アン・バランス・ダイアリー

EKKOです。読んだ本の感想を中心に書いています。たまにライブレポも。気軽にコメントいただけると嬉しいです。

『朝が来るまでそばにいる』 彩瀬まる 新潮社



追いかけたいと思っている彩瀬さんの新刊は短編集。
タイトルも何だかハートウォーミングだし、癒し系だと勝手にイメージして読み始めたら、エライめにあいました(笑)
最初は、彩瀬さんってこういうテイストのお話も書かれるんだ〜なんて軽く思ってたのですが。
不穏な空気、濁った感情、生臭さ、落ち着かないゾワゾワする感じ・・・生と死をさまよう魂が仕掛けてくる情動にヒヤヒヤしたり、ちょっと一息ついたかと思えば、またゾワゾワ・・・そうしてぐいぐい物語にひっぱられていきました。そして、最終話を読み始める頃に「ちょっと待って。これ、完全にホラーじゃないか!しまった・・・!」とようやく気づき歯ぎしりするも、時すでに遅し・・・・てな具合。
はぁ・・怖かった。これ、映像化したらゼッタイ怖くて見られません私。
でも、怖がらせるための怖さじゃなくて、誰の心にもある黒い闇をまっすぐ描いているので、とても胸に迫ってきました。読み終えてしばらくどきどきが止まらず平常心に戻れなかった・・・こういう感覚は久しぶり。
でも彩瀬さん、さすがに比喩が美しくて、そこはうっとりしてしまう。だから怖さも忘れて読み通せたのかもしれない。

「よるのふち」は、母親を亡くした少年がけなげで、終始涙目・・・
「かいぶつの名前」の切な怖さといったら・・・もう言葉にできないレベル。

そして一番怖いのは「朝が来るまでそばにいる」というタイトルかも・・・タイトルの印象が読む前と読んだ後でこんなに違うなんて、初めての体験かもしれません。

なんやかんやで、彩瀬さん、やっぱり目が離せないですね。

『怒り』(上)(下) 吉田修一 中公文庫





豪華キャストの映画が話題ですが、映画は観ずに原作を。
そして吉田作品は、かなり久しぶり。いつも心にズドンと重いものを落とされる感じがして、ちょっと敬遠してたというのが実は本音です。

若い夫婦を惨殺、顔を整形し逃亡するひとりの男。そしてその犯人と出会ってしまったかもしれない人たちのお話。千葉、東京、沖縄、それぞれの場所で彼らに関わる人たちの3つのドラマ。
果たしてこの3人の誰が犯人なのか?

ひさしぶりに本を読んで泣いたかも・・・
途中までは、犯人探しのような、ミステリ感覚で読み進めていたけれど、そんな単純な物語ではありませんでした。ページが進むにつれ、胸に広がる不安と焦燥感。それでも先が気になり、後半は一気読みでした。身元を隠している人と深く関わったということの体験がない私には、実感として共感できる部分は少なかったけれど、それだけにこの設定と展開はかなりの衝撃でもありました。
読みながら、結局犯人は、この3人のなかの誰でもないのかも・・・なんて、思ったりもしたけれど、それは私の希望的観測だったのかもしれない。

愛するがゆえに、信じるがゆえに、募る不安。
疑いをぬぐえない、自分への憤り。
生きぬくためには疑うことも必要。でも果たしてそれが正義なのか。
人を信じぬくということは、美談でもなく誠実でもなく、狂気なのかもしれない。
信じぬくことができなかったゆえの悲劇と、信じていたから起きてしまった悲劇と、何とか希望を見出し一歩踏み出した勇気と。それぞれのドラマが行き着いた着地点。
最後に出てきた手紙がたまらなく切なかった・・・

信じぬくことができなかった人たちを責めることはできない。でも希望はゼロではないはず。
ただ少しでも幸せになってほしいと願うだけです。

決して明るいお話ではないけれど、不思議と心が温まる感覚もあって。
さすがの筆力。臨場感がありました。やっぱり重いものをズドンと落とされちゃったな〜

読んでよかった。

おすすめです!


以下ねたばれ・・・未読の人は読んじゃだめです!










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2016年10月読了本

2016年10月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:1384ページ
ナイス数:16ナイス

桐畑家の縁談 (集英社文庫)桐畑家の縁談 (集英社文庫)感想
主人公は27歳。自分よりおくてだと思っていた妹が結婚すると言う。しかも相手は台湾の男性・・・ 中島さんの描く姉妹の物語。露子さんのキャラクターがいまひとつつかめなかったりするけれど、そこは中島さんの筆力で何故か旧知の友人のような感覚になってしまう(笑)。大きなドラマのうねりはないけれど、とても心地よく、ほのぼのとするする読み進められるので、やっぱり中島さんの安心感は絶大だなぁと。妹の恋人、ウー・ミンゾンくんがとても良い味を出していて、優しくてよかったですね。幸せになってほしい桐畑姉妹♪
読了日:10月20日 著者:中島京子

星籠の海(下) (講談社文庫)星籠の海(下) (講談社文庫)感想
敬虔な御手洗ファンの私でも、さすがにこれは乗り切れなかった・・・ この本の御手洗さん、確かに推理はキレキレだけど、何か物足りない。石岡くんも何か軽い。ふたりのかけあいがそれほど楽しくない。 ミステリとしても突っ込みどころが満載で・・・たとえば初期の島田作品だったら、いくらなんでもありえないよーと思える設定や展開も、文章と迫力でねじ伏せるパワーがあったし、それが読んでいて快感だった。そのパワーが本作では感じられない。登場人物に魅力がない。私が読みたい御手洗シリーズじゃなかったです。
読了日:10月14日 著者:島田荘司

星籠の海(上) (講談社文庫)星籠の海(上) (講談社文庫)感想
御手洗シリーズ初の映画化作品の原作。相変わらず冴えわたる御手洗さんの推理力。でも初期のようなもっとクレイジーなところも見たいかな(笑)鞆は、以前家族旅行で行ったことがあるので、景色が思い浮かんで個人的には嬉しい。新興宗教やら、村上水軍やら、いろいろ壮大に広がる物語の着地はどこにあるのか?下巻に進みます。ちなみに玉木宏さんのミタライは私にはイメージがちよっと違うかな〜(映画は観てません)
読了日:10月11日 著者:島田荘司


読書メーター


10月は中旬から体調を崩して(多分アレルギーからの風邪っぴきからのアレルギー)、不調でした・・・
島田さんは寝込んでたときにいっきに読みました(笑)
体調を崩す前に、ひさしぶりにスケートの試合を観にいった(近畿ブロック)のは、とても楽しかったです。世界で戦う、勢いのあるジュニアの選手(坂本花織選手、本田真凛選手、紀平梨花選手)のガチンコ勝負に大興奮しました〜♪
あ、そうそう、月末にはウルフルズのファンクラブライブにも参加。ライブハウスでめっちゃ近くて、カッコ良かった〜
急に寒くなって体調管理が難しい・・・こんなときに年齢を感じてしまいますね・・・(苦笑)

『桐畑家の縁談 』 中島京子 集英社文庫



ときどき無性に読みたくなる中島さん。

主人公の露子は27歳。恋人はいるけれど、結婚したいとまでは思えない。仕事も一生懸命になれない。そんなとき、自分よりおくてだと思っていた妹が結婚すると言う。しかも相手は台湾の男性・・・

中島さんの描く姉妹の物語。露子さんのキャラクターがいまひとつつかめなかったりするけれど、そこは中島さんの筆力で何故か旧知の友人のような感覚になってしまう(笑)。大きなドラマのうねりはないけれど、とても心地よく、ほのぼのとするする読み進められるので、やっぱり中島さんの安心感は絶大だなぁと。
妹の恋人、ウー・ミンゾンくんがとても良い味を出していて、優しくてよかったですね。
幸せになってほしい桐畑姉妹♪

『星籠の海』(上)(下) 島田荘司 講談社文庫





(注:毒を吐きます)

御手洗潔シリーズ初めての映画化作品の原作です。どうも、映画化ありきで島田さんが書かれたようですね。

瀬戸内の小島に死体が次々と流れ着くという不思議な現象の謎を解くために、御手洗さんと石岡さんは福山市に向かいます。

うーん・・・
長い長い物語、頑張って読んだんですけどねぇ。
そりゃ、私、御手洗フリークなもんで、御手洗さんが動いて話して推理してくれたら、それだけでもう、幸せなんですけどねぇ。
おまけに馬車道時代の御手洗さんで、石岡さんも一緒となると、そんな設定だけで手放しで喜んじゃうんですけどねぇ。

そんな私でもさすがに、乗り切れなかった・・・
長いのはいいんです。これまでに文庫本にあるまじき厚さの御手洗本もありましたし、事件に関連のない薀蓄が並ぶ物語もたくさんあった。でもそれはそれで、読み応えがあったし、胸に迫るものがあった。
この本の御手洗さん、確かに推理はキレキレだけど、何か物足りない。石岡くんも何か軽い。ふたりのかけあいがそれほど楽しくない。
ミステリとしても突っ込みどころが満載で・・・たとえば初期の島田作品だったら、いくらなんでもありえないよーと思える設定や展開も、文章と迫力でねじ伏せるパワーがあったし、それが読んでいて快感だった。
そのパワーが本作では感じられない。
登場人物が、みんな控えめにいって魅力がない、はっきり言って馬鹿すぎてあきれる。とくに女性がダメダメ。うざすぎる。
唯一素敵キャラは忽那さんかもしれないけど、最後になんでまたあんな行動をとったのかが、唐突過ぎてよくわからないし・・・(ドラマとしては面白いのだと思うけど、必然性が感じられない)
いつものように社会問題を扱っていて、それはそれで面白いし、村上水軍とか、阿部正弘とか、黒船来航とか、歴史ミステリとして面白そうな題材を扱っていて、それはそれで興味がないわけではないのですが・・・

うまくいえないけど、とにかく違和感だらけ。
私が幻想を描きすぎてるのか?
変わらないでいてほしいと思うのは贅沢なのかな?
何だかちょっと淋しかったなぁ・・・
申し訳ないですが、島田さんの新刊はもう読まないかな・・・

毒吐き本当にごめんなさい・・・。
思い入れが強いからこそ、です…。

2016年9月読了本

2016年9月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:534ページ
ナイス数:9ナイス

御手洗潔の追憶 (新潮文庫nex)御手洗潔の追憶 (新潮文庫nex)感想
日本を去った御手洗さんのちょっとした日常とか、石岡くん語る御手洗さんとか、レオナから石岡くんへの手紙とか、そういうエピソード的なお話ばかりで、ミステリ作品はほとんどない、どちらかというとファンブック的な短編集。そのなかでも「天使の名前」は御手洗さんの父親が主人公で、これはなかなか読み応えがありました。御手洗さんのルーツにこんなドラマがあったとは・・・ちょっと鳥肌モノでした。これが読めただけでも良かったかな。
読了日:9月20日 著者:島田荘司

岸辺の旅岸辺の旅感想
何年ぶりだかわからないほど久しぶりの湯本さん。清潔感のある文章に、静謐な物語。失踪した夫を待ちわびる主人公のもとに、死んだ夫が突然帰ってくる。そして、行方不明だった3年間をともにたどる旅が始まる・・・ 彼岸と此岸の境目をさまようふたり。不思議な設定なようで、実はそうでないのかも。彼岸も此岸も同じ世界のなかにあって、境目なんてないのかも・・・こうして旅をしている人たちが、実際に私たちの近くにいるのかもしれない、それに気づいても気づかなくても、それもきっと悪くないことだ、と感じたりしました。
読了日:9月11日 著者:湯本香樹実

読書メーター

『御手洗潔の追憶』 島田荘司 新潮文庫



日本を去った御手洗さんのちょっとした日常とか、石岡くん語る御手洗さんとか、レオナから石岡くんへの手紙とか、そういうエピソード的なお話ばかりで、ミステリ作品はほとんどない、どちらかというとファンブック的な短編集。そのなかでも「天使の名前」は御手洗さんの父親が主人公で、これはなかなか読み応えがありました。御手洗さんのルーツにこんなドラマがあったとは・・・ちょっと鳥肌モノでした。これが読めただけでも良かったかな。

『岸辺の旅』 湯本香樹美 文春文庫



何年ぶりだかわからないほど久しぶりの湯本さん。
清潔感のある文章に、静謐な物語。
失踪した夫を待ちわびる主人公のもとに、死んだ夫が突然帰ってくる。そして、行方不明だった3年間をともにたどる旅が始まる・・・

大事な人の死を受け入れるには、きっとこういう過程が必要なのかもしれない。

彼岸と此岸の境目をさまようふたり。不思議な設定なようで、実はそうでないのかも。彼岸も此岸も同じ世界のなかにあって、境目なんてないのかも・・・こうして旅をしている人たちが、実際に私たちの近くにいるのかもしれない、それに気づいても気づかなくても、それもきっと悪くないことなんだ、と感じたりしました。

2016年8月読了本

2016年8月の読書メーター
読んだ本の数:1冊
読んだページ数:243ページ
ナイス数:16ナイス

羊と鋼の森羊と鋼の森感想
宮下さんらしい、とても優しい視線、綺麗な音楽が流れているような表現、調律師の道を真摯に追い求める姿、どれをとっても心地よい、まさに宮下さんの真骨頂。 ピアノってあらゆる楽器の中でも私の中では特別感があって、とにかく憧れの楽器で・・もちろん調律師さんと接したこともないので、こういうテーマはとにかく未知の世界であり、憧れの世界であり、わくわくしながら読み進めました。 外村くんは、これからも調律師としても道をまっすぐ邁進していくんでしょうね。応援したいです。そして、私も板鳥さんの調律を感じてみたい。
読了日:8月7日 著者:宮下奈都


読書メーター


8月は1冊も読めていない・・と思っていたら、宮下さんを読んでました。もう記憶力がやばいです(涙)
何とか1冊。
暑くて、焦げ焦げで、ヘロヘロで、ヘタヘタで、ヘトヘトで・・・
生きていくのが精一杯の今年の夏でしたね〜

でも4年ぶりに高校の同窓会に出かけたり、リオオリンピックに夢中になったり、夏の恒例ライブ、ウルフルズの万博公園ヤッサに出かけたり、楽しいこともてんこ盛りでありました。

ようやく暑さも終わりが見えてきたので、この秋は読書の秋にしたい・・・と本当に思っているのですよ(必死)
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画像荒いですが、ヤッサの画像です〜(スマホでの撮影OKでした♪)

『羊と鋼の森』 宮下奈都 文藝春秋



ピアノの調律に魅せられた一人の青年が、調律師として、人として成長する姿を描いています。

本屋大賞おめでとうございます!

宮下さんらしい、とても優しい視線、綺麗な音楽が流れているような表現、調律師の道を真摯に追い求める姿、どれをとっても心地よい、まさに宮下さんの真骨頂。
私はピアノを弾けないので、ピアノを弾ける人がとても羨ましくて。それに、何だかピアノってあらゆる楽器の中でも私の中では特別感があって、とにかく憧れの楽器なんですね・・・もちろん調律師さんと接したこともなく、こういうテーマはとにかく未知の世界であり、憧れの世界であり、わくわくしながら読み進めました。ピアノの音を作るということは、このうえなく繊細な作業で、たとえば、椅子の高さを変えるとか、ピアノの足の下にあるキャスターの向きを変えることでも音が変わるなんていう記述もあって、まさに職人なんだなぁ・・・と驚きました。しかもあくまで裏方で決して表には出ない。何だかとっても深い職業です。
正直言えば、一般には知られていないような専門的な知識をもっと得たかったかなぁ・・と思ったりしたのですが、これは贅沢というものなんでしょうね。

外村くんは、これからも悩んだり迷ったりしながら、それでもまっすぐに調律師としても道を邁進していくんでしょうね。応援したいです。そして、私も板鳥さんの調律を感じてみたいです。
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