2009年06月13日
城福火山、怒りの大噴火!!情熱のマグマに煽られ、城福トーキョー今季初の逆転勝利で予選突破に大きく前進!!
【予選リーグ突破へ向けての大一番に、燃える男一人!!】
ヤマザキナビスコカップ予選リーグもいよいよ佳境を迎えた。予選リーグ第5節、FC東京は聖地「エル・トーキョー(国立競技場の事)」にモンテディオ山形を迎え撃つ。前節、京都相手に痛恨のドローに終わった東京にとっても、連敗中の山形にとっても、落とす事が出来ない正念場と言えた。
両軍の選手達が勝利への執念を燃やす中、一人だけ、やや違った感慨を持つ男がいた。山形GK遠藤大志…選手生活12年目の苦労人は、この日初めてJリーグの公式戦出場を果たしたのだ。山形のサポーターだけでなく、敵である東京のサポーターも喜んだ。そう、遠藤は元東京に所属していたのだ。それも、ただのOBではない。今では本当に残り少なくなった、旧JFL最後のシーズンである1998年に優勝した時の東京ガスFCメンバーの生き残りなのだ。
コイントスの後、東京が通常と逆のエンドを取った為、東京ゴール裏側のゴールへやって来た遠藤に、ゴール裏サポーターは大きな「タイシ」コールを送った。観戦歴が長いサポーター程、複雑な心境に陥った事だろう。
【山形のサイド攻撃に大苦戦も「ケガの功名」で盛り返す!!】
とはいえ、この試合を落とす様な事になれば予選敗退がほぼ決まってしまう為、東京陣営としても勝つしかない。そんな東京の布陣は4−4−2。後ろからGK権田、中村・ブルーノ・平松・徳永(以下右から)の4バック、梶山・米本の2ボランチ、石川・田邉の両サイド、カボレ・平山の2トップという顔触れだ。そうして東京は、DFラインからビルドアップし、前線の平山を起点に攻撃を作って行く。
が、3分に山形は右サイドのキム・ビョンスクが突破からゴール前にクロスを送り、これに長谷川がスライディングシュートで合わせる。これは権田が何とかセーブしたが、このこぼれ球を詰めて来ていた広瀬が押し込み、山形が早い時間帯に先制点を挙げた。
東京は両サイドの守備が安定せず、サイドチェンジからのキムの突破に採算苦しめられ、単発で反撃はするものの劣勢に立たされてしまい、山形が押す時間帯が続く。
所が、思いがけないきっかけで、この流れは変わった。19分、中村が石川竜のスライディングを受けて足を痛め、交代を余儀なくされてしまう。そして、29分に椋原が代わって左SBに入り、徳永は右に移った。これで、本来のポジションに戻った徳永は安定感を取り戻す。通常は右SBに入る事が多い椋原だが、こちらは現在好調であり、慣れないハンデをものともしなかった。まさしく「ケガの功名」。こうして両サイドが安定した事で、東京は立ち直る。
40分、石川直が敵陣でボールを奪うと、上がっていた米本がそれを受け、オーバーラップしていた椋原へ。椋原はゴール前にクロスを上げる。これを平山が落とし、こぼれた所へカボレ、田邉が詰めてゴールを狙う。
が、ここで遠藤が何とか指先でボールをはじく。すると、ボールはポストに当たってそのまま外へ。
その後、徳永のクロスをカボレと山形DFが競り、その反動で宙に浮き上った所を平山が狙いすまして頭で叩き付けるが、これも枠を外れてしまい、東京は1点ビハインドを背負ったまま前半を終えた。
そしてこの時、城福監督の堪忍袋を緒もまた、ぶち切れたのだった!
【ハーフタイムの大噴火により喝が入った城福トーキョー!!今季初の逆転勝利で予選突破に望みをつなぐ!!】
ハーフタイム、ロッカールームに戻った選手達を目の前に、「城福火山」が大噴火した。(ドカベンの「岩鬼火山」に劣らない大噴火だったそうな!)選手全員、周囲も凍り付く様な怒声を浴びせ、梶山と平山に対しては、「ちゃんとやってんのか!!」と、名指しで叱責した。
その後、ベンチに出て来て東京MXのインタビューに答えた城福監督の顔からは、天をも突く怒りが感じられた。これを見た時、「ははあ、これはハーフタイムに特大の雷が落ちたな」と、思ったが、果してその通りだった訳である。
こうして、指揮官の怒りが乗り移った東京イレブンは、全員火の玉となって後半に臨んだ。対する山形は、膝の故障の為、東京を苦しめていたキムを交代させて小林を送り込む。山形にとっては、痛い誤算だったろう。これで、山形の攻撃は長谷川へのロングボール一辺倒の単調なものになってしまう。そんな山形をしり目に、東京は怒濤の反撃に出た。
57分、敵陣でのスローインのボールを受けた米本は梶山へパス。受けた梶山は、前線の平山に縦パスを送ると、そのまま前線へ。そしてPA前で平山が落としたボールを受けると、思い切り右足を振り抜いた!これがゴール左上に突き刺さり、東京は「叱責コンビ」の活躍で、ようやく試合を振り出しに戻した。
これで東京はペースをつかみ、前線からのプレッシングで山形に反撃のチャンスを与えず、更に猛攻を加える。その流れに乗って、「悩めるエース」がついに長い眠りから目覚めた。
63分、スローインのボールを受けた平山は、カボレが裏へ走り出したのを見ると、すかさず縦パスを出す。カボレは山形DFと並走しつつ、遠藤が前に出て来たのを見て、ふわりとループシュートを放つ。遠藤は懸命に手を伸ばしてこれをカットしようとしたが、カットし切れない。山形ゴール前に落ちたそのこぼれ球を、カボレは頭で押し込み、待望の逆転ゴールを決めた。実に、70日振りのゴールであった。
これで勢いに乗ったカボレは、71分に今度は梶山の縦パスに反応して裏へ抜け出し、シュート!ここでも遠藤が懸命のセーブを見せたが、そのこぼれ球をカボレはいち早く拾うと、冷静にゴールへ蹴り込んだ。ボールは、スライディングカットしようとした山形DFと一緒にゴールイン!東京にとって大きなダメ押し点となった。
その後も東京は山形の反撃を抑え、「東京音頭」、次いで「眠らない街」が大合唱される中、予選突破に向けて大きな勝利を収めたのだった。
試合終了後、城福監督は梶山について「後半の彼はすばらしかった。この感触を忘れないで欲しい」と、活躍を労うコメントを残した。恐らく、平山についても同様の評価をしている事だろう。
*
劣勢だった試合をひっくり返しての勝ち点3は、見事であったし、価値ある勝利と言える。ただ、監督に尻を叩かれて奮起したというのは、ちょっと頂けない。その意味では、カボレの活躍にしても、まだ「復活」と、いうにはやや心許ないだろう。
また、初めてコンビを組んだブルーノと平松のCBコンビも不安定さが目についた。特に平松は、まだ「ムービングフットボール」に十分フィットしていない様に見受けられる。ともかく、コンビネーションは時間をかければ何とかなるものであるし、まずは練習でコンビネーションに磨きをかける事だろう。コンビネーションが熟成されれば、個々の欠点もカバー出来る。何と言っても、今野にいつまでもCBをやらせる訳にもいかない事であるし、レギュラー奪取のチャンスでもある訳だから、平松にはぜひ奮起を期待したい。
この様に、チーム状態はよくなっているが、まだ向上出来る余地はある。それだけに、試合後のスタジアムインタビューで「僕達はもっとやれると思う」と、語り、敢えて「シャー」を拒否して、気を引き締めてピッチを後にした石川直の姿は、次節に「絶対に負けられない」大一番を控えている今、大いに頼もしく感じられた。
一方、善戦空しく涙を飲んだ遠藤は、悔しさをにじませつつも、「(公式戦初出場は)楽しいというか、嬉しかった」と、語った。6月7日の試合ではベンチに回ったものの、試合が引き分けに終わってチームの予選敗退が決まり、最終節が消化試合となった事で、再び出場の目が出て来たと言える。ともかく、次のチャンスをきっちりものにしてもらい、遠藤にはぜひとも一花咲かせて欲しいものだ。
ヤマザキナビスコカップ予選リーグもいよいよ佳境を迎えた。予選リーグ第5節、FC東京は聖地「エル・トーキョー(国立競技場の事)」にモンテディオ山形を迎え撃つ。前節、京都相手に痛恨のドローに終わった東京にとっても、連敗中の山形にとっても、落とす事が出来ない正念場と言えた。
両軍の選手達が勝利への執念を燃やす中、一人だけ、やや違った感慨を持つ男がいた。山形GK遠藤大志…選手生活12年目の苦労人は、この日初めてJリーグの公式戦出場を果たしたのだ。山形のサポーターだけでなく、敵である東京のサポーターも喜んだ。そう、遠藤は元東京に所属していたのだ。それも、ただのOBではない。今では本当に残り少なくなった、旧JFL最後のシーズンである1998年に優勝した時の東京ガスFCメンバーの生き残りなのだ。
コイントスの後、東京が通常と逆のエンドを取った為、東京ゴール裏側のゴールへやって来た遠藤に、ゴール裏サポーターは大きな「タイシ」コールを送った。観戦歴が長いサポーター程、複雑な心境に陥った事だろう。
【山形のサイド攻撃に大苦戦も「ケガの功名」で盛り返す!!】
とはいえ、この試合を落とす様な事になれば予選敗退がほぼ決まってしまう為、東京陣営としても勝つしかない。そんな東京の布陣は4−4−2。後ろからGK権田、中村・ブルーノ・平松・徳永(以下右から)の4バック、梶山・米本の2ボランチ、石川・田邉の両サイド、カボレ・平山の2トップという顔触れだ。そうして東京は、DFラインからビルドアップし、前線の平山を起点に攻撃を作って行く。
が、3分に山形は右サイドのキム・ビョンスクが突破からゴール前にクロスを送り、これに長谷川がスライディングシュートで合わせる。これは権田が何とかセーブしたが、このこぼれ球を詰めて来ていた広瀬が押し込み、山形が早い時間帯に先制点を挙げた。
東京は両サイドの守備が安定せず、サイドチェンジからのキムの突破に採算苦しめられ、単発で反撃はするものの劣勢に立たされてしまい、山形が押す時間帯が続く。
所が、思いがけないきっかけで、この流れは変わった。19分、中村が石川竜のスライディングを受けて足を痛め、交代を余儀なくされてしまう。そして、29分に椋原が代わって左SBに入り、徳永は右に移った。これで、本来のポジションに戻った徳永は安定感を取り戻す。通常は右SBに入る事が多い椋原だが、こちらは現在好調であり、慣れないハンデをものともしなかった。まさしく「ケガの功名」。こうして両サイドが安定した事で、東京は立ち直る。
40分、石川直が敵陣でボールを奪うと、上がっていた米本がそれを受け、オーバーラップしていた椋原へ。椋原はゴール前にクロスを上げる。これを平山が落とし、こぼれた所へカボレ、田邉が詰めてゴールを狙う。
が、ここで遠藤が何とか指先でボールをはじく。すると、ボールはポストに当たってそのまま外へ。
その後、徳永のクロスをカボレと山形DFが競り、その反動で宙に浮き上った所を平山が狙いすまして頭で叩き付けるが、これも枠を外れてしまい、東京は1点ビハインドを背負ったまま前半を終えた。
そしてこの時、城福監督の堪忍袋を緒もまた、ぶち切れたのだった!
【ハーフタイムの大噴火により喝が入った城福トーキョー!!今季初の逆転勝利で予選突破に望みをつなぐ!!】
ハーフタイム、ロッカールームに戻った選手達を目の前に、「城福火山」が大噴火した。(ドカベンの「岩鬼火山」に劣らない大噴火だったそうな!)選手全員、周囲も凍り付く様な怒声を浴びせ、梶山と平山に対しては、「ちゃんとやってんのか!!」と、名指しで叱責した。
その後、ベンチに出て来て東京MXのインタビューに答えた城福監督の顔からは、天をも突く怒りが感じられた。これを見た時、「ははあ、これはハーフタイムに特大の雷が落ちたな」と、思ったが、果してその通りだった訳である。
こうして、指揮官の怒りが乗り移った東京イレブンは、全員火の玉となって後半に臨んだ。対する山形は、膝の故障の為、東京を苦しめていたキムを交代させて小林を送り込む。山形にとっては、痛い誤算だったろう。これで、山形の攻撃は長谷川へのロングボール一辺倒の単調なものになってしまう。そんな山形をしり目に、東京は怒濤の反撃に出た。
57分、敵陣でのスローインのボールを受けた米本は梶山へパス。受けた梶山は、前線の平山に縦パスを送ると、そのまま前線へ。そしてPA前で平山が落としたボールを受けると、思い切り右足を振り抜いた!これがゴール左上に突き刺さり、東京は「叱責コンビ」の活躍で、ようやく試合を振り出しに戻した。
これで東京はペースをつかみ、前線からのプレッシングで山形に反撃のチャンスを与えず、更に猛攻を加える。その流れに乗って、「悩めるエース」がついに長い眠りから目覚めた。
63分、スローインのボールを受けた平山は、カボレが裏へ走り出したのを見ると、すかさず縦パスを出す。カボレは山形DFと並走しつつ、遠藤が前に出て来たのを見て、ふわりとループシュートを放つ。遠藤は懸命に手を伸ばしてこれをカットしようとしたが、カットし切れない。山形ゴール前に落ちたそのこぼれ球を、カボレは頭で押し込み、待望の逆転ゴールを決めた。実に、70日振りのゴールであった。
これで勢いに乗ったカボレは、71分に今度は梶山の縦パスに反応して裏へ抜け出し、シュート!ここでも遠藤が懸命のセーブを見せたが、そのこぼれ球をカボレはいち早く拾うと、冷静にゴールへ蹴り込んだ。ボールは、スライディングカットしようとした山形DFと一緒にゴールイン!東京にとって大きなダメ押し点となった。
その後も東京は山形の反撃を抑え、「東京音頭」、次いで「眠らない街」が大合唱される中、予選突破に向けて大きな勝利を収めたのだった。
試合終了後、城福監督は梶山について「後半の彼はすばらしかった。この感触を忘れないで欲しい」と、活躍を労うコメントを残した。恐らく、平山についても同様の評価をしている事だろう。
*
劣勢だった試合をひっくり返しての勝ち点3は、見事であったし、価値ある勝利と言える。ただ、監督に尻を叩かれて奮起したというのは、ちょっと頂けない。その意味では、カボレの活躍にしても、まだ「復活」と、いうにはやや心許ないだろう。
また、初めてコンビを組んだブルーノと平松のCBコンビも不安定さが目についた。特に平松は、まだ「ムービングフットボール」に十分フィットしていない様に見受けられる。ともかく、コンビネーションは時間をかければ何とかなるものであるし、まずは練習でコンビネーションに磨きをかける事だろう。コンビネーションが熟成されれば、個々の欠点もカバー出来る。何と言っても、今野にいつまでもCBをやらせる訳にもいかない事であるし、レギュラー奪取のチャンスでもある訳だから、平松にはぜひ奮起を期待したい。
この様に、チーム状態はよくなっているが、まだ向上出来る余地はある。それだけに、試合後のスタジアムインタビューで「僕達はもっとやれると思う」と、語り、敢えて「シャー」を拒否して、気を引き締めてピッチを後にした石川直の姿は、次節に「絶対に負けられない」大一番を控えている今、大いに頼もしく感じられた。
一方、善戦空しく涙を飲んだ遠藤は、悔しさをにじませつつも、「(公式戦初出場は)楽しいというか、嬉しかった」と、語った。6月7日の試合ではベンチに回ったものの、試合が引き分けに終わってチームの予選敗退が決まり、最終節が消化試合となった事で、再び出場の目が出て来たと言える。ともかく、次のチャンスをきっちりものにしてもらい、遠藤にはぜひとも一花咲かせて欲しいものだ。