2006年10月25日

感謝の「謝」


 先週日曜、元灘校の名物教師・橋本武先生より
 出版記念パーティーの誘いをいただいたので、
 夜行バスで神戸まで駆けつけた。
 今年で御歳94歳になられるが、いまなお矍鑠としていらっしゃる。

 祝いの席に集まった300名近くの教え子たちへ
 返礼のため壇上に立たれた先生は、
「みなさんに、ただ“ありがとう”という、
 その言葉以外にありません。……ほかに何も言えません」
 と深々と頭を下げ、感謝の意を示しておられた。

「感謝」という言葉には、「謝」という字が含まれる。
 僕はこれまで、有り難いという気持ちの中に、なぜ「謝る」という
 字が入るのかと疑問に感じていたが、ピンと張った背筋を
 ふたつに折り曲げ、挨拶をされている先生の姿を見て気がついた。

 人間が心からのお礼をいう姿と、お詫びをする姿とは、
 とてもよく似ていると。

 僕たちはよく「感謝します」とか「感謝申し上げます」と
 口にしたり、手紙に書いたりしているが、
 人が本当に感謝の気持ちを述べる時、
 それはお詫びともお礼ともつかない恰好になるものなのかもしれない。


ekomo at 21:24│Comments(0)TrackBack(0)

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