アン・バランス・ダイアリー

読んだ本やドラマの感想を中心に書いています。気軽にコメントいただけると嬉しいです。

公園にある古びたカバの遊具。こういうアニマルライドは誰しも目にしたことがあって懐かしさを感じるものだと思うのですが、それがこんな素敵な物語になるなんて。しかも、カバだけに「リカバリー・カバヒコ」というおどけたネーミング。青山さんらしい温かいお話でした。
自分の治してほしいところをカバヒコが叶えてくれる。カバヒコにそんな超能力があるかどうかの真偽はさておき。何でもいい、どんな些細なことでも心の支えになるものがあれば人は強くなれるのかもしれない。閉じて固まって澱んでしまった心もカバヒコの存在によって風通しが良くなる。結局は自分自身が一歩踏み出せるかどうかなのだけれども、ほんの少し背中を押してくれるもの、それがカバヒコなのかなと。
マンションに住む人たちがカバヒコを通じて少しずつ繋がっていくたびに心がほっこり。
最終話の

人はやっぱり、見たいものだけ見たいように見ているのかもしれないな。(単行本p233)

というフレーズが印象的でした。
嫌なものじゃなくて、素敵なもの、温かいもの、優しいものを見たいと思うことがまず大事なのかなと。

青山さん、物語を書くネタは一生困らないほど次々と構想が浮かんでくると「あの本読みました?」で話してらしたけど、作家さんって本当にすごいですね。

10月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:868
ナイス数:123

堪忍箱 (新潮文庫)堪忍箱 (新潮文庫)感想
宮部さんの時代物短篇集。
時代ものはこれまであまり読んでこなかったけれど、なんだか疲れた心を癒し落ち着かせてくれる効果がある気がする。ひたむきに生きる市井の人たちの人情のお話が心に沁み入り浄化させてくれるような。清らかなお話ばかりというわけではないし、むしろ人の心の暗い闇を描いてもいるけれど、それでも懸命に生きようとする人たちに癒される感じ。
宮部さんらしい怪談テイストが多いのも良いですね。
読了日:10月26日 著者:宮部 みゆき

名探偵の有害性名探偵の有害性感想
ちょっと変わった趣向で面白かったです。
正直言って、主人公ふたりの軽い会話のノリにも、登場人物たちのキャラや考え方にもいまひとつ没頭できなかったのですが、架空の設定でありながらも描かれている価値観はとてもリアルで、さまざまなメッセージ性を感じるストーリーだったのはとても興味深かったです。
時代の空気は消えてしまい、個人の罪だけが残り弾劾される令和の時代。とにかく配慮やアップデートを要求される世の中についていけないときはどうしたらよいのか。など問題提起がたくさん示されているように感じました。
読了日:10月20日 著者:桜庭 一樹

八月の御所グラウンド八月の御所グラウンド感想
万城目さんの直木賞受賞作
2編が収められていて、ひとつが駅伝、もうひとつは野球がテーマ。どちらも京都が舞台で、ちょっとファンタジー風味。表題作は、万城目版「フィールド・オブ・ドリームス」という趣きのお話です。
現実にはあり得ない、とは言い切れない。暑い暑いとんでもなく暑い京都でならこういう現象も普通に起こり得るかも、と思ってしまいますね。そこが万城目マジック。読後感も良くとても温かい作品でした。華ドラ好きとしてはシャオさんの存在がなんとなく嬉しい。ネイティブの「あいやー」を生で聞きたい〜!笑
読了日:10月07日 著者:万城目 学


読書メーター


次男の結婚式が近づいてきて落ち着かない日々…
姪っ子にネイルをしてもらったりマツエク初体験したり、いろいろ準備して体調管理や天気の心配をしたり。
まぁそんななか雪組「ベルバラ」のライブビューイングや花組の大劇場公演に出かけたり、しっかり遊びもこなしました。人間ドックにも行ったし心も身体も忙しく楽しくも緊張感ある10月でした。

ドラマはWOWOWオンデマンドで「雲の羽」と「蓮花楼」を完走。
個人的には「雲の羽」がかなり好み。ただラストがとんでもない終わり方でかなりの賛否両論のようですが、私はそれも含めて結構好き。この放り出される感じ、なんか一時期の恩田陸さんを思い出しました笑。「雲の羽」はBS放送があったら2周目いきたいです。

本も3冊読めてよかったです。

宮部さんの時代物短篇集。
時代ものはこれまであまり読んでこなかったけれど、なんだか疲れた心を癒し落ち着かせてくれる効果がある気がする。ひたむきに生きる市井の人たちの人情のお話が心に沁み入り浄化させてくれるような。清らかなお話ばかりというわけではないし、むしろ人の心の暗い闇を描いてもいるけれど、それでも懸命に生きようとする人たちに癒される感じ。
宮部さんらしい怪談テイストが多いのも良いですね。
きたきたシリーズの新刊も入手したし、これから宮部さんの過去の時代ものも読んでいきたいです。

かつて空前の名探偵ブームがあり、実際の事件を名探偵(もちろん警察関係者ではない)が解決するというリアリティ番組などがテレビで放送されていた…という架空の世界線でのお話。
ちょっと変わった趣向で面白かったです。
50歳になった名探偵コンビが20代の頃に自分たちが解決した事件を振り返る旅に出ます。
正直言って、主人公ふたりの軽い会話のノリにも、登場人物たちのキャラや考え方にもいまひとつ没頭できなかったのですが、架空の設定でありながらも描かれている価値観はとてもリアルで、さまざまなメッセージ性を感じるストーリーだったのはとても興味深かったです。
事件解決後に当事者たちがどんな人生を歩むのか、思いがけない苦労を背負うこともあるが名探偵は知らん顔。当時絶対正義だとおもっていたことにほころびは一切なかったのか。時代の空気は消えてしまい、個人の罪だけが残り弾劾される令和の時代。とにかく配慮やアップデートを要求される世の中についていけないときはどうしたらよいのか。リアリティ番組の功罪。ミステリドラマの結末を考察する総素人探偵ブーム…などなど問題提起がたくさん示されているように感じました。

あと、とても余計なことだとはわかっているのですが、ウルフルズの曲が何度か登場するのがあまりよい印象の使われ方じゃなくて、そこはファンとしてちょっと残念でした。あの描写必要だったかな?
って、こういうところ、もっと寛容になるべきなんでしょうかね?難しいなぁ笑

万城目さんの直木賞受賞作(いまさらですがおめでとうございます)
2編が収められていて、ひとつが駅伝、もうひとつは野球がテーマ。どちらも京都が舞台で、ちょっとファンタジー風味。表題作は、万城目版「フィールド・オブ・ドリームス」という趣きのお話です。
現実にはあり得ない、とは言い切れない。暑い暑いとんでもなく暑い京都でならこういう現象も普通に起こり得るかも、と思ってしまいますね。そこが万城目マジック。読後感も良くとても温かい作品でした。

華ドラ好きとしてはシャオさんの存在がなんとなく嬉しい。ネイティブの「あいやー」を生で聞きたい〜!笑

「六月のぶりぶりぎっちょう」も読まねば!

9月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:816
ナイス数:67

ツミデミックツミデミック感想
コロナ禍における犯罪をモチーフにしたお話が6篇。
あの頃、あらゆるお店が軒並み休業、産業活動が停止し、人と会うことも憚られ、誰しもどうしようもない不安と閉塞感に気持ちがざわついていた。ほんの数年前のことですが、かなり異常な状況でした。
この本のお話はちょっとクレイジーではあるけれど、あの状況なら十分に起こり得たことかなとも思います。テレビ番組で一穂さんが、世間の状況が好転していくにつれこの連作もカラーが変わっていったと話されていましたが、たしかに徐々に読み進めるにつれ作品のなかに光が見えてくるようでした。
読了日:09月18日 著者:一穂ミチ
不穏な眠り (文春文庫 わ 10-6)不穏な眠り (文春文庫 わ 10-6)感想
電車に乗って出かけるときや旅行のときに持ち歩いて少しずつ読みました。
今回も元気で災難続きの葉村さん、そして事件はちょっと重め。
着実に歳を重ねているのにいつもどおりのハードボイルド、そしてなにげにお人好しさんなのも健在でとても安心できる。
これでようやく既刊本は全部読めたかな。
まだまだ葉村さんと一緒に謎解き冒険したいので次作を待ってます。
読了日:09月06日 著者:若竹 七海
ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)感想
この本を読もうと思ったきっかけは「古相思曲」という中国ドラマです。タイムリープをテーマにした時代劇ドラマで、これがもう素晴らしくて!このドラマに似た設定の小説があると知ってこの本を手に取りました。
まったく同じ設定ではないけれど(そもそもこちらはタイムリープものとは言えないかな)、こちらもとても切ない恋愛の物語でした。テイストは違いますがひたむきに相手を思う主人公ふたりがとても健気で「古相思曲」と同じく人を好きになることは素敵なことだなと思えるお話でとても良かったです。
読了日:09月03日 著者:七月 隆文

読書メーター


9月は忙しかったです。
祭りに次男夫婦が初めて我が家にやってきたので祭り料理をふるまい(ドキドキ…)、4年に一度の高校の同窓会に出席し、臨海スポーツセンターでのイベントに出かけて久しぶりの町田樹さんのスケートに感動し、王一博くんの主演映画第三弾「熱烈」が公開されたので映画館に通い、そして最後の締めはBUMP京セラドーム!
推し活集中しすぎて倒れそうでした笑
でも全て全て最高!
「熱烈」はブレイキンに打ち込む若者の青春ストーリーで、笑いあり涙あり、爽快で痛快でとびきり胸熱な素晴らしい作品でした。あまりヒットしなかったのは残念ですが、しばらくしたら配信されると思うのでその際はぜひ多くの人に見てもらいたいです。3回映画館にみに行ったけどまだまだ通いたかったよ〜

心も身体も忙しすぎたので10月は少しゆっくり過ごしたいな…

一穂さんの直木賞受賞作。
やっぱり一穂さんは短篇集が好きです。
コロナ禍における犯罪をモチーフにしたお話が6篇。
あの頃、飲食店はじめあらゆるお店が軒並み休業、産業活動が停止し、人と会うことも憚られる日々。誰しもどうしようもない不安と閉塞感に気持ちがざわついていた。ほんの数年前のことですが、かなり異常な状況だったなぁと感じます。
この本にあるお話はちょっとクレイジーではあるけれど、あの状況なら十分に起こり得たことかなとも思います。「あの本、読みました?」で一穂さんが、世間の状況が好転していくにつれこの連作もカラーが変わっていった、と話されていましたが、たしかに徐々に読み進めるにつれ作品のなかに光が見えてくるようでした。

街ですれ違ったイケメン配達員に会いたくて宅配を頼みまくり徐々に病んでしまう「ロマンス⭐︎」、なんか気持ちがわかってしまって自分もこんな風にハマってしまわないよう気をつけないと、と心に留めました。ほんと気をつけよう笑

電車に乗って出かけるときや旅行のときに持ち歩いて少しずつ読みました。
今回も元気で災難続きの葉村さん、そして事件はちょっと重め。
着実に歳を重ねているのにいつもどおりのハードボイルド、そしてなにげにお人好しさんなのも健在でとても安心できる。
これでようやく既刊本は全部読めたかな。
まだまだ葉村さんと一緒に謎解き冒険したいので次作を待ってます。

この本を読もうと思ったきっかけは「古相思曲」という中国ドラマです。タイムリープをテーマにした時代劇ドラマで、これがもう素晴らしくて!時空を超えた愛があまりに切なく悲しく、それでも人を愛することの尊さがあふれていて感動がとまらず…!このドラマに似た設定の小説があると知ってこの本を手に取りました。
まったく同じ設定ではないけれど(そもそもこちらはタイムリープものとは言えないかな)、こちらもとても切ない恋愛の物語でした。テイストは違いますがひたむきに相手を思う主人公ふたりがとても健気で「古相思曲」と同じく人を好きになることは素敵なことだなと思えるお話でとても良かったです。



古相思曲、オススメです!
いまはまだWOWOWオンデマンドでしか見られませんが、もう少ししたらもっと観られる環境が増えると思います。多くの人に見てほしい名作です♪

8月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:782
ナイス数:21

カフネカフネ感想
せつなさんがつくる料理が食べる側の人のことを心から気遣う優しさに溢れているのがよかったです。
せつなさんと薫子さんはふたりとも、思ったことも思ってないこともズケズケ言っちゃう毒舌タイプで、私はちょっと苦手なタイプ。でも彼女たちが気持ちを正直にぶつけ合い次第に心を許しあっていく過程は、魂が真に通じ合っていくようで素敵だと思いました。変に気遣って耳あたりの良い言葉ばかりかけあっているだけでは決して築けないものだなぁ、と。
春彦さんの顛末は最後までとても気になって…このあたりはちょっとミステリ感も。
読了日:08月24日 著者:阿部 暁子

新装版 隣りの女 (文春文庫) (文春文庫 む 1-22)新装版 隣りの女 (文春文庫) (文春文庫 む 1-22)感想
向田さんの描く女性ってなんだかとても生真面目で、かといって堅実ひとすじかと思えばそうでもなく突拍子のなさもあり思わぬ行動力を発揮したりして読んでいてとてもスリリング。女性にとってもちろん昭和の時代生きづらさはあったはず。でも反面現代にはない自由な心持ちがあったのではないか、そんな風に感じました。
この本は柚木麻子さんの書評を読んで文庫本を買いしばらく積んでいたのですが、今回柚木さんの短篇集に続いてこちらを読んでみて、なるほど柚木さんが向田邦子さんを推すのはわかるなぁととても腑に落ちました。
読了日:08月15日 著者:向田 邦子

あいにくあんたのためじゃないあいにくあんたのためじゃない感想
帯に「強炭酸エナドリ短篇集」って書いてる笑
たしかに優しい口当たりではないけれどなんかパワーをもらえます。
SNSの炎上、職場での孤立、コロナ禍で外界と遮断されていたり、なにかと息苦しさを感じてしまう今の時代。登場人物に共感する人は多いと思う。そしてこの息苦しい世の中を、自分も変に力を入れ過ぎずに頑張ってみようかなと思える。柚木さんの作品っていつもそうですよね。容赦はないけれど根底に流れる優しさのようなものも心地よい。
「商店街マダムショップは何故潰れないのか?」がスリリングでワクワク感があってお気に入り
読了日:08月11日 著者:柚木 麻子


読書メーター


8月になってすぐコロナに罹患してしまい、それはもう大変な目にあいました。(雪組「ベルばら」のチケット2枚持ってたのにどちらも行けず涙)
熱が下がってからも体のだるさと頭クラクラが続き、体調が回復するまで2週間以上かかりました。
精神的にもかなり参っていたのですが、お盆には息子たちが帰ってきてくれたり、その後宝塚星組公演に行ったりして少しずつ気分が上向きに。月末には体調やら台風やらの心配で8割がた諦めていたウルフルズ遠征(佐賀公演)も実現でき、どうなることかと思った8月も良い感じで終えることができてホッとひと安心しているところです。

9月もイベントがたくさんあって体力的にこなせるか不安もありますが、頑張ります。

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