October 19, 2008

増谷栄一の経済コラム:米9月住宅着工、3カ月続落=来年末まで回復見込めず

【2008年10月19日(日)】 − 先週末(17日)、米商務省が発表した9月の住宅着工件数は、前月比6.3%減と、3カ月連続の減少となり、依然として1991年のリセッション(景気失速)以来17年ぶりの低水準が続いている。

 住宅着工は、6月が前月比10.4%増(改定前は9.1%増)となったが、結局、7月は同12.9%減、8月も同8.1%減(改定前は6.2%減)と大幅に下落、今回の9月統計でも下落したことで、6月の大幅上昇が一時的だったことが裏付けられた。

 この結果を受けて、市場では、第4四半期(10-12月)の住宅着工も第3四半期(7-9月)より一段とマイナス幅を広げると懸念し始めている。

●住宅着工、主力の一戸建ては前月比12.0%減

 9月の住宅着工件数(季節調整値)は、前月比6.3%減の年率換算81万7000戸となり、市場予想のコンセンサスである同2.8%減の87万戸を大幅に下回った。これは、リセッションとなった1991年1月の79万8000戸以来、17年8カ月ぶりの低水準だ。

 特に、9月は、50年前の1958年に記録された過去最低をわずか1万9000戸上回るだけで、過去2番目の低さとなっている。

 内訳は、主力の一戸建てが前月比12.0%減の年率換算54万4000戸と、8月の同4.0%減の3倍の大幅下落で、リセッションとなった1982年2月以来26年7カ月ぶりの低水準となり、全体の足を引っ張った。前年比でも42%減と依然、大幅な減少傾向を示している。

 また、前年比で見た全体の住宅着工件数は31.1%減で、2007年9月以来1年ぶりの大幅減少で、水準的には2006年1月のピーク時の230万戸から64%減だ。

 一戸建て住宅にいたっては70%減と、3分の1に激減している。エコノミストは今年の全体の住宅着工件数は第2次世界大戦以降で初めて100万戸を下回ると見ている。

 住宅着工が不振なのは、新築住宅の販売低迷が原因だ。住宅市場の低迷で住宅価格の低下が続いており、消費者は一段の価格下落を期待して買い控えている。

 また、クレジット市場危機による銀行の貸し渋りで、フォークロージャー(住宅不動産の差し押さえ=競売)手続きが急増。その結果、住宅在庫が増加し、在庫減らしのため着工が抑制されているのだ。

 米商務省の8月の新築住宅販売統計(季節調整値)によると、前月比11.5%減の46万戸と、17年ぶりの低水準になっており、前年比でも実に34.5%減と、2007年8月以来1年ぶりの低水準になっている。

●9月の建築許可件数、前月比8.3%減=一戸建ては同3.8%減

 他方、この日同時に発表された建築業界のマインドを示す9月の建築許可件数(季節調整値)も前月比8.3%減の年率換算79万6000戸と、1981年11月以来、約27年ぶりの低水準となった。市場予想の同2%減の84万戸を大幅に下回っている。

 このうち、一戸建ては同3.8%減の53万2000戸と、リセッションとなった1982年8月以来26年ぶりの低水準で、前年比も39%減と依然大幅に落ち込んだままだ。

 建築許可件数は、7月の前月比17.7%減、8月の同8.5%減に続いて3カ月連続の減少で、エコノミストは、住宅着工件数は来年初めまでに、さらに5-10%減少すると見ている。

 さらに、9月に米商務省が発表したデータによると、8月時点で建築メーカーが完成住宅を販売するのに平均10.9カ月かかっていることから、住宅市場の回復は2009年後半から2010年初めになると見る向きもある。【了】

筆者  増谷栄一

(参照:http://blog.livedoor.jp/emasutani/
(経済コラム:http://blog.livedoor.jp/eiichimasutani/


emasutani at 23:37│Comments(0)TrackBack(0) 増谷栄一の経済コラム 

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