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稽古の現場

若い役者たちのエネルギー溢れる『袴垂れはどこだ』稽古場レポとインタビュー


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tpt(シアタープロジェクト・東京)がプロデュースする『袴垂れはどこだ』が、11月17日から「すみだパークスタジオ倉」で公演中である。


戦乱と圧政の苛酷な中世、「あわれなるかな草も枯れ 鳥もうたわぬ世なりけり」と嘆き歌われた時代に、いつか民衆を救にやってきてくれると信じられていた義賊が「袴垂れ」。

その伝説の人物をタイトルロールにしたこの作品は、『真田風雲録』『オッペケペ』などの傑作で知られる福田善之の戯曲で、1964年、劇団青年芸術劇場(青芸)によって初演された。
当時はまさに学生運動や安保闘争で激しく日本社会が
揺れ動いていた時代で、この戯曲はそんな状況に警鐘を打ち鳴らし、その年の岸田戯曲賞を受賞している(福田氏は受賞を辞退)。


その作品が、千葉哲也の演出で群衆劇的な要素も加えた舞台となって甦った。

出演者は総勢39名。山本亨、鈴木ゆき、真那胡敬二というメインキャストたちに、オーディション・ワークショップから選ばれた34名が加わって、戯曲には出て来ても、これまでは舞台上に登場しなかった役どころも全部登場することで、よりリアリティと迫力を増して、民衆の視点から社会を描いたこの作品のエネルギーをダイレクトに伝えてくる舞台となっている。


公演の初日前に稽古場を見る機会を得たので、その様子をレポートするとともに、メインキャストをつとめる山本亨と、演出を手がける千葉哲也に話を聞いた。


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【稽古ルポ】
 

上演する劇場「倉」が同じ敷地内にある「すみだパークスタジオ」、その一角にある広い稽古場に30人以上の出演者が集まっている。ほとんどが若い俳優たちだけに自然とあちこちから笑いがあがって、明るく賑やかな雰囲気だ
 

ちょうどその日の稽古は幕間狂言の場面で、真那古敬二を中心に村人たちがそれぞれの夢を語り合い笑い、歌い踊っている。初演時(1964年)の演出家だった観世栄夫が、それまでは持ち込むのを避けていた「能」の様式を意識して取り入れたという場面だけに、どこか戯画化された軽さとのどかな笑いを感じさせる。
やがてその笑いの中で、1人の村の若者が暴れ出す。優しげな青年なのだが眠りの淵から醒めないままに、意識下に押し込めてあった恨みつらみを一気に噴出させるのだ。
その様子は衝撃的で、この作品の底辺に流れる人間の心の闇が伝わってくる。
 

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演出席で俳優たちを眺める千葉哲也は、穏やかな笑顔ながらも細かくチェックしていて、気になる点は立ってそばに行き、自分でやってみせる。
その動きや表現は俳優としてのキャリアを感じさせて
適確なだけに、おそらく俳優たちにも伝わりやすいのだろう、指導された俳優はすぐに芝居を変化させる。
この日も暴れ出す若者役の岡山天音はまだ17歳という若さだけに、千葉の指示と説明をすぐに吸収して演技が変わっていくのを目の当たりに見せてくれた。

群衆たちのフォーメーションを振付け家と考えながら動かし、また、若い俳優たちのパワーと真那古敬二などベテランの巧みな演技を組み合わせながら、短い幕間狂言の場面の中にも、めりはりとテーマをくっきりと描き出していく。
そんな演出の片鱗にこの作品のエネルギーがうかがえて、仕上がりが楽しみな稽古場となっていた。


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【千葉哲也インタビュー】
 

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最近は俳優としてだけでなく演出家としても活躍中の千葉哲也。tpt
では06年の『スラブ・ボーイズ』を皮切りに4作品を手がけていて、読売演劇大賞優秀演出家賞などを受賞している。約2年ぶりとなったtptでの演出とこの作品について話してもらった。


ーー出演者の人数がすごいのですが、千葉さんの発想だとか?

オーディションで選んだ若い俳優たちが34人ほど出ています。戯曲にはおじいと少女と男と村人7人だけが固定で、実際は登場してこない人物がたくさんいるんですが、その人たちを登場させたいという意図があったんです。基本的には黒子ということで出てもらって、たとえば今の夢の場面では美女になったり、他のシーンでは風景にもなるし、雪も降らしたりとかいろいろ活躍してもらってます。
 

ーーこの作品はタイトルがちょっと抽象的ですが、内容はとても伝わりやすいですね。

そう思います。僕は青年座の養成所時代に同じ福田善之さんの『真田風雲禄』をやっているのですが、今回のこの話もすごくわかりやすいし、素晴らしい作品だなと思います。60年安保が引っかかっていると思うんですが、それを知らなくても人間の中に巣食っている「善と悪が共存できるか」とか「理想だけでは前に進んでいけないけれど、それでも前に進まなくてはいけない我々」とか、そういうところには共感を抱けると思います。そして「前に進んでいくということはどういうことなんだろう」と考えさせられる。そういう意味では今のこの状況とか現実の中で、なんとか生きていかなくてはならないという今の僕らのこのエネルギーをそのまま表現するしかないと思っています。
 

ーー作者の福田さんにも会われたそうですね?

福田さんはチャーミングな紳士で、「この本のどこが面白いの?」と言われました(笑)。でもすごく面白い本だと思います。「袴垂れ」というのは、観た方のそれぞれの中にあるものだと思うし、どこにいるかわからない「袴垂れ」は、理想であり夢であり、それを見つけるには自分から足で歩き始めないと見つからない。そういう意味では今の僕らにふさわしい戯曲です。
 

ーー千葉さんはtptで演出家として良い仕事をされていて演劇賞も受けられましたね。

ここでは若い人と一緒にやれることで、実験的な作品や新しい作品に取り組みやすいのが有り難いですね。演劇現場が少ない中で、無名の若い俳優たちがオーディションを受けにきて、受かれば舞台に出られて、山本さんや真那古さんのようなキャリアのある俳優さんと一緒の舞台に立てていろいろなことを教われる。そういうチャンスがあるのがとてもいいなと。僕自身も教えられることも多いです。そういう創造現場の活気とエネルギーが伝わるのが、テレビや映画とは違う生の演劇ならではのよさですし、そういう創造の場にぜひお客さんも立ち合っていただきたいですね。



【山本亨インタビュー】
 

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いつかやってきて自分たちを救ってくれる「袴垂れ」を心待ちにして旅をする村人たち。その前に1人の男が現れる。人も殺すし村人にも手加減せずに勝手気ままに振る舞う
男は、「わしが本物の袴垂れじゃ」と名乗る。本物かどうか分からない、この「男」を演じるのが、ベテラン俳優でtptへの出演も数多い山本亨である。

 

ーー役名は「男」ということですが、本物の「袴垂れ」なのでしょうか?

彼が皆の憧れる「袴垂れ」なのかどうかということは物語が進むにつれて解き明かされていく、と同時に、村人たちが探し求める「袴垂れ」とはどういうものなのかということもわかってくるんですが、それ以上はお客さんの想像にまかせる話だと思っています。
 

ーー福田善之作品への出演はこれが初めてだそうですね

そうです。『真田風雲禄』をはじめ、素晴らしい作品を沢山書いていらっしゃる作家だという知識はあったんですが、台本を読んだときに言葉が綺麗だなと、詩人みたいだなと思いました。

ーーテーマについてはどんなふうに感じていますか?
この作品の民衆が自分たちの力で切り開いていこうとすることと、今、みんなで芝居を作り上げていく過程に
ちょうどリンクするし、震災後の状況にもリンクすると思います。たぶん福田先生の作品を知らないような若い方も多いと思いますが、そういう人たちにぜひ観てほしいし、こんなすごい作品があるんだということをわかってほしいです。
 

ーー千葉さんの演出も初めてだとか?

共演はしているんですが、演出を受けるのは初めてなんです。ご自分も俳優さんなので俳優の気持ちがよくわかっていただけることと、自身の経験の中から考えてくれて言ってくれるのでわかりやすいですね。それにしっかり人を見てくれるので安心感がある。若い人の才能もきちんと引き出せる演出家だと思います。
 

ーーtptには数多く出ていらっしゃいますが、ここでの作品作りについてはいかがですか? 

実は今回5年ぶりなんです。いろいろな作品に出させてもらったし、いい経験をさせてもらったので、今回、久しぶりに参加できて嬉しいです。
 

ーー中心の役で30人以上の若い人たちを引っ張る立場ですね

いや、引っ張るというより自分のことで一生懸命で(笑)。でも、みんなワークショップで集まってオーディションで受かった人たちですから、やる気がすごい。経験の有る無しとか上手い下手ではなく、この作品は群像劇ですから、彼らのあのエネルギーがそのまま伝わるといいなと思ってます。僕も負けないように自分の役を一生懸命やるしかないです。


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『袴垂れはどこだ』

作◇福田善之

演出◇千葉哲也

美術◇朝倉摂

出演◇山本亨、鈴木ゆき、真那胡敬二/岡山天音、上田和弘、山田宏平、江前陽平、熊本昭博 他

11/17〜30◎すみだパークスタジオ倉

〈料金〉4000円(全席指定・税込)

〈問合せ〉tpt シアタープロジェクト東京 03-3635-6355

http://www.tpt.co.jp (PC)

http://www.tpt.co.jp/m(携帯)


【取材・文/榊原和子】



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ニコニコミュージカル#005『DEAR BOYS-Double Revenge-』稽古場ルポ


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ネットとライブによる新たなエンターテインメントとして展開中の、ニコニコミュージカル(ニコミュー)。その第5五弾『DEAR BOYS-Double Revenge-』が、間もなく初日を迎える。


『DEAR BOYS』のベースになっているのは、八神ひろき原作のバスケットボール漫画で、2007年第31回講談社漫画賞少年部門受賞した作品。2007年冬に初めてミュージカル化され、2008年夏には続編が上演されて、評判となった。  


 この『DEAR BOYS』が、4月30日から5月8日まで、メインキャストを新しく入れ替えてシアター1010で上演されるというので、その稽古場を見学、また、主役の哀川和彦役の植野堀まことに話を聞いた。



【稽古場レポ】


床にはラインを引いたコートや、両サイドにはゴールもあって、まさにバスケミュージカルらしい稽古場。そこに今回の物語に登場する3つの高校、瑞穂高校6人、本牧東高校6人、成田中央高校5人のプレイヤーたちに扮した若い男優たちが集まっている。

その他の出演者は、バスケ部監督とOBの俳優、審判、そして紅一点のマネージャー役の女優で、総勢20人の稽古場だ。


毎日約1時間はウォーミングアップ。

その中身はバスケ練習と同じメニュー。ドリブル、シュート、パスなど、ボールを手に馴染ませる練習が繰り広げられている。

20人近くがいっせいにドリブルする様子は壮観だ。

小刻みにリズミカルにボールを弾ませながら、だんだん速めていったり、片足を上げたままでという苦しいポ−ズでのドリブルもある。


次はパスの練習で、環になって並んで、順番に後ろのプレイヤーに渡していく。

「ヘイ、ヘイ」と声をかけあってリズムを揃える。ワンバウンドのパスのときは、狭い場所だけにボールの弾ませ加減かげんが難しい。

そのほかにランニングシュートや、オフェンスなど、まさにバスケゲームの練習メニューそのものだ。


こんな練習を毎日しているキャストたちは、さすがにバスケの経験者が多い。

メインキャストだけでも、瑞穂高の哀川和彦役の植野堀は10年、本牧東高の保科唯人役の岡田亮輔は6年、高階トウヤ役の阿部直生は5年、成田中央高の森山敦司役の中山優貴も背が高いのでバスケ部から応援を頼まれていたキャリアの持ち主。


基本メニューをこなしたあとは、芝居そのものの稽古に入る。物語の中で控えのシックスマンがいないために試合に敗れた瑞穂高の5人が悔しい思いを歌い上げる。青春の熱さがびんびんと伝わって盛り上がるシーンだ。


そんな若者群像の輝きが詰まった『DEAR BOYS-Double Revenge-』の主役、哀川和彦役の植野堀にインタビューした。




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【植野堀まことインタビュー】


ーーすでに2回上演された『DEAR BOYS』ですが、植野堀さんは?


公演そのものは観ることができなかったのですが、DVDで観ました。

ミュージカルでスポーツをリアルにやることはあまりないと思うので、そこにビックリしました。

バスケのボールを使いながら歌とダンスを見せる、それがこの作品の醍醐味魅力だと思います。


ーーシュートやパスなどきちんと見せないといけないと思うのですが、そのへんが稽古でたいへんなところですか?

そうですね、普通に30以上のフォーメーションがあるのですが、はずした時のフォーメーションもプラスして練習するので、すごい数を覚えないといけなくて。


ーー植野堀さんはバスケをは10年間やっていたそうですから相当迫力が出そうですが、お芝居としてバスケをすることの難しさは、どんなところですか?


リアルバスケと芝居のバスケとはやはり違っていて、見た目にはリアルバスケのようにしながら、でも芝居なので自由に動いてはいけないというのが難しいですね。

たとえば相手との距離を保つことや、こう仕掛けてきたからこう動きたいと思っても芝居上ではそう動いてはいけないとか。その辺りをきっちり覚えて自然に見せていくのが課題です。

でもそこに歌とダンスが入ると素晴らしいものになるので、そのためにみんな一致団結して稽古しているという感じです。


ーー演じる哀川和彦はどんな人ですか?


高校のバスケ界で知らない人はいない、常勝の最強チームにいたカリスマ的な人なんですが、勝つことより楽しいバスケがやりたいと思っていて、瑞穂高校に転校してきて、本当の仲間と出会い、求めていたバスケの楽しさを見つけていくんです。

スーパープレイヤーになって目立つこともできたのに、本当の楽しいバスケを選んだことで、周りからの支持を受けることができた。

そういうところがすごくやりがいがあります。


ーーこの作品はニコミューのネット配信で、世界中の沢山の人たちに観てもらえるのですが、そのことについて一言。


劇場に来てもらって生で観てくれる人と同じように、ネットので同時配信で観ていてくれる観客がいるというのは、すごく励みになります。

僕は熊本出身なんですが、東京に来られない親戚が観てくれると言ってくれてますし、世界中の人が僕らの舞台を観ているんだと思うと、できないとか言ってられませんね。

作品の中で「チャンスをつかもうよ」と言ってるんですが、その言葉の通り世界にむけて、自分をそしてニコミューをアピールしていきたいと思ってます。




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なおこのニコニコミュージカル#005『DEAR BOYS』は、#004の舞台劇『ココロ』と同じ劇場で同期間公演、マチネとソワレで入れ替わり上演を行なう。1日で2つの演目を観ることができるという新しい試みだけに、そちらにも注目が集まっている。


ニコニコミュージカル#004

舞台劇『ココロ』

●4/29〜5/8◎シアター1010

原作◇ココロ(作詞・作曲 トラボルタ) 

脚本・演出◇石沢克宜 

音楽◇トラボルタ 

出演◇泰みずほ、小松美咲、仲村瑠璃亜、酒井治美、中川美樹、寺門文人、

中島徹、大高邦広、鷲見亮、篠谷聖、池田純矢、米山雄太、高橋優太、百花繚乱、AD笠原、森戸宏明(動物電気) 他



ニコニコミュージカル#005

『DEAR BOYS』 

●4/30〜5/8◎シアター1010

原作◇八神ひろき (講談社「月刊少年マガジン」連載) 

演出◇宇治川まさなり 

脚本◇三井秀樹 

音楽◇坂部剛 

出演◇植野堀まこと、小笠原健、田中稔彦、山谷光博、別紙慶一、阿部直生、岡田亮輔、小島将士、兼松若人、中島康太、河原田巧也、夛留見啓助、中山優貴、六本木康弘、山本哲平、尾門和也、安里勇哉、森渉、寺崎裕香、鯨井康介、湯沢幸一郎 他


〈料金〉リアルチケット

舞台劇『ココロ』/前売・当日4500円

『DEAR BOYS』/前売・当日5500円 

〈問合せ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00〜19:00)  

※ネットチケットに関する購入・情報は

http://nicovideo.jp/nicomu/

  


● 4/29〜5/8◎THEATRE 1010 

※公演予定は予告なく変更することがございます。 

4 月 29 日(金) 『ココロ』19 時開演  

4 月 30 日(土) 『DEAR BOYS』12 時開演/『ココロ』18 時開演  

5 月  1 日(日) 『ココロ』12 時開演/『DEAR BOYS』18 時開演  

5 月  2 日(月)  休演日  

5 月  3 日(火)『ココロ』 12 時開演/『DEAR BOYS』18 時開演  

5 月  4 日(水) 『ココロ』12 時開演/『DEAR BOYS』18 時開演  

5 月  5 日(木) 『DEAR BOYS』12 時開演/『ココロ』18 時開演  

5 月  6 日(金)  休演日  

5 月  7 日(土) 『ココロ』12 時開演/『DEAR BOYS』18 時開演  

5 月  8 日(日) 『DEAR BOYS』12 時開演/『ココロ』18 時開演 

 http://www.nicovideo.jp/nicomu/



【取材・文/榊原和子】

 

早乙女太一の剣が舞う公開殺陣稽古。『薄桜鬼 新選組炎舞録』

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テレビアニメとして今年4月に放送され話題となったゲーム『薄桜鬼』が、若手女形役者として人気の高い早乙女太一主演で舞台化されることになった。
『薄桜鬼』は、
08年に発売され女性ユーザーからの支持が高い恋愛アドベンチャーゲーム。新選組の土方歳三と、父親を捜す蘭方医の娘、雪村千鶴の出会いをきっかけに、新選組の男たちの夢と生き方を描いていく。

主演の早乙女太一は、大衆演劇の劇団朱雀の二代目座長として、その美しい女形ぶりや見事な立ち回りなどが魅力の役者だが、昨年は劇団☆新感線に客演して好評を博すなど、そのフィールドを広げている。また他の出演者としては、映像や映画でも活躍している黒川智花や木村了、そしてロックバンドORANGE RANGEのボーカルRYOなどが共演する。

今回の舞台は10月1日から17日まで天王洲の銀河劇場で上演されるが、公演に先だって、9月7日、都内の稽古場で殺陣稽古の様子が、取材陣に公開された。

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【囲み会見の挨拶】

早乙女太一「僕は土方歳三をやります。稽古の最初の1週間くらい出られなかったんですが、稽古場がすごく和気藹々としてて熱気があって楽しくやらせていただいてます。メンバーが若い人ばかりですから、すごく刺激を受けてます。新しい時代劇という感じの芝居だと思いますので、1回1回大事にやっていきたいです」

黒川智花「私は雪村千鶴という女の子です。周りが男のかたばかりで最初は緊張したのですが今はもう慣れました。あと目の前で着替えされるのにびっくりしました、できればそれはやめてほしいなと(笑)。殺陣は、間違えたら刺すと先生に言われてますのでがんばります」

木村了「早乙女くんたち新選組の前にたちふさがる風間千景です。楽しいですし、みんな仲いいです。太一くんとの殺陣が多いのですが、その楽しさが見てるかたに伝わればいいなと思ってます」

川岡大次郎「僕は山南敬助という新選組の副長です。のちに物語のキーになる役でも登場します。太一くんと了くんは息が合ってるみたいで殺陣も楽しそうにやってますね。僕もここまで殺陣が満載なのはめったにないと思いますので、太一くんに負けないようにがんばります」

RYO「僕は新選組と戦う天霧です。初舞台なので、最初は何もしゃべれないなくらい緊張してたんですが、本当にみんなが気軽に声をかけてきたくれたりするので、今はもうすっかり仲良く楽しくやれてます」

すでに食事会もしたというメンバーたち。太一が「コーラの一気飲み」を7杯もやってくれたと、和やかなムードがいっぱいだ。会見のあと公開殺陣稽古が始まった。


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●まず稽古場では「1場」の殺陣。

森の中を、新選組の土方歳三(早乙女)、沖田総司(窪田正孝)、藤堂(武田航平)、斎藤(中村倫也)、原田(橋本淳)、近藤勇(坂本爽)、永倉新八(中村誠治郎)、山南敬助(川岡大次郎)などが歩いていると、突然不逞の浪士に襲われ乱戦になる。そこに千鶴の父、雪村綱道(木下ほうか)が現れるという設定。

殺陣師の諸鍛冶裕太による立ち回りの段取りを聞いて、それぞれ、その通りに動いていく。稽古場全面を使っての斬り合いは迫力満点。不逞の浪士たちは斬られたはずなのに、次々に起きあがり襲ってくる。そこに現れた土方役の早乙女太一は、鮮やかな剣さばきで、浪士たちを切り捨てていくというシーンだ。

短いリハーサル時間なのに、段取りは完璧。それだけでなく土方の殺気さえ漂わせるところは、さすが早乙女太一ならではである。

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次は「6場」の稽古。

土方と千鶴が剣の稽古をしていると、2人の前に鬼の風間千景(木村了)天霧九寿(RYO)不知火匡(伊崎右典)が現れて斬りかかってくる。そこへ沖田、藤堂、斎藤、原田、永倉が現れて応戦する場面。

千鶴の夢のシーンから始まり、土方との会話が交わされる。そして千鶴と剣の手合わせをする土方。黒川相手の立ち回りとはいっても、動きの鋭さや形の決め具合が揺るぎない。

他の役者たちに殺陣がつけられているときは、他の役者たちの動きを位置を変えて見たり、黙々と自分の動きを繰り返したりと、太一の研究心は相変わらずだ。その磨きに磨き抜かれた立ち回りの魅力を見せてくれる公演本番が楽しみである。

 

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『薄桜鬼 新選組炎舞録』

演出◇キムラトシヒロ

脚本◇毛利亘宏

出演◇早乙女太一、黒川智花、木村了、RYO、川岡大次郎、窪田正孝、武田航平、中村倫也 他

10/117◎天王洲銀河劇場

〈料金〉S席8500円 A席5500

〈問い合わせ〉オデッセー 03-5444-6966

 

【取材・文/榊原和子】

謝珠栄の稽古場レポ『タン・ビエットの唄』

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日本のミュージカル界を代表する演出家の1人、謝珠栄の傑作舞台『タン・ビエットの唄』の公演が7月12日に長野からスタート、全国で公演中である(主催公演の東京・兵庫などは8月、下記に予定あり)。

2004年の初演時から高い評価を得ていたが、2008年の再演でさらに評判をよび、その年、謝珠栄がミュージカルや演劇の賞を受賞した際に、評価の対象の1つになった作品である。

物語はヒロインのフェイが、20年ぶりに祖国ヴェトナムに戻り、離ればなれになった姉ティエンの消息を訪ねるところから始まる。 戦争中に姉妹を助けてくれた解放民族戦線の仲間たちを次々にたずね、姉と戦闘の話を聞くうちに、フェイは自分が逃げ出してきたベトナム戦争の意味、そしてその後のベトナムの現実と向き合うことになる。
謝珠栄のライフワークともいうべき、民族や血の繋がりというテーマ、また祖国の大地に長年育まれてきた「生活」や、そこで暮らす「家族」を守ることの尊さなど、心に突き刺さる数々のメッセージが、クオリティの高いダンスや歌声によって観客に届けられる傑作ミュージカルだ。

その『タン・ビエットの唄』の稽古場を見る機会を得たので、稽古風景のレポートとともに、主役姉妹を演じる安寿ミラと土居裕子のインタビューをお届けする。

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【稽古場レポート】

まだ初日まで半月近くあるという時期だが、稽古場は活気とエネルギーが溢れていて、すでに一幕の通し稽古をしてしまうという進み具合である。
それもそのはず、今回の出演者のほとんどが2008年のキャストそのままなのだ。なかでもメインキャストたちは、それぞれ他の舞台でも売れっ子の役者たちばかりなのに、2カ月近くにわたるこの全国公演への参加を希望して、スケジュールを空けて待っていたという。それだけ出演者にとって愛着と思い入れの深い公演なのである。

ヒロインの姉妹に扮するのは、安寿ミラと土居裕子。姉のティエンは初演から三度目という土居は、すっかり役と同化して、優しさのなかにも芯の強いベトナム女性になっている。
妹のフェイを2008年から演じている安寿は、心に傷痕を抱えながら姉を捜す女性を、ひたむきさと揺れる感情を大きな瞳にのぞかせて演じている。
取り巻く5人の元解放戦線の仲間たちは、畠中洋、吉野圭吾、宮川浩、駒田一、戸井勝海というミュージカル界の実力派や人気者揃いで、稽古段階からすでに役を生きて、セリフ1つ1つにもリアルな感情が込められている。

そんな熱い仲間に囲まれて、ダンスの振りや各場面のフォーメーションを生き生きと指示している演出の謝珠栄。
この日も一幕の通しを終えたあと、すぐに円陣を組み、各場面におけるキャストたちの心情や感情の表現で気づいたことを、わかりやすく細かく説明していく。その内容からは、「再演だからこそ改めてこの作品の持つテーマや目指すところを、全員の共通意識として把握していきたい」という強い思いが伝わってくる。シビアでストレートなメッセージだからこそ、それを演じる役者たちの内部のリアリティが必要だということなのだろう。

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休憩のあと、二幕の稽古に入る。今度は通しではなく1場面ずつじっくりという感じで運んでいく。
二幕冒頭のシーンは、姉の消息を探しあぐねるフェイが、ハンドバッグまで取られて絶望的になる場面。落ち込んでいる安寿フェイの切ない姿。やがて幻想の中に浮かぶ土居ティエンの姿と美しい主題歌。その「タン・ビエット〜」という清らかな歌声に、この物語がやがて到達する浄化された世界が浮かび上がる。

次は場面が一転して、ベトナムの人々の賑やかなダンスと歌に変わる。
仮面をつけた群舞の振りを出演者たちとともに試行錯誤する謝珠栄。1年半前に足の大きな手術してから、ずっと手放さないでいた杖も、今はほとんど使わずに動きまわり、場合によっては自分で振りをやって見せる。その凄まじいばかりのエネルギーとバイタリティ。これこそ、謝珠栄がカンパニー全員から愛されリスペクトされる理由だろう。
二幕の最初のシーンに振りとフォーメーションをつけ終わって、今日の稽古は終了。いつもより早めに終わったために、出演者たちの中の半数は稽古場に残って自分のセリフや動きを繰り返している。

そんななかで、安寿ミラと土居裕子、それぞれに話を聞いた。

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安寿ミラ「前回は、私はできあがった方たちの中に入って、まずその熱いエネルギーにびっくりしたし付いていくだけで必死でした。しかもフェイという役は、自分がいつもやっていたような役どころと真逆に近かったので、その役を把握することと、膨大なセリフをこなすのに精一杯で、自分が目指すところになかなか到達できなかったという思いがありました。
それで今回は思いきって、6月初めにベトナムに行ってきたんですが、やっぱりその場所を自分の目で見たことですごく変わったなと思います。実際に戦場になったところにも行きましたし、博物館で当時の写真を見ました。
やっぱり幼い子どもだったら逃げたくなるだろうなというような殺伐とした風景で、でもそこで赤ちゃんを背負った女性たちが田植えをしている写真もあるんです。すごい暑さの中で…。ああ、強いなと。私にとって前回のフェイは、台本をただなぞっただけだなと思いました。でも今回は少しはベトナムを知ったことで、役も深めていけるんじゃないかと思ってます。
土居さんとは、前回は私が憧れていたかたとの共演できるという、それだけで嬉しかったんですけど、公演が終わってからも仲良くしていただいて、お互いの舞台を観たり一緒にご飯を食べたりして、今ではすっかり姉妹感覚です。でも土居さんって私より年上だし先輩なのに、どこか守ってあげたくなるような可愛い方なんです(笑)。その深まった間柄が観ているお客様にも伝わるといいなと思ってます。
今回、東京だけでなく、いろいろな地方のかたに観ていただけるのが嬉しいです。美しい歌や素晴らしいダンス、そして心の深いところに届くテーマがありますので、ぜひたくさんの方にご覧になっていただきたいですね」

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土居裕子「初演からずっと出させていただいて大好きな作品ですし、大好きな役です。重いテーマですが、ひたむきに生きている人たちの話ですので、私たちがどう演じるかがいちばん大事だし、鍵になってくると思います。
今の時代って、ひたむきとか真っ直ぐとかいうと、えっ?とか思う人が多いし、素晴らしい国を作りたいというような言葉は、口に出すのも気恥ずかしいみたいな風潮がありますけど、そんなふうに考える方たちにこそ観ていただきたいような心に響く作品です。
1つ1つのセリフがとても心に沁みるし、曲はメロディも歌詞も美しくて、歌っているといろいろな感情が湧いてきます。妹役の安寿さんとは、初めてお会いしたときからとても気が合って、今では私生活でも仲良くしていて、私のほうがすっかり甘えるというか頼ってます(笑)。
謝先生はいつも、再演といっても必ず時代の変化をすごく敏感に取り入れた演出をされるんですが、今回も劇中では現在のベトナムというものを、よりくっきりと表現されていると思います。そのことで過去の戦争や、その時代に生きていた私のティエンの悲劇などが、より鮮明に映し出されるのではないかと思っています。
この作品は謝先生の愛が溢れていると思いますし、カンパニーはそういう謝先生を信じて付いていってます。そんなカンパニーの作り出す舞台の熱さを感じていただければいいなと思っています」

 

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『タン・ビェットの唄』

演出・振付◇謝珠栄
出演◇安寿ミラ、土居裕子、畠中洋、吉野圭吾、宮川浩、駒田一、戸井勝海、川本昭彦、福永吉洋、滝沢由佳、島田邦人、小林遼介、長尾純子、久積絵夢、彩橋みゆ

●8/13〜15◎東京芸術劇場 中ホール
●8/27◎宇和島・南予文化会館 
●8/29◎兵庫県立芸術文化センター中ホール

〈料金〉
東京公演/S席¥9000 A席¥6000(全席指定・税込)
宇和島公演/前売A席¥5000 B席¥4000/当日A席¥5500 B席¥4500(全席指定・税込) 
兵庫公演/A席¥8000 B席¥7000(全席指定・税込)

〈問合せ〉
東京/TSミュージカルファンデーション 03-5738-3567
宇和島/宇和島市生涯学習センター 0895-25−7514
兵庫/芸術文化センターチケットボックス 0798-68-0255


【取材・文/榊原和子】

ナンセンスだけど感動的。本能中枢劇団稽古場ルポ

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昨年の夏に演劇活動を再開した元ベターポーヅの西島明。
昨年、猿飛佐助と吉原朱美とともに旗揚げした本能中枢劇団では、個性的な客演陣を迎え、大成功を収めた。
出演者も最後までどこがおもしろいか不安というほどのナンセンスさは、西島の台詞や間、音楽、美術、動きの選択により、そのシーンの“意味”は分からないけれど、なぜか心を打つ感動的な作品に昇華されていた。
待ちに待った今回の公演のタイトルは『家庭の安らぎの喜びと恐怖』。
穏やかなような、そうでもないような気持ちが揺らぐタイトルのチラシにはこうある。

わたしの心の本棚は
悩み別に並んでいる
恋? だめ 昔?
あー言えばよかった
ずっと? ぎゅっとよ
もうベテランなのよ
結社のこともくわしいの
簡易ディスコに行って
コタツのことを
キスと言おう

客は皆、劇場に
パンを持参すること!


この文章に胸を打ち抜かれ、彼の独特の世界ができるヒントを探しに稽古場へ潜入してきました。

・    ・    ・    ・    ・

私が到着したのは7月5日の稽古が始まる18:00の少し前。
すでにほとんどの出演者が着替えを済ませ、ストレッチなどをしながら談笑している。
壁には模造紙で書いた予定表が書いてあり、ここでの稽古は6月22日から始まっている。劇団員の吉原朱美によると稽古は今3合目あたり。
昨日まで本番中だったクロムモリブデンの森下が到着し、歓待を受けている。
いよいよ今日から全員が揃っての稽古が始まるのだ。

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和やかな雰囲気の中、おもむろに「4ページから」と指示を出し、床に座る演出の西島。
このシーンは、主に飯野遠、成田さほ子、森下亮の3人が演じている。
寝ている森田ガンツにちょっかいを出す中国人の妹が飯野。
その妹をたしなめ、「姉さん」と読んでくれないことを気に病むしっかり者の姉が成田。
ふらっと登場し去っていく謎めいた兄が森下。
妹だけが中国人、あるいは兄がやたらに妹たちに優しい、というあまり実際には見あたらない設定だが、妹思いの一生懸命の成田の演技で妙に親近感のわくシーンになっている。

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西島は、今日から参加した森下には、「ここはもう少し抑えめに、ところどころで台詞を張るように」と具体的な指示を与え、カタコトの日本語での演技に苦戦している飯野には、中国人のぞんざいな感じを彼の独特の中国人観(「何でも食べちゃう。食べれないものは薬にしちゃうぞ」という乱暴な感じ)を披露し、役のニュアンスを伝える。

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まずは椅子に座って、次に立って演じる3人。
立つ位置も最初は特に指示がないため、各自でこの台詞の時は、ここがいいかなと探りながら演じていく。
数回演じたところで、西島から徐々に位置や並びについての指示が入る。
西島は時にはお手本を見せたり、役の関係性を説明したりしながら稽古は進んで行く。

意外なくらい穏やかな雰囲気の中進む稽古には、終始リラックスしたムードが漂っている。
西島の指示をすぐに理解し、自分のものにしようとする俳優の姿勢に、作品が出来るまでの秘密の一つを垣間見た気がした。

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出演者のみなさんと作・演出の西島さん。この日は森下さんのお誕生日でした。


この日にお話をお伺いした劇団員の吉原朱美さんのインタビューはこちらでご覧いただけます。

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公演情報
tirashi

本能中枢劇団
『家庭の安らぎの喜びと恐怖』

7/23〜8/1◎こまばアゴラ劇場
作・演出◇西島明
振付◇山田うん
出演◇猿飛佐助 吉原朱美 森下亮(クロムモリブデン) 飯野遠(民藝) 真下かおる(くねくねし) 成田さほ子(拙者ムニエル) 森田ガンツ(猫のホテル) 横塚真之介 宮下今日子
<料金>前売¥3000  当日¥3300(整理番号付自由席)
<お問い合わせ>三村里奈  090-2916-1739 mrco@m8.dion.ne.jp

http://honchu.net/

【取材・文/矢崎亜希子】
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