
十数年前までは、演劇不毛の地であり、中央線沿線の厄介者といわれていた中野が、近年摩訶不思議なトレンディースポットとして変貌を遂げています。その中でも一番顕著なのが南口から中野ザ・ポケットに至る徒歩10分くらいの道です。劇場はともかく、面白い道ですよ。
この道は途中から、旧中野駅から堀の内・妙法寺への参道として栄えた場所で、中野駅から東高円寺に至る道にはずらりとお店が並んでいたそうです。中野ザ・ポケット手前の曲がり角にあるセブン-イレブンの脇には、「ほりのうち道」という道標が過去の名残としてひっそりと立っています。

「ほりのうち道」道標
では、道なりに気になるお店をご紹介していきましょう。改札口を出て右、信号を渡って左へ10メートル、右折すると、その名のとおり煉瓦を敷きつめた坂道、煉瓦坂です。その坂をちょっと昇った左側に定食屋「タブチ」があります。ここは男の料理的な定食がそろっていて、できれば二人以上で行って、おかずをシェアするとよいです。わたしのベストチョイスは、豚汁定食(どんぶり1パイの豚汁と、豆腐1丁分の冷奴)とあじフライ定食(あじが3匹!)を二人で分けて食べるというものです。

「タブチ」あじ定食の見本
坂を上りきると左角に「ZATS BUGER CAFE」という、佐世保バーガーを食わせる店が繁盛しています。左に曲がるとすぐに「九十九」という焼鳥屋さんがあります。お店のおじさんが朝から鶏肉や内臓を串に丁寧に刺して準備をしていて、こういうお店はきっとおいしいでしょう。そのすぐ先右側には「ガンジーパレス」という大丈夫かという名前のインドカレーのお店があります。ここにくるまでにもいくつかカレー屋さんはありますが、ここです。お昼の食べ放題は本格的なカレー汁が数種類、鳥肉とか、ゆで卵がいくらでも食えます。細かく刻んだ野菜をマヨネーズドレッシングで和えたサラダもいけてます。ここにはうんと腹を減らして行ってください。さて、腹一杯でも入れるお店がすぐ左側にあります。
ワインバー「ソルネージュ」です。あんまり流行ってないような・・・。暗めの奥にお店の方がいらっしゃるのですが、そこでどんな会話をしたらよいのか……、かなり入りづらいです。品揃えは本格的なようにみえます。最近、ここらあたりから劇場周辺にも沖縄居酒屋などいくつか飲み屋さんができていますが、外から見た感じだけなのでよく分かりません。
さて、通り過ぎてしまいましたが、さっきの煉瓦坂の一本裏道(今は工事中の、“あまりにもお客さんの少なかった中野丸井本店”の裏手に当たります)が、まさに昭和演歌に出てくるような、奇妙な生活感のある路地裏酒場街が蜃気楼のように存在しています。ここでのお勧めは「酒房・北国」で、外を歩いているとお年をめした女主人とお客さんたちの笑い声がドアの隙間から漏れてきます。あの「酒場放浪記」で人気の吉田類も来ました。出入口付近には、喫茶店「JAM」があります。ふくよかな珈琲の香りです。きっとおいしいコーヒーを入れてくれますので、勇気のある方は入ってみて下さい。

15メートルほどの路地裏酒場街
基本的に、この路地にある飲食店に入るには、“哀愁を背中で語れる”みたいな、資格が必要です。もちろん、やわな人生をだらだらと送っている私には、残念ながらそんな資格はありません。
文◇坂口真人






















