こちらは、妖精が中心の物語です。図書館で借りてきました。
イギリス各地方に伝わる伝承を「昔ばなし風な語り口」で書き下ろしたもの。ひとつひとつのお話が短く、とてもわかりやすい文章で書かれているので、読みやすく、軽く楽しむことができます。
妖精というと、可愛らしくて美しいというイメージが強いのですが、古代では、とても恐れられていて、人間にとってはできるだけ、関わりたくない存在だったようです。家事や仕事を手伝ってくれたり、友好的な妖精もありますが、人間にいたずらしたり呪いをかけたりするものも多かった。「銀の犬」に登場していた、ガンコナーの話もありました。ガンコナーは、別名「愛をささやく者」ともいわれ、女性の心を奪い、体をあわせたあとにその命をも奪ってしまう。これは怖いわ〜
そんな怖い妖精もありますが、ここで紹介されている妖精たちと人間たちのエピソードは、どれも一風変わっているけれども、楽しいものでした。そして、だからこんなことをしてはいけないとか、人はこういう風に生きるべきなどという教訓めいたことを決してふくんでいないところが、またいい感じ。
読んでいて思い出したのは、梨木香歩さんの「家守綺譚」に出てきた小鬼。あの小鬼は人畜無害でしたが、あれが日本でいう「妖精」なんだろうなぁ、と。
思いがけずハマッてしまいました。もうしばらく、この世界にいるつもりです。