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規則は、行為の仕方を決定することはできない。
なぜなら、いかなる行為の仕方も、
その規則と一致させることが可能だからである。
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これは、オーストリアの哲学者、ウィトゲンシュタインの言葉です。ウィトゲンシュタインのパラドクスと呼ばれています。

…ちょっと言葉が難しいので、簡単に言い直すと、


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どういうデタラメなことをしても、
それが「規則通り」であるような
規則が存在する。
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と、なります。

…まだちょっと伝わりきらないかと思うので、一つ例を挙げます。


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次の数列の□に入る数を答えよ。

2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 □

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これは前々回の数列の問題とは違い、素直な問題ですw

言うまでもなく偶数を小さいものから並べた数列で、に入るのは 22 であると思われます。

…が、ウィトゲンシュタインによると、に入るのが 22 である保証はどこにもない、というのです。


ウィトゲンシュタインによると、例えば、24の中に入る答えとして妥当です。


恐らくあなたはこう主張するでしょう。

『この数列は
 wit1


 という数列だから、11 項目は 22 だ。』

もっともな意見です。

しかしウィトゲンシュタインはこう反論します。

『私はこの数列は
 wit2




 であると考える。従って 11 項目は 24 だ。』


どう考えても前者が自然であり、後者はただの屁理屈にしか思えませんが、後者の推論も 10 項目までが一致している以上、論理的にはどちらの主張が正しいかは判断できないということがわかっていただけると思います。


11 項目が 24 となる数列は他にも構成できて、例えば

wit3






と置いても、10 項目までは題意の通りで、11 項目が 24 となります。また、

wit4





と推論することで、『11 項目は 18+2√2 である』と考えることも可能です。


こんな変な値を予想するなんて馬鹿馬鹿しい、と考えるのが常人の考え方であり、私もそう思いますが、それでも、論理的には11 項目は 22』と言っているのと全く同じだけの説得力を持っているのです。


…かと言って、テストでこういうことを書いてはもちろんいけませんw

学校のテストでは、特に「等差数列」などの指定が書いてないときは、上で挙げたような無限の候補の中から最も「あり得る」ものを選ぶようにというのが暗黙の了解になっていますし、特に断られなくても我々は通常それを求められていることを認識します。

この「あり得そう…」とか「あり得ない!」とか言う感覚は、人間に授けられた驚くべき力だと思います。そもそもウィトゲンシュタインの主張は論理的には何らおかしくないわけで、「パラドクス」と呼ばれている所以は、我々のこの"感覚"と相違していることにあります。

古くから人間は、いくつもの試行から統計を取り、そこから普遍的だと思える性質を抽出して、次に"あり得そうな"結果を予測してきました。この繰り返しで自然科学が築かれたと言えます。

そして次に"あり得そうな"結果の予測が概ね当たっていることから、我々は現在の自然科学を信頼しています。

しかしウィトゲンシュタインは、我々が統計から取った結果から抽出した規則が本当に正しいとは言えない、と、警鐘を鳴らしています。

現在の自然科学は実用には十分なものが多く、批判するようなものではありませんが、我々が普遍的だと思っている性質が、実は思っている規則とは違ったもっと大きな括りの規則の局所的性質に過ぎないかもしれないわけで、思い上がるべきではない、というのが、ウィトゲンシュタインの主張であると言えるのではないでしょうか。



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前々回の数列の問題も、記事で紹介した答えが一番「あり得そう」な答えですが、数式で統制して違う答えの候補を挙げることもできます。結構無理矢理ですが、を追記部分に書いてみます。↓

1≦n≦3のとき

wit5


とし、n=4以降は、kを自然数として

wit6










とおくと、これは

2 4 6 30 32 34 36 40 42 44

46 50 52 54 56 60 62 64 66 70 72 74 …

なる数列を作る。こう考えると、こちらの記事で紹介した数列の問題の答えは 70 であると主張することも可能です。

しかし、どちらが答えとして相応しいかと言うと、通常の感覚では 2000 の方ですね^^(記事参照)


ちなみに、コメントで質問された

各n(n:自然数)で f(n)=a_n となる連続関数 f

についてですが、例えば以下のようにして構成できます。

wit7









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