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実は私、学生時代に最も得意とした科目が『数学』でした。
今でも結構好きで密かにセンター試験の数学も解いてたりします。(流石に現役の頃に比べれば点数は下がるけど)
私が高校生だったころは数学も『数A・数B』とか言う区分は無くって『数機β經・基礎解析・微積・確統』って区分でした。
今でも仕事上、使うことがよくあるのが『確率・統計』の分野です。
そんな数学好きな私が全米公開時から期待してたのが、この『ラスベガスをぶっつぶせ』でした。
感想から言うと
「このカウンティングの仕方なら日本人は大儲けできるよね。」
です。
このカード・カウンティングの方法、ちゃんとしたカンティング方法を描いちゃってラスベガスで実践されると困るからという理由でかなり単純化したって言うのは公開前から言われてたことなんです。
その情報を得てはいたけど、まさかあそこまで単純化されてるとは思わなかった(汗)
単に配られたカード記憶して足して行くだけならフラッシュ暗算できる子ならボロ儲けできるでしょ。


ここでブラックジャックの遊び方(超基本)とこの映画におけるカード・カウンティングの方法をちょっとだけ例を挙げて説明します。
知らなくても映画は楽しめるんで興味ない方・長文イヤだという人はスッ飛ばして下さい。)
ちなみにわかり易いようにプレイヤーは私一人、デックは1デック(トランプ1組52枚)とします。

まずはブラック・ジャックから。
ブラックジャックは手札が「21」に近い人が勝ちという単純なカードゲームです。
遊び方はまず始めにプレーヤー(私)が自分のベット(賭金)を決めます。プレーヤーがベットを置き終えると、ディーラーはプレイヤーと自分(ディーラー自身)にカードを2枚ずつ配ります。
この時、ディーラーは2枚のカードのうち1枚を数字が見えるように表向きに配らないといけません。(ちなみにこの見えている方のカードを「アップカード」と言います。)
次にプレーヤーはディーラーのアップカードからディーラーの最終的な数字の合計を推測しながら、自分がさらにカードをもらう(ヒット)か今ある手札で勝負するか(スタンド)判断をします。
(プレイヤーは「21」を超えるまでは何枚でもカードを引くことができます)
プレーヤーがカードをもらい終えた段階でディーラーは自分の伏せてある方のカード(ホールカード)を表に向けて、どちらが「21」に近かったかを競うのです。

解りやすいように例を上げてやってみますね。
ディーラーがカードをプレイヤー(私)とディーラー自身に2枚づつ配りました。
アップカードは私が「5」と「10」、ディーラーは「4」だとします。
「21」により近い方が勝ちですから私の残りは21−5−10=6点、ディーラーの残りは21−4=17点です。
ここで私はディーラーの伏せているカード(ホールカード)がA,絵札または10、それ以外のカード(2〜9)それぞれのパターンを考えます。
ホールカードがAであればディーラーの残りは21−4−11=6点、絵札または10であれば21−4−10=7点、それ以外のカード(2〜9)であれば8点以上となります。
もし、私が新たにカードを貰わずに今ある手札で勝負すれば(スタンドしたら)ディーラーのホールカードがAであっても残りが同じ「6」点なので引き分けで賭金は動きません。
一方、私が新たにカードを引いた(ヒットした)場合を考えてみましょう。
ヒットで得たカードがAであれば私は「1」と考えるので残りは5点となります。
同じようにヒットで得たカードが2〜6であれば残りは0点に近づき勝ちます。
反対にヒットで得たカードが7以上であれば21を超えて(バスト)私の負けになります。
A〜6が出る確率は22/48(約46%)で7〜kが出る確率は27/48(約56%)でバストで負ける確率が高いというわけです。
スタンドであれば負ける可能性はなくヒットしたら負ける確率は高くなるんだったらスタンドしますよね。
ここで初めてディーラーのホールドカードが表に向けられて勝負がどっちについたかわかります。

次にカード・カウンティング(あくまでこの作品中のやり方です)。
やり方は作品中にあったように出たカードが A・10・絵札であれば−1点、7〜9であれば0点、2〜6は+1点として、プレーしながら合計していくというもの。
で、その合計の数値がプラスの値ならばプレーヤー側に有利と判断して賭金を多めに張り、逆にマイナスならば不利な状況と判断して賭金を減らします。
じゃ、さっきの例をそのまま使ってみましょう。
アップカードはアップカードは私が「5」と「10」、ディーラーは「4」でした。
この段階で偵察役(スポッター)は+1−1+1=0点と計算しなくてはいけません。(さきほど私はそのままスタンドしたのでこれ以上カードが配られることはありません。)
ディーラーのホールカードが「6」であったとして、スポッターはすばやく0に+1を足します。
これで1回目が終わりです。つまり1回目終了時点ではカウント+1点です。
2回目はプレイヤーが配られたカードが「3」「9」ヒットして「8」、ディーラーが「2」「7」「7」だとします。
するとスポッターは+1+0+0+1+0+0=+2点を計算します。
1回目の+1点と2回目の2点を足して2回目終了時点ではこのテーブルのカウントは+3点となります。
これを数回繰り返していってスポッターがいるテーブルのカウンターが+10くらいになったとします。
するとスポッターはプレイヤーに合図をしてプレイヤーを自分のテーブルに着かせます。
このときにさり気なく
「昨日ボーリングでハイスコアーをだしたから今日は調子が悪いのかしら?」
と言ってプレイヤーに着いたテーブルのカウントが+10であることを知らせます。
あとはプレイヤーがカウントしながら賭金をかけて勝負していくという寸法。
1回ゲームごとに使用したカードは戻さないのでスポッターが出たカードを記憶していてなおかつカウントをしていてそれをプレイヤーに知らせることができればプレイヤーは更に勝つ確率は高くなります。
ゲームしてる間、足していく数は0、+1、−1だし、ゲーム終了した時点で足していく数も大きくないので訓練さえすればそんなに難しいことじゃありません。
ただし、あくまでこのカウンティング方法は映画用に単純化された方法なんで、劇中のカウンティングをマスターして実際しようとしてもあそこまでボロ儲けすることは不可能です。
そもそも1デックでやらないし、仮に1デックでゲームしたとしてもすぐにシャッフルされるんで。


で、この作品なぜブラックジャックがプレイヤーに有利なカードゲームかという事を十分に説明してくれていません。
また、ブラックジャックの遊び方の説明もちょっとしかしてくれません。
「日本向けに作ってるわけじゃないし、時間もないからって言うのはわかるけど、もうチョット説明してくれてもいいんじゃないの?」
ってブラックジャックを多少知ってる私でも思いました。
ブラックジャックが解らなければ勝負の駆け引きとかカードが配られていくことで刻々と変わっていく展開、カジノ(ディーラー)とプレイヤーの心理戦といったドキドキ・ハラハラ感も薄くなり、この作品の醍醐味が味わえずにカジノの豪華さやハデさのみが印象づけられちゃう。
でも、この作品は『オーシャンズ11』とは違ってカジノで大暴れすることをメインに作ってないからその点でもなんだか見劣りしたカンジになっちゃう。
結局、面白いんだけど中途半端な気がしてしょうがないって感じちゃう人が多いんじゃないでしょうか。

中途半端といえば主人公ベンの設定。
天下のMITで優秀な成績を収める天才的な数学力を持つベンがその才能を見込まれてカジノ相手にボロ儲けする割りにベンの天才的数学力を発揮してるシーンはなかったような・・・。
バイト先のスーツ屋でパパっと計算するのは確かに凄いと思うけど、珠算であるレベルまで達した人なら出来るし、実際そういう人は日本でも沢山いるから天才的数学力を持つとは思えない。
更に教授から『モンティ・ホール問題』(扉を選んで車をゲットするっていう問題)を問われて正解したっていうのもチョット甘すぎやしませんか?って思う。
『モンティ・ホール問題』は確率論では有名だし、比較的初歩的な問題。
天才的数学力の持ち主云々の前にMITで優秀な成績を収めてる学生なら知ってるだろうし、むしろ答えて当然じゃないの?って思うんですよね。
また扉を買えた理由の説明もチョット(汗)
「扉を開ける前の確率(事前確率)と扉を開けた後の確率(事後確率)は異なり、コレをベイズの定理に当てはめて考えると、扉を変更した方が有利になる」
とか言ってくれれば
「おぉ〜、やっぱ天才は違うな。」
とか思えるんだけど
「扉2に車がある確率は66.6%だから変更したほうがいい。」
ってだけでは字幕の関係上しかたないとは言え、天才的数学力の持ち主だとカンジられない。

余談ですが、このモンティ・ホール問題を答えたベンに対してローザ教授が
「変数変換をした君はスバラシイ」
みたいなことを言いますが、あの場面で「変数変換」という訳はおかしいです。
あの場面でベンは「変数変換」したわけじゃなくて「確率の変化」を考えただけで、変数変換しても意味はあまりありません。
このあともローザ教授はことあるごとに「常に変数変換しろ」みたいな事をいいますが、どの場面もそこで変数変換しても意味がなく「常に確率の変化を考えろ」のほうが話がつながるんですよ。
でも、この作品の数学的翻訳の監修してるの秋山仁先生なんだよね(笑)


ここ数年海外旅行行けてないんですが、この作品を見てたらまたラスベガスに行きたくなりました。
私はギャンブルしない人なんですが、ラスベガスはそういう人も十分楽しめる所。
ラスベガスのハードロックまた行きたいなぁ〜。
誰か連れてって下さい!!