2013年06月02日

「貴婦人と一角獣展」於:国立新美術館



貴婦人と一角獣展


 フランス国立クリュニー中世美術館所蔵の《貴婦人と一角獣》がやってきました。国外に出るのは、今までに1回、1974年にアメリカのメトロポリタン美術館に貸し出されただけといいます。西暦1500年頃の制作とされる6面の連作タピスリー。日本初公開でした。

 「タピスリー」と「タピストリー」は、どう違うのだろうなどと、疑問に思ったのですが、これは、フランス語読みと英語読みの違いのようです。

 穏やかな緋色と紺色の対比がバランスよく、調和しています。6面のすべてに統一感があり、そこに、千花文様(ミルフルール)と呼ばれる野の花があしらわれていました。また、動物たちもとてもかわいいしぐさで、描かれています。それぞれが意味をもつものらしく、「ウサギ」などは、多産を象徴しているとのことでした。

 それぞれのタピスリーに貴婦人と侍女、そして、一つのモティー、「触覚」「味覚」「嗅覚」「聴覚」「視覚」などを象徴するものが配置されています。6枚目のタピスリーは、「我が唯一の望み」と称され、第六感の心が表されているようでした。

 タピスリーといいますから、織物です。一つのタピスリーのサイズは、縦380cm前後、横358〜466cm、全体で、全長22メートルとのことです。これまでに繊細、かつ大胆、色彩のバランスもよく作成されたものが、一家の繁栄を望むために作られたのですから、やはり、財力をもった王侯貴族でしか、注文できなかったでしょう。どれほどの、時間を費やしたのでしょうか。原画を描くもの、織物用にデザイン画を用意するもの、そして、織職人。何度も使いまわしができ、応用ができるように、サンプル集も用意されていたようでした。

 この展覧会は、7月15日(月)まで開催されています。よろしかったらお出かけになってみてはいかがでしょうか。

 詳細は、展覧会ホームページ: http://www.lady-unicorn.jp/をご覧ください。


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2013年05月26日

「アントニオ・ロペス展」於:Bunkamura ザ・ミュージアム



アントニオ・ロペス展
 ≪グラン・ピア≫

 駅の広告で知った展覧会の告知。チラシの絵がわけもなく、私を惹きつけました。どこかで、みたようなアングルなのですが、思い出すことができません。誰だったかの写真?そんな気がします。

 何はともあれ、出かけてみました。チラシの表と裏にあった絵は、当たりでした。

 ≪グラン・ピア≫と≪マリアの肖像≫そして、マドリードを描いた風景。何年もかけて、街頭に出かけて描いたそうです。≪グラン・ピア≫などは、同じ朝の時間帯(6:30am)に出かけて、朝の光を捉えながら7年もかけて描かれたとのこと。

 また、≪トーレス・ブランカスからのマドリード≫も8年もかけているのです。写真のように描かれているのですが、そこには、人っ子一人いない風景。動かないものに焦点をあて、光の加減を捉えながら、街の様子を描き切っています。ヨーロッパの夏の夜は遅く、いつまでも暮れない夕方の空模様…美しい!

マリアの肖像
 ≪マリアの肖像≫1972年、鉛筆

トーレス・ブランカスからのマドリード
 ≪トーレス・ブランカスからのマドリード≫1974〜82年、油彩

 展覧会構成は、7部構成になっていました。
≪故郷≫≪家族≫≪植物≫≪マドリード≫≪静物≫≪室内≫≪人体≫…その中でも≪家族≫、≪マドリード≫には、来てよかったと思う作品が多くありました。

 素描、油絵、彫刻と偏ることなく、全体で64点。何にでもチャレンジしていたのが印象に残りました。娘や妻を彫刻にしたもの、また、イヴと称した≪女の像≫も良かったですよ。

 この展覧会は、6月16日(日)まで開催されています。


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2013年05月19日

「ラファエロ」於:国立西洋美術館



ラファエロ展


 「ラファエロ展」に行ってきました。「ルネサンスの優美(グラツィア)、500年目の初来日」とありますから、見逃すわけにはいきません。(心配なのは、混雑ですね)

 ご存じ、ルネサンスの三大巨匠の一人、ラファエロの≪大公の聖母≫がお目当てです。聖母マリアとキリストが可愛らしく描かれています。その画風は、優美とも甘美とも品性があるとも言われています。こんな具合でした。

大公の聖母


 いろいろな「聖母子像」がある中で、一番、美しいかもしれませんね!!うっとりです。サイズは、それほどでもありませんでした。(84.4cm × 55.9cm)

 「背景が黒に塗り込められた謎」を解明するための、X線撮影、赤外線リフレクトグラフィーを使用した画像も見ることができました。黒の背景を塗りつぶしたのは、ラファエロではなく、後世において商品価値を高めるためになされたものであったという解明結論。それでも、ラファエロの絵の価値が下がることはないように思います。

 誰も実現できなかった優美さをもって人物を表現した。ラファエロの描く人物には、姿にも動きにも最高の品位と美が融合した「優美さ」があるというのだ。(ジョヴィオの伝記より言及)

 ラファエロはその「優美さ」を当たり前のように自然に描きだしている。実際には努力と工夫のよって造り出したものであっても、自然にほとばしり出たもののように表現されている。その天真爛漫さともいえるラファエロの造形には、誰もが素直に納得せざるをえない。

 ラファエロの女性たちは、ルネサンスという時代が夢想した究極の女性像だと思われるからだ。

 レオナルドやミケランジェロが恵まれた境遇から美術家になったのと比べて、ラファエロは、画家の息子に過ぎず、11歳で父親を亡くして後ろ盾なく、一人で道を切り開いて、成功した画家だという。ラファエロは、画家として自己鍛練し、短期間のうちに独自の高い境地に達したのだ。

(『誰も知らないラファエッロ』石鍋真澄、堀江敏幸著、新潮社刊よりの引用)

 残念ながら、ラファエロは、37歳という年齢で天に召されてしまった。レオナルドやミケランジェロと同様に長生きしたならば、どんな作品を残したのだろうか?

 この展覧会は、6月2日(日)まで、開かれています。(あと2週間です)


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2013年05月12日

「国際バラとガーデニングショウ」



国際バラとガーデニングショウ2013


 このイベントは、5月16日(木)まで、西武ドームで行われています。

 今年もまた、「国際バラとガーデニングショウ」に行ってきました。今年は、15周年特別企画としての、『ターシャ・テューダー 素足の庭』、『オードリー・ヘップバーンが愛した庭』、『バラのふるさとトルコ』と、例年のガーデンコンテストでした。

 晴れて、とても気持ちの良い日でしたので、多くの来場者で、ごった返していました。写真を撮りたくても、人、人、人の背中と頭ばかり。それでも、人の波を見計らって『ターシャの庭』だけは、頑張りました。その他は、あまり力が入らずじまい…。

 デザイナーが、それぞれの庭をイメージして作るのですが、やはり、『ターシャの庭』に共感。デザイナーの意図が良かったと思います。面白かったのは、本物の動物を配置していたことです。ニワトリ、ヤギ、ガチョウが自然に溶け合っていました。デザイナーの本人がそれを世話する庭男のように、椅子に座って、ヤギを撫でていたのには、驚きましたよ。(正直、笑ってしまいました。)

 それでは、『ターシャ・テューダー 素足の庭』の一部をご覧ください。

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2013年05月06日

「目覚まし時計がならない日」



スズラン


ハルジオン


ジシバリ


 何年ぶりか、無為の休日を過ごしました。目覚まし時計をならさないで、ゆっくり眠れる日は、ほんとに、何年かぶりです!! よく、寝ました。何もしないで、ダラダラと過ごすのも、いいですね。

 風に吹かれ、ベンチに寝ころびながら、読む本も格別です。ただ、画像だけを眺めているのもいいものです。心配された雨もなく、心地よい風が至福の時間をくれます。

 これから、また忙しくなることでしょう。忙しいというのは、悪くもあり、良くもあり…。考えずに事を進ませることができますが…。たまに、暇になるというのも、いいものです。(ず〜っと、暇だと、私の性格だと、かえって落ち着かないでしょうね…)


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2013年04月28日

「足利フラワー・パーク」



紫藤
 紫藤の大棚

 サムネイル表示になっています。よろしければ、画像の上をダブルクリックして、大きな画像をご覧ください。

 思い立ったが吉日! 「足利フラワー・パーク」に行ってきました。急に決めたので「特急」は、満席とのこと。仕方なく、トコトコ、ローカル列車で…。池袋から3時間半かかりました。赤羽で乗り換え、宇都宮線に乗り、小山乗り換え、両毛線で「富田」駅で下車。歩くこと10分。

 富田駅は、ふだんは、無人駅だそうです。「この季節だけ、にぎわう」のだとか。のどかな、のどかな風景の中にフラワー・パークは、ありました。

 よく晴れた日だったので、大勢の観光客でいっぱいでした。お目当ての「大藤」は、駅のポスターより、ちょっと、小ぶり…。写真を撮るには風がきつく、シャッターチャンスを狙わなければなりません。以下、フラワー・パークの風景です。

 赤藤は、盛りを過ぎていましたが、紫の大藤は、今が旬です。白藤は、半分くらいの咲きぶり。黄藤は、蕾の状態で、これからでしょう。

白藤棚
 白藤棚

白藤トンネル
 白藤トンネル

黄藤
 黄藤は、蕾でした。


つつじ
 ツツジ

ペチュニア
 ペチュニア

ポピー
 ポピー

マーガレット
 マーガレット

 ツツジ、ポピー、マーガレット、ペチュニアなどの花も気持ちよさそうに、風に吹かれていました。5月の中旬ぐらいまでは、楽しめそうです。バラは、まだ、咲いていませんでしたから、この後のお楽しみですね!!


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2013年04月21日

「マリオ・ジャコメッリ写真展」於:東京都写真美術館



マリオ・ジャコメッリ写真展


 今日は、小雨そぼふる寒い日でした。24節気節では、昨日は「穀雨」。一雨、一雨ごとに、木々が緑を増す頃です。写真美術館で開かれていた「マリオ・ジャコメッリ写真展」に行ってきました。

 どこかで、聞いた(見た)記憶があるのですが…。(2008年にとり上げられたというのです)たぶん、そのせいで、名前だけが記憶に残っていたのでしょう。

 黒と白のコントラストで、仕上げられた作品群。なぜか、不思議な魔力に捕りつかれます。リアルでない幻想的な仕上がりです。いくつもの写真群に、これは、「何を意味するのだろうか?」と考えながら、見てきました。

 ジャコメッリは、9歳の時に、父親を亡くし、母親とともに、貧しい生活を余儀なくされたとか。母は、老人ホスピスの洗濯婦として、生計を得、子どもたちを小学校へ通わせたという。そこで、彼が見たものは、「死が近い老人たち」。

 死を待って、生きているだけの虚ろな人々が、作品の中にもありました。幼い頃に感じてしまった、強烈な「死と生」は、ず〜っと、彼の気持ちの底から離れることはなかったように思います。それが根底となって、詩的な作品を生み出しているように思えました。

 人間は、何のために存在するのか?「死」と隣合わせの「生」。それは、儚く、消えてしまうもの…。写真の中に、存在することの意味を問うようなものがたくさん、あったように思います。「白、それは虚無。黒は、それは傷痕。」というフレーズが語るように…。

 ことばでは、簡単に説明できない生きることの虚無。彼の画像では、詩人が与えてくれた言葉とともに、一連のシリーズとして取り扱っている。『死が訪れて君の眼に取って代わるだろう』がそれらの作品群。

 「生きるのは、むずかしい」と言われるけれど、「死ぬのもむずかしい」…というのが今回の私の感想です。

マリオ・ジャコメッリ写真展2




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2013年04月14日

「海賊とよばれた男 上・下」百田尚樹著、講談社刊



海賊と呼ばれた男


 今年の本屋大賞に選ばれたという「海賊とよばれた男」を読みました。読了までに10時間。やっと読み終えました。

 これは、『出光興産』の創業者、出光佐三をモデルにした小説でした。読んでみてびっくり。これほどの人物がいたとは?

 『出光美術館』には、けっこう出かけておりましたが、創業者の苦節がこんなところにあったのだという驚きでした。しかも、道義を貫き、社員を馘首することなく、大家族主義で、経営を行ってきたというところです。

 明治の気骨を持ち、早くから「石油」という可能性と、世界のエネルギー戦略に組み込まれるかもしれないと高校生の時代に先見の明をもって時代を透徹しえた才能に驚かされます。

 そこに、この男の可能性に賭けた支援者がいたのです。人物を信頼し、巨額な資金を提供したサポーター。彼のみばかりでなく、いろいろな局所で、銀行が彼を信用し、莫大な融資を行うに至ったのは、出光佐三(小説の中では、国岡鐡造)の人間の大きさであったのです。

 どういうふうに、彼は、経営理念を打ち立てのか? 明治44年(1911年)に国岡商店を創立。1945年の終戦時には、1000人の社員が路頭に迷う事態になった時でも、「ならん!ひとりの馘首もならん」といって、首を切らなかった。なにもかも失い、借金だけが残った時だった。石油では商売できないので、なんでもやってのけた。「ラジオ修理」も。

 また、旧海軍の残油集めなどで、糊口をしのぐ。それでも、社員が一丸となって、はだかで、真黒になりながら働く様は、いろいろな人を感動させたのである。それは、戦後ばかりでなく、困難が立ちはだかった時に、社員全員がそのような働きぶりをみせたのである。それは、石油に関わる人間のうちで、感動を覚えるものもあったのである。(共感を覚える人は、いるものである)

 果敢に正義と戦い、「許せぬものは、許せぬ」という鐡造の気骨ある態度、日本のために、消費者のためにという意気込みに惚れたのである。日本の銀行家ばかりでなく、高官も外国の銀行家も、この人物ならば、信頼していいのではないかという印象を受けて、多額の融資を行うのである。

 一番の圧巻は、世界の石油メジャーや英国海軍を相手に、ホルムズ海峡封鎖を突破して、「日章丸」を航海させて、イランから石油を運ぶところである。想像を絶するような航海。息をのむような航海戦術。これに携わる人々の心意気がすばらしい。

 命を賭けて、日本の進路を憂い、社員である家族を大事に思い、人と人のつながりを恩義に感ずる人物であった。

 「出光美術館」の「仙崖」や「唐津焼き」のコレクションがこのような背景を秘めていたとは? 感無量です。


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2013年04月07日

「フェルメール・コネクション」宇賀神 修著、文芸社刊



フェルメール・コネクション


 2013年3月。東京の美術館で「フェルメール展」が開催されていた時、驚くべきニュースが伝えられた。フェルメールの真作と思われる新たな絵が、日本の長崎で発見されたというのだ。長崎で代々商家を営む今村家の古い蔵の中で。真鍮製の薄いケースに収められた絵は、アトリエに立つ画家自身の肖像と、画中画として『絵画芸術』が描かれているという。

 現地の美術館の学芸員の調査の後、さらに詳しい調査と分析をするために、東京の国立博物館とオランダのマウリッツハイス美術館からの専門員の到着。ここから、ダイナミックな展開が…。

 主催新聞社の記者、森本豊とマウリッツハイス美術館の学芸員、クララ、長崎県美術館の今村由紀がハーグに飛ぶ。なぜ、今村家にフェルメールの絵があったのだろうか? そして、今村家にあった、由紀の曽祖父(外交官)が使っていた、手帳や交信された手紙の中から、『Cの手記は奪われた』という文言。これらの謎を追ってストーリーが展開される。

 17世紀のオランダと日本をつなぐ、人的つながり。イマムラが「Cの手記」を預けたという1937年当時のベルリンの政治状況が描かれる。また、哲学者、スピノザの旧宅を訪れたという話。イマムラとスピノザの関係は?

 最後に解き明かされる「Cの手記」

 「Cの手記」を書いたのは、コルネリアという女性。1696年8月25日、コルネリアが50歳の時だった。

 父(ピーテル・イマムラ)は日本名(トウハチロー)といった。

 コルネリアは、この父(日本人)とオランダ人の母(アンナ)との間に生まれた日蘭混血児である。

 母は、コルネリアを産んですぐ病死。父は再婚もすることなく、男手一つでコルネリアを育てた。最初、アムステルダムに住んでいたが、理由があって、ハーグに移住。彼女が35歳になった時、父は65歳。日本への帰国を決意。

 日本に残してきた妻と、まだ見たこともない息子(コルネリアのただ一人の異母兄)に会いたいという抑えがたい気持ちと、日本への望郷の念。

 しかし、これは、大変な危険が伴うもの。なぜなら、日本政府が厳重な鎖国施策を取っていたため、海外の日本人が帰国することは、国禁を犯すことになるから。発覚すれば、死罪は免れない。幸いに彼女の父は、東インド会社の高級職員。会社の内密の助けと、手紙で秘密に連絡を取り合っていた日本の長崎の実家…オランダ貿易に携わる有力な商家ということで、無事、再入国に成功。

 「ハーグ」にいた、トウハチローは、この時代、スピノザやフェルメールと面識があったという…。

 娘、コルネリアがフェルメールに関わることになるバックグランドである。

 フェルメールとスピノザの関係はどのような繋がりであったのか? 『天文学者』、『地理学者』、もしかしたら、この哲学者がモデルかもしれない…。

 「ノイエ・ハーケンクロイツ(新鉤十字)」の登場。ヒトラーとナチスの残党がたくらむ陰謀。いろいろなモチーフが絡まり合いながら、ストーリーが展開されていくダイナミックな構成。最終的には、『真珠の耳飾りの少女』は誰だったのという、解き明かし。

 「描かれている少女は誰?」という問題で、いろいろな説がある中で、このようなフィクションも面白いかもしれない。



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2013年04月01日

「花冷えの野に遊ぶ」



桜2013330


桜2013331


 なんだか、この前の暖かさが信じられないくらい、天気が一変しました。桜が咲いたというのに、楽しむ暇も与えてくれません。せっかくの休みが寒さ、曇天と…。天候を恨んでも仕方ありませんね。

 ここは、「花冷え」「花曇り」というような美しい言葉を楽しみましょう。寒さが戻ったせいか、桜が散らないでいます。それも、また、別の角度から、「桜を楽しみましょう」という教えなのかもしれませんね。

 あぁ、一年に一度しか咲かない桜…考えさせられるものがありますね。それでも、樹齢500年というような桜の老木もあるようです。樹木は、「長い長い年月を生きられる」のはなぜなのでしょうか。この秘密を知りたいと思います。


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2013年03月31日

「舟を編む」三浦しをん著、光文社刊



舟を編む


 私がこの本を読んだころは、売れ行き、50万部突破!という時だったのですが、現在では、66万部だそうです。「辞書(舟)を編纂する(編む)人たちの言葉と人への愛を謳う」ストーリーです。辞書の名称は、『大渡海』

 辞書を編纂する出版社の部署を扱った、青春エンターテインメント。実に面白かったという記憶があります。その時は、読んだままにしていたのですが…。最近話題になっているので、とりあげてみました。映画にもなるそうで、4月13日封切り。

 「言葉を整理し、意味を示し、もっともふさわしい形で、使えるようにする辞書」出版社・玄武書房に勤める馬締(まじめ)光也が主人公。彼は、営業部に配置されていたのだが、ある日、辞書編纂部に配置変え。変わり者で、営業部では使いものにはならないのだが、突然の辞令で、特色を発揮することに…。言葉を捉える非凡な才能をもっているのだが、「恋」に関しては、まったくの方向音痴。

 定年間近のベテラン編集者、日本語研究に人生をかける老学者。おんぼろアパートの大家さん。そして馬締が飼う猫。そこに現れる不思議な少女。編集部を中心に繰り広げられる物語は、辞書編纂にかける人々の熱気でいっぱいである。

 辞書編纂は、25〜30年もかけて行われる。採算がとれるか、とれないか?地道が作業を必要とされる作業。世代を重ねて辞書作りに励む共同作業には、熱いものを感じますね。そして、後世に残されていく誇り高き作業。こんなやりがいのある仕事は、忘れられてはならない!!

 辞書って、たくさんありますが、どんな辞書を使っていますか? そこで、『恋』の語釈を見つけてみませんか?そして、こんなクイズは? 「恋はするもの? されるもの?」ちょっと、頭の体操ですよ。

 『大渡海』によると…。読んでみてからのお楽しみ。



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2013年03月25日

「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」於:横浜美術館



ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家


 この写真展は、3月24日(日)まで、開催されていました。「行こう、行こう」とけっこう、気にしていながら、とうとう、最終日になってしまいました。

 NHKのドキュメンタリーでも、沢木耕太郎の追跡で、話題になっていましたね。最近では、ハードカバーでも、『キャパの十字架』が刊行されていました。両方とも、見たり、読んだりしていましたが…。

 話題の作品とは、『崩れ落ちる兵士』という写真の真贋。1936年、内戦下のスペインで、ナチス・ドイツの支援を受けた反乱軍に銃撃された共和国軍兵士の最後を撮った写真である。

 これは、写真の「ネガ消失」によるものと、キャパ自身が、生涯、この写真について語ろうとしなかったものという。

 沢木氏の検証によると、「写真の兵士は撃たれていなかった?」「写真を撮ったのは、キャパではなかった」という。そんな話題をキャッチして、見に行きたくてしかたなかったのです。

 鍵は、ゲルダ・タローという女性写真家の存在。そして、キャパが使っていたカメラのライカ。ゲルダ・タローが使っていたローライフレックスというカメラ。

 それにしても、「崩れ落ちる兵士」は、なぜ、このように共和国軍兵士の立派さを強調するものになってしまったのであろうか?キャパが自分の功績のために利用したのだろうか?謎は、深まるばかり…。それを沢木氏は、『キャパの十字架』としている。

 これらの展覧会は、Part1「ゲルダ・タロー」 Part2「ロバート・キャパ」の展開となっていました。戦争を扱いながら、戦いの場面ではなく、市民の生活にまなざしをおいて、戦争によって引き起こされる無念さ、残酷さに眼をむけていたことが印象的でした。

 ゲルダの作品が83点、キャパの作品が193点、その他、掲載された雑誌等。圧巻でしたよ。


 ご興味のある方は、『キャパの十字架』をご一読ください!

キャパの十字架
 


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2013年03月24日

「春が来た!」



こぶしの花


 寒かった今年の冬。それでも、春が一気にやってきました。春を告げる一番乗りは?「こぶしの花」でしょうか?

 沈丁花は、今が満開。水仙も!! これからは、桜が満開…陽春の光を楽しみましょう。




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2013年03月16日

「ヤッさん」原宏一著、双葉文庫刊



ヤッさん


 久しぶりに心温まる本を読みました。タイトルからは、何を想像されるでしょうか?

 銀座のビルの谷間で、「ゴミ箱」をあさる青年タカオ。ダンボール箱に寝ていたタカオは、ある朝、頭を角刈りにした50歳代の男にたたき起されるところから、ストーリーが始まりました。仕事を辞めて、「ネットカフェ」からも締め出された青年が、「ホームレレス」になった経緯と共に、不思議な「ホームレス中年男」に出会ったのです。

 ヤッさんは、「ホームレス」といえども、矜持を持ち、身を小奇麗にし、いろいろなレストランやホテルに出入りするのです。

 まず、タカオが連れていかれたのが、『築地中央卸売市場』。そこへ行ってもヤッさんは、市場の人に受け入れられて、いろいろと、魚の味見をさせてもらえる。信じられないような高級な魚や貝の味見。そこでの味見を料亭や高級レストラン、ホテルへ提供し、ありがたれる存在として、生き延びている。ヤッさんとは、一体、何者なのか?

 過去を語るなど、いっさい「問答無用」と。ひたすら、身体を鍛えながら、小奇麗にして、高級レストランやホテルに出入りして、賄い飯を得ながら日々を過ごして行く毎日。

 そこには、日本のグルメ市場に対する裏事情が描きだされ、漁業に携わる人々の悲喜交々、マスコミの在り方等。今の食事情をめぐるさまざまな現状が描きだされ、なおかつ、「ヤッさん」がホームレスに転落せねばなかったのかが、描かれている作品でした。

 生きる日常が「ホームレス」になりながらも、最低限の守るべき「矜持」をもちながら、気高く、人間として生きるべき、守るべき生き方を見せてくれた良い作品でした。

 ヤッさんが、なぜ、ホームレスになったのかが、作品を通して、後半にて語られる所が圧巻です。


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2013年03月10日

「五里霧中?!」



 今日の午後2時ごろは、都心のビルの27Fにいました。とても暖かい日で、上着もセーターもいらない日。ブラウス1枚でもOKでした。

 ある人が騒ぎ始めました。窓の外の様子がヘンです。北西の方から、「黄砂」のような砂塵が吹いているかのように見えました。だんだんと、南東の方へとその「黄砂」が動きはじめました。約1時間ぐらい。新宿の高層ビルも、六本木の高層ビルも、ビル群が「黄色と灰色のような煙の中」。何かが起きて、地球に何かが起こりそう…そんな不安に取りつかれました。

 セミナーの休み時間になって、ネットにアクセスした人から、以下の情報が!!「寒冷前線が通過に前後して強い南寄りの風と北寄りの風が吹き、地表付近のほこりが巻き上げられた」という話。夕方には、北風が吹き荒れるという…。

  晴れていた空が瞬く間に、 黄色と灰色の靄のようなものに濁っていく様は、なんと「東京には空がないという…」という千恵子の言葉を思い出してしまいました。

 案の定、夕方は、北風がピューピュー吹いて、3月の寒空に戻っていた3月10日でした。ネットをみたら、「煙霧」とありました。不思議で不安な日でした。

 帰ってきたら、目がカユイこと、カユイこと!!



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2013年03月06日

「桜咲く!」



桜咲く


 なぜか、心が浮き浮きするような気分の日でしたね。タイトルからして、何かに合格したかのような雰囲気ですが…。ほんとうに、桜が咲いているのです。この花は、早咲きなのでしょう。毎年、2月には咲いている桜ですが、今年は少し、遅れました。

 早咲きとはいえ、歓迎ですね。この桜、「山桜」ッポイのですが、「河津桜」でしょうか?




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2013年03月04日

「啓蟄の頃」



セリバオウレン
 セリバオウレン

  「啓蟄」とは? 大地が温まり冬眠をしていた虫が穴から出てくるころ、とあります。陽気も温まり、穴から、虫が出てくる季節となりました。これからは、春の季節が徐々にやってくるのでしょう。「柳の若芽が芽吹き、ふきのとうの花が咲くころ」なのでしょう。

 「冬来りなば、春遠からじ」の言葉どおり、確実に、春はやってくるのですね。じっと我慢の冬でした。耐えて、耐えて、やっと待った春がもうすぐやって来るのです。

 人の人生もいろいろ。冬の時代もありましょう。しかし、春の時代もやってくるに違いありません。あきらめず、じっと待つ…。それには、エネルギーを蓄えて。地道な努力がきっと、いい結果に結びつくことを期待しましょう。



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2013年03月03日

「生きる力 心でがんに克つ」なかにし礼著、講談社刊



生きる力2


 昨年2月に食道ガンに侵されてから、「陽子線療法」によって全快にいたるまでの過程が描かれた闘病記です。「闘病記」ならず、彼が、いかに、その過程において「精神的」に、自分の糧となる「過去の読書」に頼り、それを、自分への「感動を呼び覚ますものとして」戦っていたことの記録でもあります。

 「カフカ」「トーマス・マン」などの著作がいかに自分の心境を表しているのか…。心境を重ねると同時に、いかに死と向き合うのか…。ただし、「死」に向かって、受け入れがたいものが…。「ここで死んでなるものか!」彼の「負けず魂」が蘇ります。それは、満州で生まれ育って、その後、過酷な運命を生きながなえる日々。ここでの経験が、「死」をあきらめさせることがありませんでした。

 現在の医者の在り方や考え方に反して、「先進的な医療」を求めました。経済的にも多額の金銭を必要とする診療ですが、できる限りの「在り方」を求めたのです。身体にメスを入れることなく、「陽子線」の投入というやり方。

 金額的には、まだまだ、ふつうの人々にとっては厳しい状況です。しかし、彼が成し遂げた「ある到達点」は、私たちに医学に頼るべき道を示してくれていると同時に、人は、フィジカルな面だけでなく、メンタルな面で、「必ず、生き抜いてやる!」という強い精神力を持つことの必要性を感じさせてくれました。

 とても、印象的な、感動に残る作品でした。1時間もあれば、読める本です。(999円(税込))



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2013年03月02日

「雪割草の仲間--スハマソウも咲き始めました!」



スハマソウ


 「春一番」の風がゴーゴォーとうねりを上げて吹いています。昨日は、雨。そして今日は晴天ですが、風が強いですね。

 雑木林から、別のお便りを差し上げましょう。早春の花の一つに、「スハマソウ」があります。これを撮りました。やはり、背に岩を背負っている暖かい場所に、顔をのぞかせていました。嬉しいですね、こんな可憐なスミレのような花が、ひっそりと咲き始めました。

 都会のお花屋さんには、豪華な春の花が売られていますが、自然の厳しい気候の中で、咲き始めた花に、拍手を送りたいと思います。




elma0451 at 10:44|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 日記 

2013年02月28日

「節分草が咲き始めましたヨ!」



節分草


 「寒い、寒い」毎日ですが…。そんな時、雑木林の枯れ葉の中に、ふと目に留まるものがありました。

 「節分草」です。いつも行っている私の秘密基地、雑木林の中に咲き始めました。冬の光を浴びながら、枯れ葉に守られながら、咲いていました。とても可憐な花です。(注:手前の細長い茎は、シュンランだと思います)

 明日から、3月です。まだまだ、風が冷たいですが、4月の陽光は、間近ですね。




elma0451 at 21:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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