アン・バランス・ダイアリー

EKKOです。読んだ本の感想を中心に書いています。たまにライブレポも。気軽にコメントいただけると嬉しいです。

『彼方の友へ』 伊吹有喜  実業の日本社



内容(「BOOK」データベースより)
平成の老人施設でまどろむ佐倉波津子に、赤いリボンで結ばれた小さな箱が手渡された。「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった。昭和初期から現在へ。雑誌の附録に秘められた想いとは―。

実業之日本社創業120周年記念作品
本作は、竹久夢二や中原淳一が活躍した少女雑誌「少女の友」(実業之日本社刊)の存在に、
著者が心を動かされたことから生まれました。


連日の平昌オリンピックの感動や、ウルフルズの淋しいお知らせなどでセンシティブになっているところに、この本が追い打ちをかけてくれました。もう泣きすぎてぼろぼろです。良かったーーー!感動!今年のベスト本にしてもいい!(→いくらなんでも早すぎ笑)

戦前〜戦後にかけて実際にあった少女雑誌「少女の友」をモチーフに、雑誌作りにかかわった女性編集者を描いた青春小説です。私、昭和の初期、戦前時代の空気はとても好きなのです。何なんだろう?シンプルに心ときめくものがそこにあるような・・・。雑誌「乙女の友」に夢中になる少女たちの気持ちはとてもわかります。いつだって少女はきれいなもの可愛いものに憧れるものだから・・・次第に戦争の影が忍び寄り、表現の自由が制限され、物語は暗いトーンへと移っていくところは辛かったですが、主人公の、野に咲く花のような強さと一生懸命さに勇気づけられながら、読み進めることができました。というか、完全にのめりこんでしまいました。

「カンパニー」のときも思いましたが、伊吹さんの文章は描写がとても映像的で、とにかく目の前に絵が浮かぶ。ハツや有賀主筆、淳司先生など主要人物はもちろん、どんなサイドキャラも顔や物腰が確かに鮮明に見え、生き生きと動いてくれるのです。そして景色も・・・。感情を言葉で表現するのではなく、景色で表現してくれるところも多く、それが胸に迫ってくる。もうたまりません。すべての登場人物たちが実在の知り合いの人のように感じてしまい、読み終わったあともしばらく世界観から抜け出せませんでした。これはひさしぶりに味わう感覚。これぞ読書の醍醐味。

主人公のシンデレラストーリー的な要素もありますが、不自然さは感じないのは作者の筆力ですね。朝ドラにぴったりなストーリーだなぁなんて思ったりもしました。
読者にいつでも最上の雑誌を届けようとする編集者たちの純粋な思いにも心動かされます。また女性が仕事をきちんと持って働くことがまだ当然ではなかった時代の、ハツの奮闘も描かれているし、史絵里ちゃんとハツとの友情も本当に素敵でした。そして個人的には長谷川純司先生が好きでした。(おそらく中原純一さんがモデル)そしてそしてハツの有賀主筆へのほのかな恋心も・・・・エピローグの恋文は今でも思い出すと涙があふれます。

思いがまとまらない・・・
粗もいろいろあるのかもしれないけれど、私はど真ん中でした。
とにかくおススメのおススメです〜

『祈りの幕が下りる時』 東野圭吾 講談社文庫



内容(「BOOK」データベースより)
明治座に幼馴染みの演出家を訪ねた女性が遺体で発見された。捜査を担当する松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑い、その遺品に日本橋を囲む12の橋の名が書き込まれていることに加賀恭一郎は激しく動揺する。それは孤独死した彼の母に繋がっていた。シリーズ最大の謎が決着する。吉川英治文学賞受賞作。


加賀恭一郎シリーズ。映画も公開されてますね。
さすがの東野さん、するするするする読める読める読める読める・・・!吸引力が半端ありません。すべての登場人物が目の前で生きているかのよう・・・(加賀さんはやっぱり阿部寛さんが浮かびます。これは仕方ないかな笑)
犯人の見当は比較的早い段階で予想がついてしまうのですが、犯人のたどってきた人生の壮絶さは想像を超える辛いもので、そのあたりが明らかにされていく過程がとても読みごたえがありました。一見何の関係もなさそうな事件やエピソードが、少しずつ繋がっていく様子が丁寧に描かれていて、深い霧で見えなかった全く真相が、丹念な捜査により次第に視界が明るくなり、終盤にようやく事件の全貌が見えてきたとき、なんともいえないカタルシスが得られました。さすがの筆力・・・!(もちろん知ってましたけど)そして深い親子愛には泣かされました・・・。

まぁ、殺人を犯すには動機が弱いのでは・・とか(東野作品にありがち?)つっこみどころもないわけでもないし、そういう意味で2時間サスペンス的な色合いがないわけでもないけれど、橋での待ちあわせのシーンなど、とても切なくなる情景が満載で胸に迫るものがありますし、また原発作業員という職業にスポットを当てたことで、良質な社会派ミステリとして仕上がっていると感じました。

加賀シリーズは「麒麟の翼」を読み残しているので近いうちに読みたいと思っています。

あと、映画、松嶋菜々子さんが博美役なんですね。これは見てみたいなぁ‥ってか、今調べてみたら及川光博さんも出演してるではないですか?!誰の役なんでしょう・・・俄然見たくなってきました!笑

『ホワイトラビット』 伊坂幸太郎 新潮社



内容(「BOOK」データベースより)
仙台で人質立てこもり事件が発生。SITが交渉を始めるが―。伊坂作品初心者から上級者まで、没頭度MAX!書き下ろしミステリー。


まさに!まさに!まさに!伊坂ワールド炸裂!伊坂さんらしさという意味でも、面白さという意味でも、期待をいっさい裏切ってません。一般の小説と比べるととても個性的なのかもしれないけれど、伊坂作品比では、あまりに伊坂節ど真ん中ストレイトすぎて普通に感じてしまうほど(伝わる?伝われ〜〜笑)。伊坂さんは当初は硬派な犯罪小説を目指したみたいですが、あまり近づけなかったと、あとがきで書かれています。ふむふむ、そのとおりですな。

時間軸がずれたり、登場人物が錯綜して、あれ?あれ?って混乱させられて、慌ててページを戻したり、うーん?って天井を見上げ考え込んでしまったり、ついつい落ち着きのない読書になってしまう。でもそれが楽しい。伊坂作品らしいウィットに富んだ会話や伏線の回収も、いつものことながらお見事です。ちょっと強引な展開がないわけでもないけど、楽しいから良いのです。今回は黒澤さんが活躍しているのがそれだけでもファンには嬉しいし。語り手がやけに主張してくる手法も楽しくて・・・これは「レ・ミゼラブル」オマージュなのかな?違う?実は私はレミゼは小説も映画も知らなくて、だいたいのストーリーくらいは知っときたいなぁと思っていたところだったのでした。黒澤さんも読んでるみたいだし、私もこれを機に小説に挑戦してみるか・・・・?(どうしよう・・・今村さんみたいに5年くらいかかるかも・・・笑)
オリオン座の蘊蓄も面白かったですね〜犯罪小説にこんなファンキーなオリオン座論を差し込んでくるって着眼がすごいな〜

もう何度も何度も言ってるけど、伊坂作品って、読むたびに「小説っていいな」って思えるのが本当に宝物だなぁと思います。

2018年1月読了本

1月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:1486
ナイス数:124

桜風堂ものがたり桜風堂ものがたり感想
まぁベタなお話だとは思いますが、優しさがあふれていて、読みながら何度も泣いてしまいました。登場人物たちの心の動きが繊細に描かれているので、すべての人に共感できました。書店員さんの仕事ぶりや苦労、本を売るための工夫や戦略などを具体的に知ることができたのも嬉しかったです。電子書籍やネット書店に押されて、一般の書店の苦労は多いとは思いますが、銀河堂書店や桜風堂書店のように、本を心から愛し、本を愛する人を心から愛する真摯な本屋さんが、いたるところで頑張っておられるのでしょうね。
読了日:01月28日 著者:村山 早紀

かわうそ堀怪談見習いかわうそ堀怪談見習い感想
書かれている内容、エピソードは結構怖くて、書きようによっては、背筋が凍ってしまうようなホラーな事柄ばかりだと思うけど、主人公自身があんまり怖がっていないのと、表現の寸止め感のおかげでするすると読めてしまいます。おそらく私たちの日常でも、これくらいの現象って普通に起こっているのかもしれない。体験しても無意識のうちに自分で記憶を封印してしまってるだけのことなのかもしれない・・と感じさせてくれます。一見つかみどころがないようで、終盤に向けてきちんとまとまりを見せてくれる絶妙な章立ても秀逸で巧いと思いました。
読了日:01月19日 著者:柴崎 友香

なかなか暮れない夏の夕暮れなかなか暮れない夏の夕暮れ感想
これといった物語の大きなうねりがあるわけでもないのですが、なぜか引き込まれて、すいすい読めました。別に展開が気になるというわけではなく、単純に世界に浸りたい気持ちでページをめくる、これが江國ワールド。稔さんのように、本を読んでいる途中に誰かにふいに話しかけられて、すぐにこちらの世界に戻ってこられないのは、本好きあるあるですよね。しかもこの本では稔さんの読んでいる小説の中身が紹介されていて、二度美味しい。稔さんはつかみどころのないキャラですが、いかにも育ちのよいひょうひょうとした感じがとても好きでした〜

読了日:01月16日 著者:江國香織

つぼみつぼみ感想
普通に過ごしていたら何気なく通りすぎてしまうような出来事や心の動きを、こんな風に優しくすくいあげて、そっと開いて丁寧に物語に紡いで差し出してくれる、宮下さんの感性がとても好きです。心温まる「なつかしいひと」やユーモアあふれる「ヒロミの旦那のやさおとこ」は、展開がわかりやすくて安心感があり読みやすいのですが、私は「晴れの日に生まれたこども」の、なんともいえないつかみどころのなさが、妙に響いて、終始胸をぎゅっとつかまれたような切なさを感じ、印象に残りました。
読了日:01月09日 著者:宮下 奈都

風と共にゆとりぬ風と共にゆとりぬ感想
重厚なデザインの装丁ですが・・・。内容は、はっきり言ってくだらないです笑。くだらないことを、鋭い観察眼とユーモアと冴えた文章で描くとこうなるわけですね。何度声を出して笑ったことか。おふざけだけでなく、第2部の「子どもにとっての言葉」など、胸にジンとくる素敵なお話もあります。そして第3部の「肛門記」で超ド級の爆笑爆弾、揺り戻しがやってきます。面白さは前作からさらにパワーアップしてましたね〜。いろいろとめんどくさくこじらせてしまっているのも愛おしい。朝井さん、くれぐれもお大事にしてくださいませ。


読了日:01月05日 著者:朝井 リョウ


読書メーター


1月は、BUMPの神戸公演に行ってきました。やっぱり素敵〜♪BUMPのライブは誰が何と言おうと美しい。今回のツアーはギタリストな藤原さんがたっぷり堪能できるのがとにかく嬉しい。次いつ会えるのかはわからないけど、また会える日を楽しみに生きていこうと思います。

あとは義父の胆石手術入院があって、まぁいろいろありましたが、経過は順調なのでとりあえずホッとしています。
あとは編み物ですね。編みかけて途中で放置していた(かれこれ15年以上?笑)夫のベストを押し入れから昨年12月に見つけたのを機に、編み物を再開してみました。複雑なことはできないし、我流で全然うまくないけど、結構ハマっています。夫のベストと、私のセーターとスヌードを完成させましたよ〜

さぁ、2月は平昌オリンピックですね!もう毎日テレビに釘付けになること間違いなしでございます〜

『桜風堂ものがたり』 村山早紀 PHP研究所



内容(「BOOK」データベースより)
万引き事件がきっかけで、長年勤めた書店を辞めることになった青年。しかしある町で訪れた書店で、彼に思いがけない出会いが…。田舎町の書店の心温まる奇跡。


表紙のイラストのイメージどおりの、とても優しく温かい物語でした。
正直言って、最初、冒頭にある「登場人物紹介」に美しいキラキラネームが並んでいたのを見たときは「え・・・」と少々不安を感じたりもしましたし(ごめんなさい!)・・・本編のプロローグで猫のアリスが登場したときは「ダメ、反則!」と思ったりもしました(ごめんなさい!)。おおすじのストーリーはとても良いお話だけど、まぁよくある感じでベタだとも思う(だって出てくる人がみんな良い人ばっかり・・・ごめんなさい!)。・・・・と、いろいろ言ってしまってますが、実は読みながら何度も泣いてしまいました。登場人物たちの心の動きが繊細に描かれているので、すべての人に共感できました。やっぱり、優しさに包まれると泣いてしまいますよね〜
書店員さんの仕事ぶりや苦労、本を売るための工夫や戦略などを具体的に知ることができたのも嬉しかったですね。つくづく書店で働いてみたいなぁと思いました。・・・今の私の夢は、もうもう断然書店で働くことです!!(大真面目です笑)かなうかなぁ?(そのまえに私に務まるのだろうか・・・)電子書籍やネット書店に押されて、一般の書店の苦労は多いとは思いますが、銀河堂書店や桜風堂書店のように、本を心から愛し、本を愛する人を心から愛する真摯な本屋さんが、いたるところで頑張っておられるのでしょうね。
この本を書くにあたり、著者がTwitterで、一般の書店員さんに意見を求め、その情報を大いに参考にした、というのは、いかにも今どきの取材方法だなぁと感心しました。

『かわうそ堀怪談見習い』 柴崎友香 角川書店



内容(「BOOK」データベースより)
読みかけていた本が、―ない。思い出さないほうがいい記憶が―よみがえる。別の世界との隙間に入り込んでしまったような。見慣れた風景の中にそっと現れる奇妙なものたち、残された気配。怖い日常。芥川賞作家が「誰かが不在の場所」を見つめつつ、怖いものを詰め込んだ怪談集。


久しぶりの柴崎さん。
恋愛小説家といわれるのに違和感を感じ、怪談小説を書こうと試みる作家さんのお話。主人公のモデルは作者自身?なのかどうかはわからないですが、作家さんにしては普通の人です(笑 作家さんというと強烈な感性の持ち主、というイメージが私にはあるので。誰のせいだ)。
私にとっては舞台が大阪というのも嬉しい。かわうそ堀は立売堀(いたちぼり)、うなぎ公園は靭(うつぼ)公園を連想、イベント会場の書店はきっと千日前のジュンク堂書店かな?などいろいろイメージが広がるのも楽しいですね。(なんばの喫茶店だけ元ネタがわからないのが悔しいのですが・・・)
あと、書かれている内容、エピソードは結構怖くて、書きようによっては、背筋が凍ってしまうようなホラーな事柄ばかりだと思うけど、主人公自身があんまり怖がっていないのと、表現の寸止め感のおかげでするすると読めてしまいます。おそらく私たちの日常でも、これくらいの現象って普通に起こっているのかもしれない。体験しても無意識のうちに自分で記憶を封印してしまってるだけのことなのかもしれない・・と感じさせてくれます。一見つかみどころがないようで、終盤に向けてきちんとまとまりを見せてくれる絶妙な章立ても秀逸。柴崎さんはしばらく読んでませんでしたが、凄く巧いな〜と再認識。芥川賞受賞作品を未読なので読んでみよう〜

『なかなか暮れない夏の夕暮れ』 江國香織 角川春樹事務所



内容(「BOOK」データベースより)
本ばかり読んでいる稔、姉の雀、元恋人の渚、娘の波十、友だちの大竹と淳子…。切実で愛しい小さな冒険の日々と頁をめくる官能を描き切る、待望の長篇小説。


江國さんは、なぜかときどきふっと読みたくなってしまう。

タイトルといい、表紙のデザインといい、文章の字体や、紙質、ペラペラとめくってみた感じも、いかにも江國さんといった趣があるように思うのは私だけでしょうか。読む前からすでに江國ワールドにいざなわれた気分(もちろん快感)。

資産家で読書家の稔さん。稔さんと周辺の人たちの日常を淡々と描いています。これといった物語の大きなうねりがあるわけでもないのですが、なぜか引き込まれて、すいすい読めました。別に展開が気になるとか、新しいドラマを期待して読み進めるというわけではなく、単純に続きの文章を読みたい、世界に浸りたい気持ちでページをめくる、そんな感じ。これが江國ワールド。

稔さんは、暇さえあれば本を読んでいて(しかも意外とバイオレンス系の小説がお好きなご様子)、本を読んでいる途中に誰かにふいに話しかけられて、すぐにこちらの世界に戻ってこられなくて戸惑ったり。これは結構本好きあるあるじゃないでしょうか。私もリビングで本を読んでいて、家族に急に話しかけられ「え?何?」ってはっとしてしまうことがよくあります。しかもこの本では稔さんの読んでいる小説の中身まで紹介されているから、妙にリアルで、またその小説内小説のストーリーも結構面白いから、二度美味しかったり。でもいつのまにか2冊目に突入するから、前の本の結末がすごく気になったり(笑)
稔さんは、優しいのか冷たいのか、冷静なのかそそっかしいのか、つかみどころのないキャラですが、お金持ちの人らしい、いかにも育ちが良い風情のおおらかさと、ひょうひょうとした感じがとても好きでした。

不思議な魅力が詰まってました。江國さんは、続けて読むと酔いそうになるけど、定期的には読んでいきたいですね〜

『つぼみ』 宮下奈都 光文社



内容紹介
話題作『スコーレ4』の主人公麻子の妹・紗英、叔母・和歌子、父の元恋人・美奈子。それぞれがひたむきに花と向き合い葛藤するスピンオフ三編。(「手を挙げて」「まだまだ、」「あのひとの娘」)弟の晴彦は、高校を中退し勤めた会社もすぐに辞めて、アルバイトを転々とした後大検を受け、やっぱり働くと宣言して、いつもふらふらひらひらしている。不器用な弟と振り回される姉。そんな二人には、離婚した両親がまったく違って見えていた。(「晴れた日に生まれたこども」)どこかへ向かおうともがいている若き主人公たちの、みずみずしい世界のはじまり。凜としてたおやかに、6つのこれからの物語。


宮下さんの短編集。やーっぱり良いです!
最初の3編は、華道つながりで、登場人物も重なっていたので、連作なのかな?と思ったのですが、この3編は「スコーレNo.4」のスピンオフだそうです(恥ずかしながらまったく気づかなかった私・・口惜しゅうございます・・・)。

普通に過ごしていたら何気なく通りすぎてしまうような出来事や心の動きを、こんな風に優しくすくいあげて、そっと開いて丁寧に物語に紡いで差し出してくれる、宮下さんの感性がとても好きです。心温まる「なつかしいひと」やユーモアあふれる「ヒロミの旦那のやさおとこ」は、展開がわかりやすくて安心感があり読みやすいのですが、私は「晴れの日に生まれたこども」の、なんともいえないつかみどころのなさが、妙に響いて、終始胸をぎゅっとつかまれたような切なさを感じ、印象に残りました。頼りなくてあぶなっかしい弟をつねに気にかける姉。一方的に心配してあれこれ世話をやいたり、気をもんだりするけれど、でも、実はそれは心配する側のエゴでなのかもしれないなぁと自身を振り返って考えたりしました。

友人や家族との関係性における心のバランスのとり方について、いろいろ感じ入ることが多かったです。さすが宮下さん♪

おすすめです〜!

『風と共にゆとりぬ』 朝井リョウ 文藝春秋




内容紹介
ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR 2015 1位!(エッセイノンフィクション部門)
『時をかけるゆとり』に続く、待望の第二弾。

「別冊文藝春秋」「日本経済新聞 プロムナード」掲載分に大量の書き下ろしを加え、
計500枚の大ボリュームでおくる傑作エッセイ集!

・レンタル彼氏との騙し合い対決
・担当税理士の結婚式にて炸裂させた渾身の余興
・初めてのホームステイにてマル秘パンデミック勃発
・ファッションセンス完全外注の経緯
・特別収録!痔瘻の発症、手術、入院――著者の肛門にまつわるすべてをしたためた100枚超の手記「肛門記」……

読んで得るもの特にナシ!! 立派な感想文なんて書けっこない、
ひたすら楽しいだけの読書体験をあなたに。


新年のはじまりがこの本って、もう楽しい一年になる予感しかないんですけど!笑
いやぁ〜笑いました。
てか、朝井さん・・・おかしいでしょ、この人。いろんな意味でおかしい、何度でも言いたい(笑)
重厚なデザインの装丁ですが、内容は真っ逆さま。ちょっと紙が分厚くて重いのが難点ですが、それも荘厳さを演出してるのかな〜笑

3部構成。
第一部は「日常」
その名の通り、朝井さんの日常のエピソードを綴っています。内容は、はっきり言ってくだらないです。控えめに言ってもくだらないです(笑)これ以上ないどうしようもないくだらないことを、鋭い観察眼とユーモアと冴えた文章で描くとこうなるという見本のような・・・ページをすすめるうちに「このエピソードはどういうオチになるんだろう?どんなお笑い爆弾を仕掛けてくれているんだろう?」とワクワク。そして必ず期待以上の展開を見せてくれるものだから、その都度、「きたーーww」って、吹き出して本を置いて床に這いつくばりそうになってしまう。ほんまにアホやでこの人・・・

第2部は「プロムナード」
日経新聞に連載されていたコラムということで、若干まじめさがみられます。第一部を読むのに結構体力を使ってしまったので、ちょうどよい按配の柔らかさでとても読みやすくて大変ありがたい。そして、「大人のための友達論」や「子どもにとっての言葉」など、胸にジンとくるお話もあるのがとっても素敵。「子どもにとっての言葉」は読書の魅力が温かい文章で綴られていて、朝井さんには叱られるかもしれないけど、立ち読みでもいいから本好きの人全員に読んでほしい!って切に思うほどです。

第3部「肛門記」
第2部を読んで若干心が和らいだのですが、ここで油断してはなりません。ここにきて超ド級の揺り戻しがやってきます。痔瘻の治療・手術体験記。これがもうオカシイ。最高にぶっとんでます。ドーナッツ型の椅子が登場した時には、私は「もうダメ〜〜〜もうこれ以上は許してください〜」と完全降伏にいたりました。
眼科医さんに続いてこちらの主治医の先生も濃ゆくて、好き!羽田圭介さんの特別出演にも笑ったなぁ〜

それにしても、前作「時をかけるゆとり」からさらにパワーアップしてましたね。恐るべし。
いろいろとめんどくさくこじらせてしまっているのも愛おしい。朝井さん、ありがとうございます。くれぐれもお大事にしてくださいませ。

あ、これから読まれる方は、くれぐれも人前では読まないように、こらえられるレベルの笑いではないので不審者になってしまいますよ〜笑

あけましておめでとうございます(2017年12月読了本)

あけましておめでとうございます♪
ばたばたと年末年始が過ぎ、穏やかで楽しいお正月休みも終わり、帰省していたふたりの息子たちも帰ってしまい(寂しい!淋しい!涙)、日常が戻ってきました。
年越しは紅白にくぎ付け(笑)私的には、トータスさんとエレカシが紅白に出場したので嬉しくてテンションあがりましたね〜

では、2017年12月読了本

12月の読書メーター
読んだ本の数:4
読んだページ数:1204
ナイス数:95

カンパニーカンパニー感想
終始映像が頭に浮かび、本当に映像化がぴったりくると思いました。バレエカンパニーの実情やダンサーの心情を垣間見ることができたり、そのあたりも興味深かったです。エグザイルのようなユニットが絡んできたり、動画企画や、フラッシュ・モブを利用して販促活動を行う展開も躍動感があります。そして、これは伊吹さんの持ち味なのかなぁとも思うのですが、誰しも心の中にそっと抱えている、砂糖菓子のようにこわれやすく脆い「辛さ」をそっと包み込むような、そんな作風に感銘を受けました。読後感もよくとっても元気をもらえるのでオススメです♪
読了日:12月27日 著者:伊吹 有喜

出会いなおし出会いなおし感想
とても読後感がよくて温かな短編集。すべての作品に新しい感性の発見があって、なにげなく過ごしていたら、きっと気づくことのない、感じることのない感覚、そういうものをたくさん得ることができたように思います。「カブとセロリの塩昆布サラダ」は、そこまでこだわるか?って笑ってしまう気持ちと「いやわかるわかる!」という気持ちが自分のなかで行ったり来たり(笑)「朝、目覚めてすぐに思うことは、間違っていない」とわけもなく信じる「青空」は、思わぬ展開で少々緊張しましたが、最後は切なくてほろりとしてしまいました。
読了日:12月20日 著者:森 絵都

くちなしくちなし感想
別の世界を描く不思議テイストの短編集で、当初は少々戸惑ってしまったのですが、不思議と不穏さはなく、大切なものを想う物語が静かに流れていて、心地よかった。そして読みすすめるうちに、自分の常識が通用しない世界に身をおくことで、次第に心が解放され、自然と自分を違う角度から見つめなおすことができたような、そんな感覚を味わうことができました。彩瀬さん、こういうファンタジーな作品をときどき書かれるし、「十二国記」のような壮大なシリーズを書いてくださらないかな〜?なんて思いました。
読了日:12月19日 著者:彩瀬 まる

裏庭 (新潮文庫)裏庭 (新潮文庫)感想
正直こういうファンタジー小説は苦手なのですが、展開が早く冒険がぐいぐい進むことと、現実世界の物語と交互に語られる構成が、先行きへの興味をひっぱってくれて読み進めることができました。テルミィは裏庭での冒険を通じて、自分の傷と向き合い、そして自分が自分自身になるというのはどういうことなのかを身につけていきます。ひとつひとつの体験にきちんと意味があり、教訓につながっている(のだと思う)ので、一度読んだだけではなかなか咀嚼できなかった気がします。思っていたよりもとても深い内容でヘビーな読書体験となりました。
読了日:12月09日 著者:梨木 香歩


読書メーター


伊吹さん、森さん、梨木さんと、ひさしぶりに読む作家さんの作品がとても良かったです。この方たちの未読の作品を今年は積極的に読んでいきたいですね。

昨年は、春に退職し、大きな生活の変化がありました。正直、仕事をしない自分というのが想像できなくて、不安も大きかったのですが、家族や友人たちと過ごす時間が増え、とても充実した日々を過ごすことができました。今までは体調を第一に考えて、また家族への遠慮から、予定を入れられなかったり、友人からの誘いを断ったり、外出をあきらめたりということが多かったのですが、仕事を辞めるとそのあたりのストレスがなくなって、自由度がとても増しました。(もっと不自由になるかなと思っていたのですが、これは嬉しい誤算)ライブもアイスショーもたくさん堪能できました。

ただ、これだけ歳を重ねてくると、これからの過ごし方を見つめなおしたりということはあります。自分の心身の衰えもあるし、介護問題はすぐ目の前だし(すでに片足突っ込んでる)、ずっと今の状態が続くわけではないので、それなりの備えや心構えが必要だと感じています。息子たちがきちんと就職できて、無事独立したことはとてもとても喜ばしいことなのですが、まだまだ寂しさからは逃れられないし、また振り返ると、仕事ばかりで子供たちに何もしてあげられなかったなぁ、とか、あのときこうすればよかったとなぁとか、後悔して切なくなることもしばしばだったり・・・
まぁ、そういう時期なんでしょうか・・・

ありがたいことに、私には会ってなんでも話せる友人もいるし、趣味を一緒に楽しむ仲間もいるし、夫は優しくてまめにいろんなところに連れて行ってくれるし、人間関係にこれといった大きな悩みもないし・・・とてもとても恵まれていて幸せだと思う。
感謝の気持ちを忘れず、周りの人たちの幸せにも気を配って、常に上機嫌でいることを目標に、今年も幸せをたくさん感じて過ごしたいものです。

そして読書は私の精神安定剤。いろいろ賑やかに楽しんでも、静かに本を読む時間がすぐに恋しくなる。本の世界に入ると心が澄みきって落ち着く、故郷のようなものだと最近つくづく感じています。読むのが遅いので多くは読めないけど、これから死ぬまでどれだけ読めるかどうかわからないけど、読める限り読み続けていきたいです。もちろん、長年続けているこのブログも、細々とでもずっとずっと続けたいですね。

それでは皆様、今年もよろしくお願いいたします〜〜
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