2006年02月23日

「左手のピアニスト--舘野泉さん復活」

朝日新聞2月23日(木)朝刊より

 『脳出血で倒れたピアニストの舘野泉さん(69歳)---カムバック2年「左手の音楽」に夢』の記事を読みました。

 2年半に及ぶ苦闘の日々をへて、左手だけでの演奏で復帰されたそうです。

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2月21日、日本フィルとの九州公演。
曲はラベル作曲の「左手のためのピアノ協奏曲」第1音から生命力に圧倒される。力強く透明な音。鍵盤の全域をふんだんに使い、高音部では舘野さんがいすの右端からはみ出すほど。千人の聴衆がその迫力に引き込まれた。

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 倒れたのは02年1月9日、フィンランドで開かれた演奏会で、最後の曲を弾き終えてお辞儀をし、4歩歩いて床に崩れ落ちたそうです。

 2ヶ月間入院し、少しずつ歩けるようになりましたが、試練は退院後にやってきました。
右半身不随と、言葉も奪われ、40年弾きこんできたレパートリーを失ったことへの落ち込み。

 ある時、息子さんが何気なくピアノの上においていった楽譜を久しぶりに弾いた(左手だけで)瞬間、生き返るような思いをしたとのことです。

 「大海原が目の前に現れ、氷河がとけて動き出した。音が生きて、うねって、波のように広がる。世界が生きて話しかける、そういう感じです。」

 このことから、手が1本も2本も関係ないことに気づき、左手だけの曲に全身全霊を傾け、再度公演の舞台に立てるようになりました。









 舘野泉さんといえば、名前だけは知っていたのですが、演奏曲は聴いたことがありません。「ひまわりの海」という著書があり、それを以前から読んでみたいと思っていたところ、今回の記事でした。音楽に詳しい職場のスタッフに聞くとフィンランド・ヘルシンキを拠点に活躍されていたようです。

 「使えなくなってしまった右手があったらいいのに」という思いで、「弾くなら両手で弾きたい」と最初は思われたようですが、左手だけでもピアノを弾ける喜び、音楽にかかわれる喜びを見つけだしました。限界と思ってしまわず、新しいやり方を見つけた舘野さんは、「左手のための楽譜---風のしるし」を出版されたそうです。

 周りの家族の働きかけかたや支えもあったからなのでしょうが、ご本人の強い意志と勇気、音楽への感動や喜びがそうさせたのでしょうね。


elma0451 at 19:10│Comments(4)TrackBack(0) 日記 

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この記事へのコメント

1. Posted by 日々是好日   2006年02月23日 20:46
すばらしい方ですね。

あきらめないことのすばらしさが伝わってくるお話を有難うございました。

2. Posted by ひまわり   2006年02月24日 19:11
こんばんは。
すばらしいですね。
左手だけで演奏ですか。
本人の努力もさることながら、
周囲も優しい方に恵まれていらっしゃったんでしょうね。

1000人の聴衆を前にすごいです!
3. Posted by 日々是好日さんへ   2006年02月24日 19:38
こんばんは!コメントありがとうございます。

 昔のTVで、「あなたの声が聞きたい」というドキュメンタリー映画を見ました。
その時も、やはり、脳梗塞で倒れた患者さんに対して、看護士さんや家族が"意識不明"なのに、一生懸命声をかけていくのを見たことがあります。

 周りの人もあきらめないということが大切なのだと思いました。
4. Posted by ひまわりさんへ   2006年02月24日 19:49
こんばんは、コメントありがとうございます。

荒川さん、フィギュアの女王になりましたね。彼女も艱難辛苦を味わったこともあったようですね。(情熱大陸のドキュメンタリーで見ました)でも、今度は、りっぱに表彰台の栄冠を得ましたね。
すごくきれいなフォーム、ここにも感動するものがありますね。

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