芥川賞受賞作を2作読んだことだし、せっかくだから直木賞受賞作も読んでみました。
内戦に破れ、追われるように中国から台湾に流れてきた祖父。その祖父が何者かに殺された。
台湾と中国を舞台に、ひとりの少年が自分のルーツを探し求め、大人への道を歩んでいこうとする物語。
いやぁ・・・これは男性向きかな?
喧嘩やら暴力やらヤクザやら汚物やら、挙句の果てには私の大っ嫌いなGの大群まで・・・!
中盤までは、到底最後まで読み通せる気がしなかったんですが(笑)、いつしかこ物語の持つ圧倒的なエネルギーに引き寄せられ、終盤はページに吸い込まれるように没頭してしまいました。
台湾の歴史を知らなかったので、途中調べてみたり。
台湾という国の持つ、明るさと屈託のなさと、そしてパワーと・・・そして戦争が人の心に与える深い傷を切なく容赦なく描いています。それと同時に誰もが通るちょっぴり恥ずかしい青春の思い出や、恋の甘酸っぱさも。わざと自分を傷つけることで自分を確かめようとするように、必死で生きるやんちゃな主人公が眩しくて、同時にちょっと苦しかった。
ほとんどがノンフィクションというこの物語。やっぱり心に訴えかけてくるものが大きいですね。
意外な真相を知り、読み終えて、しばし茫然・・・久しぶりに「エラい本を読んでしまった・・・」という感覚を味わいました。
決して私の好みの小説ではないけれど、読めてよかったです。
それにしても、ラストシーンの切なさは、これはいったい何なんでしょう。ここでこんな風に終わっちゃうの・・・?
このラストの印象は忘れられないと思いました。秋生くん、幸せになってほしいなぁ・・・