津村 記久子

自転しながら公転する自転しながら公転する感想
主人公が今を見つめるのではなく、思い描く理想の未来から逆算して今を組み立てているように思えて、ちょっともどかしかった。でも都の葛藤は誰しも思い当たるものでもあり、共感する人も多いのでは。
⁡どんなふうに自分を置くことが幸せなのか、都はその道すじを見つけることができるのか、見守るような気持ちで読みました。私は親の年代なので都の母親の気持ちもわかります。
⁡都周りには、いろんな人がいるけれど、歯に衣を着せずきっぱり意見してくれる友人がいるのはいいなぁと思いました。

読了日:07月17日 著者:山本 文緒

全員悪人全員悪人感想
認知症の方の頭のなかが本当にリアルに描かれています。ケアマネとして働いていたときに出会った人たちのことが次々に浮かびました。そして、地域包括支援センター、困難ケースのときは必ずお世話になりました。うんうん、リアル。
老いるということ、特に認知機能が低下するということは、不安が増すということ。介護する側も辛いし、そちらに焦点がいきがちだけれども、一番辛いのは本人。ほんの少しでも気持ちが理解できれば、介護する家族も光が見えたりするのではないかなと思います。
私も「キライ」って思われてたんだろうな〜(^^;)
読了日:07月12日 著者:村井 理子

累々累々感想
思っていたよりもクールな文体。そして考え方のクセが強い登場人物たち。
共感出来にくい人たちばかりだけれども、それもまた良し。
そして次第に見えてくる世界にゾクっとしたり。
「ちぃ」はあまりに酷い失恋のお話だけれども、不覚にも「若い頃の恋っていいな」なんて思ってしまったので、松井玲奈さん、タダモノではないと思う…
恋愛シュミレーションゲームを地でいくパパ活男性のお話も、発想が面白かった。
結婚おめでとう!言ってあげたいけど最終話はちょっとぞわぞわするシチュエーション…
面白かったです。次回作が楽しみです。

読了日:07月04日 著者:松井 玲奈

エレジーは流れないエレジーは流れない感想
温泉街を舞台にした青春小説。ハートウォーミングな読後感の一冊でした。
⁡怜フレンズギャングがとても良い!彼らがわちゃわちゃしている場面が好きでずーっと読んでいたかったな〜
⁡怜の出生の秘密について、商店街の人たちがそれとなく心を砕き見守り、支援する様子がとてもいい。
⁡「迷惑なんてかけあえばいいってことだよ」というお母さんの言葉も良かった。温かい街ですね〜
ギャングたちの将来が気になります!
しをんさん、続編書いてくれないかな〜
それと!タイトルが絶妙!読み終わった人は必ずそう感じると思います。
読了日:07月01日 著者:三浦 しをん

読書メーター


7月も2gether The Movie を観に行きました〜
TOHO梅田と塚口サンサン劇場。これで計5回鑑賞です。7月末でTOHO系のシネコンは上映終了になったけれど、全国のミニシアターでの上映が次々決まっていて、実に嬉しいかぎり。大阪も8月に十三のミニシアターでの上映が決まっていて、行きたい気持ちはやまやまなのですが、感染拡大で緊急事態宣言が出たので、ちょっと無理かなぁ…
ひきつづきタイ沼遊びは継続中です。


あとは夫と比叡山に一泊でお参りして、世の中の平穏と家族の健康を祈願してきました。
そして、オリンピックの開幕!ですね〜
オリンピックに関しては思うところはおおいにありますが、アスリートを応援するのはまた別の話。連日の熱戦に元気をもらっています。
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