ペルケさんのトランジスタ式ミニワッターPart4の制作に挑戦してみました。フルディスクリートアンプは始めてです。

現在、ディスクリートアンプの制作で一番のネックは部品の調達です。

表面実装への移行と半導体産業の斜陽化によりディスクリート半導体が次々に生産中止になり 、2014年に発表されたトランジスタ式ミニワッターPart4で使用されているディスクリートトランジスタも残念ながら全てディスコンとなっています。
本来、安価に作れるはずのトランジスタアンプのためにプレミア価格のついた古い部品を集めるのは何とも滑稽です。

そんな中、こちらの記事では出力段のパワートランジスタと入力段のJ-FETに現行品の採用を試みています。
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/amist/hardware/trmini4.1/index.html

2015年頃から海外製のトランジスタや東芝品のセカンドソース品が秋葉原の店頭に並び始めています。これらを上手く使いこなせば上の記事のようにディスクリートトランジスタアンプを蘇えらせられるのではないでしょうか?

2016年5月時点でパワーアンプの入力段とドライブ段に使えそうな秋葉原で入手できるトランジスタをまとめてみました。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1VYsSXzo6TtvrhPmmt7P8AdPdTTIrGfPoQ46NrtfslzQ/edit?usp=drive_web

秋月電子とaitendoを中心に海外製トランジスタの取り扱いが次第に増えています。

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出力段のパワートランジスタは各種汎用品を、入力段のJ-FETは秋月電子で販売されているPF-5102が使用できると先の記事のmini watter4.01で紹介されています

最大の問題はドライブ段の2SA1680です。もちろんこれも生産中止で、ヤフオクでプレミア価格のついたものが僅かに流通しているだけです。

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2SA1680に代わる常時180mWの発熱に耐え、hFEが300を超えるPNPトランジスタとして、今回目をつけたのがオンセミ製のBC327-25とJCET製の2SA-1300GRです。どちらも最大コレクタ損失が625mW程度と熱負荷がギリギリな感がありますが、hFEは選別すれば300を超えそうです。どちらも10個100円程度で入手可能です。

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秋月電子で購入したBC327-25のhFE測定結果です。
Ic=1mAで全てhFEが400を超えていました。ペア取りしてこいつを採用です。

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BC327-25の放熱対策と熱結合として銅テープを巻いてヒートシンク代わりとしてみました。あと、基板の配線に放熱を助けるベタパターンをはんだブリッジで設けています。

ドライブ段の差動トランジスタをBC327-25に変更した以外はペルケさんのミニワッターpart.4の回路と部品構成をそのまま使わせていただきます。電源も15Vスイッチング式ACアダプターです。

さて音を聞いた結果ですが、BC327はきちんと動作しているようです。六田式アンプやnabeさんのTPA1517とは方向性が異なる音がします。音の鮮明さこそアッテネータなど物量を投入した六田式アンプに負けていますが、雰囲気の良さと音楽らしさという意味ではミニワッターの方が一枚上手だと感じました。ピアノの音が生のピアノらしく聞こえ、高音から低音まで変な強調がなくのびのびと聞こえます。

練り抜かれた回路設計の結果なのでしょう。
それだけに部品がディスコンだから作れないのはもったいないと思うのです。

また入力段のPF-5102化や出力段の現行品適応も試めしてみたいと思います。

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こちらがPF-5102のId=2mA時のバイアス電圧Vgs測定結果です。
-275mVと-575mV付近に二つの山を持ちかなり大きくばらつきますが、50個測定して電圧差10mV以内のペアが14組取れました。20~30個あれば2ペア取れると思います。

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PF-5102のVgsとgmの測定結果が上記です。バイアス電流が2mA程度ではgmが8と2SK170よりも下がります。

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初段は千石で売っていたトランジスタ用のソケットに挿すようにしていたので、挿し変えてみます。そのまま置き換えてもきちんとアンプとして作動しました。2SK170より高音が強調された繊細な音になったように思います。
オリジナルの方が良かったですね…