もう、すっかりお酒シリーズは終わったと思いました? 甘い甘い、カルーアミルクぐらい甘い。ちゃんと練習問題があります。
京都検定でお酒をたしなむ会で"お土産"として参加者の方々にお渡しした練習問題です。
京都検定に出そうな出なさそうなやっぱり出そうな、"お酒"に関する問題を集めました。
参加者もそうでない方も楽しめるように、少しアレンジしていますよ。
では、さ、ぐぐっと1杯!
和らぎ水(選択肢)はセクションごとに。

【食前酒〜まずはかるく1杯〜】※【1】は地域名、【2】【3】は市町村名が入ります。選択肢は3の後。
【1】京都の質の高い地下水と冬寒い気候を利用して造られる日本酒は、兵庫県の灘、広島県の西条と並び(    )がその代表的産地として全国的に知られている。

【2】天王山の戦いで知られる(    )は昔から名水の里として知られており、千利休の国宝の茶室「待庵」があるほか、この名水を生かしサントリー創業者の鳥井信治郎が蒸留所を建て、現在もウィスキーやビール工場がある酒どころとなっている。

【3】梅酒「青谷の梅」で知られる青谷の梅林は、京都府(    )にある梅の名所である。

+++選択肢【1】〜【3】+++++
【1】(ア)亀岡 (イ)伊根 (ウ)宇治 (エ)伏見
【2】(ア)久御山 (イ)長岡京 (ウ)向日 (エ)大山崎
【3】(ア)京田辺市 (イ)井手町 (ウ)城陽市 (エ)和束町

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【酒は飲んでも飲まれるな〜お酒と人物問題〜】
【4】酒好きであったために「酒呑童子」と呼ばれた大江山の鬼は、京の町をたびたび襲うなどして恐れられていたが、(    )らによって退治されたという伝説がある。

【5】安元3年(1177)、鹿ヶ谷にある僧(    )の山荘で平氏打倒の密議が行われ、倒れた瓶子(酒を入れる器)を平氏にたとえて笑ったなどという話が『平家物語』などに残っている。

【6】東京の伯爵家に生まれた(    )は、明治43年(1910)に第一歌集『酒ほがひ』を出版して以降歌人として活躍、2度目の結婚後は京都に住み、酒と京都を愛した歌人として知られる。

+++【4】〜【6】選択肢+++++
【4】(ア)源為義 (イ)源頼政 (ウ)源義経 (エ)源頼光
【5】(ア)俊寛 (イ)月照 (ウ)西行 (エ)西光
【6】(ア)大田垣蓮月 (イ)吉井勇 (ウ)高浜虚子 (エ)与謝野鉄幹

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【宴もたけなわ〜京都検定らしさ多めの問題〜】
【7】伏見十石舟や月桂冠の施設群や松本酒造酒蔵などは「伏見の日本酒醸造関連遺産」として経済産業省の(    )に認定されている。

【8】松尾大社では、4月に醸造感謝祭である(    )が行われ、全国から醸造業者が参詣する。

【9】京の冬の旅初公開となる(    )では、酒と茶の徳について論争した漢文体の掛軸「酒茶論」も公開される。

【10】京ことばで「酒粕」のことを「(    )」という。 

+++【7】〜【10】選択肢+++++
【7】(ア)重要伝統的建造物群保存地区 (イ)歴史的景観保全修景地区 (ウ)近代化産業遺産 (エ)界わい景観整備地区
【8】(ア)松尾祭 (イ)八朔祭 (ウ)上卯祭 (エ)中酉祭
【9】(ア)西福寺 (イ)妙心寺大雄院 (ウ)妙心寺養徳院 (エ)金戒光明寺西翁院
【10】(ア)オブー (イ)イミキトリ (ウ)オタメ (エ)イタオミキ

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【はしご酒〜まだまだ飲みたい!〜】
【11】舎密局ではサイダーやビールといった飲料の製造・研究も行っており、明治9年頃には(    )(現在は世界文化遺産に登録されている社寺)に京都舎密局麦酒醸造所が設けられた。

【12】平成24年(2012年)、農研機構と京都府の共同研究により掛米「(    )」を開発し、新たな地域ブランド清酒が生まれている。

【13】平成29年(2017年)1月、京都市産業技術研究所では燗酒に適した酒のための新たな酵母「(    )」を開発し、秋には新たな酒が出荷されるという。

+++【11】〜【13】選択肢+++++
【11】(ア)醍醐寺 (イ)西本願寺 (ウ)上賀茂神社 (エ)清水寺
【12】(ア)日本晴 (イ)祝 (ウ)京の輝き (エ)山田錦
【13】(ア)京の咲 (イ)京の珀 (ウ)京の母 (エ)京の華

さぁ、解いたら答え合わせ!→
 
さ、答え合わせのお時間です。
お酒の席で薀蓄ばっかりだとあんまり好かれません(←やわらかめの表現)が、解説はしておきましょう。
正解は赤字の太字です。

まず最初の問題は、比較的やさしいお酒と地域に関する問題。
【1】日本三大酒どころといえば、(兵庫県)、西条(広島県)と伏見(京都府)だそうです。「灘の男酒、伏見の女酒」なんて言葉もありますね。ちなみに、この問題はこないだ(第13回)の3級74番(「日本酒」が答えのヤツ)のアレンジ問題です。京都で酒といえば、まず伏見、ですね。

【2】「天王山の戦い」「待庵」といった、いっぱいヒントが散りばめられた、やさしい問題文です(歩いたろうさんに書いてもらった文章をアレンジしました)大山崎にはサントリーの工場あるなぁ、と思っていましたが、ちゃんと京都検定らしい問題にできるものですね。大山崎とお酒について、こういう説明も書いてもらいました。わかりやすい。
天下分け目の戦いで知られる天王山の山頂付近に、日の本の国で初めて酒をつくった神様といわれる大山祀神(おおやまつみのかみ) を祀った酒解(さけとけ)神社がある。諸国の神様が集まってこの大山崎で会合を行った際、山をつかさどる大山祀神が米から作った酒をふるまい、神々が皆陶酔した。神々は全国にこの酒を持ち帰り、諸国に広がったとされる。酒解神社は当地の豪族であった橘氏が建立。橘家の橘嘉智子が嵯峨天皇の皇后となり、皇后が嵯峨の梅宮に一門の祖を氏神として酒解の神を勧請。梅宮の社が従四位の下、山崎の社が従五位に列せられた。酒解の神が"五位"の神階を持っていたため、酒解神をまつる天王山から大山崎町に流れ込む川が"五位川"と呼ばれた。 

【3】青谷の梅林は、城陽市にある梅の名所です。そろそろ梅の季節でしょうか。「春は城陽から」をキャッチコピーに「梅まつり」が行われるそうです。梅酒「青谷の梅」に使われるのは「城州白」というこの地域で採れる梅だそうですよ。→青谷梅林(城陽市観光協会)

お酒視点で京都府を見ると、ほかに丹波ワインもありますし、何でも飲めるじゃないか、と楽しくなります。素材(米や果実など)といい水と、神様と人がいて、こんなになったんでしょうかね。ありがたく飲ませていただきます。

さて、お次は人物問題。酒と京都と男と女みたいなサブタイトルつけましょうか。
【4】源頼光さんはよく何か(土蜘蛛とか)退治してますよね。大江山の酒呑童子はお酒好きだからそんな名前だそうで、頼光さんも旅の者のフリして「お酒持ってきました!飲みましょう」って「神便鬼毒酒(しんべんきどくしゅ)」という毒酒を飲ませて酔わせて、退治したらしいです。酒呑童子の話はいろいろ説があって、調べると奥深そうな楽しそうな感じでした。
 
【5】酒宴といえばこれ。「瓶子が、瓶子が倒れた!\大爆笑/」の、平家物語の話。「鹿谷(ししのたに)」という巻です。鹿ヶ谷の俊寛の山荘での出来事です。本文や解説はここここを参考に。

【6】京都検定出題常連で、「かにか…」ぐらいで「ピンポン!」「はい、吉井勇!」と答えられそうな歌人・吉井勇ですが、問題文を変えてみたら(かにかくにを入れなかったら)迷う人も出てくるんじゃないかな、とこんな出題になりました。吉井勇の最初の歌集は『酒ほがひ』(さかほがい)。「酒祝(ほが)ひ」とは「酒宴をひらいて祝うこと」(Goo辞書より)という意味だそうです。とにかく、機械的に吉井勇=かにかくに、と覚えるんじゃなくって、ほかにもいろいろあるんだよ、ということです。京都検定はゴールじゃなくてスタート、入り口!(byうさこじぞう)

酒と京都と人で考えると、ほかにもいろんな人が挙がります。
摂関政治の頂点に立った藤原道長は、酒宴の席で「望月の歌」という有名な(そして残念な)和歌を一同に何度も何度も唱和させたそうです(困った上司だ)。そういえば、藤原道長が摂政だったか関白だったか、という問題が出ましたね(13回3級63番)。
また、室町幕府第5代将軍の足利義量(よしかず)は、大酒がたたって早世したという説があります。享年19歳(満17歳)。等持院になぜか木像がないお方。9代の足利義尚も大酒飲みだったと記録されているとか。
幕末、御陵衛士の伊東甲子太郎(一部で“カッシー”の愛称で呼ばれているらしい)は、新選組との対立が深まり、近藤勇らに招かれて酒をふるまわれ、酔った伊東が刺殺されたという事件も起こりました。酔わせたのは伊東の剣の腕を恐れたからだとも。そういえば、これも1級で出題されましたね(13回1級8番)。


皆さん、くれぐれも飲み過ぎに注意しましょう。



さて、だんだん難しくなっていく問題。ほろ酔いでは解けないかも。 
【7】伏見南浜界わい景観整備地区、とまぎらわしいですね。「伏見の日本酒醸造関連遺産」は、近代化産業遺産に認定されているんですね。伏見・宇治が公開テーマの時に似たような練習問題を出しています。正直なことを言いますと、こういうの多くて苦手なんですけどね。

【8】松尾大社の醸造感謝祭は、中酉祭が正解。ま、酉年ですから。
選択肢はぜ〜んぶ松尾大社のお祭りにしてみました。が、松尾大社のお祭りってあんまり出題歴がないですねぇ。ちょっとまとめてみましょう。
 松尾祭:4月20日の後の日曜から3週間:「松尾の国祭」と呼ばれた大祭、船渡御が有名
 中酉祭:4月中酉の日:醸造感謝祭、狂言奉納など(2017年は4月16日)
 八朔祭:9月第1日曜:二百十日前後の風雨安穏、五穀豊穣祈願など、女神輿の船渡御や嵯峨野六斎念仏など
 上卯祭:11月上卯の日:醸造祈願祭、醸造を始める日(2017年は11月12日)
テキストの「松尾大社 中酉祭」のところ(新版p289)にも書いてありますが、11月の上卯の日に造り始めて、4月の中酉の日に終わるので、それぞれ祈願祭と感謝祭が行われるんですね。1級で上卯祭が出たらけっこう重箱の隅(というか書いてないので外?)かな、と思います。
(参考:松尾大社:年間祭儀予定

【9】「京の冬の旅」お好きですか?ご存知ですか? この京の冬の旅の非公開文化財特別公開で今回初公開となる妙心寺 養徳院で、「酒茶論」が公開されるというのです。酒茶論と聞いても「は?」となるかもしれませんが、ものすご〜くざっくり言うと、お酒がいいか、お茶がいいか、という論争(上戸vs下戸)のようです。もう一度お酒ツアーやるんなら、次はこっちに行ってもいいですね。養徳院も酒茶論もテキストには出てませんし、問題としては正直ムズカシすぎると思いますが、こういうのがありますよ、というご紹介です。

【10】今回のお酒ツアーでも酒粕を買っている人が多かったですね。その「酒粕」のことを京ことばでは「イタオミキ」というそうです。 お神酒でイタオミキ=酒粕ですって。ここで、テキストの「京ことば」のページを五十音順に見て「そんなの載ってないけど…?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。実は、「イタオミキ」は別枠でコラムっぽく書いてあるんですね。3級では出ないでしょうが、2級ならありえるでしょうかねぇ。あ、選択肢のイミキトリは松尾大社を創建した秦忌寸都理のことで、京ことばでもなんでもなく、それっぽい言葉を入れただけです。

さ、最後は、お酒に対するあくなき探究心のコーナー。

【11】舎密局自体は京都検定頻出ですが、こんなのは出ないでしょうねぇ。京都舎密局麦酒醸造所というのがなんと清水寺(音羽の滝付近)に設けられていたんですね。ま、ツアーのレポートをしっかり読んでもらえれば歩いたろうさんが詳しく説明してくださってます。私がさらっと伝えたことを、めっちゃ詳しく調べ直してくださってありがとうございます。 あと、ツアーで伝え忘れてましたが、第4回内国勧業博覧会の会場に日本初のビアホールがあったらしいですよ。

【12】「」だと思った? 残念「京の輝き」でした。ツアーの準備をしてたら偶然にも「京都府民だより(1月号)」に載ってるのを見つけました。酒造りの工程では「麹米」「掛米」「酒母米」といろんなお米が使われます。掛米は酒米ではない一般のお米が使われることも多いらしく、また京都産の掛米もなかったようですが、7割が掛米なのでそこに京都の酒米を!ということで農研機構と京都府の共同研究により掛米「京の輝き」が開発されたようですよ。

【13】ラストは、最新の話題から。おいしい燗酒のための酵母を開発したよ、という話題です。コハク酸の割合が高いと燗酒に合うということで、「京の珀(はく)」と名付けられたそうです。冷酒には「京の咲」がよいそうです。ただ、日本酒造りには当然時間がかかりますので、まだ実際に飲めるお酒はできてません。すでに「いつ飲めるのか」とか問い合わせがあるとか…。ちなみに、ほかの選択肢も京都市産業技術研究所で研究開発されているもののようです。
(参考:究極のかん酒への挑戦|NHK NEWS WEB(2017.1.18)燗や冷、温度に合った清酒に 京都発酵母、開発に力(『京都新聞2016.12.6』)) 
出題しといてなんですが、このへんは、正解できなくて大丈夫です。「お酒と京都」という話題のひとつと思っていただけたら。
いやしかし、このまま研究・開発が進んでいったら、めっちゃおいしいお酒ができるんじゃないんですかね。
神様、先人たち、現代の研究者、酒造りに携わるすべての人たちに感謝して、おいしくいただいていきたいですね。


なお、今回のツアー等に参考にした主な文献。特に参考にした『京の酒学』は、ツアーでも行った京都府立図書館の「芳醇なる京の酒文化」の図書コーナーで見つけました。


 

酒が語る日本史 (1971年)
和歌森 太郎
河出書房新社
1971


こんな感じで準備しつつ、衝動でとっくり&お猪口の帯留め・帯飾りも買っちゃいました〜♪
参考酒文献

(う)