去年の今頃男優はうなずく

2005年08月23日

ひまわり

前々から見たいと思っていた行定勲の「ひまわり」を見る。

行定勲の劇場デビュー作であり、麻生久美子(おりょう)、堺雅人(山南さん)、田中哲司(良安先生)、光石研(第8回「どうなる日本」でエゲレス水兵を斬っちゃう伊東軍兵衛)と、「新選組!」出演者率かなり高し。

 



仲間たちが、あるきっかけによって集まり語り合いながら一夜を海岸で過ごす ― あれ、この設定はどこかで見たことが…と思ったら、同じく行定監督の「きょうのできごと― a day on the planet」と同じではないですか。

「ひまわり」では小学校の同級生・真鍋朋美の海難事故による葬儀出席のために元クラスメートたちが集まり、「きょうのできごと」では大学の同級生&後輩たちが仲間の大学院進学を祝うためにその友人の家に集まる。とりとめのないエピソードを積み重ね、最後に皆で浜辺で語り合い朝を迎える ― 展開も同じだなぁ。

それにしても、「新選組!」の時から感じていたのだけれど、麻生久美子は芝居が上手い…のだろうか?わたしは評価の高かった「カンゾー先生」も見てないし、ほとんどの彼女の出演作を見ていないので何とも言えないけれど、「新選組!」のおりょうさんを見ている限り、お芝居の上手い人という印象は受けなかった。もっと言えばかなり棒読みに近かった気がする。彼女が映画にひっぱりダコで人気があるのも、雰囲気のある人なのも知っているけど、わたしにとって初めてちゃんと見た麻生久美子が「新選組!」だったので、ちょっと意外だった。もっと上手い人なのかと思っていた。もしかしたら出番も限られていたし見せ場もそれほどあったわけではないから、彼女の持ち味が出ないままに出番が終わってしまったのかも知れないけれど、他の作品を見てないわたしにはちょっと拍子抜けだった。

「ひまわり」で彼女は主役の朋美を演じているのだが、またこれが何とも幸薄そうな、消え入りそうな存在だった。まぁ、事故で亡くなってしまうわけだからそういう風に演じた、と言われればそうなのかも知れないが…彼女のあの何ともつかみ所のないところが個性なのかなぁ。とにかく絵に描いたように幸薄そうで生命力が感じられない。

それに引き替え、わたしを脅かせたのはヘアメイクアップアーチストだった堺雅人!ちょっとポッチャリしてる!声が今より低いぞ!そしてやっぱり(?)怪しい!怪しすぎる!顔つきも今とかなり違う気がする。何だか暗い。(うちのビデオデッキとレンタルVTRの質のせいなのか)メイクアップアーティスト&お葬式ということで黒を身にまとっている堺さんですが(私服でも黒服多し)、なーんか色つきメガネだし、うさんくさいぞ!

朋美(麻生久美子)は雄一(堺雅人)のメイクの練習台になってあげていたが、別れた後も雄一にずっとメイクをしてもらっていて、彼女が事故にあった朝も、早朝に雄一を訪ねてメイクしてもらう。

麻生久美子に自宅を訪れられてドアを開けつつ堺さんの一言。(思いっきりテンション低くて面倒くさそうに)

「…ちょっと早いんじゃなぁい?」(語尾上げ)

麻生久美子にメイクした後「わたしの顔って…どう?」と聞かれ(水飲みながら)

「…いんじゃなぁい?」(語尾上げ)

このやる気ナシ具合は土方の「オネガイシマ〜ス土下座」に匹敵するほど脱力感をそそります。

朋美の葬儀でかち合っちゃう、彼女に関わった男たちに光石研、北村一輝、津田寛治、堺雅人、田中哲司というのはある意味マニアックで豪華です。麻生久美子の微妙な魔性具合が見て取れます。

これといったストーリーはなく、朋美と小学校の同級生・袴田吉彦くんとの思い出のエピソードが紹介され、彼女が初恋の相手・袴田くんとの思い出をずっと胸に秘めていたことがほんのりわかるのですが、このパターンはやはり同じく行定監督の「世界の中心で愛をさけぶ」っぽくて、制作年は「ひまわり」の方が先だし「世界の…」は原作もあるわけだから偶然だとは思うものの、なんとなく行定監督の後の作品との共通項が散見される内容でした。

ついつい「ひまわり」と「きょうのできごと」を比較してしまうのだけれど、個人的には「きょうのできごと」の方が好きかな。「きょうのできごと」の方が微笑ましく、仲間が集まってのウダウダ感がよく出てて味わい深いものがあった。とりわけ関西出身者が池脇千鶴と三浦誠己、石野敦士以外ほぼいない(あ、山本太郎もいた)状態で、関西圏以外の出身である主演俳優たちが話す関西弁をかなり練習していて驚いた。特にカッシー弟・柏原収史くんと伊藤歩ちゃんがいい味を出している。

「ひまわり」では、主人公たちは今はみんな東京に出てきているのだが、朋美の葬儀に出席するために彼らの田舎に帰ってくる。地名は出てこないが、東伊豆のあたりが舞台のようで、海が近く坂道の多い町が描かれる。

水辺のそばの町っていいなぁ。川でも海でも。ボストンも海も川もすぐそばにある。わたしは日本で大阪以外の土地に住んだことがないので、どこか違う所で暮らしてみたい願望がある。友人が「博多がいいよ」と言っていた。博多かぁ。

…お魚美味しそうだなぁ、博多。



elsur88 at 01:22│Comments(0)TrackBack(0) 映画 

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