コンビネーションで見る四次元図形の記事がまだ完結していませんが、タイムリーな話題に出会ったので先に紹介しようと思います。


週刊少年マガジンで連載されている賭博覇王伝 零iconという漫画をご存知でしょうか?

一見ギャンブルと思える試練に対し、論理的に必勝法を導き出して乗り越えていくという頭脳戦漫画です。推理小説とか推理ものの漫画、ドラマなどが好きな方は、気に入ると思います。

現在単行本が3巻まで出ています。私はこの単行本しか読んでないのですが、週刊少年マガジンを読んでいる方から、今週の話に関する質問をいただきました。以下です。


zero1-fix





つまり、1.41421356の次に来る二桁を求めろということです。

与えられるのは紙と鉛筆のみ。計算機などは使えません。


物語では30分以内で答えが出せないと全員串刺しになる設定です。更に上記問題はある謎を解いた後で出てきた謎なので、正味の制限時間はせいぜい10分くらいだと思います。

従って、1.4142135600の二乗から1.4142135699の二乗までを順に計算していって2との大小を比べる、という素朴なやり方では、普通の計算力では到底太刀打ちできません。何か賢い手法を用いる必要があります。


あなたは生き残れるでしょうか?!


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↓私の解き方を以下で紹介しています↓

私が使えるなと思った手法は

連分数展開
ニュートン法

の二つです。


連分数展開は初等整数論を用いた代数的アプローチ。ニュートン法は解析的アプローチで応用数学でよく用いられているものです。

私は代数的アプローチの方が好きなので、連分数展開を用いてみることにします。

何だか用語がいかにも難しそうですが、要するにやることは「与えられた数を、整数部分と小数部分に分ける」ことに尽きます。


ルート2の小数部分を求めましょう。整数部分は1ですから、小数部分は

zero2


となります。ここで有理化の逆の操作をします。すなわち、分子分母共に(ルート2)+1である分数をかけて、

zero3




この右辺の分母を再び整数部分と小数部分に分けましょう。すると

zero4



ですから、

zero5












となります。従ってこれを繰り返していくと、ルート2の小数部分は

zero6





であるということができます。こういう形を自己相似といいます。以前自己相似と黄金比の記事で紹介したことがあります。

実はルート2というのは白銀比と呼ばれていて、これについても失敗しない三つ折りの方法の記事や、廣済堂出版さんの雑誌わたしの教室の私が監修した記事でも紹介しているように、様々な面白い性質があります。


さて、自己相似と黄金比の記事でやったように、上の連分数を途中で切った分数を考えていきましょう。すなわち、

zero7















を考えていきます。この数列の極限値が、求める小数部分になっているはずです。隣り合う二項の関係は

zero8




となっているので、1/2から始めて、2を足して逆数を取っていく、という操作を繰り返して行けば、だんだんと求める値、つまりルート2の小数部分に近づいていくことになります。

1項目から計算していきましょう。


zero9































まだ収束やその仕方について詳しく述べてないのですが、実はこの数列は連分数の中間近似分数と言って、以下の図のように収束していくことがわかっています。


zero10-fix











つまり、極限値の左右を行ったり来たりしながら、徐々にしかし確実に近くなっていく、という収束法です。


このことを踏まえて、14項目と15項目を見ると、小数第9位は、第10位はであると結論付けることができます。

更に第11位が6か7であることもわかりますね。(実は7です)


収束の仕方の証明や連分数の一般論など、詳しいことは、たびたび紹介している初等整数論講義iconに詳しく書いてあります。更に近似の精度についての記述もあるので、上の表のようにa_1からa_{15}までいちいち全部割り算しなくても、だいたいこの辺が割りどころかな、というのもわかるようになります。


私はこの方法で、問題を見てから5分くらいで答えが23であることを導くことができました。従ってこの手法で生き延びることが可能です^^



ちなみに「賭博覇王伝 零」では、「みんなで1.41421356の二乗を計算しよう!そうすれば次の2桁もわかる!!」と主人公がみんなを説得しているところで終わっています。

これは恐らく、開平法という手法を使って解こうとしているのだと思います。

開平法は面積と関連付けて考えることができ、連分数展開よりも更に初等的です。ルートを求めるという手法の中では一番有名な手法です。(google検索すれば解説がいっぱい出てきます)

全てを解説して前バレさせるのも面白くありませんし、何より次回の漫画中でなされるであろう解説の方が私の説明よりもわかりやすいと期待できるので、今回は敢えて開平法について詳しくは触れず、他の手法である連分数展開を紹介しました。


また、私は1.41421356の二乗を計算するよりも何回かの足し算と6桁÷6桁の割り算をする方が楽そうだと思い連分数展開の方を選択しました。開平法は難しい理論を一切使わないという点で優れていますが、理論を知っているとアプローチの選択肢が増えるので楽ができて良いです。この辺が数学を学ぶ醍醐味の一つだと思います。



何はともあれ次号のマガジンが楽しみですね。

次の水曜日はお休みで、次号は5月7日(水)発売のようです。

もしかしたら開平法以外のすごい解法があるのかもしれませんので、一応発売日にチェックしにいこうと思います笑。



今回紹介したものの他で、何か良さそうな解法をご存知の方は、是非教えてください。紹介させていただきたいと思います。



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