これは『ゴドーを待ちながら』の日本決定版!

ミッキー(右、26歳)、まっつん(左奥、25歳。早生まれなので他の二人と同学年)、ふとし(左手前、26歳)の“類型的なのだが、個性的でもある?!”、さえない3人のフリーターが東京のたぶん下町のファミリーレストランで、夜毎ささやかな会合を開いています。まぁ会合というには、あまりに会話がなく、テーマも全くありません。だからといって、ただの暇つぶしというには少し心が通いすぎていているようなのです。
たとえばこんなふうに。
東京のたぶん下町のファミリーレストラン。時刻は深夜。右側の3人掛けの椅子の真ん中にミッキーが座っている。テーブルをはさんで左側の椅子の手前にはふとしが、奥にはまっつんが座っている。3人ともまったく緊張感がない。ふとしはポテトを食べている。他の二人の前にはジュースぽい飲み物のグラスが置いてある。(ちなみに、特別なことがない限り3人の位置やオーダーは毎晩変わることがない)
ミッキー 「まっつんの着信音、何?」
まっつん 「2」
ミッキー 「えっ」
まっつん 「着信音2」
まっつん自分の携帯を見せながら着信音を鳴らす。(ピロロー ピロロー ピロロー)
--間—-
まっつん 「たまに・・・3」
携帯音鳴らす。(ピロンコ ピロンコ鳴り続ける)
ミッキーたばこを吸っている。
ミッキー 「ふとしは?」
ふとし 「ぼくは・・・コレ」
と携帯を見せながら鳴らす。(トュルルルトュルルル トュルルル鳴り続ける)
ミッキー 「何?」
まっつん 「ソフマップだろ?」
ふとし 「あっスゴイ!」
ミッキー 「・・・・」
まっつん 「秋葉原(アキバ)のな・・・」
ふとし 「店のテーマソング」
ミッキー渋く笑いながら自分の携帯音を鳴らす。
ミッキー 「フ・・・」
携帯音が鳴り続ける。(ピッピロッピッピ ピッピロッピッピ ピッピー ピッピー ピピロッピー ピッピロッピッピ ピッピロッピッピ ピッピー ピッピー ピピロッピー)
ミッキー 「ユーロ(ビート)ユーロ(ビート)」
ミッキー音に合わせて軽く手振りで踊り出す。
ミッキー 「ワンツー ワンツー 回って ワンツー」
さらに音に合わせて
みっきー 「ターンで1・2のヒゲダンス」
ふたり唖然として、ちょっと困っている。
ミッキー 「クロスを かえして ナイアガラ あっ!」
ミッキーが携帯を落としたので、音が止んだ。
--長い間--
店の雑音が聞こえている。
3人いつまでも無言。
ここは現在の日本ですから、「ゴドーを待ちながら」の主人公たちのように残念ながら、というかラッキーにもというか、待つものはなにもありません。3人は毎晩毎晩、この無為に見える時間の中で、日々起こる出来事に対してのいくらかのいらだちと、まぁなんとかなるだろう的な雰囲気をほんの少しだけ漂わせつつ、生活しているわけです。これってぼくら? 会話の量とか、一見意味ありげさをよそおった関係もひと皮むけばこんな感じ。いやいや、彼らの方がよほどに信頼できる関係のようです。そんなシーンが続出です。ともあれ現代の日本(この漫画は10年前に描かれたものですが)でこんな素晴らしい『ゴドーを待ちながら』に拮抗する作品が描かれていたとは・・・。ちなみにこの作品はDVD化されていて、ご存じの方も多いかと思いますが、私はみたことがありません。
文◇坂口真人

ミッキー(右、26歳)、まっつん(左奥、25歳。早生まれなので他の二人と同学年)、ふとし(左手前、26歳)の“類型的なのだが、個性的でもある?!”、さえない3人のフリーターが東京のたぶん下町のファミリーレストランで、夜毎ささやかな会合を開いています。まぁ会合というには、あまりに会話がなく、テーマも全くありません。だからといって、ただの暇つぶしというには少し心が通いすぎていているようなのです。
たとえばこんなふうに。
東京のたぶん下町のファミリーレストラン。時刻は深夜。右側の3人掛けの椅子の真ん中にミッキーが座っている。テーブルをはさんで左側の椅子の手前にはふとしが、奥にはまっつんが座っている。3人ともまったく緊張感がない。ふとしはポテトを食べている。他の二人の前にはジュースぽい飲み物のグラスが置いてある。(ちなみに、特別なことがない限り3人の位置やオーダーは毎晩変わることがない)
ミッキー 「まっつんの着信音、何?」
まっつん 「2」
ミッキー 「えっ」
まっつん 「着信音2」
まっつん自分の携帯を見せながら着信音を鳴らす。(ピロロー ピロロー ピロロー)
--間—-
まっつん 「たまに・・・3」
携帯音鳴らす。(ピロンコ ピロンコ鳴り続ける)
ミッキーたばこを吸っている。
ミッキー 「ふとしは?」
ふとし 「ぼくは・・・コレ」
と携帯を見せながら鳴らす。(トュルルルトュルルル トュルルル鳴り続ける)
ミッキー 「何?」
まっつん 「ソフマップだろ?」
ふとし 「あっスゴイ!」
ミッキー 「・・・・」
まっつん 「秋葉原(アキバ)のな・・・」
ふとし 「店のテーマソング」
ミッキー渋く笑いながら自分の携帯音を鳴らす。
ミッキー 「フ・・・」
携帯音が鳴り続ける。(ピッピロッピッピ ピッピロッピッピ ピッピー ピッピー ピピロッピー ピッピロッピッピ ピッピロッピッピ ピッピー ピッピー ピピロッピー)
ミッキー 「ユーロ(ビート)ユーロ(ビート)」
ミッキー音に合わせて軽く手振りで踊り出す。
ミッキー 「ワンツー ワンツー 回って ワンツー」
さらに音に合わせて
みっきー 「ターンで1・2のヒゲダンス」
ふたり唖然として、ちょっと困っている。
ミッキー 「クロスを かえして ナイアガラ あっ!」
ミッキーが携帯を落としたので、音が止んだ。
--長い間--
店の雑音が聞こえている。
3人いつまでも無言。
ここは現在の日本ですから、「ゴドーを待ちながら」の主人公たちのように残念ながら、というかラッキーにもというか、待つものはなにもありません。3人は毎晩毎晩、この無為に見える時間の中で、日々起こる出来事に対してのいくらかのいらだちと、まぁなんとかなるだろう的な雰囲気をほんの少しだけ漂わせつつ、生活しているわけです。これってぼくら? 会話の量とか、一見意味ありげさをよそおった関係もひと皮むけばこんな感じ。いやいや、彼らの方がよほどに信頼できる関係のようです。そんなシーンが続出です。ともあれ現代の日本(この漫画は10年前に描かれたものですが)でこんな素晴らしい『ゴドーを待ちながら』に拮抗する作品が描かれていたとは・・・。ちなみにこの作品はDVD化されていて、ご存じの方も多いかと思いますが、私はみたことがありません。
文◇坂口真人

















