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尾崎亜美の名曲を劇中でちりばめて、1つの物語を芝居、歌、踊りで紡ぎだす“ジュークボックス・ミュージカル”。扉座の『オリビアを聴きながら』の再演が、8月22日に青山円形劇場で幕を開けた(31日まで)。

昨年、9月に上演され、好評を受けて再び上演されることになったこの舞台は、扉座の主宰・横内謙介とシンガーソングライターの尾崎亜美が、昨年の震災後に「泣けて、燃える作品を」という思いを込めて、やや硬派なテーマで作り出したもので、好評で再演希望が寄せられていたもの。

恋と夢と、青春の苦い思い出、そして問われる人生と仕事の責任…。人生にちょっと疲れたおじさんが青春の記憶をたどり、ピアノ教室に通い始めるところからドラマは始まる…。


8月上旬、この公演の稽古場を見せてもらう機会があった。ダンスと歌、音楽が溢れる作品の一部と、その日の稽古後に行なわれた扉座オリジナルといっていい「ブログライター会見」というイベントの模様をご報告する。


【稽古場レポート】
 

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花柳輔蔵・高橋麻理

稽古場では主人公、三木眞一郎扮する勝也がピアノ教師の広美に過去を回想して語る。青春時代、恋人との楽しい場面だ。勝也の青春時代を演じるのは、日本舞踊家の花柳輔蔵、恋人のやよいは高橋麻理。幸せそうな2人の姿を現在からながめている勝也。背後では柳瀬亮輔のギターがBGM代わりに流れて雰囲気を出している。

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柳瀬亮輔・三木眞一郎・小牧祥子

現在の勝也は会社員で部下をまとめる管理職に出世している。だが会社が倒産、上司の青沼を演じる石井愃一とのやり取り、そして一方的な社員解雇通知と会社の閉鎖通告に動揺し、怒りに震える社員たちの場面。ここでの石井の迫力はさすが、その演技をさらに効果的にするためにアドバイスする演出家・横内。やや軽めなトーンを加えることで、経営側の無責任さがさらに強調されることになる。

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 伴美奈子・石井愃一
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 三木・
舘形比呂一・柳瀬大輔


会社の倒産を愚痴る勝也を、以前同じ会社で働いていた2人の親友が心配して慰める場面。アキオの舘形比呂一は今はクラブの経営者。少しオネエな言葉遣いの中に、かつて勝也に抱いていた特別な感情を巧みに織り交ぜる。柳瀬大輔は明るく頼りになる左千夫。ここは3人がローラー付きの椅子で滑りながらアカペラを歌ったりと、ショーアップされて楽しいシーンだ。

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場面が変わると雨の中、「ウォーキニングザレイン」に乗せて出演者たちが行き交うシーンが、初演のステージングを互いに確認しながら進められていく。再就職活動中の後輩に推薦状を書いて渡す勝也、後輩を演じるのは柳瀬亮輔。そのあと元同僚だった江本がやってきて、外資系に買収された会社だが戻れるチャンスがあると話す。江本を演じるのは扉座のベテラン伴美奈子。その後、上司の青沼も現れて、経営側の論理を話して、三木に一緒にやろうと誘う。
 

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伴・三木


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三木・柳瀬・石井・横内

場面はアキオの店。勝也が会社に復帰するかもしれないという話が伝えられ、楽しく飲むはずの会が糾弾の会になる。勝也は誠意をもって彼らと向き合い、自分の本心を打ち明ける。三木眞一郎の誠実な持ち味が生きるシーンだ。


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舘形・・松本亮・
安部慎二郎・建守良子・安達雄二


【ブログライター会見レポート】

夜まで続いた稽古のあとに、この日は大きなイベントが待っていた。
個人でブログやfacebookを持っている一般の方から、ライターさんを募り、キャストやスタッフが質問に応じるというもの。その会見が夜8時から始まった。

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舘形・三木・横内・石井

会見席には作・演出の横内謙介を中心に三木眞一郎や石井愃一、舘形比呂一、柳瀬大輔をはじめとする全出演者が並ぶ(他の仕事で鈴木里沙は欠席)。こちら側には10数人のブログライターたち。

一言ずつ自己紹介と役柄などをということで、若手男優から順番に喋りはじめる。
うまくまとめられない若手がいると、横内から「長い!」とダメ出しが飛んで賑やかな会見だ。女性キャストはそれぞれアクセントの効いたコメントで、しかも個性的。ベテラン組はさすがに慣れたもので、石井愃一が横内に誘われたいきさつなどを巧みに聞かせる。

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建守・伴・小牧  
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柳瀬・花柳・安達・安部・松本   
              

ブログライターの半分以上は若い女性で男性も数人、扉座やこの作品を好きでよく観ている観客という目線での質問が多い。その熱意に応えるように、1人1人きちんと答えていく出演者たち。
ラスト近くになって尾崎亜美ファンらしいライターから、内部?情報では使用曲について何か変化があったようですが?とマニアックな質問が飛び、一瞬、演出家や出演者を緊張させる。
また、暑い時期を乗り切るためとか癒しになることは?という質問には、全員で声を揃えて「いきつけの○○!」と飲み屋の名前を答えるなど、普段からの仲のよさを感じさせる『オリビアを聴きながら』チーム。

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最後に会見の目玉として、8人のキャストたちから尾崎亜美の「VOICE」がプレゼントされる。
この作品のテーマをそのまま伝えるような、温かく心地よいメロディに送られて稽古場をあとにした。

(この会見をレポートしたブロガーさんたちのブログは、扉座HPで紹介されています)


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扉座・RAYNET プロデュース 

音楽劇 『オリビアを聴きながら』

作・演出◇横内謙介
音楽監督・編曲◇尾崎亜美

振付◇ラッキィ池田・彩木エリ

出演◇三木眞一郎 舘形比呂一 小牧祥子/

柳瀬大輔 柳瀬亮輔 花柳輔蔵/
伴美奈子 高橋麻理 鈴木里沙 安達雄二 松本 亮/

建守良子 安部慎二郎/
石井愃一

●8/22〜31◎青山円形劇場

〈料金〉前売6000円/当日6500円 学生券4000円(枚数限定)〈全席指定・税込〉

〈問合せ〉劇団扉座 予約電話番号 03-3221-0530 (12:00〜18:00 (土・日・祝休 公演中〜16:00 9/21休)

HP http://www.tobiraza.co.jp


【取材・文・撮影/榊原和子】

 

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