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レビュー速報

『ABC座 星(スター)劇場』初日レビュー&インタビュー

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アクロバットパフォーマンスグループのA.B.C-Zが初座長を務める『ABC座 星(スター)劇場』が2月4日、日生劇場にて開幕した。

それに伴い前日にメンバーの囲みインタビュー、初日となる4日の昼には公開ゲネが行われた。


この作品は、2月1日にDVDで鮮烈デビューを遂げた彼らの新たな一歩となる作品。ジャニー喜多川氏が作・構成・演出する新作オリジナルミュージカル「We are the Five Stars!」とA.B.C-Zライブの二本立てで魅せるエンターテイメント・ショーだ。


第一幕のミュージカルは家族をなくし、夢を持ちつつも無気力に生きる少年・リョウスケ(橋本良亮)が時代を巡り、ミュージシャンの彼のおじいちゃん(戸塚祥太)、戦国武将のひい×15おじいちゃん(河合郁人)、兵士のひいおじいちゃん(五関晃一)、エンジニアのお父さん(塚田僚一)と交流する様を描いている。出会いを通してリョウスケは友情、勇気、志、夢などの大切さを学び、ミュージシャンになる夢を叶えるまで成長していく。

目玉はスーパー・アクロバット「Five Star」が披露されるシーン。舞台上の直径4mのリングにかたどられた星をメンバーの力で回転させ、5人が正に星(スター)となるというもの。彼らにふさわしく、クライマックスをバランスとチームワークでアクロバティックに飾る。


第二幕のA.B.C-Zライブでは自身の楽曲他、ジャニーズグループのヒット曲をジャニーズJr.を交えて華やかに歌い踊る。


2月3日に舞台上で行われた囲みインタビューは、劇中衣装で登場した。
 

【インタビュー】

ーーデビューされて慌ただしい中での本番ですが、いかがですか?

橋本 バッチリですね! 明日に備えて、僕たち準備は整ってます!

河合 スムーズに進行してますし、僕たちのことなので、いつ何が起きても対応できる技量を持ってます!
 

ーー十分な自信があるということですね。

河合 あります!
 

ーーところで、役衣装がバラバラですが。

橋本 簡単にというか分かりやすくいいますと、僕たち先祖でございまして…。

河合 先祖?!

橋本 僕たち先祖なんです、ストーリー上では。最初の先祖が河合郁人くんで、戦国時代ですね。

河合 殺陣のシーンもあったりなかったり…。

塚田 あるある(笑)。

河合 あります(笑)。

橋本 その次が五関晃一くんの戦争時代です。

五関 踊りで戦場の重さを表すイメージでやらせてもらってます。兵士の覚悟というか、そういうのを見ていただけたらなと。

橋本 そして五関くんの息子である戸塚祥太くんが、何時代ですか?

戸塚 ロック、音楽が栄えたロックンロールの時代ですね。僕が一番好きな時代です。一番ここから影響受けてます。

塚田 僕は橋本のお父さん、トッツー(戸塚)の息子で、町の工場で働く技術者ということで。その町が、1980年代くらいなんですけど、都市開発で潰れかけてしまう、それを救う町の人です。

河合 何そのまとめ(笑)。

塚田 エンジニアですね。アクロバットと結びつかない部分もあったんですけど、そこに自分らしさを出していきながら作りました。

橋本 最後に僕が、18歳の頭の空っぽな少年ですね。空っぽだから、一人一人の時代を廻って身をつけるみたいな。

河合 身をつける?

橋本 勉強して学んでいくんです。

河合 いろんなシーンで、仲間とか夢とかを現代の橋本良亮が学んでくるっていう感じですね。
 

ーーそして一幕終わりのアクロバット。見てると怖そうですが。
河合 全然! 気持ちいいですよ。俺ジェットコースターがダメなのに出来ますから。

橋本 でも一番最初はビビりましたよ、やっぱり。

河合 自分たちの息が合わないと出来ない、息が合わないグループには出来ないですね。

橋本 息が合わないと出来ない、息が合うグループといいましたね、遠まわしに!

河合 何でお前、今日そんなにテンション高めなの(笑)?

橋本 そりゃ高いですよ! 明日本番ですよ! 頑張りたいと思います!

河合 息が合い過ぎて勢いつき過ぎちゃうこともあるから、調整しつつ息を合わせてやろうと思ってます。
 

ーー直径4mの鉄輪を5人で回すのはかなりの大技ですよね?

塚田 オリジナルのアクロバットの技なんです!

戸塚 塚ちゃんはプライベート用にコレ買うんでしょ(笑)?

塚田 もちろん! 家用、仕事用、自宅用ってね(笑)。

戸塚 「Five Star」という名前なんです。

河合 自分たちでつけました。「Five Star」なんで1個も欠けたらダメなんです。

戸塚 5つの頂点がないとダメなんですよ。
 

ーー皆さん仲良さそうですが、ケンカすることは?

橋本 全然ないですね。

河合 打ち合わせでコレがいいとかはあるんですけど、ケンカまでにはならないです。みんな本当バラバラの意見があるんで、逆に勉強になるって感じですね。そういう意見もあるって、取り入れて作っていってるんで。(メンバーを見て)ケンカしなそうじゃないですか?

五関 見るからにね(笑)。
 

ーーDVDもダントツの売り上げで絶好調ですね!

全員 ありがとうございます!

河合 いや何か自分のことじゃないみたいですね。この間は手渡しイベントとかありましたし、今回日生劇場にたくさん来てくれると思うので、そういうファンの方のおかげで1位を取れたということで、今度はこっちからお礼しないといけないですね。

全員 (深く頷く)
 

ーーデビューして何か変わりましたか?

橋本 特に変わってないです。あ、でも責任感ですかね。もちろん昔からあったけど、さらに感じるようになりました。

戸塚 僕たちの置かれている環境が変わったというのはあるけど、僕たち自身は変わらないですね。周りがどんどん変わって色んな人たちが僕たちに協力してくれる、たくさんの方々の力をいただいて、こうして僕たちはステージに立たせてもらっている。痛いほど痛感しますね。
 

ーーデビュー日は何かやりましたか?

河合 5人でですか?とりあえず(A.B.C-Zキャラクターの)それぞれのマスコットをつけました。塚ちゃんはバッグにつけてるというか、いつもね?

塚田 バッグの中に入れて、いつもお守りにしてます。

河合 神様なんでね(笑)。

塚田 健康運とか上がるんで、皆さんもぜひお守りに(笑)。
 

ーーでは最後に意気込みをお願いします。

河合 とりあえず本当にやるだけです! こちらの準備は万端なので、あとはどういう反応が返ってくるか。お客様が入って、初めて完成するので。120%の力を出して、お客様に見せて、お客様の判断でいいか悪いか決めてもらってと思ってます。全国ツアーもやります!
 

ーー本公演ぜひ頑張ってください。

全員 ありがとうございます! 頑張ります!

戸塚 お忙しい中、足を運んで頂きありがとうございました!


DVDリリースという異例のデビューで話題となったA.B.C-Zが、豊富な舞台経験をもって挑む初座長公演。全国を巡る大規模な舞台でのアクロバットは、勢いを感じさせるライブな仕上がりになっている。スタートダッシュを切った彼らの華やかで力強いパフォーマンスが期待される。


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『ABC座 星(スター)劇場』

作・構成・演出◇ジャニー喜多川

出演◇A.B.C-Z(橋本良亮 河合郁人 戸塚祥太 塚田僚一 五関晃一)   Sexy Zone(中島健人 菊池風磨/交互出演)   noon boyz(真田佑馬 野澤祐樹/交互出演)   他 ジャニーズJr.総出演

●2/4〜2/29◎日生劇場

〈料金〉8,000円(均一料金・税込)

〈問合せ〉03-3213-7221 帝国劇場東宝日生劇場公演係


【取材・文/桜井麻子】


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激しさと熱さが胸に迫る井上芳雄の『ハムレット』

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チェコの天才音楽家ヤネック・レデツキーがミュージカル化した『ハムレット』が、シアタークリエで2月1日から上演中である。ロック・ジャズ・ポップスなど多彩なジャンルの音楽を駆使した、まさに新しい『ハムレット』で、主演の井上芳雄がこの悲劇の主人公に渾身の力で挑んでいて、その姿が作品内容と重なって強く悲劇性を訴えてくる。


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このミュージカルは1999年に初演されたチェコ・ミュージカルで、チェコで最も有名なミュージシャンの1人であるヤネック・レデツキーの楽曲の魅力もあって、大ヒットを記録。その後、アメリカや韓国でも上演されるというグローバルな人気作品
となった。

今回の日本初演では栗山民也が演出を手がけ、主役のハムレットを演じるのは、ミュージカル界のプリンス、井上芳雄。共演者もミュージカル界で活躍する俳優たちばかりで、恋人のオフィーリアには新進の昆夏美、その兄のレアティーズには伊礼彼方、ハムレットの親友ホレーショーは成河、王妃ガートルードには涼風真世、国王クローディアスは村井國夫、オフィーリアの父のポローニアスは山路和弘という豪華な顔ぶれになっている。


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作品の大きなポイントは、ハムレットという主人公の行動と心理に添ってスポットを当て、それ以外とでもいうべき部分を大胆にカットしてあることだろう。ハムレットが亡き父王のため復讐を企てる時期に、デンマーク国を通りかかる隣国の王子フォーティンブラスの存在や、ハムレットの学友であるローゼンクランツとギルデンスターンのエピソードはすっかり割愛されている。

そのぶんハムレットとオフィーリアのベッドシーンなどで2人の関係に踏み込んだり、レアティーズとオフィーリアの兄妹愛も詳細に描かれるなど、明確に「愛」を物語の軸の1つに据えていて、それがハムレットとレアティーズの激しい死闘へとつながり、悲劇に至る導線として有効になっている。


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そんな「愛」による悲劇の主人公ハムレットを演じる井上芳雄は、1人の青年が短い生を自分の思いのままに燃焼するまでの、まさに疾走する日々を全身で熱く激しく生きてみせる。内面を吐露する場面や狂気はロックで激しく歌い上げ、愛や嘆きのバラードは愁いをこめて美しい。

まだ少女のようなオフィーリアの昆夏美は、柔らかい声質で井上や伊礼との叙情的なデュエットにとくに力を発揮してみせる。姿が可憐なだけに後半での狂気が涙を誘う。


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伊礼彼方のレアティーズがハムレットと対峙する存在としてフィーチャーされていて、オフィーリアへの愛情の深さと、その反動としてのハムレットへの憎しみをくっきりと描き出す。大詰めの井上との決闘は、2人の迫力あるぶつかり合いがすさまじく圧巻の見せ場だ。

ホレーショーの成河は、身のこなしの軽さから原作の語り部的な位置よりはどこか王子に従う道化的な役割り。

ガートルードの涼風真世は、夫の弟や息子のハムレットに愛されて当然の美しい「女」そのもので、この悲劇の原因であることに説得力を持つ。

兄王殺しのクローディアスは村井國夫で、欲望と野心満々な大きさがあり圧力を感じさせる。

山路和弘のポローニアスはやや誇張した卑小さがあり、その部分がのちにハムレットによる死骸のダンスという侮辱へと繋がっていく。
 

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セットは高い壁面とホリゾント、上手階段などで場面の変化をつけ、カーテンや照明の陰影で物語のドラマ性や進行を巧みに演出し、大詰めの決闘では階段の高低を効果的に使っている(美術は松井るみ、照明は服部基)。

ヒットミュージカルだけにヤネック・レデツキーによる楽曲は魅力的で、バラード調のソロやデュエットはじっくりと聞かせてくれるし、ロックやジャズはアップテンポでエネルギッシュで乗りがいい(音楽監督は甲斐正人)。その音楽に身をゆだねながら、ハムレットという1人の青年王子の凄まじいまでの生き様を見届ける舞台である。



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ミュージカル

『ハムレット』

原作◇ウィリアム・シェイクスピア

脚本・作曲・作詞◇ヤネック・レデツキー

演出◇栗山民也

出演◇井上芳雄、昆夏美、伊礼彼方、成河(ソンハ)、阿部裕、山路和弘、涼風真世、村井國夫

川口竜也/小西のりゆき/俵 和也/照井裕隆

岩崎亜希子/木村晶子/園田弥生/平田愛咲(50音順)

●2/1〜22◎シアタークリエ

〈料金〉S席11000円 A席8500円

〈問合せ〉シアタークリエ 03-3201-7777

●2/25〜2/28◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ   

〈料金〉11,500円 

〈問合せ〉梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ  06-6377-3888

●3/3〜4◎中日劇場

〈料金〉A席11,000円 B席8,500円

〈問合せ〉中日劇場  052-263-7171
公式HP 
http://www.tohostage.com/hamlet/index.html


【文/榊原和子 撮影/冨田実布】

『下谷万年町物語』舞台レポート

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時間が交差していくのを感じた。
31年前に西武劇場で上演された初演。
唐十郎の戯曲、演出の蜷川幸雄はそのままに宮沢りえ、藤原竜也、西島隆弘という三人のメインキャストを得てのシアターコクーンのリニューアルオープンの初日。
31年前と今とを特別出演の唐十郎と蜷川幸雄が結ぶ。

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舞台を見ていると理屈を超えて胸が揺さぶられる瞬間というのがあって、この舞台でも何度かそういう瞬間が訪れた。
6本目の指でお互いに触れ合うとき、宮沢りえ演じるキティ・瓢田が踊るタンゴ、また彼女の独白…言葉そのものの意味を超えて、その言葉に込められた思いや町の匂い、演じる役者の温度がじわっと客席にまで伝わってくる。その瞬間がたまらない。

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舞台は唐十郎自身が幼少期を過ごしたという下谷万年町。
長屋にはたくさんオカマたちが暮らしていて、すぐ近くには不忍池がある。
辺りを仕切るオカマの代表であるお春のイロだった洋一(藤原竜也)は権力の象徴である警視総監の帽子を持って逃げている。
お春たちの一味が総監から奪った帽子だが、巡りめぐって帽子は洋一の手に。
その帽子の行方を追うようにお春から頼まれるのが文ちゃん(西島隆弘)だ。
帽子を追う内に当然ながら洋一と文ちゃんは出会い、行動を共にするようになる。
不忍池の奥底から死にかけたキティを抱きかかえて、出てくる洋一。
池の底からジリジリジリ…という芝居の開幕を知らせるベルが鳴り響く。

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贅沢をいうなら、もう少し小さくて小汚い劇場でも見てみたかった、ということだろうか。
この戯曲を上演するにはシアターコクーンという劇場は少し広い。役者が池を行き来するたび水しぶきが飛び散るが、席が遠ければ遠いほど水しぶきは観客とは無関係なものになっていくのが惜しい。オカマたちのむせ返るような白粉姿も劇場が広い分だけ冷静に見ることができてしまうだろう。
ただこういった力強い猥雑さと美しさとが一体となった芝居を上演できるところがシアターコクーンの良さでもあると思う。どんな戯曲を上演しても独特の品が感じられる劇場であることが心地良い。

三幕構成での上演なのだが初日ということもあってか、三幕で話が佳境に向うのと同時にテンポも良くなってきた印象。
宮沢は話が進むにすれてどんどん魂がむき出しになっていくような雰囲気。余分なものが削がれていって、ただそこに心と身体が存在しているといった風。だからこそ時折、突き抜けた美しさを感じさせるのかもしれない。
藤原演じる洋一は物語の発端を作ってしまう存在。キティが探し求める演出家の“ようちゃん”と、自身を重ねていってしまうところが切ない。
出色は西島の文ちゃん。台詞の一つ一つに情感があり、伸ばした手の先の緊張感にも、起こりゆく出来事を見つめる繊細さにも惹きつけられた。宮沢りえ、藤原竜也の二人と並んでも遜色ない。

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この文ちゃんと唐十郎自身とが重なってみえてくる。
唐自身を投影させた役が文ちゃんなのだろう。
不忍池の水面に映る自分自身、そしてオカマたちの姿。
水面は揺れて現実と幻想とが入り混じる。
6本目の指で掴むものは?紫色のサフランの花なのか、注射器なのか。
夢なのか現実なのかわからない、その混沌とした空気を劇場で存分に吸う。

初日は唐十郎、宮沢りえ、藤原竜也、西嶋隆弘らの熱演を目撃した観客からの熱いカーテンコールで幕を閉じた。
31年の時を超え、ひとつの事件に出会えたような興奮で胸がざわつく公演である。

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『下谷万年町物語』

作◇唐十郎
演出◇蜷川幸雄
出演◇宮沢りえ 藤原竜也 西島隆弘
 六平直政、金守珍、大門伍朗、原康義、井手らっきょ、柳憂怜、大富士
 沢竜二、石井愃一、唐十郎 他

●1/6〜2/12◎Bunkamuraシアターコクーン

<HP>
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/12_mannencho/index.html 


【文/岩見那津子 撮影/冨田実布】

☆3月9日発売の演劇ぶっく4月号に『下谷万年町物語』に出演中の唐十郎さんのインタビューと舞台写真が掲載されます。

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輝く北の星を。こまつ座『十一ぴきのネコ』舞台レポート

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登場するのは十一ぴきのネコたち。
お腹を空かせて、へろへろになった彼らは鼠殺しのにゃん作老人(勝部演之)に教えてもらった北の星の下にある大きな湖にいる大きな魚を目指して、いざ進む。
原作は馬場のぼるの絵本『11ぴきのねこ』で1971年に井上ひさしが戯曲化した作品である。
11匹の野良猫たちが大きな魚を目指して進んで行くという冒険性、仲違いしながらも絆を深めていくという物語性、それこそ絵本を読む子供みたいな気持ちになって楽しめた。
登場するネコたちがそれぞれ本当に可愛い。

ただ、可愛いだけでは決して終わらないのがこの戯曲の中にいる井上ひさしだし、演出の長塚圭史である。
楽しい音楽や、韻を踏んだ楽しい台詞の中に、すっと社会を風刺する鋭く尖った刃が見える。
最後の結末はその風刺の刃が特別な切れ味を発揮し、思わず息を呑んだ。
絵本のような物語の中にあって、時折姿を見せるそんな暗さがあったからこそ、今回の長塚圭史演出が誕生したのかもしれない。
井上ひさしの戯曲、しかも音楽劇で“子どもとその付き添いのためのミュージカル”と副題がついた作品を、ゆらゆらと揺れるブラックな精神世界をここ最近表現することが多い長塚が演出するというのは意外だったのだが、結末を見て大いに納得した。

ただ甘いだけでない、ほろ苦さを感じてもらうということも含めて、副題の通り子どもに見せたいと思う音楽劇だ。
この日の客席にも何人か子どもがいたのだが、まず開演前の時間からわくわく感を演出してくれる。
徐々にネコたちが客席に現われて、「お腹が空いたにゃー」などと口にしながら、客席にいる子ども達に自分のふわふわのしっぽを触らせたり、笑顔で話しかけたりしている。
そうやって構ってくれたネコたちが、ふと気付くと舞台の上で冒険の旅に出るのだから、子どもが見てもきっと飽きがこない。もちろん大人も楽しめる。

北村有起哉の軽やかで、口も達者、頭の回転の速いにゃん太郎を中心に、ほぼ同年代の俳優たちが集まって、井上戯曲を全力疾走で演じきる、その勢いが心地良い。
にゃん作老人から受け継がれた地図のように、また次の世代へと井上作品が受け継がれていくのを感じた。

みんなで力を合わせれば、北の星の下にある湖にだって辿り着けるし、大きな魚を捕まえて食べることだってできる。
辛い現実は必ずどこかに転がっているが、あの北の星の輝きも忘れずにいたい。

 

 井上ひさし生誕77フェスティバル2012
『十一ぴきのネコ』

作◇井上ひさし
(馬場のぼる原作・こぐま社刊)
演出◇長塚圭史
音楽◇宇野誠一郎 荻野清子
出演◇北村有起哉 中村まこと 市川しんぺー 粟根まこと 蟹江一平 福田転球 大堀こういち 木村靖司 辰巳智秋 田鍋謙一郎 山内圭哉 勝部演之

●1/10〜31◎紀伊國屋サザンシアター
●2/5◎川西町フレンドリープラザ(山形)
●2/11・12◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

<料金>
一般7,800円 学生(高校生以上)5,800円 子供(小・中学生)4,800円

<HP>
こまつ座 
http://www.komatsuza.co.jp/

【文/岩見那津子】


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野田秀樹のニューヨーク公演が開幕!『THE BEE』

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野田秀樹(劇作家・演出家・俳優)が、
『THE BEE』で、36年間の演劇人生で初のワールドツアーを敢行中である。

2006年ロンドンで初演された『THE BEE』(英語版)は、野田と英国人俳優との5回におよぶワークショップを経て創られた作品で、1回目のワークショップは2003年、イラク戦争の後に行われた。

9.11から続く「報復の連鎖」を目の当たりにした野田は、20代で読んだ筒井康隆の短編小説『毟りあい』をワークショップの題材に使うことを考え、参加した英国人俳優が、何も言わなくても、現在の社会状況について語りだすのを見て、「やはり『毟りあい』は世界に通じるテーマだ」と確信し、舞台化を決定。
ローレンス・オリヴィエ賞受賞の英国を代表する名女優キャサリン・ハンターを迎え、2006年にロンドンで初演(英語上演)して、大きな衝撃と話題を巻き起こすと同時に高く評価され、現地の新聞評で最高星5つ星を取るなど、大絶賛を受けた。

翌年の2007年には日本でも上演、英語版と新たに制作した日本語版を連続上演して、その年の読売演劇大賞など演劇賞を総なめにして、演劇史に残る傑作となった。

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左:野田秀樹、中央後:キャサリン・ハンター、
中央手前:グリン・プリチャード、右:クライブ・メンダス
 

作品の内容は、平凡なサラリーマンが妻子を人質に取られたことから復讐の鬼と化し、加害者の妻と子を監禁してしまう。その緊迫した状態の中で、被害者が加害者に転じていくプロセスや、互いに暴力を加えていくことで繰り返される「復讐の連鎖」を鋭く描き出している。英語版では、サラリーマンを英国女優のキャサリン・ハンターが演じ、監禁される妻を野田秀樹が演じたことでも、演劇界に新鮮な衝撃を与えた。

 

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グリン・プリチャード、野田秀樹、キャサリン・ハンター、クライブ・メンダス


今回のワールドツアーは1月5日が初日で、野田の「9.11から10年を経たニューヨークで、この作品を上演したい」という思いによってニューヨークからスタート。世界各国から実験的なコンテンポラリー作品を招聘する演劇フェスティバルの「Under the Radar Festival(アンダー・ザ・レイダー・フェスティバル)」のオープニング・プログラムとして、1月15日まで上演される。

その後、1月24日から2月11日まで初演を行ったロンドンのソーホー・シアターでも、日本人の作・演出としては異例の約3週間の公演を行う。また、2月17日から19日まで香港で演劇フェスティバルへの正式招待作品として上演。そのワールドツアーの掉尾を飾るのが日本での公演で、2月24日から水天宮ピットでの東京公演を予定している。


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カーテンコール


【ニューヨークでの野田秀樹】

今回のワールドツアーおよびこの『THE BEE』という作品について、野田は初日のレセプションで以下のように語った。

ーーニューヨークで公演することについて。

初演のロンドン(2006年)の稽古の時から、ニューヨークでこの作品をやりたいと話し合っていた。ニューヨークは世界を引っ張っている街だし、この『THE BEE』という作品は、いい意味でも悪い意味でもニューヨークにふさわしい作品だと思っていました。

ーーこれからの日本の演劇について。

蜷川さんは、蜷川さんのギリギリまでやっている。僕も、今の自分のやれることはぎりぎり限界までやってきた。これからの若い人は、今の自分より、もっと先にいけると思う。僕も最初は一人で海外に飛び込んで、海外の人たちと始めた。間違っていることもいっぱいあったけど、続けてみることで今の成果に繋がった。

ーー次に考えてることは?

今後は、日本でやってる規模の大きい作品を日本のカンパニーで海外に持っていきたい。

ーーキャサリン・ハンターについて。

ここまでこれたのは、単なる通訳がいれば話が通じるということではなくて、文化的な翻訳者としてキャサリン・ハンターが、一緒に作品を作ってくれるということが非常に大きかった。


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野田秀樹とMark Russell(マーク・ラッセル)アンダー・ザ・レイダー・フェスティバル芸術監督

また、この9.11とイラク戦争に触発された世界情勢の鏡のような作品を、ニューヨークで上演することについても、以下のように答えている。

「9.11から10年を経てもビンラディン殺害のニュースを見て快哉を叫ぶニューヨーカーの姿を見て、10年間何も変わっていないアメリカの姿に愕然とした。しかし、その映像を見て、苦々しく思っているアメリカ人もいるはず。ぜひこの作品をニューヨークで上演したい、いろいろな思いを抱えているニューヨーカーに観てほしい」

    

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【初日開幕】

ニューヨーク時間、1月5日20時45分に、『THE BEE』のニューヨーク公演が開幕した。

ジャパンソサエティ内オーディトリアムの270席の客席は満員御礼、後半になるにつれ、観客はどんどん作品に引き込まれ、静かに固唾を飲んで観ている。

カーテンコールでは、温かい拍手に包まれ、終演後は興奮冷めやらぬ様子で、テレビカメラなどのインタビューに答える観客の姿があった。
 

【終演直後の野田秀樹のコメント】 

前日のドレスリハーサルが、思っていたような出来にはならなかったので、突然、自信を無くしてしまったんだよね。時々あるんだよね。そういうこと。それで、昨日の夜は眠れませんでした。

今日の初日の芝居は、非常に良い出来だったので、今までやってきたことが間違いなかったと確信できました。

あとは、ニューヨークのお客さんが今日の観客たちの評判を聞き、この作品を観にきてどんな反応をしてくれるのかが楽しみですね。
 

【観客のコメント】(若い女性のニューヨーカーが直接野田に話してくれたコメント)

この作品は、今のニューヨークには、必要な作品。最近のニューヨークでは、テクニカルなものによる作品が多いので、『THE BEE』のような、役者の身体や、シンプルなセットでみせる 演劇的な芝居は、絶対に多くの人が観るべきだと思う。


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English Version 東京公演(英語上演・日本語字幕付き)

『THE BEE』

作・演出・出演◇野田秀樹

出演◇キャサリン・ハンター、グリン・プリチャード、マルチェロ・マーニ

●2/24〜3/11◎東京 水天宮ピット 大スタジオ

〈料金〉5000円 25歳以下2000円(枚数限定)

〈問合せ〉東京芸術劇場 03-5391-3010

http://www.geigeki.jp/


【文/榊原和子 資料提供/東京芸術劇場 Photo/Michel Delsol】

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