image


ディスコン対策トランジスタ式ミニワッターの音色がとても気に入ったので本格的に組んでみることにしました。

±12V版 ディスコン対策トランジスタ式ミニワッターに進化しています。

六田式アンプのために気合いを入れて作ったケース、左右独立トランス電源、アッテネーターと出力段トランジスタを活用することにします。

image

電源部、増幅回路、出力段を基板で分けて、日圧のXHコネクターで接続しているのでユニットごと交換できるようになっています。

電源が15V両電源になるので定数の見直しが必要になります。

トランジスタ式ミニワッターではドライブ段の高hFEトランジスタに比較的大きな電流を流すことで、直接、出力段を駆動しています。
この設計のまま±15V電源としてしまうと、電圧が倍になるので出力段トランジスタのコレクタ損失が大きくなりすぎてしまいます。
コレクタ抵抗値も高くなってドライブ段の出力インピーダンスが上がってしまい、どうにも上手くいかなそうです。

image

色々悩んだ結果、出力トランジスタを手持ちのダーリントントランジスタとして、ドライブ段の負荷を下げることにしました。
オリジナルの設計に手を入れることで、音がどう変わるか楽しみなところです。

tran15

設計した回路は上の通りで、入力段のJ-FETはPF-5102、ドライブ段のPNPトランジスタは、思い切って設計を変えコレクタ電流を大きく下げて2SA1015としました。 出力段はダーリントントランジスタ2SB1647 2SD2560とします。
出力段のバイアスを可変できるように温度補償に2SC4495を使っています。
全ての石が秋月電子で入手可能です。

2SA1015はディスコンになってしまいましたがセカンドソース品も流通し始めているので許してくださいw

今回の設計では部品の入手性に気を使いました。以前も書いたのですが、優れた設計なのに石が手に入らないせいで手軽に作れないのは、もったいないと思うのです。

定数を見直すに当たってLT-Spiceを使ってシミュレーションしてみました。ここでみる限り安定してそうです。
spice

今回初めてLT-Spiceを使いましたがすごく便利ですね。電源電圧を変えた時の動作が一目で分かります。設計にもデバックにもすごく有効なツールだと思います。

image

image

アンプ回路は左右を別々にC基板に実装します。電源は左右独立とし別々のトランスから供給します。DACもDual mono構成なのでグランドも左右分けています。


PF-5102はId=2.5mAのVgs差が10mV以内となるように、2SA1015はhFEが揃うようにペア取りしています。PF-5102は2SK170とおなじくVgsが大きくばらつきますので選別が必須です。以前の記事に書いたように20~30個購入して測定すれば2ペア取れると思います。

組み立て後の調整箇所はDCオフセットとアイドリング電流です。電源投入前に5kΩのVRを低抵抗側に回しておきます。ここの抵抗が高抵抗の状態で電源投入するとアイドリング電流が大量に流れて危険です。

DCオフセットを10ΩのVRで調整したところ無事1mV以下に合わせることができました。

さらに5kΩと500ΩのVRで、エミッタ抵抗0.68Ωの電圧降下を測定しアイドリング電流を合わせます。今回はミニワッターに習って100mAとしてみました。VRを2つ使ったのは粗調と微調整用ですが5kΩ一つでもちゃんと合わせられますね。

肝心の音ですが、オリジナルのミニワッターよりも引き締まっています。低音域は確実に出ていますし、左右独立電源の恩恵か定位は非常によくボーカルが浮き出てきます。ただ、全体的に音が明確になった反面、ミニワッターの特徴であった雰囲気感が失われたように感じます。
オリジナルにはなかなか及ばないようです。

前回のディスコン対策トランジスタ式ミニワッターも初段をPF-5102に変えたら雰囲気が失われたように感じました。PF-5102のクセなのでしょうか…

これから改良してみます。

まず、初段の電流値を2.5mA→1mAに変えてみます。より繊細になったように思いましたが、そこまで劇的には変わらないです。ついでに余ったPF-5102で定電流化してみましたが、うーん、思った方向には変わらないですね。

次に出力段のアイドリング電流値を変えてみます。
50mA→100mA→200mAと電流値が増すほどに音に響きがでてきます。電流値が少ないほど繊細で明確、大いほど暖かさを感じます。こちらの方が明確に違いが分かります。
今回は発熱の関係から200mAとします。

各段の定数をいじると音がコロコロ変わりますね。電流値の大きさなどは変化に一定の傾向がありそうな感じです。

ドライバ段は、定数はそのままにトランジスタを2SA1015からBC327に変えてみます。
image

おおっ!これこれ!残響がでてきて半導体らしくない暖かさがでました!

トランジスタに傾向が強く依存してしまうという、少々意外な結果でしたが、定数の合わせ込みなどディスクリートアンプの奥深さを垣間見た気がします。

これにて一度、完成としましょう。
改良後の回路は以下です。
yuu