先日、江戸琳派後継画家である雨華庵(うげあん)伊藤哲先生のアトリエに行って参りました。その時に面白いものを見せていただきましたので、ご紹介させていただきたいと思います。
※雨華庵は江戸琳派の祖である酒井抱一の雅号であり、酒井家7代目の酒井抱美氏より、伊藤哲先生が2016年に襲名しています


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京都の養源院というところはご存知でしょうか?蓮華王院(三十三間堂)のちょうど東向にあるのですが、そこの御朱印帳に押すハンコを伊藤先生が制作されました。こちらの写真は実際に押したものです。養源院には、俵屋宗達が描いた、金地着色松図と着色杉戸絵があります。


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今回の御朱印は後者の英霊を慰めるための着色杉戸絵がモチーフとなっています。白象、唐獅子、麒麟が描かれています。NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国」でも有名ですが、浅井三姉妹、江姫ゆかりの菩提寺でもあります。



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養源院といえば、「伏見城の戦い」において、石田三成に攻め入られた鳥居元忠を筆頭に400名近い武将たちが自刃した血天井の板が使われていることでも有名ですが、その英霊を慰める意味でも、御仏の遣い(乗り物)である、白象や唐獅子が着色杉戸絵として描かれました。これら作品は本阿弥光悦とともに、琳派の祖である俵屋宗達のデビュー作としてもよく知られています。


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光悦と宗達によって始まった琳派は、尾形光琳に引き継がれ、それを酒井抱一が江戸に持ち込んで江戸琳派を築き上げ、その後継である伊藤哲先生が俵屋宗達のハンコを作成する・・・
そのような流れも、なんだか必然のような気がします。

伊藤哲先生は、琳派画家として活動し始めてから、酒井家とご縁がある以前より、琳派の精神を引き継ぐ決意とともに、個展の前にはいつも酒井抱一のお墓にお参りに行っていたそうです。

「仕事は人が選ぶのではなく、仕事が人を選んでいる。」

ある方が語ったこの言葉を、伊藤先生はいつも胸に、身を引き締める想いで制作活動を続けられているそうです。

次の個展は、2018年11月1日~7日にかけて、池袋東武で開催予定です。2年越しの新作が展示される予定なので、ぜひ楽しみお待ちください!

江夏画廊
江夏大樹 拝