May 25, 2008

増谷栄一の経済コラム:米4月中古住宅販売、2カ月連続で減少=売れ残り在庫は1999年以来の高水準

【2008年5月25日(日)】 − 先週末(23日)、NAR(全米不動産業協会)が発表した4月の中古住宅販売件数(季節調整値)は、2カ月連続で減少、住宅市場の供給過剰を示す売れ残り住宅在庫件数も急増しており、依然、住宅市場の悪化に歯止めがかかる兆しは見られていない。

 4月の中古住宅販売件数(一戸建てや分譲住宅、集合住宅など)は、前月比1%減の年率換算489万戸となり、市場予想のコンセンサス485万戸を上回った。しかし、3月の同1.8%減の494万戸(改定前は493万戸)から2カ月連続で減少している。

 2月の前月比2.9%増を除けば、過去9カ月間(昨年8月−今年4月)のうち、8カ月は減少となっている。また、前年比は17.5%減で、3月の19.3%減や2月の23.8%減から下げ幅は縮まっているが、2005年の販売ピーク時からは、依然、33%減と大幅な減少が続いている。

住宅在庫の増勢一段と強まる=1999年以来の高水準

 一方、4月の統計で顕著だったのが住宅在庫件数の急増だ。前月比10.5%増の455万戸となり、NARのエコノミスト、ローレンス・ヤン氏は、「容認できないほど高水準だ」と指摘したほどの急増ぶりだった。

 また、4月の販売ペースで見た在庫(供給)水準は11.2カ月分と、3月の10.0カ月分から大幅上昇。これまでの在庫の動きは、昨年10月の10.5カ月分をピークに低下傾向だったが、元に戻った状況で、1999年以来の高水準となっている。

 今回の在庫の急増を受けて、エコノミストの多くは、住宅市場はまだ底打ちの兆しが見えないとしている。特にフォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)が来年初めまでは天井を打たない見通しが強いため、在庫増加の圧力は緩まず、高水準が続くと見ている。

NARエコノミスト、住宅市場の下期回復を予想

 しかし、それでも、ヤン氏は、今後の中古住宅市場の見通しについては、今年下期から回復すると楽観的だ。

 その根拠は、ファーニーメイ(米連邦住宅抵当金庫)が16日に、銀行やモーゲージバンクなどの金融機関から買い取る住宅ローン債権の要件を6月1日から緩和すると発表したことだ。

 ファニーメイは、住宅ローン債権を買い取って証券化したり、住宅ローン債権を裏づけとした資産担保証券であるRMBS(貸付債権担保住宅金融公庫債券)を保証する場合、その住宅ローンの最低頭金比率を決めているが、これを3-5%に要件を緩和する。

 これまで、NARやNAHB(全米住宅建設業者協会)は、頭金の比率が高いため、消費者は手ごろな住宅ローンの利用が妨げられ、住宅市場の回復を遅らせていたと厳しく批判していただけに、改善は一歩前進と見られるからだ。

 また、FHA(連邦住宅管理公団)による3000億ドル(約31兆円)の借り換え住宅ローンの保証政策などでさまざまな住宅ローンの利用が高まることもヤン氏の楽観的な見通しの根拠になっている。

住宅価格が急落=在庫増大で

 今回の統計では、住宅価格の中央値(季節調整前)は、前年比8%低下の20万2300ドルと、過去2番目の大きな下げ幅となった。これは21カ月連続の前年水準を割れで、ピーク時の水準を12%下回っている。

 今後の住宅価格の見通しについては、エコノミストの多くは、4月の在庫が急増したことから、今後、住宅価格は一段と低下する見通しとなったと見ている。【了】

筆者  増谷栄一
(参照:http://blog.livedoor.jp/emasutani/
(経済コラム:http://blog.livedoor.jp/eiichimasutani/


emasutani at 23:49│Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!増谷栄一の経済コラム 

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